数々の名曲と名場面をうみだしてきたSHISHAMOは、2026年6月14日に活動を終了します。最後のステージは地元・川崎にあるUvanceとどろきスタジアム by Fujitsu、つまり等々力陸上競技場。Jリーグ・川崎フロンターレが本拠地としています。
SHISHAMOは元々2018年にここでワンマンを開催する予定でしたが、台風接近のため中止になったことがあります。あらためて2020年にも組まれましたが、こちらもコロナ禍真っ只中で早々に中止決定。活動終了前最後のライブは、つまり言うと8年越しの悲願とも言えるわけです。当時は1日の予定でしたが今回は13日・14日の2日開催。それぞれ「THANKS DAY」「GOODBYE DAY」と称していますが、そのうち前者のTHANKS DAYに足を運びました。
外の様子
SNSで会場の状況を逐一チェックしますが、この日のファンは非常に動きが早かったようです。当日グッズ販売は10時開始でしたが、7時には既に待機の列が出来ていたとの情報あり。したがって10時には数百人単位になっていて、昼くらいになるとTシャツは多くが売り切れ。15時16時になっても並んでいる人は多くいました。
会場到着は14時過ぎでしたが、この時点でかなりの人数が集まっています。来場予定の半数以上は既に到着しているように見えました。Jリーグの試合でも、これだけ人が多いことは無いのだそうです。近隣に日産スタジアムがあるのも影響しているのでしょうか(この日もback numberが2日間公演あり)、ここ等々力陸上競技場でのワンマン開催は過去に一度も無し。SHISHAMOのために空けていたと言っても過言では無いわけですが、それ故に導線などはちょっと窮屈。フードエリアはほぼ全店かなりの列が出来上がっていて、スマホの電波は完全トラフィックでコード決済さえままならない状況。現金を持って来ていないとなかなか大変なことになっていました。またこの日は好天に恵まれた分特に昼過ぎは非常に暑く、夏フェスばりとは言いませんがそれなりの暑さ対策も必要でした。
スタンド入口から撮影した15時(開場時間)過ぎ頃の様子は、以下の写真の通りです。ゲートから両端にあるテント群がフードエリアです。

会場ではカラオケステージ、他には川崎市やタワレコなどのブースもありました。その中にはSHISHAMOと等々力緑地・川崎フロンターレとの関わりを紹介する展示コーナーも存在。2017年の「明日も」がやはり大きな契機となった様子ですが、曲が出来たきっかけは前年に川崎フロンターレの試合を観戦したこと。これらについては開演前の映像でも大きく触れられていました。偶然か必然か、この2017年に川崎フロンターレはJ1リーグ初優勝・SHISHAMOは紅白歌合戦初出場。特にフロンターレはこれ以降J1優勝4度、リーグを代表する強豪チームの1つとして定着しています。

ライブでは恒例とも言える花輪ですが、顔ぶれ・量ともに壮観とも言えるくらいの揃い方でした。各メディアやファン有志はもちろん同業者のアーティストからも多く届いています。なおひときわ目立つ大きな花輪、4枚目の写真一番左のものはスキマスイッチからの贈呈。その他スタンド入口には、川崎フロンターレからの花輪もありました。

開演前

会場には15時半過ぎに入場。ステージからは遠いですが、その分観客の動き・反応が一番分かりやすく見える場所です。スタジアムなので当然場内にもトイレやフードはそれなりにあり、自分の席はスタンドなので必然的に座る場所もあり。個人的には1階のやや後ろだったので風も入りやすい屋根の下、非常に快適な環境で早めに入場したのは正解でした。開場直前はやはり混雑で入場に時間がかかったらしく、また後に触れますがオープニング演出で特にアリーナには入れない時間もりました。
開演前の映像は朝子さんのイラストで描かれた彩さん進行のグッズ紹介、先ほども触れたバンドおよび川崎フロンターレとの関わり、いわゆる諸注意など。開場時間は17時ですが、明らかに入場出来ていない人や女性中心にトイレ待ちの人がまだまだ大勢います。どこまで押すか分からないと思いつつ、15分くらい経ってから今日明日のために作られたであろう曲と2人の映像がビジョンに流れ始めます。
いよいよ開演
映像では2人が同じ自転車に乗っていますが、やがてステージ脇から歓声が挙がります。競技場のアリーナを、自転車に2人乗りしながら一周。手を振りながら、会場に駆けつけた観客皆さんに笑顔で応えます。なおこの演出中はアリーナで入場が制限されていて、場内一周が終了した後は多くのオーディエンスが会場に流れ込みました。SNSでは開演30分前入場にゲートに集まっても間に合わなかった、という情報も見受けられました。
ステージに上がり、最初に演奏される曲は「君と夏フェス」。会場全員がコールしていますが、あまりにも大きい規模であると同時に元々のリズムが難しい曲。一瞬サビ前パートの入りを間違えるハプニングも発生して、少し苦笑いする朝子さんの姿もライブならでは。イヤモニと観客の声でズレが発生したものと思われます。
「君と夏フェス」同様こちらも夏ソング、「夏恋注意報」ではLyric Videoの映像も流れます。「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」ではイントロで朝子さんのキーボード演奏あり。「笑顔のおまじない」も含め、最初は計4曲でMCに入ります。
等々力!とたびたびコールしながら話すメンバー2人ですが、全体的に少し伸ばし気味に見えました。スタンドからアリーナを見渡すと、お手洗いと思われる移動勢がかなり多め。オーディエンスが席に戻るのを見計らったかのタイミングでまた演奏に戻ります。
「量産型彼氏」は歌以上に各々のソロパートが印象的ですが、そういえばベースの彩さんが加入したのはこの曲からでした。先日のメトロックでもインパクト抜群だった「ひっちゃかめっちゃか」、恐ろしくメンヘラな歌詞が耳に残る「君の大事にしてるもの」、切なくも悲しい歌詞がこちらも印象的な「かわいい」。イントロから名曲確定・一番現場に運んだ2017年2018年には本当に現場で聴く機会の多かった「きっとあの漫画のせい」は、当時と同じ歌詞が吹き出しに載せられる映像をバックにした演奏です。第2ブロックは計5曲、その後は再びMC。13年間にあったことを振り返る2人、案外思い出に残っているのはツアー移動中の過ごし方ということでした。
アコースティックな中盤
普段自分が足を運ぶことが多い音楽フェスはどうしても定番曲とアップテンポがメインの選曲になります。そうなると聴かせる楽曲は必然的にワンマンならではになります。というわけでこのセクション最初の曲は「花」。『SHISHAMO 2』収録、Spotifyの再生回数は実を言うと「量産型彼氏」より多いのですが、フェスではまず聴けないナンバーです。とは言え2017年までのツアーや野音では珍しくない選曲でもあったりします。
この暑い天気だからこそ「熱帯夜」「夏の恋人」を聴けたら嬉しいと思ってはいましたが、ここで2曲連続演奏になるのは非常に嬉しい選曲でした。時間は18時過ぎで日が暮れようかというタイミング、ロケーションもバッチリです。「夏の恋人」は2018年中止になった等々力ライブのリハーサル演奏がYouTubeで公開、8年越しで実現した本番という点を考えても大変意義のある演奏でした。
「夢で逢う」もアコースティックな雰囲気、この曲も歌詞を聴くと活動終了前だからこそしっくり来る演奏に聴こえます。そして朝子さんがインタビューで恋愛ソングの集大成と語った「運命と呼んでもいいですか」、5曲演奏したところでアンケート中心のMCに入ります。
中学生・小学生・未就学児に専門学校生や大学生、大学院生に声出しをしてもらいます。最後を「おとな!」でまとめるところは、2015年に大阪城野音で初めて見たワンマンと同様でした。ただ時々口が悪くドSな部分を出していた朝子さんのMCは、当時と比べると優しさや感謝の気持ちがより喋りに出ているような気がします。彩さんも年々喋りが上手くなっているのが、特に10年近く現場を見ているとよく分かります。
ライブはいよいよ終盤に
そしてライブは終盤戦に突入。えー!という声が各所から挙がりますが、13曲演奏となると後半になるのは自然です。とは言え感覚的にはやはり、1時間半近く経ったとは全く思えない時間の速さでした。
この競技場でMVを撮影した「最高速度」からスタート、ステージから炎がたびたび起こる演出はこちらも先日のメトロック同様でした。これまた定番かつファン人気の高い「ねぇ、」を経て、あの曲のイントロに入ります。
長年の定番曲ですが音源は『SHISHAMO BEST』初回限定盤ボーナストラックくらいでサブスク配信無し、ですがドラムのリズムの時点で全員がタオルを掲げ始めます。彩さんがこれをどこでどう回すかなど懇切丁寧に説明した後、演奏されるのはもちろん「タオル」。フェスではリハ専用曲になりつつありましたが、ワンマンでは最後の最後まで定番曲として作用していました。
シングル曲の「OH!」を経て、まだまだ欲しいところでありましたが19時前後の時間帯で早くも本編ラスト。ここでは長年の人気曲「恋する」で締めます。2013年11月の1stアルバム『SHISHAMO』で初収録、おそらくは個人的にも現場で見た回数が一番多い曲です。と言うよりこの曲を演奏していないライブの方が、圧倒的に少ないのではないでしょうか。この日を最後に、少なくとも当面の間は現場で聴くこと出来ないのが信じられない気持ちにもなります。
アンコール
当然ながらアンコールの手拍子が始まります。さすがに本編のみで終わるわけないのは全員が分かっていて、再登場の時間はかなり短めでした。近年のライブで演奏機会の多い新しい曲「ハッピーエンド」「恋じゃなかったら」を経て、サポートドラマーの歌川菜穂も含めた3人の挨拶が1人ずつ用意されます。
これからも曲を勝手に聴いて勝手に元気をもらいますと話す歌川さん。この1年半の想いを、心の底から実感を込めて話していました。ベースの彩さんは思いっきり泣いていて朝子さんが戸惑っていましたが、丁寧にあらかじめ用意していた言葉をしっかりと話していました。そして朝子さんはとにかく”感謝””ありがとう”という言葉を何度も口にしています。「SHISHAMOとの別れはみんなとの別れ」とも話す場面は、もしかするとソロ活動も当面しないということでしょうか…という気持ちにもなりましたが。ただいずれにしてもSHISHAMOが間もなく活動終了するにあたっての想いを、心の底から伝える内容のMCになりました。
その流れで演奏する曲は「メトロ」、非常に美しい流れです。”私もっと強くなれるかな”という歌い出しの歌詞、そういえば2017年に見たアリーナ公演はライブ本編が映画のような構成になっていて、この曲が主題歌になっているかのようなセットリストでした。もしかすると13年間にわたるストーリーのラストという位置づけで、この曲をこの曲順に組み込んだという意図もあるのかもしれません。というわけでアンコールはここで終了、ですが今日はまだあの曲を演奏していません。舞台暗転後もまだそのまま先に移らず、やがてダブルアンコールを求める手拍子に変わります。
感動のダブルアンコール
朝子さん、彩さんが登場しますが、サポートの歌川さんは出てきません。暗転中に、ドラムセットの入れ替えがあったようです。そして朝子さんが呼びかけます。「ドラム!吉川美冴貴!」
その瞬間、会場全員が一斉に湧き上がります。鳴り止まない歓声と拍手、そして休養を経て戻ってきたことに涙を流した人も数え切れないほどいたのではないでしょうか。かくいう私もそうでした。満を持して3人が揃い、「明日も」の演奏が始まります。
この曲をYouTubeで最初に聴いた時、個人的にはイントロの第一音で名曲になると確信しました。ドコモのCMで世に広まった曲ですが、きっかけは等々力で見た川崎フロンターレの試合。いまやサポーターの応援歌としても広く定着、これはSHISHAMOの活動が終了しても永遠に続くものと思われます。そして同時に楽曲そのものも、他の数多くある名曲もそうですがとりわけこの曲は、きっと活動終了どころか何十年経っても日本を代表する名曲の一つとして受け継がれるはずです。
近年セットで組み込まれる「明日もない」を演奏した後は、もちろん美冴貴さんのMCになります。この1年半辛い状況の中、メンバーやスタッフにファンなど数多くの人が支えてくれたおかげで戻ることが出来たと、熱く熱く話していました。振り返ると演奏やMCから感じた彼女の印象はとにかくマジメでストイック、そして何より他の2人もそうなのですがSHISHAMOには絶対欠かせない存在。せっかくの等々力ラスト、もう3人で揃っての演奏が叶わないことも想像した中で最後の最後に揃ったのはファンにとってもそうですが、何よりメンバー・スタッフを筆頭とするSHISHAMOに関わる全ての方々にとっての悲願だったのではないかと感じます。
ラストは「僕に彼女ができたんだ」、ほとんどの楽曲が宮﨑朝子作詞作曲ですがこの曲は美冴貴さんによる作詞。その証拠に、定番曲でありながら彼女が休んでいる間にライブで演奏されることは一度もありませんでした。
これ以上無いほどに最高の終わり方、「ありがとう、ありがとう、本当にありがとう」という気持ちにこれだけなったのも滅多にありません。演奏後何度もオーディエンスに挨拶する3人、吹っ切っているとは言えどこか名残り惜しそうにも見えます。舞台からはけた後、最後に大量のドローンで終了したのも忘れられない思い出になりそうです。

おわりに
翌14日の「GOOD BYE DAY」で、SHISHAMOの活動は終了となりました。オープニング演出やセットリストに多少の違いはありましたが、大方の流れは13日と同様だったようです。
今夏以降のロックフェスでSHISHAMOの名前がもう見られないのは今も信じられない気持ちですが、とは言えほぼ最後まで彼女たちのライブを見ることが出来たのは感無量の一言に尽きます。特に最後の1年半はかなり大変な状況でしたが、それでもこうやって3人揃うSHISHAMOはやはり格別。今となれば地元を象徴する等々力陸上競技場で、こうやって最後を見届けることが出来たのも巡り合わせなのかもしれません。
3人の活動が今後それぞれどうなるかは、まだ想像もつかないと同時にこちらから想像するものでもありません。ただ過去活動終了したいくつかのバンドがそうだったように、いつか遠い将来またこの3人が揃って活動再開来る日は、きっと訪れるような予感もしています。その時まで自分がライブに足を運んでいるかそもそも音楽を普通に聴いているか、ましてや毎回ライブレポを書いてるかどうかもそろそろ分からない年頃に入りましたが、ただ再び3人が揃って音楽活動をする際には、なんとか現場に足を運びたいとともにそれが叶う状況を作りたいと思っております。
それでは本当にありがとうございました、そしてお疲れ様でした。SHISHAMOの音楽はこれからも永遠であり、自分は今後もずっと聴き続けます。
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