紅白名言集解説・5

 このツイートが熊谷真実さんにいいね!されたということで。

 第30回NHK紅白歌合戦が放送されたのは1979年。その年の上半期に放送された連続テレビ小説は、『マー姉ちゃん』。紅組応援団長として登場したのが、ヒロイン・熊谷真実さんと田中裕子さん、早川里美さん、藤田弓子さん。その4人と白組応援団長(三波伸介さん)、白組歌手(布施明さん、郷ひろみさん、桑田佳祐さん)のやり取りが序盤にあったのでその一部を掲載したものです。全編は以下の通り。

藤田「三波さん、三波さん。お宅の白組には素晴らしい独身男性が大勢いらっしゃるそうですねぇ。うちの娘たちに紹介してやって頂けますか?」

三波「ああいいですよ、いいですよ」

早川「眉毛がゲジゲジなんだけど、とっても声が甘い方でいらっしゃるんですって?」郷「はーい、僕です」

田中「一見ハチャメチャな歌を歌うようで、とっても素敵な方がいるんですって?」桑田「はーい、僕です」

 その後に上記のやり取りがあって、3人が三波応援団長に叱られるものの、自分も白組歌手に「はーい、僕です」と返答してしまって終了するという内容でした。なおこの回の紅白歌合戦は、紅組司会・水前寺清子さんを中心というチームワークが光る紅組が勝利しました。この回のチータ司会に関するエピソードは紅白史に残る伝説ですが、それはまた別の機会に語ることにしましょう。

 それにしても郷さんや布施さんはともかく、桑田さんが独身ということにものすごく時代を感じますね。サザンオールスターズはこの年「いとしのエリー」で初出場、そもそも原さんに告白してこの曲を聴かせたというエピソードがあるので紹介しようにも既に遅いです。布施さんも翌年に結婚するオリヴィア・ハッセーとCMで共演後、もうそういう話には入っていたように思われます。ただ郷さんは有名な交際相手がまだデビュー前、当時は本当にフリーだったのかもしれません。

 女性側に目を向けると、マー姉ちゃんの主演が熊谷さん、田中さんは長谷川町子役のモデル。最終的には、歌手席に座っているジュリーを射止めるわけです。早川さんはWikipediaでも個別記事がなく、少し情報が欲しいところではあります。藤田さんは11年前の連続テレビ小説『あしたこそ』主演、その年の第19回紅白では特別審査員として出演しました。そして三波伸介さんといえば当時NHKの『お笑いオンステージ』でお馴染み。第23回から9回連続で紅白に応援出演、第24回からは2年おきに白組応援団長として出演していました。三波さんに関しては名言集にまだまだ掲載しているので、また語る機会も出来るかと思います。

紅白名言集解説・4

 今回取り上げたのは1968年、第19回紅白歌合戦における江利チエミのセリフ。

 紅白歌合戦で中継出演はもうお馴染みの光景ですが、本番中に会場外を飛び出して登場するというシーンは非常に少ないです。近年だと出場歌手がNHKホール外の中継で歌い、エンディングで戻ってきて合流するというケースもありますが、大晦日の東京の様子をリポートするために司会や出場歌手が飛び出したというケースはおそらくこの時だけだったのではないでしょうか。

 有楽町の東京宝塚劇場で行われた当時の紅白、年越しで賑わう神田淡路町のそば屋から総合司会の宮田輝アナが移動してリポートという形で登場。お客さんにインタビューした後に、北島三郎が蕎麦を運んだり、江利チエミが呼び込みを行ったりする設定の軽いコントが行われていました。冒頭で紹介した名言は、その江利さんが注文を受け付けて呼び込むという設定のセリフ。美声にリズムもついて聴き心地は大変良く、本人もそのセリフはお気に入りだった様子。

 なお舞台になったお店はかんだやぶそば。東京では江戸時代末期から続く有名な老舗で、今年で140年目を迎えるお店なのだそうです。2014年に新築されたそうなので当時と雰囲気は変わっているかもしれないですが…。

紅白名言集解説・3

 平成の紅白名言集は年を明けても更新中で、先日ようやく第62回(2011年)分を追加しました。この年は東京まで出向いて、ふれあいホールで4Kの映像で見る形でした。開場前のNHKホール周りの様子を間近で味わえたというのは、大変良い経験だったように感じます。この年はRADIO CRAZYを29日に見に行って、ブログで簡単なライブレポを書いた後に数時間の睡眠で青春18きっぷで移動して、色々な方にお会いするなど…。まだ20代、今から考えるとやや強行軍です。

 当時リアルタイムで見た感想としては非常に見応えがあって、見終わった後は言葉が出なかったです。大変素晴らしい内容だと思いましたが、久々にあらためて見ると非常にドキュメンタリータッチで、堅い紅白だったようにも思いました。もっともこの年の3月に起こった出来事を思い返すと、そうなるのは当然の摂理で無理もありません。ただ、ある意味似たような状況である2020年の方が軽妙さという点では上だったように思います。正直申し上げますと、この年ほどくだけた発言・迷言が存在しない、笑える場面のない紅白も珍しいです。

 今回取り上げたのは、震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市の門脇小学校から中継出演した長渕剛さんが、この紅白のために作ったという「ひとつ」を歌う前の名言。128字制限があるのでTwitterではこれだけしか収録していないですが、当時書いたブログでは全文載せています。非常に感動的なステージでした。ただ2分44秒にわたる喋りは、おそらく本来の予定より長め。直後の数ステージは、曲紹介がかなりカットされたと思われるやり取りが展開されていたというオチがつきました。

紅白名言集解説・2

 今回は昭和の紅白から取り上げてみましょう。1976年、白組司会の山川静夫アナがあおい輝彦「あなただけを」を曲紹介するワンシーン。

 限りなく…に近い、というフレーズは村上龍の小説『限りなく透明に近いブルー』からくるもの。村上龍はこの作品で小説家デビュー、第75回芥川賞を受賞。1976年を代表するベストセラー・話題作となっています。この年の話題・世相をテンポ良く曲紹介に取り入れる山川静夫アナウンサーの喋りはまさしく名人芸。今の紅白歌合戦の司会も決して悪くはないのですが、1970年代のような軽妙さはもう今後見られないのだろうな…とは感じます。ある意味では、当時の歌唱曲よりも時代を感じさせる一幕とも言えそうです。

 なおこの曲紹介の際に、一緒に応援する白組歌手にマイクを向けたつもりが、小道具の星を間違えて向けて一瞬静寂の時間を作ってしまったというハプニングがあったそうです。再放送でその様子を見た記憶がないのですが、当時カットされたのでしょうか。ちなみに平成前期にやっていた『想い出の紅白歌合戦』での1976年紅白再放送は、1度のみでした。

 あおい輝彦の紅白出場はジャニーズ時代の第16回(1965年)を除くとこの回のみ。翌年の「Hi-Hi-Hi」や、1971年の「二人の世界」などもヒットしているので、そういう点では少し意外なような気もします。ここの曲紹介ではもう一つ名言を収録しているので、ステージの細かい内容などはまた別の機会に…。

紅白名言集解説・1

 Twitterでは紅白名言集を編集してbotとして運用しています。昭和版が@kouhakumeigen1、平成版が@kouhakumeigen2で、まだ追加途中ですが概ね1000くらいにはなるかと思います。というわけで今年は当ブログ、週2~3回くらいのペースで名言集から1つピックアップして解説する記事を作ることにしました。

 第1回は比較的近い年にしてみましょう。昭和・平成に分ける前から運営していた名言集で、ポルノグラフィティのファン間で反響が大きかったこの名言から。

 第57回(2006年)、ポルノグラフィティが「ハネウマライダー」を歌った際の間奏でボーカル・昭仁さんがギターの晴一さんを紹介したシーンです。この回は歌前に、因島に住む新婚のポルノグラフィティファン夫妻宅から中継がありました。ポルノだけでなく、その後の紅白の歴史を含めても、ファンの自宅から中継が入ったのはこれが唯一のケースだったりします。「ハネウマライダー」がライブで盛り上がるヒット曲、また前年の「ジョバイロ」が曲紹介まるまるカットされた末にラストで歌詞間違え発生したこともあるのか、この年のポルノの紅白は特に張り切っていた印象でした。

 この年以降、一部の年を除いてステージでの昭仁さんのMCは恒例になります。間奏中、イントロ、アウトロなど入る箇所はそれぞれ代わり、内容も年によってはものすごくユニークなケースが発生します。これはまた、適当なタイミングでまた取り上げることが出来れば、と考えています。