2018.9.24 ベイビーレイズJAPAN LAST LIVE~全虎が啼いた!伝説の最高雷舞(クライマックス)~ in 山中湖交流プラザきらら シアターひびき

ライブレポ


 今年に入ってから新曲リリースがなくなったり、5月の日比谷野音以外ワンマンライブの知らせもなくなってしまったり。昨年も地方のライブは関西で1回くらいしかなかったので、正直もしかすると…という思いはありました。それでも今年であって欲しくはなかったですし、もっと5人での活動を見たかったというのが、解散発表を受けての気持ちになります。

 さて、ここ最近野外でのワンマンが多くなったベイビーレイズJAPAN。解散の地に選んだのは山中湖交流プラザきららになります。

 毎年夏にSPACE SHOWER TV主催のSWEET LOVE SHOWERが行われることでお馴染みの会場、2018年は私立恵比寿中学のファミえんもここで開催されました。山梨県・富士五湖の一つである山中湖は、富士山が見える非常に風光明媚な観光地。関西からだと正直馴染み薄い場所ですが、関東からは1時間に1本ペースでバスが運行されていて、大学の寮や保養所も道中のバスから相当数目にしました。確かに解散ライブとしてラストを飾るには、一番うってつけの場所であることは間違いなさそうです。というわけで13時から途中休憩を挟んだ5時間、実質2部に分けて行われたラストライブの様子をレポしていきます。

 

 会場に到着したのは午前11時頃、グッズ販売は既に約1時間ほどの行列が作られています。屋台は山梨名物を中心に5つほど、メンバー考案のカクテル売り場もありました。多く設置された仮設トイレは男子・女子ともに結構な列。観客の比率は男性8割くらいでしょうか。整理番号は6000以上用意されているようですが、実際のところ動員数は4000人近くだったようです。山中湖を一望できる景色は、間違いなくこれまで足を運んだ野外会場の中で一番風光明媚でした。天気は雲がかかり、富士山は残念ながらちょっと見えづらい雰囲気。ただ事前の雨予報とは違い会場はかなり暑く、日焼けしそうなほどです。

 

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 入場するとエリアは3つに分けられています。前から一富士・二鷹・三茄子と名付けられていました。整理番号2000番台くらいだと、真ん中のエリア前方くらいが丁度良い場所。メンバーの事前アナウンスを経て、overtureに乗せて登場後最初に演奏された楽曲は「ゲート・ザ・タイガー」。2ndシングル「ベイビーレボリューション」のカップリングに収録されている初期曲。その後はシングル曲「Pretty Little Baby」「恋はパニック」を立て続けにパフォーマンス。個人的にベビレを現場で一番多く見た年はグループ名にJAPANが加わった2015年ですが、「Pretty Little Baby」を見るとまさにその当時を思い出します。林愛夏のフェイクは今日も最高でした。「恋はパニック」もこれまで何度も見てきたステージですが、これで見るのが最後になるかもしれないと考えると色々感慨深くなります。

 ベビレのメンバー紹介曲「Ride On IDOROCK」、今回はメンバーそれぞれ自己紹介代わりに5曲を内包したスペシャルバージョン。まずは大矢梨華子・リコピンセンター曲「ひとめぼれ初恋もよう」。これまた初めて聴いたのは3年前、本人すごく大喜びだった記憶があります。続いて高見奈央・なおすけの紹介曲で使われるのは「FOREVER MY FRIEND」。更に続くのは傳谷英里香・でんちゃんが主役の「Baby Kiss」。これも3年前、春ツアー初披露の時にセリフを恥ずかしそうに言うシーンが思い出深いです。今回は萌え萌えキュンとさせると同時に、これまでの感謝を込めて感情大放出といったところ。林愛夏・まなつの紹介曲は「Pondering」、渡邊璃生・りおトンは「真夏のフィーバー!」。「Pondering」と「Baby Kiss」もそうですがベビレの中でも比較的人気の高い楽曲という印象があるので、ここでメドレーとして使われるのは少し意外でした。

 最初のMC。なぜか愛夏ちゃんが”MCでーす!”と高らかに宣言。5人とも感情がいっぱいで非常にテンション高く、この日を楽しみにしていたとともに…という複雑な心境も見せていました。天気は快晴とまでいかずとも雨はなく、家族全員が雨に縁のあるなおすけはビックリ・嬉しいとも話していました。再開後は手作りの扇子を持ちながら「ニッポンChu! Chu! Chu!」を歌ったところでリコピンが急いで舞台袖にはけます。少し戸惑いを見せる他の4人ですが、しばらくすると筋骨隆々の男2人に乗せられながら花道に登場。そのまま会場後方のサブステージに向かい、他の4人も追い掛けるという展開。

 これも3年前、かなりの回数見る機会があった「世界はチャチャチャ!」。リコピンが体操のお姉さんに扮してみんなでダンスするという楽曲です。ただ翌年以降は披露されることが少なくなって、実際自分がこれを見るのも3年前のTIF以来。その時は全出演ステージでやっていましたが…。そういえば3年前のZepp Nambaワンマンでは赤白帽も無料配布されていました。ちなみに5人と一緒に踊るのは、昨年のやついフェスで見た記憶のある筋肉エンタテインメント集団・マッチョ29のメンバー2人。相変わらず濃いです。メンバー5人よりも目立っていて拍手も大きかったです。ちなみに告知によると、11月29日になんとZepp DiverCityでワンマンライブをやるそうな。


 というわけで、”人生笑ったもんがち”。2016年以降披露されることの多い「ワハハ」もついでにサブステージで歌います。でんちゃんとなおすけがここでサインボールをノックで何球も飛ばします。メインのステージに戻ってもMCなしで引き続き「ベイビーステップ」「スーパーノヴァ」「バキバキ」「勇者ボクの冒険」。この日のセトリで初バラードとなる「ベイビーステップ」、最初からずっと賑やかだったこともあって非常に歌声が沁みます。「スーパーノヴァ」は愛夏ちゃんが夜のTIFで見せたアカペラが大変思い出深いです。「勇者ボクの冒険」では、間奏で突然箱の中身はなんだろなゲームが展開。ワニのオモチャ相手に5人が悪戦苦闘していました。正解したのは2人ほど、残念ながら勇者になれた人はあまりいなかったようです。

 直後のMCは思い出深かったライブの話題。初お披露目ライブや武道館署名活動の日のライブ、69時間ぶっ通しで頑張ったエモフェスの話題が挙がる中、リコピンが挙げたのは次に演奏される曲が初披露になった際のワンマン。その時は誰も後の展開が想像できなかったそうです。ちなみに私が初めてベビレを見たのは、その年行われたTIFでした。半ばこの曲を聴きにステージに行ったようなものです。「暦の上ではディセンバー」


 もしかするとこの曲がなければ、日本武道館ワンマンも実現しないまま解散していたのではないでしょうか。当時TIFで見た時は良いステージだと思いましたが、そこから数年先に見せた急成長は想像できなかったです。その後は「Again and again」「JUMP」「ベイビーアンビシャス!」「ハッピーエンドレス」で前半終了。「JUMP」で初めて知った時は正直そんなに良い曲とは思わなかったですが、だからこそ感慨深く見ることが出来ました。「ベイビーアンビシャス!」までいくとオーディエンスも仕上がっていて、ジャンプもタイミングだけでなく高さ含めて相当な揃い方。真ん中から見ても壮観、おそらく後ろからもしくはステージから見ると更に美しい光景だったことでしょう。

 1時間ほどのインターバル、ビジョンに流れているのはJAPAN CUPたる映像。メンバー5人がだるまさんがころんだとか早口とか線香花火とかゲームをして誰が一番になるかというバラエティ番組的なものが流れていました。5人の特徴がそれぞれ出ていて興味深かったです。普段から発音に気をかけていて、「赤山中湖 黄山中湖 茶山中湖」の早口言葉を全く噛まず3回繰り返した愛夏ちゃんが大変素晴らしかったです。レプロは女優メインの事務所なので、おそらく解散後それぞれその方向もしくはバラエティー路線で売り出す形になるとは思うのですが、彼女だけは何とか歌手路線メインで突き進んで頂けないのでしょうか…。全アイドルを見渡しても、彼女ほど歌唱力高い上に真剣に向き合っている人は他にいない気がします。

 

 後半スタート、雲が少し分厚くなりました。前半にはいなかったバンドメンバーもここから加わって生演奏。湖が見渡せるメインステージ真ん中から登場した5人、アカペラで音合わせ。歌われるのは「夜明けBrand New Days」のサビ。ハーモニーが美しく揃っています。あと1時間余りでステージが終わるのが嘘のように…。

 そこから後半1曲目に演奏されるのは、ベイビーレイズJAPANになってから初めてのシングル表題曲「栄光サンライズ」。雨が少しパラつき始めます。この曲が発売された時に、ほぼ偶然に近い形で見ることが出来た大雨の京都のリリースイベントが個人的には大変印象深かったです。愛夏ちゃんが金髪になって、歌唱力の高さを認識できたのが丁度この時でした。カップリングの「夜明けBrand New Days」が表題曲より有名になったのは、これよりしばらく経ってから。

 終盤での演奏が予想されるナンバーは大体想像できますが、それ以外でも素晴らしい曲が多いベビレ。「アンチヒーロー」「走れ、走れ」「新しい世界」、いずれも熱い演奏の中にエモーショナルな歌詞が含まれています。少し降り始めた雨は、気がつけばあっという間に止みました。そこから後ろのサブステージに移動して「虎虎タイガー!!」「ぶっちゃけRock’n はっちゃけRoll」。この2曲もまた何度もワンマンで見てきたナンバー、大変明るく楽しい曲ですが、だからこそ最後と思うと感慨深くなります。

 メインステージに戻って「涙のち晴れ」、シチュエーションはまさしく歌詞にある通り雨上がりの青空。収録されているのは昨年8月のシングル「○○○○○」のカップリング、まさか1年後解散するとはメンバーも当時思わなかったのではないでしょうか。「ボクラノリアル」も熱い歌詞、メンバーの目にも涙が見えます。そこから披露される「何度でも」。ここで胸を打ったのは愛夏ちゃんもそうですが、それ以上にリコピンのソロ。涙ながらに全力で思いっきり歌い切る姿は、こちらも泣かずに見ることが出来なかったです。どうやって言葉にすればいいのか分からないこの気持ち、おそらく今後体験する可能性は限りなく低いでしょう。それくらいに印象的で、心に残るステージでした。

 今後に向かっての前向きさを感じさせる「Dreamer」、会場にいる人全員が星のマークを作る「ビッグ☆スター!」、5人の綺麗な歌声が胸に響く「アバタにエクボ」、そして重要なアクトで必ず歌ってきたベビレの生きざまを示しているかのような名曲「TIGER SOUL」。ラストの瞬間が刻々と近づいてきます。

 最終盤・クライマックス。畳み掛けるように繰り広げられる激しいダンスを含む楽曲、即ちオーディエンスも思いっきり声を出してジャンプする時間帯。そのトップを切るのは「ベイビーレボリューション」。ベイビーレイズ時代からずっと定番として歌われてきたナンバーです。


 そして比較的新しいシングル表題曲「閃光Believer」「○○○○○」。「閃光Believer」も大好きな曲で、これが最後かと思うと本当にどう言ったらいいのか…そう思わずにはいられない楽曲です。「シンデレラじゃいられない」は2年前、ダンスの激しいベビレでも一番体力を使うナンバーと当時のリリイベやインタビューで話していました。リリースイベントであまりの凄さに感動させられたのは、おそらく後にも先にもこの時だけだと思います。

 デビュー曲「ベイビーレイズ」を経て、いよいよクライマックスとして演奏されるイントロ。少しずつクレッシェンドする音と同様に、オーディエンスの湧き上がる声も大きくなります。ステージで演奏されるたびに成長していった楽曲は各々の時代で他にも多くありますが、おそらく2010年代・女性アイドルグループという枠内でこれに勝るものはなかったと思うのです。


 名曲は歌う人がいなくなっても、自然に多くの人にカバーされるようになります。ただ偏狭と思われるかも分からないですが、この「夜明けBrand New Days」だけは他のアーティスト、ましてやアイドルに安易にカバーして欲しくないと思ってしまいます。林愛夏を筆頭に、この5人の熱い歌声を再現出来る人は絶対に出て来ません。だからこそラストサビ前の大きな”イェッタイガー”の雄叫びが活きるのではないかと感じます。この曲の歌詞は、今となっては全てが言霊…そんなことまで解散した今になって思ってしまうのです。それくらい強い力のある、唯一無二の名曲であるということです。カバーして欲しくない云々以外は、おそらくメンバー5人もスタッフも別格の思い入れがある曲になっているのではないでしょうか。

 本編ラストはやはりこの曲でした。「僕らはここにいる」


 昨年のミニアルバム『THE BRJ』、そしてこの作品のレコ発ライブで強い衝撃を受けた楽曲ですが、今思うとこの曲以上の楽曲が生まれないから解散を選んだというようにも聴こえます。もしかすると、この時点で解散という選択肢も考えていたのかもしれません。ふと向こうを見渡すと、富士山の稜線がハッキリ見えるようになりました。素晴らしく内容の濃いライブには自然に奇跡が生まれるものですが、どうやらこれは間違いなく奇跡の、伝説のライブだったと言い切って良い日になりそうです。

 アンコールはまず「スパイラル」、その後メンバー1人ずつ挨拶。細かい内容は各媒体のライブレポを見て頂くとして、感想としては悔しさを隠さないなおすけと物凄く明るく”楽しかった!”と話すリコピンが対照的に見えました。アンコール2曲目に選んだのは明るい歌詞が聴く人だけでなく旅立っていくメンバーも奮い立たせてくれるような「SMILE」。一旦ステージから去った後、ダブルアンコールでラストに歌われるのは「ベイビーレイズ」


 ベビレ始まりの曲はラストの曲となり、すなわちまた新たな一歩を踏み出す始まりの曲となったようです。5人が肩を組みながら階段を降りて去っていく後ろ姿もまた、日が暮れた山中湖や富士山同様もしくはそれ以上に美しい光景でした。

 

 ビジョンには「夜明けBrand New Days」の新録MVが流れます。冒頭のアカペラだけでなく、ラストに新しい歌詞が加わっています。


僕が目指す明日へ
君が目指す明日へ
「全部抱きしめて また続く」
信じて 走れ
夜明けBrand New Days!

 

 おそらく5人ともそれぞれの道できっと活躍すると思います。もしかするとでんちゃん辺りはガッキー並に大女優になっているかも分からないですし、愛夏ちゃんはSuperflyばりの大歌手になるのかもしれません。バラエティーの道、デザイナーとか店舗経営、あるいは主婦なのかも分からないですが、いずれにしても人生の青春をベイビーレイズJAPANのメンバーとして5人で過ごしたというのは間違いなく事実です。

 叶えられた夢、叶えられなかった夢、そしてこれから向かっていくであろうそれぞれの夢。5人の人生がそれぞれ素晴らしいものであるように、あらためて願いたいです。これまで自分が足を運んだライブもそうですが、この日のライブは特に思い出深い、強く印象に残る内容として、グループの凄さとともに後世に語り継ぎたいです。本当にありがとうございました、そしてお疲れ様でした!

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