2024.7.20 OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2024 1日目

ライブレポ

 昨年までサマーソニック大阪開催が恒例だった舞洲スポーツアイランドですが、2017年以降はOSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL・通称ジャイガも毎年恒例の夏フェスとして定着しています。例年J-ROCK中心と言いつつも意外にノンジャンルな顔ぶれになることも多いこのフェス、過去に行くことも検討しましたが他のフェス参戦などで見送り。ようやく今年になって足を運ぶことが出来ました。ここでは1日目・7月20日に見たステージをレポすることにします。

 

yama (SKY ARENA STAGE)

 おおきにアリーナ舞洲の中に作られたSKY STAGE、サマソニ大阪ではSONIC STAGEでお馴染みの場所ですがジャイガに開放されるのは今回が初。前回までSKY STAGEは空の広場~西運動場(サマソニ大阪でいうOCEAN STAGE)を使用していましたが、大阪万博開催の関係で2026年3月まで休業中。したがってサマソニ大阪は万博記念公園に変更となりましたが、ジャイガはSUN STAGEが元々サマソニで使用していない別エリアなのでなんとか都合がつく形になりました(と推測)。コスモスクエア駅からのシャトルバスはサマソニ同様待ち時間が非常に長く、見られなくなることも予想していましたが何とか10分前に到着。アリーナに入りスタンド席を確保した所で、ステージ開始となりました。

 特徴のあるマスクと青色の髪型はひと目で分かる個性ですが、ライブの進行は比較的ノーマル。「色彩」「a.m. 3:21」など数あるヒット曲を、高い歌唱力とアクティブなライブ運びでフロアをおおいに盛り上げていました。ノーマルな構成だからこそ楽曲の良さと人としての魅力が際立っていて、令和になってからずっと支持されている理由・4年連続ジャイガ出演の理由があらためて理解できました。ラストはサブスクでも長年ヒットが続く名曲「春を告げる」、トップバッターにして会場は埋まりおそらく入場制限がかかっていたと思われる状況。個人的には曲の予備知識ほとんど無しの状況でしたが、それでも全く退屈せず楽しめました。多くの曲が高い再生数を記録しているということは、ライブも自然に誰が見ても楽しめる内容になるとあらためて理解できる会心のアクトです。

 

FRUITS ZIPPER (SKY ARENA STAGE)


 かつて2010年代中盤はTOKYO IDOL FESTIVALや@ JAM  EXPO、さらに様々な女性アイドルグループのライブに足を運びました。当時活躍していたグループのステージはほぼ見ているつもりですが、その観点から見てもジャイガのFRUITS ZIPPERのアクトは相当クオリティーの高い内容に仕上がっていました。

 歌詞は多少聴く人を選ぶ部分ありますが、アイドルらしいかわいらしさに満ち溢れています。トラックはアップテンポメインにバラエティ豊かで非常に引き出し多め、それ故にフォーメーションなどの動きも複雑。そのためライブ抜きで考えても楽曲そのものがまずクオリティ高いです。それでいてコール&レスポンス成分は多めでライブ向きの要素も満載、したがって参加するという面で考えても楽しいグループです。更に言うとメンバーの7人は歌手としての実力も十分・かわいさもちろん十二分。リズム感だけでなくピッチの安定感もかなりのもので、特に紫担当の仲川瑠夏は過去に自分が思い浮かぶ複数の歌唱力高いアイドルと双璧を成す実力を感じました。おそらく内部でもその評価のはずで、重要なパートは彼女か赤担当の月足天音に多く振られていたような気がします。そういえば調べてみるとメンバーは以前別のグループでアイドルをやっていたりするなど過去の実績は多め、月足さんに至っては元HKT48という履歴がありました。

 「NEW KAWAII」から始まり「ふれふるサマー!」「ぴゅあいんざわーるど」など様々な曲に感心した後、最後はすっかり大ヒット曲になった「わたしの一番かわいいところ」で大団円。SKY ARENAは入場制限が起こる大満杯、様々な面で魅了されたオーディエンスも多い様子。個人的にもももいろクローバーZやBABYMETALを初めて見た時を思い出させるくらいの凄味を感じました。今年は早くもホールツアーが組まれているようですが、ファンによればそれさえもチケットがなかなか取れないとのこと。5月開催の日本武道館ワンマンも超満員、完全に国民的アイドルと言われるようになるのはまもなくでしょうか。少なくとも女性アイドルグループというカテゴリ内で、一時代を築く存在になるのは間違い無さそうです。あとはXに限って言うと拡散力がやや足りない印象もあるので(公式はかなり頑張っていますが)、今の時代を考えるとファンの力も今後は重要になりそうです(もしかするとTikTokの方がメインなのかもしれないですが…)。

 

サバシスター (SKY ARENA STAGE)

 PIZZA OF DEATH MANAGEMENT所属、今年メジャーデビューしたサバシスターは今年もっとも注目されているバンドの1つです。3人組の女性スリーピース、ベースは男性のサポートメンバーを呼んでいます。既に発表されている楽曲がほぼ2分~3分台、MCもそこそこにテンポ良く進んだ結果演奏された曲数は計10曲。前情報ほぼ無しで個人的に印象に残ったのは「ジャージ」と最後に演奏された「サバシスター’s THEME」ですが、なるほど確かに現時点で再生数が一番多い(Spotify調べ)曲は「ジャージ」。次に見る時があればおそらく新しい定番曲も増えているはずなので、そちらにもおおいに期待したいです。

 

日向坂46 (SUN & COAST STAGE)


 SUN & COAST STAGEは舞洲の南西部・太陽の広場にあたる場所で、サマソニ大阪では使用されていないエリアです。ジャイガでは2017年の第1回からステージとして使用、当イベントではお馴染みの場所になっています。海が見える景色は特に夕焼けの時間で美しく、フードエリアだけでなくトイレや休憩所(高速バスを休憩エリアとして使用)なども充実していて、少なくとも昨年まで開催されていたサマソニ大阪よりは確実に熱中症対策がしっかりしている印象を持ちました。もっともこの日はやや曇りがちで海風も程よくあり、翌日は最高気温35℃の灼熱だったので少し異なる状況だったかもしれないですが…。

 さて、そんな爽やかな風が似合うステージに登場するのが日向坂46。櫻坂46と比べるとフェスの出演は多くないので、比較するという点で考えても必ずチェックしておきたいステージでした。Overtureが流れ、コールが起こる映像オープニングは櫻坂46と同様。順々にメンバーが紹介され、最後にソロで名前が出たのは最新シングル表題曲センター・4期生の正源司陽子でした。ただ最初に披露したのは「ドレミソラシド」「キュン」、知名度は高いですがさすがに舞台に全員集合とはいかない様子です。映像は歌詞テロップだけでなく作詞作曲クレジットまで載る親切仕様、これは初心者にとって大変ありがたい演出です。

 日向坂46は思いのほか関西出身のメンバーが多く、小坂菜緒、正源司陽子、小西夏菜実といった面々がキャプテン・佐々木久美によって紹介されました。主要メンバーに思いのほか関西出身多めですが、兵庫県出身のはずの佐々木美玲の関西弁があまりネイティブに聴こえなかったのは気のせいでしょうか。楽曲は「キツネ」「アディショナルタイム」、もう少し4期を見たいと思ったところで披露されたのは「見たことない魔物」。難しいフォーメーションながらもう少し迫力が欲しいとも感じた既存曲ですが、4期曲に関して言えば動きにキレがあってなかなかのもの。将来性を感じさせるという点でも、大変見る価値のあるパフォーマンスでした。

 最新曲の「君はハニーデュー」は完成度高く、既にYouTubeの再生数も昨年の2曲を上回っています。こちらも一つひとつの動きが速く、迫力ありました。ラストは大団円の雰囲気、全メンバーが集まって「NO WAR in the future 2020」。ロックな面々とは一味違う、癒しの空間が流れました。

 ファンのコールも大きくフロアは大変盛り上がりましたが、声量のあるアーティストのステージと比べるとやはりその面では如何ともしがたく、それを圧巻のパフォーマンスで埋め合わせるという印象では正直なかったです。ただ日向坂46のライブの魅力は温かさ・幸福感という部分に元々比重が置かれていて、そうなるとロックファンの多いフェスではなかなか大変だと感じる部分もありました。もっともXを見る限り評判は上々、メンバーの美しさに魅了された方々がファン以外にも非常に多かったようです。いずれにしても日向坂46がより凄いグループになるかどうかは、4期生にかかっているような気がしました。センターに選ばれた正源司さんは確かに他のメンバーと比べると反応がとても良くてセンスがある印象で、個人的には今後のグループでもとりわけ彼女に注目したいと考えています。

 

imase (SUN & COAST STAGE)

 23歳、昨年「NIGHT DANCER」で名を挙げたimaseも個人的に注目のステージでした。リハーサルに出てきた彼はルックスだけでなくファッションも爽やか、サポートのバンドメンバーも演奏力高く期待が高まります。

 本番で演奏されたのは8曲。いずれもノリが良くて聴きやすく、ついついリズムに乗りたくなる曲ばかりです。ただ個人的にどうしても気になったのは裏声率の高さ。新曲「メトロシティ」はいくぶん裏声少なめな印象でしたが、これだけ楽曲に裏声パートが多い歌手も珍しいと感じました。クールでファンキーな雰囲気を出すには効果的ですが、調子が良くないと裏声はなかなか出せないもの。声量・声の出し方は必ずしも優れている印象でなかったので、余計にそこが気になりました。代表曲「NIGHT DANCER」は海外でも話題になった曲ですが、実際海外でのライブで継続的な結果が残せるかと言われると分からない部分もあるのが正直な感想です。

 

優里 (SUN & COAST STAGE)

 「ドライフラワー」を筆頭に数多くの曲をここ3年で大ヒットさせた優里。 どちらかと言うとバラードを聴かせる系のイメージもありましたが、リハーサルの時点で歌声は腹筋をしっかり使ったパワー系・演奏は音圧も強めのロック系。この時点で実際のところはライブに強いアーティストであることを確信しましたが、本番はその予想よりも更に上。新曲「カーテンコール」に始まり「うぉ」「花鳥風月」、3曲演奏して確信したのは彼がバリバリのロックミュージシャンであるということ。爽やかなイメージもステージは少し違っていて、右腕のタトゥーからはむしろ海外のロックバンドに近い印象を感じます。「ライラ」「飛行船」「ブレーメン」など、タイトルも歌い方も明瞭で聴きやすく、複雑なフレーズを使わない歌詞もこの場ではより効果的に作用しています。

 大ヒット曲「ベテルギウス」は冬の曲ですが、青空の下で太陽を真正面にして歌う構図がものすごく絵になっていました。熱い熱いMCを経てラストの「ビリミリオン」は”頑張ろう 頑張ろう 頑張れ”をみんなで大合唱。ライブは圧巻でしたが、最後は全体を包み込むような彼の優しさも感じました。

 考えてみれば前回のジャイガは最終日のトリ、それは一連の大ヒットだけでなくライブも一定以上のクオリティーが保証されているということ。今回「ドライフラワー」の演奏は無く、セットリストが変わればまた違う形のステージになると思いますが、いずれにしても1曲だけでなく何曲もヒットする理由が実際に見て分かりやすいくらいに理解できました。ファンも女性中心に熱い方々の集まりで、Xでの反響も日向坂46並かそれ以上。彼の快進撃は、おそらくまだまだ続くのではないかと思われます。

 

緑黄色社会 (SUN & COAST STAGE)


 先週のスキマフェス出演時は若手枠のトップバッターですが、第1回から出演するジャイガではキャリアの長い方に入ります。当日のSUN & COAST STAGEで彼女たちよりも明確にキャリアが長いのはクリープハイプくらいのもので、それだけ1日目のジャイガは令和以降に活躍する若手が中心になっていることを示しています(翌日は湘南乃風、Crossfaith、マキシマム ザ ホルモンなどキャリアの長いアーティストも1日目よりは存在)。メンバーはリハーサルから登場、「あのころ見た光」で早々にラララララの大合唱が起こります。

 セットリストはスキマフェスと共通している部分もありますが、違いもあります。当然「サマータイムシンデレラ」は長屋さんのソロです。「Shout Baby」「Party!!」は先週歌っていなかった曲、前者の長屋さんのアカペラは鳥肌が立つような凄まじい熱唱でした。あとはギターの小林壱誓が目立つ場面もやや多く、MCだけでなく歌を聴かせる場面も用意されていました。

 ヘッドライナー1つ前の立場、そもそも野外フェスの夜に大きなステージで歌えるということはそれだけで感無量ということです。ラストの「Mela!」は広場に集まった大勢の人たちによる大合唱、見事なものでした。最後にやたら引っ張る締めの演奏も恒例、今後も見る機会は多くなりそうです。

 

ずっと真夜中でいいのに。 (SUN & COAST STAGE)

 実は昨年のサマソニ大阪で見る予定にしていたのですが、アリーナ会場に入場制限がかかり断念。ただ入れていても疲労であまり集中して見られなかったと思われるので、今回ちゃんとした形の初見にしたのは正解だったかもしれません。

 アニメーションのMVでしか見ていないので多少ライブが想像できない面もありましたが、演奏は想像以上に技術力の高い面々が集まっていました。ギター・ベース・ドラムスだけでなくそれ以外もバラエティ豊かで、中にはオープンリールや扇風機ギターという他ではまず見ない楽器も。舞踊家のように踊っている方もいるようで、とりあえず見慣れるまでは余計に謎が深まる部分もありました。ずとまよのフロントマンかつボーカル・ACAねさんは顔出しNG、ただ全身の姿と後ろ姿は映像・SNS写真ともにOK。前の方にいても逆光で見えないよう演出しているらしいですが、これは実際に移動して見ていないので何とも言えません。歌唱力は高く、高音もそうですが早口のような細かい譜割りをしっかり歌いこなせることに舌を巻きました。

 「秒針を噛む」「お勉強しといてよ」などサブスクで多々再生されているヒット曲連発、「あいつら全員同窓会」ではACAねさんのコールとともに踊れ踊れの大騒ぎ。真夜中なので照明演出もバッキバキに決まっていました。ラストの「残機」フィナーレとともに舞台上と海に舞い上がる花火、それは今まで見たどのフェスよりも迫力と勢いのある凄まじいものでした。

 

まとめ&写真集

 サマーソニック大阪の印象が強い場所なのでかなりの過酷さを予想していましたが、やや曇っていたこともあって思ったよりは過ごしやすかったという印象です。とりわけ海の近くだと涼しめの風があり、日陰は多くないものの休憩できる場所も少なくはありませんでした。少なくとも熱中症対策などはサマソニ大阪より相当しっかりしていた、というのが正直な感想です。さすがにシャトルバスなどに関しては地理的な面もあってどうしようもなかったですが、コスモスクエアから夢洲まで地下鉄が伸び、万博が過ぎる再来年以降はおそらく多少なりとも改善されるのではないかと思われます。

 これまで見たフェスは多少なりとも初見以外や中堅~ベテランが混じるものですが、今回は過去に経験したことないほど新鮮なアーティストばかり見る形になりました。唯一初見でない緑黄色社会も1週間前が初という状況、こういう機会は今後もなかなか訪れないような気がします。

 最後に当日の写真集です。会場の様子を少しでも楽しんで頂ければと思っています。

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