2018.7.22 チャットモンチーの徳島こなそんフェス2018 最終日 in アスティとくしま

ライブレポ

 徳島の城東高校で橋本絵莉子を中心にチャットモンチーの名で結成されたのが2000年。一緒にやっていたメンバーが高校卒業と同時に抜けてえっちゃんだけになり、チャットモンチーを存続させるためにえっちゃんのファンだった福岡晃子が加わったのが2002年。その後高橋久美子が加わり、ミニアルバム『chatmonchy has come』でキューンレコードからデビューしたのが2005年。その後についてここで書くのは省略しますが、チャットモンチーほど面白い変遷を経たバンドは滅多にいないと思います。

 ”完結”という解散を迎える2018年7月22日とその前日、それはチャットが生まれた徳島という地で、関わりのあるバンドが一緒に盛り上げるフェス形式。これもまたラストを迎えるバンドとしては異例のこと。J-ROCKの歴史に残る一日、待ち遠しいとともに来て欲しくなかったという複雑な気持ち。この日アスティとくしまに足を運んだほとんどの人が、そう感じていたのではないでしょうか。当記事では7月22日、活動最終日を迎えたチャットモンチー他6アーティストのステージと、お笑いゲストのパフォーマンスの様子を振り返ります。

開演前・前説MC

 会場のアスティとくしまに到着したのは10時半頃。開場13時なのでグッズ売り場に並びましたが長蛇の列。前日から売れ行きはかなり凄いことになっていたようで、1時間近く並んだ結果はほとんどの商品が売り切れ。またお昼時ということもあって会場外のフードコートも長蛇の列、徳島ラーメンに至っては特に長く約1時間待ち。おかげで会場に入ったのは開演ちょっと前、前説のMCが既に始まっていた頃でした。

 この日のMC担当は吉本新喜劇の宇都宮まき。開演にあたっての注意事項を読むにあたって、独特の口調で小ボケ連発。チャットモンチーの2人と喋っている様はまさしく、”徳島のかしまし娘”と言いたくなるほどでした。

Hump Back

 オープニングを飾るのは、今年6月にバップからメジャーデビューしたばかりの女性スリーピースバンドHump Back。このバンドのボーカル&ギター・林萌々子はチャットモンチーに強い影響を受けて音楽活動を始めたそうです。高校時代はチャットのコピーバンドをしていました。彼女の人生において絶対に外せない存在、そんなバンドが活動最終日を迎える日に初共演。その心境は如何ばかりでしょうか。正直、複雑な気持ちが同時にいくつも交錯しているはずで、想像ができません。間違いなく言えるのは、3人にとって2018年7月22日は一生忘れられない日であることです。

 3月28日にトリビュートアルバム『CHATMONCHY Tribute〜My CHATMONCHY〜』が発売されましたが、それに収録されている「湯気」から演奏スタート。その林さんのボーカルは、完全に10数年前の橋本絵莉子が降臨していたかのような。伸びのあるロングトーンと、体の内面から全ての気持ちを押し出すかのような歌声。声量も非常にあります。後継者として歌い継ぐに全く不足なし、最初から見事過ぎるカバーを披露した後に今年6月リリースのシングル曲「拝啓、少年よ」

 演奏されたのは「短編小説」「星丘公園」「月まで」を含めて合計5曲。有り余るほどの声量と、少し若さや粗っぽさも感じさせるボーカルは、それこそ10年前に初めて見た時に感じたチャットモンチーの印象そのまま。演奏も含めて、非常に”強い”音楽を作るバンドです。一方MCはチャットと大きく異なります。比較的緩い雰囲気のチャットに対して、Hump Back特に林さんの喋りはものすごく熱いです。途中涙で言葉が詰まるほどにロックンロールとチャットモンチーへの愛を訴えかける曲間の語りは、BLUE ENCOUNTの田邊駿一に近いものがあります。自分が見た他のガールズバンドでは、感じられなかったことです。

 ”チャットモンチーは私の青春、次は誰かの青春になりたい”と語るMCは最高でした。前日出演したyonigeと彼女たち、おそらくロック系のガールズバンドはこの2組が牽引する形になるのではないでしょうか。それは同時に、チャットモンチーの魂を引き継いだという意味も持つことになりそうです。

四星球

 チャットモンチーとは切っても切れない関係にあるのが四星球。双方とも徳島で結成、特にボーカル・北島康雄とあっこぴんは大学も誕生日も同じ。もっともチャットは10年以上メジャーレーベルで活躍、四星球はライブ活動中心でメジャーデビューは昨年のアルバム『メジャーデビューというボケ』というコミックバンド。これまでに辿った2組の軌跡は、不思議なほどに対照的です。

 というわけで、オープニングは「巣立ちの歌」をバックに4人揃って顔を緑に塗り、全身タイツを着用したすだちくんの格好で登場。のっけからおおいに笑いを取った後で演奏するのは「妖怪泣き笑い」。彼らが出演する大体のライブ・フェスで演奏されてる曲ですが、この日のような場面で聞くと妙に感慨深くなる歌詞です。ステージは全力で笑いを取りにいっている状況ですが、だからこそでもあって…。その後いつの間にか「クラーク博士と僕」に移行。”どこで曲が変わったか分からなかったでしょ?”と自らネタにしていました。

 その「クラーク博士と僕」では、突然あっこぴんの父親の顔パネルが登場。ステージ袖にいた彼女には全く知らされていないドッキリで、ビジョンに映った本人は超ビックリ。パネルを見せた後は床に置いて、何とか3人ともそれを踏まずに移動しようと頑張っていました。

 新曲という触れ込みで演奏された「言うてますけども」。その演奏が終わったところで小噺。北島さんは昨日もここに来ていて、写真を求められました。ただ撮られる方ではなくて撮る方としてだったのですごく切なかった…”とか!”の一言で”言うてますけども言うてますけども…”とサビ一節だけ演奏再開。そんな展開が何度か繰り返されました。更に”橋本絵莉子はケータリングのポットに”アスティ”とくしまと書かれているのを”アイスティー”と見間違えて、出たのがお湯でビックリした”といういかにも彼女なら有り得そうな話を放り込みます。そこで検証のため御本人登場。どうやら本当のエピソードだったようです。

 そのまま「蛍の影」をデュエット。これは至って真面目な曲でした。更にえっちゃんが北島さんのエピソードを放り込んで、本人が”とか!”とかわいく言って「言うてますけども…」の展開。演奏中にしれっと帰るえっちゃんもまた彼女らしい光景。

 曲中でUFOを呼び寄せる定番曲、イコール茶番曲と呼ぶ「Mr.Cosmo」ではテンション最高潮。先ほどパネルで出てきたあっこぴんのお父さんですが、なんと魚群の群れと一緒にご本人登場。ステージ袖のあっこぴんは完全に悶絶しています。ちなみにお父様は教師をやっていたそうで、北島さんもリアルにお世話になったのだとか。親子の微笑ましいやり取り?もあった後、お父さんは9月23日・24日に旧佐那河内中学校跡地で行われる「四星中学校文化祭 10thANNIVERSARY」を宣伝。実際開催にあたって色々関わっているみたいです。


 更に更に言うと、四星球が普段ライブを行っているのはライブハウス。というわけで座席指定の椅子付きの現場は慣れていません。この曲ではフロアに降りた北島さんの後ろをみんなでゾロゾロついてくるミステリーサークルというノリがあるようです。ところがこの現場ではそれが出来ない…ということでチャットモンチーの2人に協力してもらって、1分間トイレ休憩というアナウンス。そうすれば出来るだろうというなかなかの強硬手段、アリーナ下手側では席から移動して北島さんについていくライブキッズが続々出現しました。

 ラストは「クラーク博士と僕」を「クラーク博士と僕トモンチー」に替えて披露。ビジョンには白い文字の歌詞が入ります。これも武道館ラストのパロディーで、その時は「サラバ青春」を歌ったのですが真っ白な衣装に白文字なので文字が見えないというオチがあったそうな。同じ徳島、2組の関係性が深いからこそ書ける歌詞はマジメに感動モノでした。

 進んだ道は全く違いますが、2組の絆は全く揺るぎありません。このステージでは曲中でも曲間でもチャットモンチーへの賛辞とエピソードを惜しみ無く話していました。公式では解散を”完結”という言葉で表現していますが、彼らはあえて”完成”と称していました。その理由を特に述べない部分もまた四星球らしいのだろうと思ったところです。

 

尼神インター

 こなそんフェスはお笑いの方々も呼んでいます。徳島自体が関西に近いのと、あと小藪千豊との関係もあるでしょうか、よしもとクリエイティブ・エージェンシーのタレントがやはり中心。

 最初に登場した尼神インターは心理テストのネタを披露。内容も良かったですが、それ以上に前後のフリートークの方が面白かった辺りに、テレビで大活躍できる理由を感じた次第。漫才としては本来誠子がボケで渚がツッコミという役割ですが、この日のネタは渚がボケで誠子がブスといじられつつツッコミを入れるという形。テレビでもどちらかと言うと渚の方が目立っているので、それに準じた形にしたといったところでしょうか。女流漫才の実力派も海原一門以外で活躍している方々は非常に少ないので、彼女たちには今後も長く頑張って欲しいところです。

THE イナズマ戦隊


 前日は福岡で行われたNUMBER SHOTに出演、当日は飛行機移動だったのですが雷のため福岡空港の滑走路が閉鎖。新幹線と列車乗り継ぎに切り替えた結果到着はなんと本番15分前。ただサウンドチェック(なぜか「GOLDFINGER ’99」「ギャランドゥ」でしたが)、ステージを見る限りその事実は、言わなければおそらく分からなかったと思います。上中丈弥のボーカルも演奏も、流石結成20年以上のプロフェッショナルという仕事っぷりでした。

 ステージは「喜びの歌」、そして渋谷すばる卒業という意味を込めて「ズッコケ男道」。カバーではありませんよと言う通り、この曲を作詞したのは上中丈弥。関ジャニ∞の躍進に欠かせない人物なのは間違いなく、その点はもう少し広く評価されてもいいと私から見て思うわけですが…。その後は「バカ者よ大志を抱け」「オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ」「マイジェネレーション」「33歳」「応援歌」というセトリでした。

 熱いステージと、「応援歌」でまたグッとくる展開は7年前にカミコベで見た時と同じ感想。絶大なる安定感で全く間違いなし。やっぱりライブ主体に長年活動しているバンドは違うなとあらためて感じるステージでした。チャットモンチーは同じ事務所の後輩、彼女たちに対する思いを語る場面も熱かったです。

 

テツandトモ

 テツandトモは昨年、「Magical Fiction」のPVにゲスト出演しています。


 当然ながらネタはテツトモの代名詞と言える「なんでだろう」。”チャットモンチーのなんでだろう”というこの日のためのネタもありました。

 これが流行ったのはもう15年前、2人とも48歳です。ですがやっていることに大きく変わりはありません。テツさんに至ってはステージから降りてアリーナを走って半周しています。普通の48歳男性なら走った後ネタをするどころではないはずですが、彼の場合はその後も柔軟な動きでパフォーマンス。恐ろしい体力です。これが出来るのは郷ひろみか彼くらいのものでしょう。今後も永く活躍してほしいです。

森山直太朗


 ここまでの3組はライブハウスで活動するバンドでしたが、彼の主戦場は全国各地のホール。サポートメンバーも多く引き連れています。紅白歌合戦出場3回・CDミリオン達成実績のあるアーティストはやはり格が違います。フェスには時折出演しますが、バンド系と比べるとやはり多くはなく。というわけで個人的にはようやくの初見という形でした。

 ステージは「魂、それはあいつからの贈り物」からスタート。2016年の楽曲で初聴ですが、力の入った良い曲です。流石の貫禄を見せつけていますが、曲終わりのMCは肩の力が抜けまくったような喋り。彼のキャラクターの濃さは常々噂に聞いていますが、まさしくその通りの内容でした。なんてことを考えているうちに、大変不自然な虫の音がマイクに入り込みます。どうやらその虫は退治できた…というわけで次の演奏曲は「よく虫が死んでいる」。アップテンポでノリの良い楽曲ですが、タイトルが示す通りなかなかにトホホな歌詞です。マジメな曲とそうでない曲のギャップは、もしかすると米米CLUB以来かもしれません。

 次に演奏されるのは「夏の終わり」。言うまでもない、森山直太朗を代表するバラード。夏の終わりというにはまだ早いですが、夏に聴きたい楽曲としては間違いなく上位に入ります。独特の声質には声量も十二分に備わっていて、15年以上のキャリアで毎年ホールツアーが出来る人は違うとあらためて感じ入ったところで、次の曲もしんみりしたバラード。ところが歌詞が明らかにおかしいです。これは何年か前に各所で噂になったあの曲…そうです、「うんこ」。タイトルのフレーズが登場した瞬間、場内失笑。「夏の終わり」と続けて同じテンションで歌う辺り、頭がおかしいです。

 さてここで特別ゲストが登場。おぎやはぎとか、良子とかの声も挙がる中で登場したのは当然チャットモンチーの2人。呼びかけは”チャットとモンチー”、その後もずっと”チャット&モンチー”と言い続ける直太朗さん。2人からそれぞれ名前の訂正を求めるも、スルーしてそのまま演奏進行。楽曲は名盤『生命力』にも収録されている「世界が終わる夜に」。3人でのステージ、ちなみに彼らは一緒に旅行へ行くくらいには仲良しなのだそうです。


 セッション明けの演奏は「どこもかしこも駐車場」。これまた何とも言えないタイトルですが、なかなかのメッセージ性と憶えやすさ。アルバム『自由の限界』収録曲、シングル曲ではないですが、もう少し広く知られて欲しい楽曲だと思いました。ラストはピアノのみの演奏でお馴染み「さくら」。15年前にテレビで見た時と比べると、どことなく余裕と優しさが加わった歌声のような気がしました。短い時間でしたが彼の魅力がふんだんに詰まったステージ、あらためて近年の楽曲を聴き直して機会があればまた見たいと感じました。

スピッツ


 日本人なら知らない人の方が圧倒的に少ないと思われる大御所、全国ツアーの最中にも関わらずチャットモンチーの為にイベント参加。更に言うと冒頭2曲はチャットモンチーがスピッツ主催のフェスでカバーした「バニーガール」、逆にスピッツがチャット主催の対バンライブでカバーした「シャングリラ」。「バニーガール」の件は後で知った形ですが、なんと粋な計らいなのでしょうか。直後のMCも含めて、人柄の素晴らしさを垣間見た瞬間でした。「シャングリラ」は演奏していても非常に楽しい曲だそうで、”この曲もらえないかな?”と話すほど。

 個人的にスピッツを見るのは久々で、2012年のHIGHER GROUND以来。その時は「チェリー」「涙がキラリ☆」も交えつつややマイナーな楽曲が中心でしたが、今回の3曲目以降はヒット曲連発。「魔法のコトバ」「空も飛べるはず」、MCを挟んで「スピカ」「運命の人」「1987→」という具合。個人的には「スピカ」を聴けたのがものすごく嬉しかったです。「運命の人」は原曲より若干アコースティックな演奏、その後の「1987→」と対を成していました。それにしてもメンバー揃って50歳ですが、非常に若々しいです。MCによると松岡修造と同い年。ただこれに関しては反応に困っていた人も多かった様子でした。

ヤンシー&マリコンヌ

 吉本新喜劇が誇るギタリスト・松浦真也と宝塚やリアルゴリラのネタでお馴染み・森田まりこが組んだユニット。リンボーダンスしようとすると森田まりこが体を松浦に寄せてセクハラにする、みたいな歌ネタをやっていました。それにしてもこの10年で新喜劇メンバーの舞台以外での活躍が本当に増えたと、しみじみ感じます。

 

チャットモンチー

 チャットモンチー完結のアナウンスがあったのは昨年11月24日のこと。それから迎えたこの日2018年7月22日。このステージがチャットモンチーとしてラストということで、あっこぴんが少し泣きそうになります。そんな時に”私に任せて!”と励ますえっちゃん。どちらかと言うと普段のMCはあっこぴんが喋ってえっちゃんはマイペースという展開ですが、ここでそのセリフが出る部分に橋本絵莉子の限りない強さを感じた次第。ワンマンではなくこういうフェスでの解散をおススメする辺りがえっちゃんのえっちゃんたる所以。

 最初はまず2人で演奏。FM徳島のジングル「きっきょん」を生で披露。これは請われて作った曲ではなく、メンバーが勝手に曲を作ってFM徳島に持ち寄ってそのまま採用になったのだとか。えっちゃん曰く、30秒くらいで作れたらしいです。こなそんフェスに合わせた歌詞も2番として作ったようで、そちらも生で披露。

 ここからは前日同様、ドラムを参加アーティストにゲスト演奏してもらって、3人編成で歌う形。前日のラストでは高橋久美子が復活するという演出もありました。この日もそれに準じる形ですが、紹介はゲストの名前を最初に呼び上げるのではなくプロフィールをまず読み上げます。好きな食べ物、生まれ変わったらなりたい動物…といった具合。最初に登場するドラマーはかわいらしいプロフィール。というわけでHump Back美咲が登場。「恋の煙」「湯気」を演奏します。

 「恋の煙」は美咲ちゃんが一番演奏したい曲、「湯気」は言うまでもなくトリビュートアルバムでもカバーした曲。本編でも披露していた「湯気」がここでも見れるという展開は熱かったですが、美咲ちゃんの立場として考えるとこの日ラストを迎える本物のメンバー2人の後ろでドラマーとして叩くという、漫画でもあり得ないような展開。表情はやはり感動で涙を浮かべていたように見えましたが、ドラムの腕は間違いなし。演奏後のチャット2人も美咲ちゃんを絶賛、スピリットはそのまま受け継がれる形になるのでしょうか。Hump Backにとって、2018年7月22日は本当に忘れられないだけでなく、今後続くバンド活動についても間違いなく大きな一日になりそうです。

 2組目に登場する方、プロフィールはとにかくうどんを押しています。チャットの2人が少し呆れ気味に紹介するのは四星球モリス。彼の大学は香川ですが出身は岡山らしいです。まず演奏するのは、徳島では知らない人がいないと言われる「阿波の狸」

 ドラムを始めとして譜面も簡単に見つからない曲ということで、メンバー全員Youtubeにある音源から推測してこの日のために音づくりしたのだとか。なお曲中、阿波の狸の格好?をして四星球の他のメンバー3人もダンサーとして登場。やはりと言うべきか何と言いますか、明らかに演奏する3人よりも前に出て目立っていました。チャットの2人からクレーム連発、モリスさんは本当に申し訳ないと何度も謝ります。もっとも見ている方としては、やっぱりこうでなくちゃと思える形でしたが。

 もう1曲は「ハナノユメ」。メジャーデビューした2005年から長くファンに愛されているとともに、当時をよく知る四星球のメンバーが一緒に参加するという光景もまた大変美しかったです。

 3組目のゲストドラマーはTHE イナズマ戦隊久保裕行。力強く頼りになる先輩的な位置づけで、「風吹けば恋」「真夜中遊園地」を演奏。両方とも文句なしの名曲ですが、それだけに迫り来る完結の時間が近づいているのを実感。この感情は一通りの言葉では書き表すことができない複雑なものになっています。

 ラストのゲストドラマー、この人にドラムを叩いてもらうとは思ってもいなかったという大物はスピッツ崎山龍男。2曲演奏する最初は『chatmonchy has come』収録の「ツマサキ」。MCでも泣きそうな場面がいくつかあったあっこぴんはこの曲で完全に感極まり、コーラスが歌えなくなっています。メジャーデビュー当時に発表されたこの曲には、前向きな気持ちが歌詞に描かれています。完結してもまたそれぞれの人生を歩み始めるという決意の表れでしょうか。もう1つは会場全員が歌える曲、みんなで歌ってというMCとともに「シャングリラ」で大団円。これでチャットモンチーの、バンドとしての活動は終了。ですがステージはまだ残っています。

 フィナーレは阿波踊り。これまたえっちゃんが作ったという阿波踊りのグループ・かもし連に阿波踊りの中でもかなりの歴史を誇るという蜂須賀連で総勢100人以上でしょうか。かなりの人数が登場します。ライブ終了直後に、一足先に阿波踊りの姿に着替えた高橋久美子が登場、MCの宇都宮まきも交えて今日の感想を話します。宇都宮さんは終始彼女のことを”くみちゃんさん”と称していました。その後着替えのためチャットの2人が退席して、宇都宮まきが阿波踊りの先生に教えを請うという展開。会場の皆さんも一緒にということで、実際私もやってみましたが、意外と難しいものです。徳島に住んでいたら自然に身につくのでしょうけども…。

 大人数が次から次へと繰り出す阿波踊りのステージ、ラストはかもし連としてチャットモンチーだけでなく今日出演したアーティスト・芸人も一緒に阿波踊り。ゆっくりステージだけでなくアリーナも周っていました。かくして2018年7月22日・チャットモンチー完結。ラストの挨拶の締めは”すだち酒で乾杯!”、「青春の一番札所」がBGMとして会場に流れました。

おわりに

 今回足を運んだこなそんフェスは、単純にチャットモンチーのラストステージということもありましたがそれ以上にトピックスも多く、果たしてこのライブレポでどれだけ伝えることが出来たのかという気持ちにもなっています。それだけ見終わった後の気持ちは複雑で、言葉として表現するのが本当に難しいものでした。この10年間様々なフェスに足を運びましたが、ここまで濃密な時間を過ごせたのは初めてかもしれません。

 昨日今日参加してくれた方たちは本当に良い人ばかりです、とチャットモンチーの2人が何度も話していましたが本当にその通りで、どの出演者のステージからもチャットモンチーとの絆、人としての温かさを強く強く感じることが出来ました。それは出演者だけでなくオーディエンスも同様で、自然に入る拍手や声援はどれも大変温かいものでした。これはひとえに、徳島という土地柄とチャットモンチーの2人、いや3人の人徳によるものだと思います。本当にあらためて、こなそんフェスという現場と10数年以上続けてきたチャットモンチーというバンドにありがとうという言葉を贈りたいです。

 この後のことは2人とも何も決まっていないようですが、ミュージシャンとしてあるいは阿波踊りの伝承者として。これまた末永い活躍を期待したいです。自分としてもこの日は特に忘れられない一日になりました。本当にありがとうございました!

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