2019.5.19 OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2019 2日目 in 海とのふれあい広場

ライブレポ

 先々週VIVA LA ROCKに行ってからあまり間がないですが、5月18日と19日に大阪府堺市・海とのふれあい広場で行われたメトロック大阪に足を運んできました。PerfumeがメインステージBAY FIELDのトリを務めた2017年2日目に一度行っているので、2年ぶりの参戦になります。そういえば翌週行われるメトロック東京も2015年に行っていて、その時もメインのトリはPerfumeでした。会場の細かい紹介は2年前と大きな変化もないので省きますが、心なしか女性トイレが以前より充実していたような。それでも長蛇の列になるのは変わらないですが。

~なお2017年メトロック2日目のレポは、当面こちらをクリックしてください~

夜の本気ダンス(GREEN HILL)


 京都で結成された4人組バンド。メジャーデビューが2016年、その少し前から注目度は高かったような記憶あるのですが、ステージは今まで見る機会がなく今回が初めて。ボーカルと思わしき人がリハでマイクパフォーマンス、会場をおおいに盛り上げますが、実はボーカルでなくドラムの鈴鹿秋斗。ボーカル・米田貴紀は演奏中場を何度も盛り上げつつも、基本マジメでそこまでMCが達者という印象ではなく、やはり一番印象に残ったのは鈴鹿さん。自らの顔をKing Gnuの2人を足して割って2割が秦基博、と話すシーンは大ウケでした。これだけ演奏以外でもキャラが立つドラムは、凛として時雨のピエール中野さんくらいではないかと思いましたが。

 演奏は「Crazy Dancer」「By My Side」というキラーチューンからスタート。新曲「Take it Back」「WHERE?」を経て、「TAKE MY HAND」「戦争」で締め。基本”踊れー!”のコールで、一つ一つの楽曲ごとに大きな差があるわけでなく、リズム隊の演奏は良いですがボーカルは普通。確かに、同時期デビューのバンドと比べて突き抜けた人気とまでいかない理由もなんとなく分かりましたが、同時にロックフェスでは絶対に欠かせないピースを担っているという認識も持ちました。安定した立ち位置を得たのではないかと思います。今後もフェスには出続けるでしょうし、おそらく見る機会も出来るのではないかと思います。その時をまた楽しみにしたいです。

KEYTALK(BAY FIELD)


 KEYTALKはもう若手ではなくすっかり中堅で、過去にもそれなりの回数を見ています。ただ若干アウェーな雰囲気だったりものすごく後ろの方から見る形だったりして、万全な状態のKEYTALKは考えるとまだ見ていないような気がします。そういう意味では楽しみでしたが、演奏が始まった瞬間に分かる音の悪さ。スピーカーの音響がとにかく不安定で音が入らない状況になることも多々、ステージ運びは以前にも増して上々でしたが、結局の所本当に一番良いKEYTALKのステージを見るのはまた次回以降に持ち越しという形になりそうでした。

 演奏された楽曲は「MATSURI BAYASHI」「Summer Venus」「a picture book」「黄昏シンフォニー」「Love me」、新曲「BUBBLE GUM MAGIC」「YURAMEKI SUMMER」「MONSTER DANCE」。「MONSTER DANCE」のPVにもあるサビの手の動きは前の方だとファンでなくても揃っていて、すっかり盆踊りみたいなポジションで定着しています。「黄昏シンフォニー」「Love me」辺りはあらためて聴くとやはり抜群のメロディーセンス、巨匠を始めとする各ボーカルの歌声も良いです。先日のビバラロックではついにメインのトリ、ここまで人気が続くということはやはり確かな実力。ですので今度こそは本当に素晴らしいKEYTALKのライブを、早いうちにみたいところです。

Nulbarich(GREEN HILL)


 NulbarichもSuchmosやnever young beach辺りと同様、キッズだけでなく大人からも好かれそうな音楽を指向しているグループ…かと思いきやシンガーソングライターJQがトータルプロデュースするアーティストということで、バンドメンバーは時期によって変わるとのこと。ですので実質ソロユニットと言っても良さそうです。そのボーカルJQのキャラクターもなかなか独特で、ちょっと掴み所のないタイプのように思いました。二枚目よりは若干三枚目寄り、という印象もありましたが…。

 セットリストは「It’s Who We Are」「VOICE」「Kiss You Back」「Sweet and Sour」「Super Sonic」「Stop Us Dreaming」。雲がかかって少し寒いくらいの気候は、このステージの間で少し晴れ間が出てまた暑くなり始めました。歌声と音楽が大変心地良く、後ろの芝生エリアで寝転がりながら聴いた場合思わず気持ち良くなって寝てしまいそうな。どちらかと言うと、こういった野外のロックフェスよりライブハウスかジャズバー辺りで聴いた方がしっくりくると感じたのは私だけでしょうか。

SHISHAMO(BAY FIELD)


 基本2週間前にビバラで見たステージが野外になったというだけで、大きな変化はありません。違いがあるとすれば、「タオル」の映像のTシャツが「メ」「ト」「ロック」になったことと、告知の会場がスーアリから大阪城ホールになったことと、MCくらいでしょうか。2015年のメトロック東京初出演以来、フェス・ワンマンを通して見るのは今回で10回目。ふと振り返ると、彼女たちのステージでパフォーマンスの調子の悪さを感じたことが一度もありません。今回も同様、演奏も朝子さんの歌声も不調な点はまるでなく、先ほどあったスピーカーの不調さえもほぼ無し。ベテランと言うにはまだ早いキャリアですが、これだけ毎回安定していて間違いのないライブを見せ続けるバンドもあまりいないのではないでしょうか。

Official髭男dism(GREEN HILL)


 ビバラで見たとんでもないステージの余韻が自分の中でまだ残っていますが、メトロック初見参となるこのステージでも多くの人が集まっています。傾斜のある丘からステージを見下ろすと、ものすごく多くの人が移動しているのが本当によく分かります。

 

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SHISHAMOから、間もなく始まるOfficial髭男dismへ移動する様子と現在のGREEN HILLの状況。 #メトロック大阪 #METROCK

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 曲数はビバラより少なめですが、「ノーダウト」で始めるのは共通しています。「Tell Me Baby」を経て「ブラザーズ」ではやはり相当な盛り上がり。ただ後方エリアに関して言うと、まだそこまで完全に動きは浸透し切ってなかったでしょうか。スピーカーの調子もやや悪めで、素晴らしかったことは間違いないですがビバラほどでは…というのが正直なところ。ただボーカル・藤原聡の歌声は確実に後方まで伝わっていました。

 今回最大のハイライトはやはり新曲の「Pretender」。前日ダイバーシティでリリースイベントがありましたが、ビバラでは歌っていないのでフェスではここが初披露。音源やMVでも分かる通りの素晴らしい楽曲ですが、ライブで聴くとより顕著。儚くも美しい言葉で綴られるラブソングは、その歌詞自体もさることながら藤原さんの歌声でより説得力が生まれます。一つ一つの言葉をハッキリ歌えるからこそ、最後の”綺麗だ”というフレーズが余計に胸に響きます。令和の幕開けにふさわしいラブソングであることは、衆目一致の意見ではないでしょうか。

 ラストは「Stand by You」。こちらも彼らだけでなく、フェスを通しての定番曲にいよいよなっていくでしょうか。サビで徐々にクラップの間隔が短くなった先に辿り着く大合唱は、とうに出し尽くされていそうな昭和初期から現在までの流行音楽史でまだ生み出されてなかった種類の気持ち良さ。本当に素晴らしいです。既に2019年の音楽シーンに大旋風を巻き起こしつつある彼らですが、夏には更に加速していくのではないでしょうか。

BRADIO(NEW BEAT SQAURE)


 一昨年には通り掛かるだけで足を止めてステージを見ることがなかったNEW BEAT SQUARE。BAY FIELDが終わった直後にステージ開始、この日出演していたバンドも通りがけるオーディエンスに訴えかけるかのようなパフォーマンスを見せていました。個人的には直前のKANA-BOON、時間帯が重なるKing Gnuをビバラで見ていたので、カミコベ以来3年ぶりに彼らのステージを見る形。

 「Funky Kitchen」に、おそらく彼らの曲の中で一番知名度高い「Flyers」。サビの手の動きもバッチリ揃っています。ボーカル・真行寺貴秋のMCと歌声はまさしく見た目通り明るくファンキー。彼ほどカッコ良い三枚目も、滅多にいないような気がします。

 新曲「O・TE・A・GE・DA!」では振り付け指導が入ります。左右にステップ、上下に手を動かす振り付けをみんなに促し、自らも踊りながら歌う光景はさながらPerfumeのライブにおけるPTAのコーナーのよう。彼女たちのステージではその時間帯くらいですが、彼らのステージはそれが終始続きます。踊ることを促すシーンが多々あり、オーディエンスもノリノリで従います。それを成立させているのが極めつけに明るいキャラクターとトラック。というより、踊らずにいられないというのが正直なところでしょうか。

 「Back To The Funk」にラストは「スパイシーマドンナ」、計5曲の演奏は笑いも多々ありであっという間に時間が過ぎました。キャリアは長いですがメジャーデビューは意外に最近で2017年、ですがこれだけ楽しいライブだと次に見る時はもっと大きいステージになりそうです。彼らみたいなバンドは、今の音楽シーンに不可欠のように思えて仕方がないのですが、どうでしょうか。

WANIMA(BAY FIELD)


 底抜けの明るさと言えば、彼らも間違いなくそうでしょう。SEからして飲み会一気定番の替え唄、舐めてます(むろん誉め言葉)。勢いいっぱいに登場してまずは「JUICE UP!!のテーマ」「オドルヨル」、そこから「Hey Lady」「つづくもの」「エル」「サブマリン」。一曲一曲が短いので、演奏する曲数も自然に多くなります。

 合間合間のMCは相変わらず適当です。バンド界の高田純次、と称してもあながち言い過ぎでもありません。次にGREEN HILLで登場するのはあいみょん、明らかに後ろで移動準備する人が多くいることを見越して?ドラムのFUJIが勝手に「マリーゴールド」をカバーします。なぜか長渕剛のモノマネで。色々な人に怒られそうな光景でしたが、WANIMAの3人はおそらくそれが許される人徳の持ち主なのでしょう。

 KENTAが歌詞憶えているかなと笑いながら話す新曲「渚の泡沫」、更に「雨あがり」「BIG UP」と続きます。人気曲メインではありますが、「ともに」や「THANX」をやらなかったのが若干意外。ラストは「シグナル」、そして移動する客を止めるかのように自らアンコールと称して「いいから」。ただ移動し始めた人を止めるには至らず、その点では明るい笑顔と言えども内心複雑な面はあったかもしれません。個人的に前回見たのは2016年のCDJですが当時も次のステージへ移動を控えていて終盤落ち着いて見られなかったので、今度は出来る限りじっくり楽しみたいと思う次第。

あいみょん(GREEN HILL)


 今回メトロックは大阪会場のみの出演。言うまでもなく2018年最大のヒットメーカーで、この1年くらいサブスクであいみょんの曲が上位に入らない日はありません。WANIMAのステージが終わるや否や急いで移動しましたが、始まる直前のステージは既にものすごく多くの人で埋まっています。BAY FIELDからGREEN HILLの間には売店と多くのベンチが設置されているのですが、そこには行列も座っている人も殆どいません。それだけ人がGREEN HILLに集結しているとともに、数も面白いくらいに増え続けています。かくいう私も、今回メトロック大阪最大の目的は彼女のステージを見ることです。

 「今夜このまま」からライブはスタート。オシャレな衣装です。ビジョンにはステージ真後ろから客席方向に向けたショットも映りますが、本当にビッシリ人で埋まってます。続く楽曲は「生きていたんだよな」。衝撃的とも言える歌詞ですが、彼女もまた一言一句ハッキリとした言葉で歌います。多くの人に訴えかけるように歌われるこの曲のパフォーマンスには、思わず涙しそうになりました。

 挨拶を兼ねたMC。この日の気候からスムーズに次の曲紹介に入る進行がなかなか見事。歌うのは新曲「ハルノヒ」。『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』主題歌ということで、季節だけでなく春日部という地名、北千住という固有名詞で始める歌詞があまりにも見事です。この曲だけに限ったことではないですが、彼女が作る歌詞は情景が非常に思い浮かびやすいです。フォークソングに影響を受けた部分が大きいようですが、個人的には阿久悠に近い部分も感じさせます。要はこの若さにして、それだけ偉大な存在になっているということです。次に演奏したのは「ふたりの世界」。歌い終わり、”ナイスセックスでしたー”と爽やかに話します。良い意味で嫌らしさを感じさせません。気持ち良いことをする前に必要ですよね、という入りで「愛を伝えたいだとか」、ここも本当に見事。

 みんなで歌ってくださいと喋り、見事に大合唱が成立する「君はロックを聴かない」「貴方解剖純愛歌~死ね~」を経てラストは勿論あの曲。好きな花が、今年また好きになりましたというMCで大歓声、「マリーゴールド」。2週間前と直前に全然違う人が歌っているのを聴いていましたが、ここでようやく本家を聴くことが出来ました。GREEN HILL史上最高かもしれないと感じさせる締め、思わずアンコールの声が挙がります。

 おそらく予定になかったはずですが、スタッフの機転で急遽再登場。本当にいいの?と少しビックリしながら、アンコールとして「夢追いベンガル」を披露。メトロック大阪の開催は通算4回目になりますが、間違いなくその中でも伝説として語られそうな名ステージでした。
 ちなみにMCによると、大阪でこういったフェスに出るのは意外と少なく2回目。数年前は梅田の路上で歌っていたりもしていたそうなので、この日のステージは本当に感無量で何度も感謝の意を述べていました。西宮出身なので、売れていなかった時代はミナホや見放題といった関西の細かいイベントにもよく出ていたらしく、自分が行ったイベントでもカミコベの小さいステージに出演したことがあったようです。その時に偶然でも見ていれば相当話のネタになったはずですが、なかなかそこまで先見の明は働かないものです。

[ALEXANDROS](BAY FIELD)


 あいみょんのステージが終わり、BAY FIELDの一番後ろに辿り着いた頃合いで1曲目「starrrrrr」の演奏が始まります。そのまま後方から見てもいいのですが、過去に見た彼らのステージは入場制限寸前で前に行けなかったり(2016CDJ)、そもそも制限にかかって後方で途中からしか見れなかったり(2017レディクレ)だったので、可能な限り前方に移動。やはり直前あいみょんを見に行った人が多いようで、リハから待機していた人数はかなり限られていたようです。今までに記憶がないほど見やすい位置で見ることが出来ました。

 「アルペジオ」「Dracula La」「Girl A」「Mosquito Bite」「Kick & Spin」…。夜が更けていくほどに臨場感が増していくような演奏。ベースの磯部寛之が少し前の公演で足の骨を折ったため座りながら、ドラムの庄村聡泰は腰痛のためサポートメンバーが代役を務めています(外国人が務めている、という所に本来のドラムの凄さが分かります)。ですので万全なのは2人だけ、そのボーカル川上洋平も少し前に急性声帯炎でライブ延期ということもあって、以前ほど喉の状態はよくありません。事実「Girl A」の最高音は決して完璧ではありませんでした。とは言え、2016年CDJで見た演奏とボーカルの凄さは以前とほぼ変わらず。

 続いてはフェスで初めて演奏するという「PARTY IS OVER」。ちょうどワンマンツアー開催中ということもあってかこういったフェスに出演するのは久々、多少不安もあったようですが、みんなが知らなさそうな曲でも笑顔で楽しんでくれるノリの良いオーディエンスの反応に何度も感謝していました。川上さんの表情はすごく楽しそうで、そこには謙虚な礼儀正しさも多分に伝わります。揃った手の動きなどを要求しない、自分たちのライブは自由に楽しんでもらうことがポリシー。素晴らしい楽曲や演奏も勿論そうですが、こういったメンバーの姿勢もまたフェスのトリに相応しい存在であることを証明しています。

 配信リリースされたばかりの新曲「Pray」を経て、ラストは「Adventure」。心なしか、えー!という声が他のバンド以上に早く大きく出ていたような気がしました。アンコールはまずタイトル未定の新曲、アクエリアスのCMタイアップで使われている楽曲です。ラストサビとタイトルをこの日24時までに提出しないといけないそうで、直後SNSからもタイトル募集を促していました。多分夏フェスが始まる頃には各会場で歌われるのだろうと思われますが。ラストはド定番ですが、案外これまでフルコーラス演奏に遭遇したことがなかった「ワタリドリ」。サビはオーディエンス全員で大合唱、この会場に足を運ぶ人なら全てが知っている楽曲で美しく締めました。

まとめ

 2年前と同様、ステージは大満足でした。特にラスト2つはこれまた後年まで、事あるごとに語る機会が多く出来そうです。ただ唯一体力を使ったのは帰りのバス待ち。あいみょんのステージを見てドロスを見ずに帰る人も一定数いたらしいですが、それでも砂ぼこりの舞う中一時間待ちでした。事前購入で直接梅田や天王寺に行けるツアーバスは最安1800円で、公共交通機関と比べると相当な高額で利用者は少なかったようですが、待つ大変さを考慮すると購入する価値はかなりありそうです。行きは時間さえ早くすればあまり待つ必要ないので大丈夫だとは思いますが…。状況次第ではありますが、関西もしくは関東に住む場合少なくともどちらかには今後ほぼ毎年行くことになるのではないでしょうか。

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