2017.10.27 ベイビーレイズJAPAN THE BRJ LIVE ~西日本一斉拳挙~ in 梅田CLUB QUATTRO

 早いもので今年9月にデビュー5周年を迎えたベイビーレイズJAPAN。今年は野外ワンマンライブ3連戦と称して、日比谷野外大音楽堂・稲毛海浜公園野外音楽堂・東武動物公園で大変熱いライブを繰り広げました。YouTubeの公式動画で見ても、その熱気は大変伝わるわけですが3会場はいずれも関東。遠征すれば済む話、と言いつつも関東以外の虎ガー(=ファン)にとってはなかなか足を運びにくいのも事実。ワンマンに関しては全てをこの3公演に充ててきたわけで(むろんリリイベやイベント出演もありますが)、気がつけば毎年見ているベビレも今年は見れないと思ったところでレコ発ライブが大阪で決定。9月20日にミニアルバム『THE BRJ』が発売されましたが、その発表があったのはリリース翌日。かなり急な発表でしたが、700近いキャパシティの梅田CLUB QUATTROは一般発売が8日前・公演日平日にも関わらず見事ソールドアウト(一応プレミアムフライデーではありましたが)。大阪でのワンマンは2年前の秋ツアー以来。人数的には同じ年に足を運んだZepp Nambaと大きく変わらないですが、会場の密度は当然こちらの方が上。熱気満点のライブの様子を、早速レポしていきます。

 18時半入場・19時開演予定の会場は、ソールドアウトで満杯の人。整理番号500番台の入場は18時50分頃で、それゆえに開演時間は少し押します。おそらく係員ではなくベビレのスタッフらしき人が直々に会場の諸注意などをアナウンス、開演前にもリコピンこと大矢梨華子が同様にアナウンス。撮影などご遠慮ください等と案内した後に会場から”え~”のコール、それに”やめるよ?”と反応する辺り、ファンとの関係性の良さが伺えます。当日は彼女の夢でもあった、関西人なら知らない人はいないMBS毎日放送のワイド番組『ちちんぷいぷい』にゲスト出演、その報告もここで同時に。

 梅田CLUB QUATTROはステージ両脇にビジョンが設置されています。ハードロックのSEをバックに、両側にオープニング映像が流れます。ステージでは5人が一人ずつゆっくりと登場、最初の曲のフォーメーションにつきます。久々にライブハウスで見ると、そのシルエットだけでも強く大きく頼りがいのある存在になったように見えました。

 トップを飾るのは昨年のアルバムに収録された自己紹介曲「Ride On IDOROCK」。歌詞はこれを見てもらえば分かる通りかなり癖の強い内容ですが、楽曲と振付はとても複雑な構成で難度は高め。曲調そのものは紛うことなきハードロックなので、オーディエンスの雄叫びも凄いです。今年女性アイドルのワンマンに足を運ぶのは5組目ですが、ファン一人あたりの熱気量はベビレが一番高いかもしれません。

 続く「恋はパニック」はこれまでの現場で何度も見ている定番曲ですが、意外にも今年はこれが初演奏とか。これまた定番の「充電満タン~サタデーナイト」を経て、『THE BRJ』収録の新曲「くびったけエンジョイサマー!」。今回バンドの生演奏はありませんが、実際演奏するとなるとおそらくかなり難度の高い楽曲です。疾走感抜群の雰囲気は大変パワフルで、これまた当然ながらいわゆる”アイドルの夏ソング”とは一線を画する内容。大変カッコ良かったです。

 自己紹介を兼ねた1回目のMC。2年ぶりの大阪ということでメンバーとしても非常に楽しみ・待ち遠しかったとあらためて話します。”前の方!後ろの方!脇!”などと、リーダーのでんちゃんこと傳谷英里香がオーディエンスを煽ります。両サイドを脇と言う人は珍しいというツッコミもありました。私が好きなアイドル・アーティストは概ねMCが緩めですが、彼女たちも同様のようです。ただその後に「閃光Believer」を選曲するところがベビレの凄いところ。昨年のシングル曲ですが、あらためて見ると約4分の中に詰め込まれる密度が楽曲・振付ともに半端なく高いです。

 続く「バキバキ」もハードロック。歌詞の内容は端的に言うと”スマホが割れた”という内容ですが、ライブで見るとすごくカッコ良いです。シングル曲ではありますが、歌い終わった後のMCでは”浸透のなさ具合が半端ない”とリコピン。確かに男性が9割近くを占めるファンには共感しにくい歌詞かもしれません。JAPANに改名前からの定番曲「JUMP」を経て、シングル「○○○○○」カップリングの「Silence Nonsense Sigh」。攻撃的な歌詞が耳に残る楽曲はリコピンがセンター。ベビレといえば林愛夏・まなつちゃんの歌唱力が圧倒的なのですが、いつの間にかリコピンもかなりの歌声の持ち主になっています。2年前のセンター曲「世界はチャチャチャ!」は体操の先生になって一緒に踊るという曲だったので、それを考えると隔世の感。ものすごく見応え聴き応えのあるステージになっていました。リコピンや愛夏ちゃんだけでなく他の3人も、確実に発声が良くなっている気がします。楽曲の所以もあるでしょうか、気持ちが声に乗っているように聴こえるのもあらためて好印象。

 2度目のMCもリコピンがメイン。今日は滋賀から家族が来ていて、先ほど歌った「Silence Nonsense Sigh」はそれ故にセトリに入ったのだそう。逆に言うと、関西で親が来てなければ弾かれていた可能性が高かったとのことで…。そこから、『THE BRJ』収録曲の中でまだ一度もライブで歌っていない、ファンがいたから完成した曲をここで初めて歌いますという曲紹介。その「何度でも」もまたベビレらしい熱いナンバーでした。今回の公演サブタイトルは”西日本一斉拳挙”、その通りに何度も拳を挙げてくださいという呼びかけもありました。オーディエンスも同じ想い、サビの”何度でも”連呼では文字通りに沢山の拳が会場中に挙げられます。大変美しい光景が、梅田CLUB QUATTROに繰り広げられていました。

 続く「FOREVER MY FRIEND」でも熱い歌詞とパフォーマンス。「アバタがエクボ」はまだ音源化されていないバラード。直に響き渡る5人の歌声は、感情が非常にこもっている上に発音がすごく明瞭。これだけ説得力を感じさせるバラードは、並のアイドルでは到底歌えないと断言できる名曲です。

 ここで少し長めのMCが入ります。『THE BRJ』収録曲に因んだ質問をするというコーナー。”ダメと思っててもこれだけはやめられない”という話を愛夏ちゃんに振ります。回答は”帰宅したらすぐ冷蔵庫を開ける”という内容。小学校の頃は麦茶だったのですが年を経て生クリームになり、高校生になるとスーパーでチューブ状のを買って、ペットボトルに偽装して食べていたというかなり斜め上なトークでした。それをマジメに、普通のことのように喋っているところがとても彼女らしいです。なおすけこと高見奈央は、”寝転んでテレビを見るなどした時に生じる腕の痺れを楽しむこと”と回答。これは共感出来る人と気持ち悪いと思っている人、オーディエンスの反応は半々といったところ。最後にりおトンこと渡邊璃生に、自分にとってのアンチヒーローは?という質問。回答は”アンチ満員電車”ということ。もっとも話の流れは、むしろ”アンチ満員電車の変なおじさん”みたいな感じでした。その「アンチヒーロー」はりおトンが作詞したということで、そのまま曲に入ります。

 「アンチヒーロー」も大変エモーショナルでカッコ良い楽曲ですが、いつの間にかライブはもう後半。ここから怒涛の畳み掛けに入ります。「虎虎タイガー!!」「ベイビーレボリューション」「シンデレラじゃいられない」「ベイビーレイズ」、そして「夜明けBrand New Days」。6曲連続休憩なし全てが激しい振付の超アップテンポ。こういう形の4曲畳み掛けというのは他にもありますが6曲はなかなかありません。「シンデレラじゃいられない」辺りは常人だとまず表現できない楽曲で、アイドルやアーティストというよりアスリートと称したくなるほど。そしてこの流れのラストがベビレの場合ほぼ間違いなく「夜明けBrand New Days」になることが想像できるので、余計にクライマックスへの気持ちが高まるというものです。

 思えば「夜明け~」が話題になったきっかけの一つにエビ中のイエッタイガー禁止令がありましたが、そういえばベビレも館内放送や掲示でサイリウム・光り物禁止の注意がかなり厳しくアナウンスされていました。理由如何に関わらず光り物が発生したらその場でライブ中断&退場措置、確かにその理由は昨年のTOKYO IDOL FESTIVALのSMILE GARDENを見た立場として分かりすぎるくらい分かるもので…。エビ中の方はサイリウムが文化として完全に定着しているので、両方の公演に行く自分にとっては大変興味深い出来事になっています。

 ラストの曲の前に、愛夏ちゃんが彼女らしく熱くマジメにMC。「応援してくれるみんなの顔に泥を塗らないように…」「皆さんがベビレのファンです!って自身持って言って頂けるように」という言葉が特に耳に残りました。まっすぐ過ぎるくらいまっすぐでマジメで、突拍子の無い部分がありながらも常に向上心を持って取り組む彼女は本当にカッコ良いです。個人的に7月14日は誕生日なのですが、同じ誕生日であることを本当に誇りに思える存在になっています。本編ラストは、彼女がセンターに立って歌う、ミニアルバム『THE BRJ』のリード曲になっている「僕らはここにいる」


 歌の上手い女性アイドルはここ近年本当に増加していて、私自身もワンマンやアイドルフェスで目にする機会が多くなっています。正直初めてベビレを見た4年前、「暦の上ではディセンバー」の時はそんなにものすごく上手いという印象はなかったです。そう考えると、ベイビーレイズJAPANの伸びは本当に凄まじいことをこの曲であらためて実感させられました。他の4人も声が以前よりはるかに良くなって上手くなっていますが、林愛夏に関してはもう完全に別格。いまや女性アイドルの中だけでなく、同年代の女性歌手を見渡してもトップに位置づけて良いほどに達しています。単純に発声が優れていて上手いのもそうですが、それ以上に感じさせる歌い手としての魂・表情・生きざま・スピリット。圧巻・感動という言葉でさえも足りないパフォーマンスは、今までに見たことないほどの内容でした。

 アンコールは、打って変わって軟派に楽しく盛り上がる「ワハハ」、グッズ紹介などのMCを経てこれまた『THE BRJ』収録のバラード「スパイラル」。先ほど愛夏ちゃんについて絶賛した文を書きましたが、今年の曲を通して聴くと5人の歌声が以前よりも確実にフィーチャーされています。パート分けも彼女に多く割かれていた数年前よりも、確実にバランス良くなっています。激しいロックナンバーだけでない引き出しが、今年は確実に多くなっているのではないかと感じた瞬間でした。

 野外3連続ワンマンの成果は、想像していた以上に大きいようです。アンコール終演後に鳴り止まない拍手、Twitterでは見に行った人全てが絶賛の声でした。私も同じ想いです。それは関西虎ガーとメンバーが待ち望んでいたからという一言では、到底片付けられません。いつの間にかメディア露出も増えているようで、先述のちちんぷいぷいの他に愛夏ちゃんは近いうち『世界!ふしぎ発見』にゲスト出演するそうです。レプロにはこの魅力的な5人を以前にも増して売り出して欲しいとともに、更に言うとこれも数年前から書いていますが本当にアイドルファン以外からも広く知られて欲しいです。4年前の「暦の上ではディセンバー」イメージそのままだとしたら、それは大きく違うと声を大にして言いたいです。

 いまやアイドルとしては勿論、アーティスト・音楽グループとしてものすごく魅力的な存在になっています。年末は3週連続で東京公演、残念ながら個人的にこちらへも足を運べそうにありませんが、だからこそ来年は全国を広く回って欲しいという思いもあります。目標の武道館満員と紅白出場には、まだ少し時間かかるかもしれないですが、いつか絶対叶うのではないかという気持ちを持たせてくれるパフォーマンスでした。来年は1ヶ所だけでなく、出来れば何箇所か回りたいと今から考えているところです。スケジュール次第の部分もありますが…。

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