2019.8.11 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019 4日目 in 国営ひたち海浜公園

ライブレポ

 今回は開催20周年ということで史上初の5日間開催となりましたが、次回は東京五輪の関係もあって2013年以来7年ぶりに3日間開催になるようです。日程は祝日も含む8月8日~10日。単純計算だと出演アーティスト数は大幅に減少する形になりますが、ステージ増設などもあるのでしょうか。かつて設営されていたSEASIDE STAGE復活の可能性も考えられますが…。

 今回足を運んだのは8月4日と11日。こちらでは11日に見たステージをレポしていきます。

ももいろクローバーZ(GRASS STAGE)

 GRASS STAGEといえば、冒頭は渋谷陽一氏の朝礼でお馴染み。第1回のステージだけでなく、49歳当時の自分の写真も紹介していました。”渋谷さんありがとう”と書かれたリストバンドを来場者から贈られたというエピソードも話します。快適なフェスを実現させるため、フェス素人だからこそ躊躇なく新しいことを取り入れた(例えば非常にスムーズな入場ゲート)ということも話していました。今回欅坂46、モーニング娘。’19も含めて3組のアイドルがメインステージのオープニングで登場。ももクロに関しては、全く何の心配もいりませんと自信を持って紹介します。

 さて、ももクロは2ヶ月前にエビ中主催のMUSiCフェスで見たばかりですが、あらためてフェスのメインステージで見たかったので今回最初に選びました。4人になって最初のアルバム『MOMOIRO CLOVER Z』の1曲目に収録された「ロードショー」からスタート。左右とステージ真後ろの3つ設置されている大型LEDビジョン、真ん中の映像には歌詞テロップも表示されます。錚々たるメンバーの生演奏、その中にはなんとキーボードの浅倉大介氏も参加しています。「あんた飛ばしすぎ!!」は前の年に発表された、会場をおおいに盛り上げる自己紹介ナンバー。4人とも全力で、ステージの端から端まで動き回ってアピールしています。ライブの凄さが知名度を大きく上げるきっかけになるアイドルは2010年代に続出しましたが、やはり元祖は彼女たち。ハロプロ勢の凄さも、もしかするとももクロがいなければ今ほど伝わってなかったかもしれません。当時大変な評判になった楽曲の一つ「ワニとシャンプー」を続けて披露。テーマが夏休みの宿題なのでこの季節にピッタリの定番曲ですが、意外とここまで個人的に見る機会なく。なおオーディエンスを見る限り、今さらですがモノノフ側の準備としては、扇子が必須アイテムのようです。

 奥の方に若干のスペースがあるものの、朝から数万人単位で集まっていると推測されるGRASS STAGE。初めての人が多いことを想定して、丁寧に自己紹介。なぜか意外といっている?年齢を妙に押し出します。そういえばももクロを初めて見た時は、西宮ガーデンズで見たあーりんの生誕フリーライブ。当時15歳の誕生日を迎えた彼女はもう23歳です。月日が経つのは早いものですが、まだ20代半ばという見方も今は出来ます。というわけで続いては2012年の大ヒット曲「サラバ、愛しき悲しみたちよ」。パフォーマンスは勿論、生演奏だと布袋寅泰が作った楽曲の迫力も一段と増します。ラップパート中心の「The Diamond Four」は、彼女たちの新しいフェス定番曲と言って良いでしょうか。バンド紹介のMCを挟んで「笑一笑~シャオイーシャオ!~」は4人になってからの代表曲、これまでとこれからを強く意識した歌詞が胸を打ちます。ラスト2曲は「ココ☆ナツ」「走れ!」。「ココ☆ナツ」の例の振り付けでは、やはりサークルが複数発生しました。初期からずっとももクロを支え続けていた2曲、今後もフェスに限らず多くの現場で何度もパフォーマンスされることでしょう。

 その激しい振り付けは、大ヒットしても10年は続かないだろうというのが初めて彼女たちを見た8年前の推測でしたが、とんでもない誤りでした。ライブアイドルの先駆者として、彼女たちの新しい歴史はこれからもまだまだ作られていきそうです。

KEYTALK(GRASS STAGE)

 KEYTALKもフェスで複数回見ていますが、若干アウェー感の強いステージだったりものすごく後ろの方だったり、先日見たメトロック大阪では音の状況が悪かったので、一番凄い状態の彼らをこれまで見ていません。ですが、開始前の人の集まりと始まりの第一音で、このステージは思いっきり本来の力を出せるホームのKEYTALKと確信。「BUBBLE-GUM MAGIC」に始まり、早速「MATSURI BAYASHI」「YURAMEKI SUMMER」で飛ばしまくっています。彼らの場合ファンでなくても曲に合わせて踊れる人が多いとは思いますが、それでもフロントだけでなくそこそこ後ろでもオーディエンスの動きはかなりの揃い具合。

 水分補給の重要性を力説するボーカル&ギターの巨匠こと寺中友将ですが、アルコールは水分出ていきますのでと話す彼の手には思いっきりビール。というより、最初の時点でコップに入ったビールを持って飲んでます。勿論これは、今に始まったことではない様式美みたいなもの。随分テキトーなMCのやり取りに、あらためて4人の関係性の良さを感じたところで「Love me」。さらに「ララ・ラプソディー」「桜花爛漫」、新曲「真夏の衝動」と続きます。「MATSURI BAYASHI」などのお祭り騒ぎも見事ですが、これらの楽曲群におけるメロディーの良さもKEYTALKの大きな長所。ツインボーカルに演奏の上手さ、4人全てが持ち合わせているライティング能力。見れば見るほどに、ロックファン意外にも大きく評価されて欲しいバンドだと感じます。

 GRASS STAGEで演奏するのが当時はフィクションのような話だったと、ベース&ボーカルの首藤義勝が話したところでインディーズ時代に作られた「fiction escape」を演奏。彼らのロッキン初出演は2014年、まだ規模が小さかった頃のPARK STAGE。メジャーデビューして間もない頃でしたが、当時のアルバム『OVERTONE』からは既に今の人気に至る萌芽が間違いなく見えていました。「Summer Venus」を経て、ラストは勿論「MONSTER DANCE」。ユルいMCも含めて安定感まで感じさせる素晴らしい内容でした。今後もしばらくは、ロッキンではGRASS STAGEに欠かせない存在として君臨しそうです。

Mrs. GREEN APPLE(GRASS STAGE)

 ここ数年人気をおおいに伸ばし続けている彼ら。フェスにも当然多数出演していますが、個人的にはようやくの初見。ロッキンは今回ついに初のGRASS STAGEですが、全くもってそう思えない位に多くの人が集まっています。後ろの方も埋め尽くされていて、5~6万は間違いなくいたしょう。先ほどのももクロやKEYTALKもかなりの人でしたが、おそらくそれよりも多かったように思います。

 最初に演奏される楽曲のイントロが鳴った瞬間大歓声。彼らの名をおおいに高めた大ヒット曲「WanteD! WanteD!」から始まります。「VIP」「Speaking」、それぞれの楽曲に知名度の差はあるはずですが、歓声の量は大きく変わりありません。サビなどの手の動きや声の揃い具合もバッチリで、圧巻でした。色々なアーティストのファンが集まっているこのフェスですが、ミセスのステージだけは全員が彼らのファンになっている、思わずそう考えたくなるほどの内容です。

 配信でリリースされたばかりの新曲「インフェルノ」、これまた今年初頭に発表されたバラード「僕のこと」。最近ブレイクするバンドのボーカルは揃いも揃って素晴らしい歌唱力ですが、大森元貴もまた規格外の上手さとキーの高さ。セッションのようなイントロから入る「Love me, Love you」ではバンドの演奏力の高さも伝わります。後半は「ロマンチシズム」「WHOO WHOO WHOO」「StaRt」。時間が経つのは本当に早く、次でラストの曲。

 夏が嫌いだったと話す大森さんですが、目の前には見渡す限りの多くの人。自分たちのステージを見てくれてノッてくれる人たちを見て、今日で夏が始まった気がしますと話すMCから演奏されるラストは「青と夏」。名曲を中心に繰り広げられるあまりにも美しい光景、歌う大森さんは少し感極まっていた部分もあったでしょうか。私もおおいに感動しました。感想はビバラで見たOfficial髭男dismを見た時に限りなく近いです。つまり言うと、時代を創るアーティストだけが出来るライブ。この一言に尽きます。

きゃりーぱみゅぱみゅ(GRASS STAGE)

 当初は移動してGLIM SPANKYを見ることを考えていましたが、今回はGRASS STAGEに残ってこのステージを選択。きゃりーぱみゅぱみゅを見るのは6年前のワンマンライブ以来、つまりもっとも勢いがあった時期です。初めて見たのは「つけまつける」のリリースイベントなので7年前、そう考えると彼女の活動歴も結構な期間に達しています。ちなみにフェスで見るのは今回が初めて。

 ステージは「インベーダーインベーダー」「CANDY CANDY」からスタート。両曲ともリリース当時とは違うアレンジ。ダンサー4人を従えていますが、MCはきゃりーのみ。ソロアーティストでも大体の場合バックバンドがいるのですが、彼女の場合本当に1人で間を持たせています。なかなか出来ないことです。広いGRASS STAGEなので、余計にその凄さが際立っています。

 続いてはみんなで踊ってもらおうということで、独特の振り付け指導のもと「演歌ナトリウム」。自ら頭おかしい曲と話すその内容は、ひたすら元素記号を演歌のリズムに乗せて歌うという極めてカオスな内容。その後がサビでひたすら同じ音を連呼する「み」というのもポイント高いです。「ファッションモンスター」を経て、再びMC。

 ステージごとにダンサーの数も変わるようで、続く新曲「きみがいいねくれたら」は1人のダンサーとデュエットで踊る形。「音ノ国」「にんじゃりばんばん」「原宿いやほい」を経てラストの「PONPONPON」もまた新たなリミックスが施されています。一曲一曲のヒットは以前ほどでないにせよ、現在でもGRASS STAGEに立つにふさわしいステージと動員数は十二分。ワンマンライブで見た時の感想は芯がしっかりした人という印象で、勢いだけでなく長く第一線で活躍すると予想しましたが、どうやらそれは全く間違いなかったようです。次に見るステージも、おそらく非常に盛り上がる比較的大きな会場になるのではないかと思われます。

グッドモーニングアメリカ(LAKE STAGE)

 グッドモーニングアメリカもようやくの初見。5年前RADIO CRAZYに足を運んだ際、レキシと彼らと赤い公園のタイムテーブルが重なって、悩みに悩んだ結果レキシのステージを選んだという経験があります。直後のイベントステージでベースのたなしんが、当時大ヒットしていたアナと雪の女王のエルサのコスプレをしていましたが、このステージでは全身タイツにタピオカのような装飾物を多数つけて”タピしん”として登場。その格好のままベースを演奏します。

 楽曲とステージは何枚もリリースされているアルバム同様、熱さを感じさせる内容。「アブラカタブラ」「コピペ」に始まり「YEAH!!!!」「言葉にならない」「突破していこう」「未来へのスパイラル」「アカクモエテイル」「空ばかり見ていた」「また会えるよね」、新旧織り交ぜたバランスの良いセットリストです。ライブそのものは十二分に満足できる内容で動員も決して少なくなかったですが、金廣真悟のボーカルはやや独特で少し歌詞が聞き取りにくい印象でした。同時期に名を上げたバンドはGRASS STAGEに立っているアーティストも多く、5年前は彼らもそういう存在になると思っていましたが、現状のCDセールスやYoutube再生回数を見る限りでは…。

Base Ball Bear(LAKE STAGE)

 ロッキン出演は今回でなんと14年連続。思えば、2009年に同じLAKE STAGEで見た時の彼らは勢いのある若手バンドでした。今回彼らを生で見るのはまさしくその時以来10年ぶり。あの時ギターだけでなくキレのあるダンスも披露していた湯浅将平は3年前に脱退してスリーピースバンドになっています。軟派な印象も少しあった当時ですが、今はすっかり硬派なイメージが自分の中で存在しています。

 満員のLAKE STAGE、「17才」からライブスタート。そういえばこの曲、最初に強い認識を残したのは元来の彼らの演奏ではなく、2014年TIFにおける結成して間もない時期のアイドルネッサンスがカバーしたステージでした。その後小出さんが楽曲提供して、解散後センターが赤い公園のボーカルに転生?するわけですが…。続いての「真夏の条件」も、2007年の同時期に発表されたナンバー。暮れゆく空の下で響き渡る3人の演奏がひたすらカッコ良いです。小出祐介のギターと関根史織のベースは向かい合って演奏する場面も非常に多く、堀之内大介のドラムも含めて場面によっては3人の距離がものすごく近くなっています。

 14回目ということで、思い出深いロッキンの話を繰り広げるMC。最初にLAKE STAGEに立った時は浴衣で演奏したそうですが、動けないわ演奏しにくいわでなかなか大変だったそう。小出さんに至っては下駄だったので微動だに出来ない状況だったとか。何かしら爪痕を残そうと考えた結果ああなったようで、あの時は若かったという結論でした。次の演奏は新しい曲で「ポラリス」、ライブ初披露の新曲を挟んで「PARK」と続きます。「PARK」はラップパートが入るミクスチャーロック、新境地と言えるナンバーと言って良いかもしれません。

 後半は「LOVE MATHEMATICS」「CRAZY FOR YOUの季節」ときてラストは「ドラマチック」、定番かつ盛り上がる楽曲で締めました。GRASS STAGEが押しているということで、アンコールも実現。すぐに再登場して「BREEEEZE GIRL」でLAKE STAGEのトリを飾りました。カッコ良い演奏の中には3人の強い絆が伝わり過ぎるくらい伝わってきて、大変良かったです。ロッキンが続く限り、20年でも30年でもそれ以上でもずっと出演し続けて欲しいと心から思えるステージでした。

2021年の追記

 10年ぶりに足を運んだROCK IN JAPAN FESTIVALは大変充実した日々でしたが、個人的にこの後バタバタしたこともあって、その後行く予定だったサマソニ大阪や氣志團万博には足を運べず。さらに年が明けて以降はとてもフェスに行ける状況でなくなったこともあって、現状このRIJFが個人的に最後に足を運んだロックフェスという形になっています。

 2020年のRIJFは中止、2021年も新年早々緊急事態宣言発令という状況でしたが、感染対策を徹底した新しい形で徐々に復活を遂げようとしています。5月は大阪のみですがMETROCK、そしてビバラやアラバキも開催が決まりました。これ以降の夏フェスも、余程感染状況が酷くならない限り徐々に復活していくことでしょう。ただその分感染対策に費用がかかる上に、捌くチケットの数も大幅に減ることが考えられます。ただその分、以前と比べて快適に見られるかもしれないという利点も考えられます。可能なら1日だけでもメトロック大阪には行こうと考えていますが…。

 空白の1年を経て、ライブ・フェスはこれまでとは違う全く新しいフェーズに入ろうとしています。これまで通りに楽しめるか、あるいは新しい楽しさを見せてくれるのか。2019年までと同じペースで行くのは正直個人的に難しそうですが、行ける範囲でウォッチしたいとは考えている今日この頃です。

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