夏の四大フェスと言えばロッキン・サマソニ・ライジング・フジロック。これらはロックファンに広く定着していますが、女性アイドルフェス界にもTOKYO IDOL FESTIVAL、アイドル横丁夏まつりと@ JAM EXPOの三大フェスが存在します。

 今回足を運んだ@ JAM EXPOは2014年初開催で今回が5回目、会場は横浜アリーナ(2016年のみ幕張メッセ)。毎年8月末の開催で、夏の終わりを感じさせるイベントにもなっています。TIFには2013年から4年連続で足を運びましたが、@ JAM EXPOは今回が初めてとなります。

 ステージは、ストロベリーステージが所謂通常のライブでも使われるメインアリーナブルーベリーステージが2Fにあるセンテニアルホール、今回ベボガ!の途中しか行けなかったですがキウイステージが4Fサブアリーナピーチステージオレンジステージ2Fロビー。トークステージも同様に2Fロビー、特典会が行われるふれあいエリアが3Fロビー、物販エリアは1F搬入口に用意されていました。

 

POEM(ブルーベリーステージ)

 WELCOME ACTとして登場したのは東北から来たアイドルグループ・POEM。勿論初見ですが、遠目から見ても体はかなり鍛えられている印象。したがってEDM主体の楽曲で踊るダンスは結構な迫力でした。歌の方はもう少しといったところでしょうか。結成3年目で、ここまで2枚のミニアルバムがリリースされているようです。

絶対直球女子!プレイボールズ(ブルーベリーステージ)

 TIFで2年前に見た時も強く印象に残った野球推しグループ。衣装は勿論ユニフォーム、小道具はバットとグローブ。背番号も偶然でしょうか意図的でしょうか、松井が「7」、黒木が「54」になっています。現在は8人メンバーがいるそうですが1人は活動休止中、したがって人数も7人に男性マネージャー2人を合わせてちょうど9人です。

 結成時からパフォーマンスしている「絶対直球少女隊」に、ジャイアンツかマリーンズの応援ばりにタオルを振り回す「内野でも外野でもいい球場へ連れて行ってね」。新曲の「ブロックサイン」はおそらく史上初ではないでしょうか、振付にブロックサインを取り入れてるパラパラナンバー。ラストの「ダイビングキャッチ」はもう定番になっている、サビで「R.Y.U.S.E.I.」ばりに一緒に踊る振付が非常に楽しいEDMナンバー。

 コンセプトが大変ハッキリしていているだけでなく、踊りも楽曲も非常に精度高い内容で構成されています。これ以外の楽曲も「WE are UMPIRE」「Standing Double」「恋の牽制球」「バ・バ・バ・バント」という具合で、かなり鋭い所をついています。さすがにこのグループが女性アイドル界の頂点に立つことはないとしても、メンバー入れ替えを繰り返しながらファンに支えられて末永く続く可能性はおおいにありそうです。少なくとも今後生き残るグループであることは間違いなさそうで、おそらくここの運営はかなり有能ではないかと思われます。いずれは球場で、もしくは思い切ってワンマンでも見てみたいですね。意外と3年後くらいには一番見る回数が多いアイドルになっているかもしれません。

ミライスカート(ピーチステージ)

 京都を拠点に活動している4人組…のはずがメンバーが次々抜け、それどころか昨年はマネージャーまで抜けて事務所も契約終了になるという大変な苦労を経験している児島真理奈のソロユニット。前半はおそらく4人時代の楽曲、MCを経て後半はソロになってからの「逆境ガール」という構成。持ち時間10分で考えていた構成が実は15分だったというオチがあったようですが、MCでしっかり繋げます。確かにそこで話していた昨年の苦労を考えると、これくらいのハプニングは微々たるものです。

 それにしてもこの人、ステージでは常に笑顔を絶やさず口調も明るく性格も良さそうで、パフォーマンスは歌・ダンスともに間違いない存在感。そこには悲壮感などまるでありません。ステージに立つプロとして素直に尊敬できる姿です。どんな形でもいいので彼女にはなんとか報われて欲しいと、心から願うところです。

まねきケチャ(ストロベリーステージ)

 初の日本武道館ワンマンが決定、前日にも日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブが行われましたが、歌の面で非常に大きな役割を担っている藤川千愛がそこで卒業発表。3月に活動休止期間があったので予期できない話ではないですが、ファンとしては大変辛いところ。

 ステージは定番曲「冗談じゃないね」からスタート。アイドルフェスに名を連ねるようになってからずっと歌われ続けるアゲ曲で、所謂インディーズ期の定番。ヲタ芸・コールでスタンディングエリアも大盛り上がり。ただその後歌われた配信の新曲「昨日のあたしに負けたくないの」「相想い」は思いっきり聴かせる楽曲。ふと考えると、今年のアルバム『きみわずらい』も概ね聴かせるナンバーが占めていて、「冗談じゃないね」を求めていそうなヲタからはかなり遠いと思われる音楽性。曲そのものは良く、ステージも千愛ちゃんだけでなくおそらく松下玲緒菜でしょうか、もうひとり歌唱力高い人もいるのでその点では問題ないのですが…。

 メジャーデビュー曲となった「きみわずらい」、歌い出しから藤川千愛が熱唱します。結局ここで卒業するという話は一切出て来なかったですが、彼女の歌声と歌詞を照らし合わせるとこれまで見た中で感じたことないほどの悲壮感。正直色々と辛かったです。千愛さんは本来の能力だけでなく、卒業発表の際に書かれたメッセージを見ても確かに、ヲタ芸も入るアイドルよりソロで歌手としてやっていく方が間違いなく良さそうですが、グループの方はどうなるでしょうか。何を目指すべきなのか具体的には思いつかないですが、現状だと期待よりも心配の方が先立ってしまったというのが正直な感想です。

 

amiinA(オレンジステージ)

 ここ最近のアイドルファンから非常に高い評価を得ている2人組。「Canvas」「Avalon」「Callin’」「Jubilee」の4曲を披露。

 楽曲の作り込みに定評があるようですが、如何せん横浜アリーナの通路なのでその点では何とも言えず。ただメンバー2人の動きを見ると、思いっきり大きな動きでとびっきりの屈託ない笑顔。振付も決して簡単なものではありません。言うならばスタイリッシュに洗練されたBabeといったところでしょうか。とにかく見ていてすごく気持ち良く、元気をもらえるアイドルという印象を強く持ちました。磨けば光る原石という点では間違いなく、いつかライブハウスかそれ以上に大きなステージで何らかの形で成長した姿を見たいです。音楽的には10代20代の頃だけでなく、それ以上の年齢になってもしっくりきそうなので…。

 

なんきんペッパー(オレンジステージ)

 iTuberという、アイドル×YouTuberをテーマにして活動するJK4人組。メンバーは元・ぷちぱすぽ☆の2人と元・PALETの2人。ですので事務所はプラチナムです。正直申し上げると、コンセプトからしてうまくいく予感があまりしないのですが…。ただ動画配信ペースは確かにかなり高いようです。

 楽曲は「ラブファンファーレ」「Aitai Aitai」、先輩のPASSPO☆から派生したグループ・はっちゃけ隊が歌っていた「Born This うぇ~い」。平均的な歌唱力やダンスの動きは勿論申し分なし、楽曲も強い個性はないですが悪くはありません。実際物販エリアでチェキ券の販売列に遭遇しましたが、結構な人数が並んでいました。どちらかと言うと、楽曲より一人一人の個性を伸ばした方がグループの人気も上がるというタイプに見えましたが、どうでしょうか。動画配信もそうですが、MCなどで何かかわいい以外にも好きになれる要素が欲しいところです。

 

Task have Fun(ストロベリーステージ)

 こちらも個人的に初見初聴ですが噂には聞いているアイドル。実際デビュー2年でストロベリーステージにまで立っているので本物なのは間違いなさそうです。レーベルはまだインディーズですが、2017年の「3WD」はアイドル楽曲大賞インディーズ部門1位。期待の3人組アイドルです。

 セットリストは「TASK」「ギュッと、チュッと」「ラブグリッター」「キミなんだから」「3WD」。あえて情報なしのフラットな状態で見ると、核になるのはやはり最後に演奏された、書道で書いた字を冒頭に掲げる「3WD」なのだろうと思いました。ですが演奏された楽曲全体には強い傾向があまり見受けられず、所謂粒揃いのナンバーがひしめいているといった印象を持ちました。それゆえに歌もダンスも水準以上で能力高く、所謂万能型のグループと言って良さそうです。

 ただ一番買える部分は、楽曲やダンス以上にMCや煽りから垣間見えるしっかりしていそうな性格・精神力の強さ。メンバーの年齢は15~16歳のようですが、この若さで子どもらしさをあまり感じない点は今のアイドル界でもかなり貴重な存在だと思いました。いわゆる”強い”グループになることは間違いなさそうで、また3人組女性グループは先人たちを見ても一番大きな可能性を感じさせる組成。中堅~ベテランどころが確実に少なくなる来年、単体としてだけでなくジャンルを牽引する役割としても彼女たちにかかる期待は非常に大きくなりそうです。次に見る機会はもしかすると、アイドル現場ではなくバンドが多く出演するロックフェス辺りになるのかもしれません…。

あゆみくりかまき(ストロベリーステージ)

 大きな旗を振って、”1, 2, 3, あゆくまー!”とみんなで叫んで「反抗声明」でカッコ良くスタート…といきたいところでしたがDJの音が出ないハプニングが2度。”こういったハプニングは初めて”””今日は貴重なライブです!”といった具合で冒頭MCで繋ぎます。あまり大きな動揺を見せない辺り、さすがアイドルフェス以外にも多くのステージを経験しているだけあります。というわけで結果”1, 2, 3, あゆくまー!”と3回みんなで叫ぶ展開、かえってこの方が見る側にとっては得な展開だったかもしれません。

 「反抗声明」「KILLLA TUNE」で早速アゲにかかり、新曲として披露されたのはプリプリの名曲カバー「19 GROWING UP」とインディーズ期のリメイク「アナログマガール’18」。ラストは今年のアルバムに収録されている「未来トレイル」、スタンディングエリアではものすごく大きなサークルが作られました。シングル曲とともに、この曲もおそらくあゆくまのライブでは中心的な役割を担う楽曲となっていきそうです。

 新進気鋭のグループを続けて見た後に彼女たちを見ると、やはりステージ運び・盛り上げ方が圧倒的。格が違うという一言が瞬時に出ました。MTGと書かれたアーティストTシャツを着ているファンの割合も高く、熱く支持されていることがよく分かります。一つだけ気になるのは、それらの面々に10代~20代と思われる若い人がほとんど見受けられなかったこと。ですのでライブ環境は他のアイドルと比べると良さそうですが、浮動層の集まりという点を考えるとやはり気になります。実力もさることながら、ロッキンなどフェスに出てる回数も他アイドルより格段に多い割に、ファンの数やCD売上・動画視聴回数などがあまりにも少ないように思えてならないので…。

 

PASSPO☆トリビュートステージ(ストロベリーステージ)

 アイドルフェス黎明期からずっと共演している長年の戦友・アップアップガールズ(仮)が「向日葵」、SUPER☆GiRLSが「マテリアルGirl」をカバー。両組ともにPASSPO☆に対する想いがふんだんに伝わっていました。泣いているメンバーもいました。ラストはPASSPO☆の7人も登場して「Dear My Friends」。そこには”絆”という文字が瞬時に思い浮かびます。PASSPO☆が来月で解散しようとも、ファンだけでなく一緒に共演したアイドルにとってもきっとかけがえのない存在なのだろうと、あらためて感じる温かいステージでした。

 

大阪☆春夏秋冬(ストロベリーステージ)

 TOKYO IDOL FESTIVALで、私を含めて初めて見た人ほぼ全ての度肝を抜いたのが3年前。個人的に見るのは2年ぶりですが、その間にメジャーレーベルに移籍しています。久々に見た彼女たちの姿は着崩した和服姿、メインボーカルのMAINAは右肩を出しています。着こなしは大変美しくかつセクシー、もうこの時点で優勝と言いたくなるくらいの勢いでした。

 今年6月のアルバムから中心に、「SSFW」「Evolution」「New Me」「世界には僕らだけ」「See you again」「Let you fly」という選曲。どの曲も世界観が徹底して素晴らしく、ショーとして大変見応えありましたが、やはり特筆すべきはMAINAの姿。極めて高い歌唱力に彼女しか出せないようなオーラまで加わっていて、まさしく無敵状態。どう見てもフェスの1ステージでなく、ワンマンライブとしてこの大きな横浜アリーナの舞台に立つべき存在だと感じたのは言うまでもありません。ファッションリーダーとして女性ファンの獲得も十二分に可能性あり、歌唱力だけでなく楽曲・音楽性という点から見てもアイドルファン以外の音楽ファンにウケる要素はおおいにあり。所属しているエイベックスはここ最近BiSHをおおいに売り出していますが、こちらにも更に資本を投下して積極的に売り出して欲しいとあらためて願うところです。

 

チームしゃちほこ(ストロベリーステージ)

 アイドルフェスだけでなくRO社主催のフェスにも出演していて、こういったフェスには慣れているイメージですが意外にも@ JAM EXPOは今回が初出演。メンバーの伊藤千由李は10月をもってグループ卒業、5人のしゃちを見るのはおそらく個人的にこれが最後になると思います。他のニュースが大きいせいか、あまり話題になってない印象もありますが…。

 今回のセトリは「We are…」「START」「そこそこプレミアム」「BURNING FESTIVAL」「抱きしめてアンセム」「雨天決行」。「BURNING FESTIVAL」はRADIO FISHとコラボする新曲、それ以外も定番曲「抱きしめてアンセム」と「そこそこプレミアム」以外は比較的新しめのナンバー、シングル表題曲は一つもなし。それでも「START」「抱きしめてアンセム」の完成度は大変高いので、結果的にはやはりスタダの高い実力を見せつける結果になったと言って良さそうです。

 あらためて見ると、5人それぞれあるソロパートで伊藤千由李が占める割合は思いのほか高かったです。抜けた穴が心配になりますが、諸先輩方もしゃち自身もそこをしっかり埋めて余りある活躍を見せています。来年の今頃はまたきっと、違和感なく受け入れて見られるような活躍をあらためて願います。

 

9nine(ストロベリーステージ)

 このグループも活動歴はかなり長くなっています。冒頭に歌った「SHINING☆STAR」はもう7年前の曲、その後に歌われたダンスメドレーも何曲かはリアルに懐かしい気持ちになりました。川島海荷が抜けて4人組になりましたが、まだまだ健在のようです。真っ白な衣装が良かったですね。ただEDM主体の曲がこういった形で続けざまになる選曲は、良く言えば世界観が一貫していますが、個人的にはメリハリが足りないように聴こえてしまいました。ステージの内容は十二分に高いクオリティーですが、アイドル好きの若い子や楽曲派と言われる方々をファンとして今新たに呼び込むには些か苦しいような気もしました。もっとも彼女たちのキャリアを考えると、今さら新しいことをやるよりも長くグループを続けること・既存のファンを離さないことの方を優先しているのかもしれないですが…。

 レプロはベイビーレイズJAPAN、さらにバニラビーンズも解散という形になりました。PASSPO☆が解散するプラチナムはまだ新しいアイドルやミュージシャンもいて多少は何とかなりそうですが、こちらはもうアイドルに関して言うと本当に新顔がいません。そもそもよく考えると事務所自体ここ数年あまり良い話題がありません。心配です。

 

Negicco(ストロベリーステージ)

 9nineのキャリアも長いと書きましたが、それはオリジナルメンバーだった2人のことで2005年結成・お馴染みの5人編成になったのは2010年のこと。一方Negiccoは2003年に結成で今年で15周年、メンバーも途中1人抜けはしましたがその後はずっとNao☆・Megu・Kaedeの3人。拠点が新潟で事務所も弱小、途中活動が極めて難しくなるタイミングもあった中で今年ついに朱鷺メッセワンマン実現。彼女たちの素晴らしい部分は多々ありますが、今回のステージをあらためて振り返ると15年経っても新しい挑戦をし続けていること、これに尽きるのではないかと思います。アルバム『MY COLOR』収録の「ノスタルジア」に始まり、定番の「ねぇ バーディア」「トリプル!WONDERLAND」で盛り上げて新たな盛り上げ曲になりつつある「キミはドリーム」、ラストは3人の歌声で思いっきり聴かせる「雫の輪」。歌唱力に関すると更に上手いアイドルは多くいますが、歌声の綺麗さは3人のパーソナルな素晴らしさにも直結しています。素直に感動しました。

 考えてみると、彼女たちはおそらくここ数年でメジャーレーベル移籍の話もなくはなかったと思いますが、結果的にT-Palette Recordsに残留したことが全てにおいてプラスに作用しているような。今となればそんな気持ちになります。どんなことがあってもNegiccoだけは今後、地道に良質な楽曲を歌い続けて確実に支持され続ける、そんなグループであり続けることでしょう。そして、そうであって欲しいと強く願いたくなる名ステージでした。

 

DEAR STAGE スペシャルショーケース w/でんでんバンド(ストロベリーステージ)

 でんぱ組.incのライブに帯同しているでんでんバンドの生演奏で、ディアステージ所属のアイドルが1曲ずつ生演奏でライブ披露。バンドのセッティング中に時間繋ぎ?で登場したのはニァピン(ピンキー!/でんぱ組.incと星野にぁ/妄想キャリブレーションの2人ユニット)。「ニアピンGIRL」を披露後、このユニットでアルバムリリース決定の告知を発表。以下はバンド生演奏で、CHEHON「はりぼて」虹のコンキスタドール「ずっとサマー恋してる」ベボガ!「ビマベ!」妄想キャリブレーション「Hey Yo!」、ラストは全員登場で妄キャリの「激ヤバ∞ボッカーン!!」。元々の曲を知らないので生演奏と言われても個人的に有難味は特になかったのですが、当然ファンにとっては普段と違う色合いで見られるステージ、アイドルにとっては貴重な経験。間違いなく良い企画です。

 ディアステージもHPであらためて見るとでんぱ組.incを筆頭に抱えているアイドルの数は非常に多いです。もう4846系・ハロプロ・スタダに続く第4勢力と考えて良さそうです。考えてみれば、ハロプロは言うまでもなくアイドルがメインの事務所で、スタダもアイドル部門はアイドル部門で部署を作ってます。ディアステージあるいはBiSHが所属しているWACKもほぼアイドルに特化していて、4846系も乃木坂欅坂はグループのために合同会社をそれぞれ作ってます。一方メンバーが各事務所に所属しているAKB48は時流もあれど現在の状況は苦しく、先述した通りレプロやプラチナムといったところは伸び悩み及び解散という状況。つまり言うと、細かく乱立している地下は別としても、古くからある大手~中堅の芸能事務所が今の女性アイドル市場に手を出す余地は完全になくなり、新しくアイドル部門に特化した事務所で寡占化したのが今の女性アイドル市場と考えて良さそうです。その巨大な勢力に中小どころの若手がどう食い込めるかが、シーンを面白くする鍵になるのではないでしょうか。

 

でんぱ組.inc(ストロベリーステージ)

 DEAR STAGEの仲間を前座として7人が登場する形。3年前にはワンマンライブも行きましたが、新メンバーが加わってから見るのは今回が初めて。フェスではお馴染みの生バンド編成ですが、よく考えるとこれまで遭遇したことは一回もなく。というわけで生バンドででんぱ組.incを見るのも今回が初めてとなります。

 圧倒的なスピードに詰め込まれる多種多様な音の数、それ故に演奏は特にドラムが大変です。普通に聴いていても音で溢れるくらいですが、これにバンド音と7人のダイナミックな動きが加わるので、かなりの情報量になっています。色々見ていて追いつかない部分もありましたが、それ故に満足度は非常に高かったです。いきなりのド定番「Future Diver」はお馴染みの6人編成よりも更に前に生まれたナンバーなので、見ていて大変感慨深いものがありました。今年のシングル曲「ギラメタスでんぱスターズ」、見事なまでにでんぱ色にアレンジされた「ムーンライト伝説」「NEO JAPONISM」に実に玉屋2060%色満載で安心できる新曲「プレシャスサマー!」。彼女たちがのし上がった理由はこれまでになかった楽曲・ライブ双方の凄さと新しさとアイデア、久々に見ることであらためて感じ入ることができました。ラストはDEAR STAGE所属のアイドル総出演で「でんでんぱっしょん」。何十人もがリボンを振りながら舞い踊る光景は、おそらくずっと忘れられない名場面になりそうです。

 

PASSPO☆(ストロベリーステージ)

 アイドルフェスの歴史は、そのままPASSPO☆の歴史と重なります。TOKYO IDOL FESTIVALの第1回開催と初ワンマンライブが行われた年は同じ2010年。以降おそらく、メジャーどころのアイドルフェスに出演した数が一番多かったのも彼女たちだったのではないでしょうか。確かに彼女たちよりも人気を博したアイドルは他にもいますが、アイドルフェスの一ページとしてもロック色強い音楽を持ち味とするアイドルとしても歌唱力に秀でたメンバーが属する実力派としても。間違いなく先駆者であったように思います。

 初めて足を運んだ2013年TIF以降、毎年のようにフェスあるいはワンマンでも見ている彼女たちのライブですが、今回のステージは本当に一曲一曲噛みしめてパフォーマンスしているという印象でした。普段のライブでも勿論そうですが、この日は一つ一つの歌声とパフォーマンスがいつも以上に心に響きました。楽曲はメジャーデビュー曲「少女飛行」「夏空HANABI」「ViVi夏」「HONEY DISH」を経て「Pretty Lie」。いずれもフライト定番曲で何度も見たからこそ感じ入る部分も多くなります。ラストは昨年発表のアルバム『Cinema Trip』に収録されている「Music Navigation」。PASSPO☆らしさを最も表現していると言っても良いこの曲とアルバム、音楽シーンどころか女性アイドルシーンでも大きく話題にならなかったのが本当に残念でならないと今でも思ってます。それ以上に来年彼女たちのステージを見ることが出来ないことが残念を通り越して無念でありますが…。あと1ヶ月、中野サンプラザのラストフライトは2日後のベビレラストライブとともに、忘れられないステージになりそうです。

 

私立恵比寿中学(ストロベリーステージ)

 昨年初めから相当なペースで彼女たちのライブ・学芸会には足を運んでいますが、よく考えるとフェスで彼女たちのライブを見たことはありません。JAM EXPOには毎年出ていて、昨年はファミえんで3時間野外ワンマンをやった次の日にストロベリーステージのトリ。ただTIFは昨年が5年ぶり出演で他のロッキン系フェスに呼ばれるのも最近になってから。これは現役中学生が多かった年齢的な部分もありそうです。今はリアル中学生がいなくなって久しく、そろそろ最年少の2人も高校卒業というぐらいなので、来年以降は相当色々なフェスに出る予感が早くもしますが。

 「MISSION SURVIVOR」のイントロに乗せて真山りかがラストに向けて気合いを入れる一言、それだけで会場の空気がガラッと変わります。いきなりタオル回しの曲で盛り上げて超定番の「ちちんぷい」、続く「君のままで」は思いっきり歌い上げる安本彩花の熱唱がとにかく心に響きます。元々エビ中でも非常に歌唱力高いメンバーではありますが、また更にパワーアップしたような気がしました。直後のMCは相変わらずといった所でしたが。

 先日配信となった新曲「朝顔」「イート・ザ・大目玉」もまた素晴らしい内容。「朝顔」は非常に感じ入ることの多い歌詞とセリフパートが印象的、「イート・ザ・大目玉」は何と言ってもメンバー2人ずつハモるシーンが聴きどころ。前者はスカが入ったポップ、後者は相当ロック色の強いナンバー。そこから「HOT UP!!!」に繋ぐセトリは考えうる限り最強の組み合わせ。ここ最近出演していたRO社主催のフェスでも彼女たちのステージは大好評のようですが、これを見れば当然でしょう。そこからラストで「仮契約のシンデレラ」に持っていけるのがエビ中の恐ろしさ。発売当時はネタ曲同然の扱いと考えていましたが、それがTOTALFAT提供のメロコアから並べてもギャップはあれど違和感ない程にまで成長しています。恐ろしいことです。

 ワンマンで見るとその質の高さに慣れて凄さに気づかない面もありますが、フェスでラストに見ることであらためて分かりました。もう彼女たちの凄さは別格です。本当に順番で言うとメインのトリ以外あり得ません。メンバー全員が他だと確実にメインに立てるほど高い歌唱力・表現力を持っているグループは、今あらためて振り返っても彼女たち以外にはいないですね。逆に言うと、スタダだけでなくそれ以外の女性アイドルから見ても超えるハードルはものすごく高いです。エビ中自体もそうですが、どのグループが彼女たちの域にまでより近づけるかを検証するのも今後のシーンの楽しみになりそうです。

 

~おわりに~

 ラインナップ的にも時流的にも5年間女性アイドルグループを見てきた総決算のつもりで今回足を運びましたが、あらためて振り返ると自分の中で覇者が完全に決まった形になりました。素晴らしいステージが多くあった中で、それだけラストのエビ中が圧倒的だったということです。同時に、ベテラン新顔ともに現在でも伸びを感じるアイドルは、ステージでも楽曲パフォーマンス含めて果敢に新しいことへの挑戦が見られて面白いということですね。最低でも1人歌唱力高いメンバーが所属しているのは、今となってはグループが伸びる上で当たり前の条件になってると言って良さそうです。当然ルックスや対応に関してはそれ以前の問題で。

 女性アイドルグループの市場縮小はここ2年くらい間違いないですが、詰まるところ選別中といったところが本当の実情なのかもしれません。それ故にこういったフェスを開催する際に頭数の減少が気になるところですが、こういったTIFや@ JAM EXPO出演をまずは目標にする地下アイドルの数は想像する以上に多いものです。ただ運営の手腕もネットで特に色々言われている昨今、出てくるならやはりファンだけでなくステージに立つアイドルが幸せと感じられるような、そういった所が一組でも多く広く世に羽ばたいて欲しいですね。次にこういったアイドルフェスに行く機会、もしかすると暫く先になるかもしれません。その時にジャンル全体がどう変わっているのか、楽しみにしたいです。