2017.6.17 YATSUI FESITIVAL! 2017 1日目 in 渋谷各ライブハウス

 コントグループとして活躍しているエレキコミック。そのボケ担当であるやついいちろうは以前から音楽に造詣が深く、2005年のCOUNTDOWN JAPANを皮切りに数多くのフェスでDJ活動を繰り広げています。その中で親睦を深めたミュージシャンは数多く、ついには2012年にYATSUI FESTIVAL!という形で自らの主催フェスが実現しました。

 音楽とお笑いを融合させた幅広い顔触れは大変に好評で、年々規模を拡大させています。当初から渋谷に多くある各ライブハウスを使用していますが、最初5ヶ所で1日開催だったのが今年は12ヶ所で2日開催。チケットの売れ行きも例年好調で、この時期の風物詩として完全に定着しています。以前から気になっていましたが、今回ついに初参戦。2日間足を運ぶ形にしました。

DJやついいちろう~神谷 明(TSUTAYA O-EAST)

 やついフェスのメインステージはTSUTAYA O-EAST。1300人のキャパはライブハウスとしてかなり大きい部類になります。チケットは早割チケットと一般チケットが存在していて、より早い時期に購入した早割チケットを持っている人は一足先に入場できます。残念ながら私は一般だったので、早くから並んでも入場できたのは12時半。その頃にはDJやついのプレイは既に始まっていました。

 プレイされた曲は「ロックジェネレーション」(天才バンド)「ultra soul」(B’z)「ultra soul」(andymori)「最後まで楽しもう」(吾妻光良)「最後まで楽しもう」(吾妻光良)「クラブナイトにおいでよ」(andymori)「きらきら武士」(レキシ)「うれしい!たのしい!大好き!」(DREAMS COME TRUE)。やはり「ultra soul」を知らない人は会場に全くいないようで、指示がなくてもオーディエンスが勝手に一体感を出しています。”ゆくゆくはこの人にも出て欲しいなぁって”と言いながらかけたのはドリカム。あり得ないだろう、と言いつつも超ノンジャンルなこのフェス。意外と来年辺りひょっこり出るかもしれません。撮影タイム、「オーシャンゼリゼ」(奇妙礼太郎)を経て開会宣言。ただこれは毎年決まった人が担当しているようです。

 その人は声優の神谷明大先生。颯爽と舞台に登場します。御年70歳ですが、全くそうは見えません。50代くらいが妥当でしょうか。往年のアニソンをメドレー形式で次々歌います。「バビル2世」「ゲッターロボ」「勇者ライディーン」「キン肉マンボ」「キン肉マン Go Fight!」、とんでもない声量です。アニソン歌手の歌唱力が凄まじいことは、平成でも昭和でも変わりないようです。いや、熱さでいうと昭和の方が上でしょうか。水木一郎・串田アキラ・ささきいさお・影山ヒロノブ…挙げていくとキリがなさそうです。

 のっけから盛り上がりに盛り上がったステージ、勝手にアンコールと称して「牛丼音頭」を数秒披露。無駄に大きく気持ち悪いやつい人形も登場して、神谷先生とやついで開会宣言。先生はラストにケンシロウの”アータタタタタ…”も披露して、まさにサービス精神満点でした。

渋さ知らズオーケストラ(TSUTAYA O-EAST)

 名前は耳にしたことありますが、どういう音楽を演奏しているかは個人的に全く知らなかったアーティスト。老若男女、かなりの人数が入場します。ギター・ベース他のバンドパート、サックスやトランペット他の管楽器パート、コーラスの方もいらっしゃいます。そして何と評すれば良いのか分からないダンサー?も数名。入場時から各パート、ガンガンに音を鳴らしています。指揮者らしき方が盛り上げます。曲が始まっているのかどうかも、よく分かりません。

 ものすごい人数の演奏、迫力が凄いです。一人ひとりの腕も確かなようで、ソロパートは全員聴き応えのあるものでした。ただやはり気になるのはそれ以外の動き。水色の服を着たコーラスの方はマイクが目の前にありますが、ほとんど声が目立っていません。全身真っ白の女性はいわゆるダンサーでしょうか。管楽器と女性の踊り子2人という編成は米米CLUBのようですが、音楽にポップな要素は一切ありません。脚立に座る女性2人は、ずっと一定の動きでバナナを動かしています。DJブースの上に立ちながら踊ってるインディアン風の女性もいます。舞踏の男性ダンサーもいます。そして初老と思われる指揮者は、タバコを何本も吸いながら色々指示しています。酒も飲んでます。極端にラフで、少なくとも指揮者という風には見えません。アングラそのものといった雰囲気です。

 後半からは仙人みたいなダンサー?も登場しました。女性コーラスの方がようやくソロで歌い始めます。「平和に生きる権利」という曲はとてもスケールの大きい曲で、一気に大団円感が会場中に生まれました。最後はエンディングテーマらしき?軽快な曲を演奏して終了。そのまま全員はけます。

 最初から最後まで全く見たこと無いような光景で、新鮮というよりも驚きの感情が大きいステージでした。なんだかよく分からない、という感想も正直ありますが、このセッションを一つの楽曲・音楽として成立させる腕はものすごいです。調べてみると、彼らは海外でも数多くのステージに立っている実力派。中心となっているのは、やはり指揮者であり見た目アングラそのものと言える不破大輔。この人はやはり天才なんでしょうか。いずれにしても、また機会があれば見たいステージです。

岡崎体育(TSUTAYA O-EAST)

 前日はMステに出演、アルバム『XXL』も発売されたばかりでますます絶好調。昨年一昨年とカミコベで見ていますが、今は完全に勢いが違います。そういえば一昨年初めて見た時はまだインディーズでした。カミコベ以外で見るのは今回が初めて、やついフェスの中でもトップクラスに楽しみなステージです。

 「Open」でカッコ良く始まってまずは「Explain」。いわゆる曲の構造だけ説明する歌詞で、途中口パクになる楽曲です。口パクになる部分で笑いより歓声が上回る辺り、この曲が定番になった証でしょうか。直後のMCで、アメリカのサンフランシスコで流行っているらしい”イェーア!”を紹介。伸ばすのではなく揃って切るのが気持ち良いのだそうです。岡崎体育のライブにおける”イエーイ”は”イエーア”で統一するという形のようですが、一曲終わると皆さんそれを忘れているようでした。そのたびに彼がいちいち怒るのも、おそらくお約束なのでしょう。

 「Call on」はコール&レスポンスをやってもらう曲。ところがそのコールが極めて難解。いきなり長々と英語を要求したり、無茶なリズムを要求したりと言った具合で誰ひとりレスポンス出来ません。おかげでライブ中だというのに怒り出してしまいました(むろんそこ含めてネタです)。続いては盛り上がる曲ということで、今回のアルバムにも収録されている新曲「We can get over it」。これもなかなかくせ者で、途中急にトラックが止まってしまいます。むろん本当に故障したわけでなく、ファンのコールで盛り上げて音が治ってまた演奏が始まるという流れ。「Voice of Heart 2」はもうお馴染み、自己陶酔バラードから途中自虐ツッコミに変わるという内容。全く外すことのない楽曲がずっと続きます。

 定番の「FRIENDS」はやはり素晴らしいです。関係者席にも出演者が多くいるのですが、そこに向かって”覚悟しとけよ!”との前フリ。パペットとのほのぼのした雰囲気からバンドざまぁみろを経て最後はACで落とすという展開、もう完全に分かってはいるのですが何度見ても笑えます。ラストは「Q-DUB」で締め。

 Twitterと同様、アルバム10万枚売ることをマジメに宣言していましたが、YouTubeで再生されまくってる「感情のピクセル」「Natural Lips」をやらない辺りに彼の美学を感じた次第。笑いの要素が多々あるステージでしたが、目は間違いなく真剣な眼差し。本気を感じさせる内容で、どこまで伸びるかいよいよ楽しみになってきました。さいたまスーパーアリーナ単独公演という目標も、そろそろ夢でなくなる日が近づいてきたような気がします。

アップアップガールズ(仮)(club asia)

 TOKYO IDOL FESTIVALでは4年連続で見ていますが、それ以外となると実は今回が初めて。仙石みなみと佐藤綾乃が今年中に卒業することを発表、おそらくこれを逃すと現体制のアプガはもう見られない可能性が高いということで選んだ形。直前のステージが新しいアップアップガールズ(2)だったので、出来れば合わせて見たかったところですが今回は岡崎体育優先でスルー。同時間帯はあゆみくりかまきやBiSも重なっていて、なかなか難しいところでした。他にも見たいアーティストが重なっている時間帯は数多く、個人的にはそこがやついフェス最大の悩みどころとなっています。

 さてアプガのステージですが、オーディエンスは想像以上に男性率高め。それも若い人より30代以上の方が多い印象でした。考えてみれば彼女たちも結成7年目、アイドルとしてのキャリアはかなり長くなっています。楽曲は定番の「アッパーレー」からスタート。スカのリズムが入るノリノリの曲、大変運動量多く細かい振り付け。これはメンバーだけでなくオーディエンスも同様で、全員一緒に動くパートが多いこと多いこと。楽しいですが双方間違いなく体力を使います。2曲目、今年の新曲「アッパーディスコ」は(2)のメンバーも登場。文字通りの聴きやすいディスコナンバーですが、心なしか振り付けはおとなしい印象もありました。もちろんあくまでアプガ基準での範囲ですが。

 「ジャンパー!」「青春の涙」「キラキラミライ」、ノンストップ。いずれもYouTubeでPVを見ただけでは伝わらない大迫力。知っている知らないは別として、体を動かさずにはいられない雰囲気。時間が経つのはあっという間、ラストを締めくくるのはやはり「アッパーカット!」。2012年以来ほとんどのライブで欠かさず演奏されているナンバーです。TIFでも間違いなく複数回見てるパフォーマンスですが、これが現体制で見るのがラストとなるとやはり感じ入るものがあります。もっとも卒業は秋頃なので、もしかするとあと1回くらい見られるかもしれないですが…。

 ステージは素晴らしかったですが、club asiaは狭い会場ということもあってか音はあまり良くなかったです。大人数だと難しい部分もあるでしょうか。古川小夏のマイクは特に音の入りが悪かったような…。

DJみそしるとMCごはん(CLUB HARLEM)

 普段はヒップホップのライブで使われることが多いCLUB HARLEM。DJブースから向かって右側の壁はそのまま大きなビジョンになっていて、雰囲気抜群。渋さ知らズオーケストラ同様、こちらも名前だけは聴いたことあるけど…という認識のアーティスト。タモリ倶楽部で見た記憶はあるのですが。

 ステージに登場したのは男性DJと女性MC。ただそれぞれDJみそしるとMCごはんに分かれているわけでなく、女性MCの活動名が”DJみそしるとMCごはん”なのだそうです。略しておみそはん。

 まず最初に披露されたのは鰤をテーマにした曲。ご丁寧に鰤という漢字が書かれたフリップも用意しています。タイトルは「ブリ照り」…でいいのでしょうか。次の曲もユニークで、じゃがいもをテーマにした曲のようです。ジャカジャカジャンケンならぬ、じゃがじゃがじゃんけん。会場のみんなとジャンケンします。タイトルは「The Gang Eat More」のようでした。

 「アイスクリーム」を経て、今度は「食いモンドウ」という曲を披露します。会場にいる人に手を挙げてもらい、当たった人に嫌いな食べ物を尋ねます。前方にいた彼はどうやら梅干しが嫌いな模様。それを好きになる解決策をアドリブでラップ。ちなみに今回の回答は”好きな女の子にあ~んって食べてもらえば、女の子と一緒に梅干しが好きになるよ”という内容。果たして彼はそれが実践できるのでしょうか…。

 という具合で、他も「おまんじゅう」とか「ジャスタジスイ」とか。ラップはラップですが、一貫して食べ物か料理のことしか歌っていません。いわゆるヒップホップならではのdisと全く無縁の世界で、すごくほっこりします。そもそもMCの雰囲気からして癒されます。ラストはあの名曲をサンプリングした「あの素晴らしい味をもう一度」。非常に分かりやすくて楽しい、耳に残るラップミュージック。また見たいです。ちなみにNHK Eテレでは『ごちそんぐDJ』という番組も持っているようです。

NONA REEVES(TSUTAYA O-WEST)

 今年でメジャーデビュー20周年、長く活動しているバンドですがこれまた個人的に彼らの音をほとんど聴いたことなく。ただボーカル・西寺郷太が提供した作品は「愛のタワー・オブ・ラヴ」「ときめきのヘッドライナー」(Negicco)、「Sexy.Honey.Bunny!」「kEEP oN.」(V6)他多数。オリコンでは今年3月のベストアルバムが初のTOP50入りで、音楽好き以外からの知名度はあまり高くありません。ですので個人的に、なかなか触れる機会が今までなかったというのが正直なところです。

 オフィシャルのTwitterにセットリストが掲載されています。「P-O-P-T-R-A-I-N」「夢の恋人」「麗しのブロンディ」「O-V-E-R-H-E-A-T」「LOVE TOGETHER」「LOVE ALIVE」「LUCKY GUY」。言うまでもなく全て初聴でしたが、不思議とどの曲もついつい口ずさんでしまいました。それくらいにメロディーがはっきりしていて、更に言うとO-WESTの音響の良さもあって歌詞がすごく聴き取りやすいです。郷太さんのボーカルはソウルフルで、一つ一つの言葉の発音が本当に明快。極めて爽やかで気持ちよかったです。盛り上げも最高潮で、MCも面白くして言うことなし。この20年間なぜ世間に見つかっていないのか、非常に不可解に思えるほど完璧な内容でした。

 バックバンドの演奏も言うことなしの素晴らしさで、単純に音楽として質がものすごく高いです。ギターの奥田健介、ドラムの小松シゲルともにNONA REEVESだけでなく数多くのアーティストのサポートメンバーとしてフル稼働しているようです。例えば奥田さんはどんな曲が振られても万能に対応可能なレキシのサポート、それだけで凄さが分かるというものです。前日ORIGINAL LOVEのツアーで仙台から東京に戻ってきた方も2名ほどいる模様、コーラスはヒックスヴィルの真城めぐみ(「バイバイ・ブルース」は大好きでした)。なんだかNONA REEVESのメンバーが他も演奏するというより、たまたま一流の演奏家がNONA REEVESとして集まっているような、そんな印象も持ちました。今年は2枚ベストアルバムをリリースして、更に新しいアルバムも制作中の模様。今からでもあらためて聴きはじめたい、そんな気持ちに強くさせる見事なステージでした。

NONA REEVESのステージの後は休憩も兼ねて?西寺郷太と南波志帆のトークショーをまったり観覧。郷太さんは南波さんのデビュー期にプロデュースを担当しているのですが、じっくり2人で話すのはそれ以来と言うより今回が初めてだったとか。堂島孝平に対抗心を燃やしたり、ホフディラン・小宮山雄飛のケチっぷりを暴露したり学生時代にバイトでお経を読んだ際に途中飛ばしてRadio Editと称したり。郷太さんのトークは舌好調でした。南波さんもラジオパーソナリティーを務めているだけであって、うまく操縦していました。彼女もデビューして10年目、評判の良さは耳にしていますがいまだに現場を見たことのないアーティスト。今回タイムテーブルが重なっていなければ是非見たかったところですが…。

 トークショーが終わって向かったTSUTAYA O-EASTでは、毎年恒例のやついフェススペシャル歌合戦が繰り広げられていました。ちょうど着いた頃にはかなり年老いた男性が演奏をバックに政権批判の演説という訳の分からない光景。この方は合格爺やというインディーズ演歌なのだそうです。MCはやついいちろうとマキタスポーツと松井咲子、かなり焦った様子で演説を止めていました。

 この後に登場したのはDJ KOOマッチョ29。KOOさんのDJプレイをバックに繰り広げられる筋肉パフォーマンス。演奏された楽曲はTKメドレーということで、「Get Wild」「恋しさとせつなさと心強さと」「Body Feels EXIT」、そしてあろうことかTRFの「EZ DO DANCE」。フロアは勿論素晴らしく盛り上がりましたが、本職がメンバーではないマッチョな面々を目の前にプレイするのはなかなかなもの。さすがにKOOさんもうちょっと仕事選んだ方がいいのではないでしょうか。歌合戦の演奏担当はカルメラですが、このステージでは笑顔で手拍子するだけ。後半だけ見ても、カオスさは伝わり過ぎるくらい伝わってきました。

 ノミネートは4組、審査している間に登場するのはなんと稲川淳二。スタンドマイクやドラムセット、アンプなどが無数に置かれているステージで、お馴染みの怪談話。照明もどんどん暗くなり、しまいには全くの暗闇になる中で最終的には恐怖の気持ちに陥れる、いやはや。見事な話術でした。1つ披露した後に、やついと話す喋りもまたさりげなく怪談。まさしく名人芸、夏は今年も怪談で全国ツアー、古希を迎えるということで例年以上に張り切っているそうです。審査結果発表の後にお笑いコーナー、この後はいよいよ本日の目玉ステージです。

八代亜紀(TSUTAYA O-EAST)

 最初に書いた通り、あるいは直前の歌合戦を見ても分かる通り、やついフェスは極めてノンジャンルなフェスになっています。ここ以外、フェスではまず見かけないアーティストもしばしば登場します。昨年だと華原朋美や南野陽子が良い例でしょうか。ただ演歌の大御所がこういうフェスに出た例は、石川さゆりがくるり主催の京都音楽博覧会に出たくらいでしょうか。ほぼありません。今回のやついフェス、つまるところ個人的にはこの人を見にわざわざ足を運んだようなものです…、と書くと言い過ぎでしょうか。それくらいに楽しみにしていたステージでした。

 幕が上がりバンドの演奏。全員どう見てもベテラン、恐ろしく上手いです。ギターとピアノで奏でるイントロ、そこから紫のドレスにスパンコールをあしらった八代亜紀登場。本物です。ジャジーなアレンジで繰り広げられるのは名曲「雨の慕情」、そういえば2012年にヒットしたアルバム『夜のアルバム』は演歌でなくジャズでした。声と歌いまわしだけで明らかにこの人と分かる歌声、芸術的でさえあります。

 やついさんとともにMC、若々しくも多少年齢を感じさせる?軽快なトーク。エヴァンゲリオンの話から、12歳の時に歌手を志した曲という触れ込みで歌われるのは「Fly Me To The Moon」。フランク・シナトラを始めとして、日本でも数多くの歌手がカバーしているスタンダード・ジャズ・ナンバー。

 故郷・熊本を歌う「Sweet Home Kumamoto」は軽快なブルース。細かく言うと熊本より八代の方がより正確でしょうか。”Come On!”でコール&レスポンス、ノリノリのステージです。見事なギターソロもありましたが、演奏後弦が切れたということで一旦ステージからはけます。というわけでバンドメンバー紹介、その間にギターの方も戻ります。演歌が日本一上手いギタリスト、ということで86年前の流行歌「酒は涙か溜息か」を一節。手拍子に生歌唱もサービス。

 次の曲はマーティー・フリードマンが作った楽曲。普段のコンサートでも彼の話はするようですが、この会場のようにみんなが分かるような客層ではやはりない模様。ヘヴィメタを目に釘を刺している人と説明しているようです。というわけで演奏されるのは「MU-JO」。2013年発表の比較的新しい曲はまさしくロック演歌。個人的には初めて聴く楽曲でしたが、言葉に出来ないほどのカッコ良さ。ラストで歌い上げて一気に終わる場面は完全に鳥肌が立ちました。

 そこからギターソロで繰り広げられるメロディーは国民的名曲のイントロ。間を置いてピアノの静かな演奏、”お酒はぬるめの燗がいい…”で入る歌い出し。言うまでもなく「舟唄」です。原曲とはまた違う軽快なアレンジはジャズでもありロックでもあり、当然ながら演歌でもあり。一気に1番2番ラストサビを歌い上げて、歓声が一旦あがり収まってからアカペラで歌われる例の小唄。アウトロの演奏バックに踊りながら挨拶、これがラストナンバーでした。笑顔で手を振りながら観客に応える表情は非常に楽しそうで、普段とは違う雰囲気を満喫していた様子です。会場はアンコールを求める声と手拍子、ただ残念ながらそれは時間の都合もあって叶いませんでした。

 演歌歌手のイメージが一般に強い八代亜紀は、ジャズ歌手でもありブルース歌手でもありロック歌手でもあり。流行歌手、それは演歌が演歌と一般に呼ばれていなかった時代から歌手活動を続けている証。歌手としての凄さをトップクラスに感じさせた内容で、私が見た中でも間違いなく伝説のステージの一つとして数えられることになりそうです。

エンディング

 エンディングのDJやついいちろうがプレイした曲は「渚にまつわるエトセトラ」(PUFFY)「トロピカル源氏」(DJやついいちろう×レキシ)「Call Me Maybe」(カーリー・レイ・ジェプセン)。「トロピカル源氏」はDJやついの定番曲だそうで、冒頭のコールがごく少数の知っている人しか出来ない→教示→もう1回演奏というのがお約束らしいです。フィナーレはまだ会場に残っている出演者がステージに全員集まって、曽我部恵一作曲のテーマソング「月が今夜笑ってるから、ぼくらそっと東京の空を見上げる」。この日のメインボーカルは曽我部恵一と奇妙礼太郎、他に残っていたのは西寺郷太(NONA REEVES)、あゆみくりかまき、吉川友、Over The Top、ゲッターズ飯田、DJ KOO、マッチョ29などなど。良い光景です。ラストはやついが挨拶した後に記念撮影で〆。全員退場した後にエレ片が今夜のラジオ番組を宣伝。ゲストの手島優がずっと下ネタを話していたということらしいです。

 

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