2019.9.22 SHISHAMO NO BEST ARENA!!! WEST in 大阪城ホール

ライブレポ

 結成10年目、デビュー7年目を迎えるSHISHAMOは今年初のベストアルバム『SHISHAMO BEST』をリリース。それを引っさげて今月「SHISHAMO NO BEST ARENA!!!」と題して大阪城ホール・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブを開催。その大阪城ホール公演に足を運んできました。

 西日本では台風17号が接近。関西直撃はなさそうな雰囲気ですが風はやや強め。開演16時の30分前に到着しましたが、そのタイミングで突然の大雨。大阪城ホールのライブに参戦するのは16回目ですが、これまであまり記憶にないくらいの大雨でした。入場してすぐに目に入る花輪は、やはり最近特にお世話になっているロッテとNHKが目立ちます。

 「明日も」が発表された2年前に足を運んだ神戸ワールド記念ホール公演はスタンド上段が開放されない程度の入りでしたが、紅白出場も経た2年後の大阪城ホールは立見席も出るくらいで文句なしの満員。客層も明らかに学生中心だった当時と比べて、20代中心に年齢層も広くなり男女比もほとんど1:1になっています。少なくとも、恒例の声出しでは男性も女性も声の大きさはほとんど同じくらいでした。学生!専門学生!おとな!と呼びかける場面がなかったことが、それを象徴しています。

 デビュー以来の歴史を映像で軽く振り返るオープニングから始まります。ステージに向かう3人を楽屋前の廊下から中継する演出、3人やはり出てくる前にお互いを高め合います。いつものSEに乗せて登場して、最初に演奏されるのは定番の「恋する」「ねぇ、」「僕に彼女ができたんだ」。やはりベストアルバムを引っ提げたツアーだけあって、最初から定番曲が目立ちます。冒頭3曲が終わり、会場の照明が明るくなったタイミングで無数の声援が3人に浴びせられます。思わず少しビックリする朝子さん。挨拶と声出しのMC、声出しは結構長くやっていて、しまいには”アリーナの男性!”なんていう少々難しい内容を要求した末に、思わず”疲れた”との声をあげる朝子さん。

 次のブロックは「きっとあの漫画のせい」「タオル」「BYE BYE」。例の「タオル」を前半に持ってくるセトリは今後もそうそう出てこないような気がします。さすがにチケットの値段は以前より多少上がりましたがそれでも5500円、グッズのマフラータオルは相変わらずの1000円。他とこのクラスと比べてまだかなり良心的な値段が維持されています。ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。ベースの彩ちゃんがタオルを回してくださいという説明にイラスト映像込みですっかり恒例行事。そこに描かれる3人のTシャツの柄はてっきり「大」「阪」「城」と思いきや、「阪」「城」に真ん中朝子さんが天守閣のイラスト。そこだけがちょっとした変化球でした。

 MCでは、今回大阪城ホール公演が3年ぶり2回目、前日の16時くらいに大阪入りしたことを話します。アメ村での彩ちゃんの動きが超フリーダムで吉川さんがえらく振り回されたこと、朝子さんが”大阪は食い物「だけ」はおいしい…”と思わぬ失言をした場面がハイライトでした。次は来月発売のCDシングルのカップリングに収録される新曲をライブ初披露。タイトルは「君の大事にしてるもの」。表題曲と似たタイトルですが、内容はそれと同じ作詞者とは全く思えないような、ビックリするくらいメンヘラな歌詞でした。このブロックで演奏されるのは「夏の恋人」「夢で逢う」。やや重めの楽曲が続きますが、それ故に演奏力とボーカルの高い実力が堪能できる時間帯とも言えます。

 彩ちゃんと吉川さんの2人で進行するMC。今日はかなり緊張していて、初披露の曲があると何曲も前からそれを意識してしまうとのトークでした。ちなみに3年前の大阪城ホールは、冒頭で「きっとあの漫画のせい」本邦初披露だったため相当な緊張状態だったそう。その間に朝子さんはアリーナ真ん中に設置された円状の小さいステージに移動、アコースティックで新しい曲を1人演奏します。

 2人も真ん中のステージに登場、彩ちゃんが鉄琴で吉川さんが手ドラムというアコースティックモード。「熱帯夜」、ステージを回転させて「恋」、同じく「花」。アコースティックコーナーは2年前の神戸でも見ましたが、1曲ごとに土台を動かすのは今回初の試みということ。最新テクノロジー、と盛んに盛り上げる吉川さんに、”下でおじさんが回しているんですけどね”とアッサリ舞台裏を話す朝子さん。彩ちゃんの天然も含めて、吉川さんのツッコミは他のバンドと比べても結構大変そうです。

 メインステージに戻って「水色の日々」「ほら、笑ってる」、そしてこれまた恒例・吉川美冴貴の本当にあった○○な話。今回は宮崎朝子に物申したいことがある、ということで。イラストの絵で描かれている自分の目がどんどん小さくなっているらしいです。確かにスクリーンで紹介された検証映像を見ても、デビュー当時と今とでは結構目の大きさが違います。最新の絵では、目と鼻の穴の大きさがほとんど変わりありません。写真を見れば全然違うと言いたかったようですが、わざわざ鼻の穴が目立つ写真をピックアップして、実はイラストの方が正確だったというオチで締める内容でした。あんな写真出して良かったのでしょうか…。

 吉川さんの小噺の間に、2人はヘッドセットを装着。スリーピースバンドなので負担が大きいため基本移動はしないそうなのですが、やはり他のバンドも見てると…というわけで今回初導入。ここぞとばかりに息を入れて遊んだり?した後、オーディエンスの全員合唱が入る「OH!」「量産型彼氏」「ドキドキ」も含めて、2ステージ間にある2本の花道も利用してあちこち移動しながら演奏していました。

 ラストは通常の立ち位置に戻って「君と夏フェス」「君とゲレンデ」「明日も」3連発。「君と夏フェス」「君とゲレンデ」を続けて歌うのはこの季節ならではでしょうか。「君と夏フェス」は冬でもしょっちゅう歌ってますが、「君とゲレンデ」は少なくとも夏フェスでは演奏されない楽曲なので意外と見る機会多くなかったりします。「明日も」は今回もそうですが、今後も本編ラストのセトリに組み込まれる機会は多く見られそうです。

 アンコールでは緊張したけど楽しかったという3人の感想、軽いグッズ紹介に今年末~来年初めのZeppツアー開催発表を経て新曲「君の隣にいたいから」を演奏。NHKで歌ってる可能性はおおいにありそうですが、ライブでは今回が初披露。


 「明日も」の時点でおそらくいずれNコン課題曲を担当することになるだろうと考えていて期待はしていましたが、やはり素晴らしい内容に仕上がっています。合唱を歌う中学生は勿論、大人から見ても強く共感できる・勇気づけられる・気持ちを落ち着けられる・生きる希望の糧になる、そんな歌詞ではないかと思います。2コーラスで抑えるという明瞭な構成、編曲に目を向けると弦楽器の色も入れつつ、それでもスリーピースという自らのアイデンティティをしっかり維持するブレない姿勢。J-POPアーティストが担当するNコン課題曲はすっかり名曲の宝庫になっていますが、その中でも相当上位に位置づけられる楽曲ではないかと思います。勿論、2019年単位で見ても確実に10本の指に入る内容でしょう。

 SHISHAMOを知ったのは「君と夏フェス」「量産型彼氏」の頃なのでもう5年前、アルバム『SHISHAMO 2』を聴いて間違いなく日本の音楽シーンを牽引する存在になると確信したのが2015年3月。5年近く経った現在、もう完全にそういう立場になっていますね。バンドでは必ず何かしらの選択をする場面に遭遇するけど、この光景を見ると間違っていなかったんだと思いますとラストMCで朝子さんが語っていましたが、本当にその言葉通りになっています。ガールズバンドとしてはもう前例のない存在で、自分が生きている間に彼女たちを超える存在はもう出てこないような気もしています。今後もSHISHAMOの楽曲そしてライブ、まだまだおおいに期待したいです。

タイトルとURLをコピーしました