2018.12.11 aiko LOVE LIKE POP VOL.20 代替公演 in 神戸国際会館こくさいホール

ライブレポ

 10月22日の神戸公演、途中で声の不調を訴える形でまさかの延期&振替決定。スタッフの動きは大変早く、翌日にはもう日程が決定しました。12月11日、本来のツアーファイナルであるフェスティバルホール公演の2日後。個人的にはその日幕張まで宇多田ヒカルを見に行っていましたが、まさかこんな連日メジャーデビュー20周年を迎えたアーティストのツアー最終公演を見ることになろうとは思いもせず。2018年、特に下半期は解散ライブ連発やら公演中止やら延期やら中断やら、イレギュラーな事態が多く起こっています。そういえばファンクラブ限定ライブや解散ライブ、メンバー卒業ライブに足を運ぶのも2018年が初めてです。むろん、ライブの振替公演に行くのも今回が初でした。

 

 代替公演にあたっては、10月22日の公演チケットを持参すればそのまま入場できます。参加できない人のために払い戻しも可能でしたが、開演時間を迎える頃には九分九厘の席が埋まっていました。ファンクラブの方では30ほど行けなくてごめんなさいというメールがあったそうですが、ホールの3階席から見るとそれくらいの数は本当に微々たるもの。平日火曜日にも関わらず多くの人が再集結、更に自然と沸き起こった手拍子と”aiko!”コール。本番が始まる前から感動してしまいました。

 オープニング映像を経て演奏されたのは今年のアルバム『湿った夏の始まり』のトップを飾る「格好いいな」。ツアーセトリは日によって2パターンに分かれていて、例えば2日連続公演だとそれぞれ違うセトリになるのが恒例ですが、このセトリもまた10月の神戸と違った形になっているようです。その時は「ストロー」が1曲目でしたが、今回は2曲目。そのまま「運命」まで続きます。歌声に関しては、1曲目から完璧な仕上がり。伸びのある高音に、音程が安定しているとともに長く続くロングトーン。明らかにこの日のために、相当な想いを込めて臨んでいることがよく分かるパフォーマンスです。直後のお辞儀とMCからも、それがものすごく伝わりました。

 

 「合図」「あなたは」「愛は勝手」と続くセトリ。前半は前回見た時以上に最新アルバムからの比率が高いようです。落ち着いた曲調なので、歌声だけでなくバンドの音にも聴き惚れます。3階席はステージから距離はありますが見下ろす位置なので、前回も書きましたがミュージシャンの指の動きも目に入ります。会場の音響の良さに関しては今更言うまでもなく。

 

 MCでは10月22日直後の話も。ホテルに戻ると声が出なくなって鏡の前で一人泣いた、ニュースを見て多くの人から励ましのLINEが送られてきて、中でも同い年の某芸人のあまりに個性的な動画メッセージにおおいに元気づけられたとか。これに関しては、会場に来てくれた人だけの内緒ということでそれ以上は書きませんが、歌番組のトーク打ち合わせで出てきたら100%採用と思われるものすごい内容でした。

 

 「サイダー」「ぬけがら」を経て演奏されたのは「月が溶ける」。美しい声が会場の隅々、聴く人の奥底にまで響き渡る素晴らしいバラードです。「えりあし」や「スター」辺りが好きな人にはまさにドンピシャ、個人的にもあらためて聴いて好きになりました。


 この曲はaikoにとっても大変愛着のある楽曲で、6人のスタッフだけで作られたPVも思い出深いという話をしていました。ファンの声援きっかけのMCはこの日も健在、例えば”紅白おめでとう!”の一言が出ると、その話題でどんどん話を進めます。様々なタイプがいるホールの観客からファンの一角を見つけて、そこに向かって歌うようにしている、曲目はまだ全然伝わってない、希望が通るなら「be masters of life」を歌いたいということを話していました。また、”昨日何してた?”という質問では神戸のオシャレなフレンチレストランに行ったという話。上品なカップルが多く来ていて写真も撮っていて、それを冷やかしていたら一組の壮年夫婦がaikoに気づいて、音大に通う息子へのプレゼントに写真を上品にリクエストされたという話をしていました。デビュー20周年を迎えた今でも人気が持続しているアーティストは、特に1998年組に多くいますが、少なくともMCの面白さに関しては文句なしに彼女に軍配があがるのではないでしょうか。

 

 弾き語りのコーナーは「鳩になりたい」「大切な人」。合間には、今日ライブに行く人で明日手術をするというコメントが来たという話。呼びかけると返事してくれました。その後彼に向かって直々にメッセージ。ついでに扁桃腺と盲腸という自身の手術歴も話していました。そのコーナー終了後、前回の神戸ではスタッフに連れ去られた後の記憶がないとネタにしていましたが、今日はまだまだ歌える、いっぱい歌うとあらためて宣言。「宇宙で息をして」「ドライブモード」、シングル曲「予告」を演奏します。「ドライブモード」の”あー楽しい”という歌詞は、おそらく本心そのものを指しているかのようでした。

 

 おなじみの男子!女子!そうでない人!コール。それだけでなく、3階・2階・中2階(これは神戸以外あまりないと思いますが)・各スタッフに声出しするのも恒例。仕事する立場としては複雑としても断れない、ノリの良いライブスタッフ1人がものすごくいじられていました。しまいには本人のリクエストで”aikoの新しいアルバム、買ってください!”と応援団ばりに叫ばされたりして。最終盤、「未来を拾いに」「プラマイ」では紙テープ演出。「夢見る隙間」ではバンド紹介も入って、ラストは「ハナガサイタ」。延期になった10月のライブでは気力とプロ根性で何とかやり切ったという印象でしたが、当然この日は違ってまだまだ余裕。アンコールに入ります。

 

 アンコール1曲目は名バラード「KissHug」。aikoの中でもかなり知名度高い部類の楽曲ですが、ライブで聴くのは意外と個人的には今回が初めて。”まだまだ歌えます!”という宣言をしますが、「シアワセ」「ボーイフレンド」が終わったところで一旦締め。ダブルアンコールという形になります。

 

 再登場はステージでなく、1階通路からでした。楽曲は古くからの定番曲「ジェット」

 小さい体が多くのファンの中で一体になります。3階席からだとどこにいるか本当に分かりませんでした(まあこれは席の問題なのですが)。歌い終わってからのステージ移動は、自分が動くというより波に押されたという感じ。限りなくダイブに近い部分があったかもしれません。「二人」のパフォーマンス、締めの挨拶を経てラストもまた盛り上がる昔からの定番曲「be masters of life」。エンディングの映像では、早くも年明けすぐに決まっているLLP21をお楽しみにという英語表記も。気がつけば3時間超えの長尺でしたが、本当にあっという間の楽しい時間でした。

 結果的に、本人も”ご褒美みたいなもの”と喋っていましたが、ここに来ることが出来たのはものすごく運が良かったと感じているところです。当然10月に行った時はこういう結末になることなど想像もしませんでした。2018年のライブ参戦はこれがラストで、7月以降はハプニングが起きたり解散ライブも連続して見る形になったり中止になることも多かったですが、一年をまとめて考えるといい終わり方だったのかなと感じているところです。

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