2018.4.22 SCANDAL TOUR 2018 “HONEY” in なら100年会館

ライブレポ

 今年メジャーデビュー10周年を迎えるSCANDAL。個人的にも一番最初に見た西宮ガーデンズのイベントが2009年10月なので、随分長いこと彼女たちのステージを見ています。ワンマンに初めて行ったのは2013年ですが、それでも5年前。月日が経つのは本当に早いものです。今回は2月にリリースされた8thアルバム『HONEY』を引っさげての全国ツアー。3月の三郷市文化会館から始まって全国23箇所、その後には海外5公演も控えています。

 大阪・神戸も勿論回りますが、今回選んだのはドラム・RINAの地元でもある奈良県・なら100年会館。個人的に近畿他の2府3県はライブで既に足を運んでいるのですが、奈良だけは今まで行く機会がなくて今回が初参戦。自分としては昔も今も馴染みがあって親しみを持てる人も多い土地なのですが…。というわけで早速御覧ください。

 JRの奈良駅は市の中心部から少し外れた所にありますが、場所はそこから歩いて数分。鉄道で行くには大変アクセスの良い会場です。非常に綺麗な会場というイメージは、十数年前に足を運んだ時にもありましたが、その感想は2018年になっても変わらず。おそらく全国のホールでも随一の、透明の美しさを感じられるホールではないかと思います。

 当日券の発売もありましたが、ライブが始まる頃には3階席もほぼ埋まっていました。以前は特攻服を着た人がいたり、アイドルファン的な位置づけの人も多くいた記憶がありますが、今となってはそういった人はすっかりいなくなっています。20代~30代がやはり中心、ただ中高生がやや少ないように見えるのが4, 5年前と大きく違う点になるでしょうか。ただそれ以上に大きく変わったのが目の前のステージ。

 『STANDARD』『HELLO WORLD』期のツアーではかなり凝ったセットを拵えていましたが、今回はスクリーンの映像が設けられた程度でそれ以外はバンドセットのみ。相当シンプルになっています。冒頭書いたように今回のツアーはアルバム『HONEY』を引っさげてという形。ですので最初に演奏される曲は当然「プラットホームシンドローム」

 「プラットホームシンドローム」「OVER」と冒頭2曲はアルバム『HONEY』と同様。歌声に関しては相変わらずといったところですが、演奏は見るたびに凄い迫力を強く感じさせます。毎回書いていますが、RINAのドラムは本当に素晴らしいです。一つ一つの音が力強く、流れる場面が全くありません。楽曲も冒頭2曲は音の密度が高く演奏の難度も相当高いと思われますが、見事なものです。そう考えると、次に演奏されたデビュー期からの定番曲「SCANDAL BABY」は非常に単純な譜割り。新旧の楽曲をセットリストを織り混ぜることでバンドの成長を感じさせた一場面でした。オーディエンスのノリも「SCANDAL BABY」になるとPPPHやワイパーが入ったりして、色々と懐かしかったです。当時は本格的バンドを指向しつつ、多少アイドル的な雰囲気もありました。

 挨拶的なMCを挟んで一気に5曲演奏。MAMIソロの「Oh! No!」、TOMOMIソロの「缶ビール」。ただ『HONEY』ではTOMOMIソロ曲がないので後者は『HELLO WORLD』からの選曲。そういえば最近のアルバムはTOMOMIがメインボーカルを務める割合がめっきり減った気が…。「ショートショート」「窓を開けたら」は、今回のアルバム『HONEY』における新機軸と言える2曲。今までのSCANDALにあまりないタイプのかわいい楽曲は、ライブで見ると音源で聴く以上に新鮮でした。特にHARUNAがギターを持たずボーカルに専念する「窓を開けたら」は白眉とも言える出来。目の前のステージは勿論、照明の効果も抜群。春の訪れを告げる名曲「Departure」を経て、MCタイムに入ります。

 奈良はRINAの地元、彼女にとっては凱旋公演。手を挙げてもらったところ、今日は5割くらいの人が奈良出身だそうです。初めて奈良でライブをした時(2013年のようですが)に思いっきり地元トークをした時はものすごく反応が薄かったようで、当時は1割くらいしか奈良の人がいなかったのだとか。今回振り返ると奈良ならではのトークはなかったですが、他メンバーもホールを大変気に入っているようで、おそらく来年以降もツアーに組み込まれるのは間違いなさそうです。

 今回のMCはファンクラブ・SCANDAL MANIAから寄せられた質問に答えるコーナー、題して「全国縦断! この際ハッキリさせたいSCANDALのあんなことこんなこと」。ご丁寧に効果音もついていました。時間の許す限り、可能な限り多くの質問にメンバー4人が答えます。

 最初の質問は「SCANDALを友達に紹介するのにメンバーがおすすめしたい曲は?」。「瞬間センチメンタル」「SCANDAL BABY」の答えが挙がる中、RINAは新曲「プラットホームシンドローム」を挙げます。”過去の栄光に浸ってはいかん”と他メンバーに向かって放った言葉には、観客席からも大拍手。相変わらずこういうMCだとマイペースなTOMOMIは最初に紹介すべきでない曲を挙げようとしますが止められます(心あたりある曲はいくつかありますが…)。ちなみに質問を送った人が好きな曲は「声」、これはギターのMAMIソロなので”2押しとしてオススメしたい曲”とのことでした。

 以下順不同・文章概略という形式で、「過去の衣装はどうしてますか?心配です」「「DOLL」「太陽と君が描くSTORY」に続く第3のタオル曲は?」「体力的にきつかったライブは?」といったところ。過去の衣装は何ヶ月か前の事務所掃除で処分されたのだとか。第3のタオル曲は100曲以上あるレパートリーからだとすぐには思いつかず、これから作ろうという結論に。

 体力的にきつかったライブはやはり2年前・泉大津フェニックスのスキャフェスとのことでした。「瞬間センチメンタル」のサビ合唱はHARUNAの体力が限界だった、TOMOMIは裏でバケツを用意してもらってたなど当時の裏話も。その他サマソニや台湾で満杯となったライブハウスも大変だったという話でした。時間にして10分ほど、休憩を兼ねるとともにじっくりパーソナルな部分を楽しめる非常に良い時間帯。

 本編に戻って、再び『HONEY』中心に選曲。「ふたり」「ミッドナイトシティ」「エレクトリックガール」と続きます。「ミッドナイトシティ」はサビ以外RINAソロ、ドラムを叩きながら歌います。「エレクトリックガール」は所謂アゲアゲ系の楽曲、よくよく聴くとタオルを回すにはまさにピッタリ。実際何人か回していた人もいましたが、最終的に全員でタオルを回すには至らず。ただ来年の今頃にはタオル曲として定着しているかもしれません。

 後半に入り、ここから怒涛のセットリスト。会場をおおいに盛り上げます。お馴染み「EVERYBODY SAY YEAH」から始まり、「スペースレンジャー」「瞬間センチメンタル」「Flashback No.5」。アゲアゲな定番曲を並べた後でラストは「テイクミーアウト」「恋するユニバース」。「テイクミーアウト」はSCANDALの中でトップクラスの速さを誇る楽曲で大迫力、アルバム同様ラストに持ってきた「恋するユニバース」も演奏で魅せる曲。ラストサビに至る前に盛り上げる演奏はここまでのSCANDALを総括しているかのような。繰り返し聴くたびに好きになる、本当に奥の深い楽曲だとあらためて感じたところです。

 本編はジャケットと同様赤一色で決めた衣装でしたが、アンコールではグッズのTシャツに着替えます。演奏するのはHARUNAが好きな楽曲の一つという「Sisters」、定番の「会わないつもりで、元気でね」。怒涛のセットリスト、2時間はライブとして考えるとやや短いですが、それ以上に時の経過の速さを感じさせる内容でした。

 SCANDALを初めて見たのは2009年の「夢見るつばさ」リリースイベント、フェスでは2012年のHIGHER GROUND。当時見た時はここまで長く活躍するバンドになるとは考えていなかったですが、今あらためて振り返ると当初の時点でかなり高い目標を掲げていたような気がします。そういえばメジャーデビュー前にして海外のステージにも積極的に立っていました。そこから考えると、今こうやってホール単位のツアーを組めるのも必然と言うべきなのかもしれません。セットもほとんど組まずに演奏だけで会場を盛り上げる姿には、長年の実績・経験だけでなく少しばかりの誇り高さまで感じました。そういえば年齢的に一人くらい結婚・恋愛の声もあっていいはずなのですが、ステージを見てもその気配は一切ありません。もしかするとメンバー4人ともSCANDALというバンド・音楽と結婚したのではないかとも感じる勢いです(なんてこと言いつつ突然そういった発表があるのかもしれませんが)。チームワークは相変わらず健在と言いますか、MCだけでなく演奏から仲の良さ・絆の深さをこれだけ感じさせるバンドもそうはいないだろうなと感じる次第。

 来年のSCANDALを見る楽しみがまた出来たと言いますか、5年後・10年後のSCANDALを見るのが今から楽しみと言いますか。トップクラスで長く続けるという意味では完全に日本のガールズバンドで類を見ない存在になっています。今後も更にその道を極めて欲しいです。あらためてこれからのSCANDALにも、おおいに期待したいと思わせる素晴らしいライブでした。

 

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