第70回(2019年)NHK紅白歌合戦~その7~

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ビートたけし(初出場/第70回/1981/72) 「浅草キッド」(1986/ビートたけし/ビートたけし/初) ~下積み時代の相方への思いを歌詞に~ ~夢を追う下積み時代を描いた歌詞~

 ツービートの漫才から、ビートたけしの足跡を振り返って「浅草キッド」を紹介するVTR。インタビューもあり、そこでは同じ時期に頑張って売れずに芸能界を去っていった仲間たちへの思いを語っています。言うまでもなく、芸人である内村光良にとってもこの曲については特別な気持ちがあるようです。

 黒いセーターとラフなズボン、照明も最初は歌うたけしさんに当たるスポットライトのみでドライアイスが僅かにある程度。シンプルな演出で歌い上げます。決して美しい歌声ではなく上手くもありませんが、だからこそ余計に胸に響くものがあります。
 お笑いタレントだけでなくそれ以外のジャンルでも大成功を収めた彼が、あらためて下積み時代の原点を大切に歌うという姿が何より美しいです。あえて歌い終わった後にコメントしなかったのも良かったと思います。間違いなく、今回の紅白における名場面の一つです。(3分12秒)

 

(ウラトーク)
 山里さんにとってたけしさんは「お笑いの神様」「あんちゃん面白いなぁ」と言われることを、今も目指していると話しています。インタビュー映像は「テレビ東京の楽屋ですね」「天王洲スタジオです、これ」
 尊敬する同業者ということもあって、山里さんは言葉もなくただステージをじっと見つめています。杉浦アナも一緒に聴き入っていました。

 

(解説)
・ツービートは1980年前後の漫才ブームにおいて伝説的な存在ですが、ブームの終了後はすぐに個人の活動にシフトします。ザ・ぼんちやB&Bに紳助・竜介など、この時期大活躍した漫才師は意外と活動期間の短いコンビが多いです。ブーム自体はすぐ終わりましたが、その後現在まで漫才が定着したのは間違いなくこれが大きかったのではないかと思われます。

・フジテレビ発のブームということもあって当時あまり紅白歌合戦に縁はなかったですが、唯一セント・ルイスだけ第31回(1980年)に応援で出演しました。当日は裏でバラエティや漫才番組も組まれていたので、かなり異例の出演だったのではないかと思われます。ちなみにセント・ルイスはこの時点で、ブーム仕掛け人の横澤彪と意見が合わなかったと言われています。

・「浅草キッド」が発表されたのは1986年。数多くのテレビ番組出演だけでなく企画・構成に携わり、たけし軍団も大活躍していた頃でした。同時期は音楽活動も多く、松方弘樹とのデュエット「I’ll be back again…いつかは」がオリコン週間8位入りのヒットを記録しています。ちなみにフライデー襲撃事件が起きたのはこの年12月でした。

・楽曲は発表当時よりも後年の方が知名度高く、2008年放送の『誰も知らない泣ける歌』で取り上げられて以降広く有名になった印象でした。各歌手のカバーが多くなるのも、概ね2010年代以降です。

・なお相方のビートきよしは横浜アリーナで開催のももいろ歌合戦に出演。そこではたけしさんと同じ時間帯で「浅草キッド」を歌っていたらしいです。

石川さゆり(36年連続42回目/第28回/1973/61) 「津軽海峡冬景色」(1977/阿久 悠/三木たかし/2年ぶり11回目) ~時代の幕開けを感じる壮大な演奏と映像~ ~昭和・平成・令和の紅白で響く名曲~ -TOKYO2020 コレが楽しみ・7人制ラグビー- 指揮:千住 明

 未来の大河ドラマ、いや来年の大河ドラマ『麒麟がくる』に出演する長谷川博己が舞台袖に登場。さゆりさんはこの作品で母親役を演じます。女優としてのさゆりさんを絶賛して、彼女自身がメッセージを話した後に、吉野彰にもコメントを求めます。やはり吉野さんにとっても、さゆりさんの歌を聴かないと年を越せないくらいに大きな存在のようです。

 今回は蒸気機関車が発車する音からオーケストラアレンジで展開される、冒頭以外は比較的原曲に忠実なアレンジ。トリの時は2コーラス半までいきますが、今回は2コーラスのみ。とは言え、他の演歌ステージのように不自然なカットをされることは一切ありません。一方雪は紙でもセットでも映像でもないCG、さらに客席には大きな湖が作られています。今回のステージは映像面で大きな変化を見せている様子です。
 紅白歌合戦が時代とともに変わっていくのは自然なことですが、ここだけは昭和から残る原風景として可能な限り永遠であってほしい、今回は例年以上にそんな思いを強く抱いたステージでした。(3分4秒)

 

(ウラトーク)
 たけしさんの歌を聴いて「頑張ろう、漫才」とあらためて決意する山里さん。「頑張れるだけありがたいんだよね」「良かった、相方がいて」「あの曲がもっともっとしみるような芸人にならなきゃと思うなぁ」と語っています。
 「お綺麗ですね」「めちゃくちゃ天城越えますもんね」とさゆりさんを見て話します。冒頭の汽車の音、「鉄ヲタの方だったら今の音でわかったりしたのかな」
 ここで渡辺直美がビヨンセの格好のまま復帰。最新技術を駆使した演出に山里さん・直美さんともにビックリしていました。「津軽海峡?いつ?冬でした!」と、ラストの合いの手が新しく入っています。

 

(解説)
・さゆりさんは2006年の大河ドラマ『功名が辻』で1度だけゲスト出演していますが、重要な役どころでの出演はこれが初めてでした。1970年代にはいくつかのドラマや映画にも出演していますが、出演歴を見る限りかなり異例の抜擢だったと考えて良さそうです。

・個人的に鉄道好きではありますが、さすがに汽笛の音や発車音で機関車の形式を識別することは出来ません。ちなみに蒸気機関車の定期運転は「津軽海峡・冬景色」の少し前、1975年12月に終了しています。

・千住明は作曲家として多大な実績を残していて、NHKでもドラマ『ほんまもん』『風林火山』などを担当しています。日本画家の兄・千住博は第65回「天城越え」で滝の絵のバック映像を担当、奇しくも兄弟揃ってさゆりさんの紅白ステージに深く携わる形になりました。


RADWIMPS(3年ぶり2回目/第67回/2003/34) 「天気の子 紅白スペシャル」  「グランドエスケープ feat.三浦透子」(2019/野田洋次郎/野田洋次郎/初)  「大丈夫」(2019/野田洋次郎/野田洋次郎/初) ~新海誠監督編集 「天気の子」SP映像も~ ~今年1番のヒット映画「天気の子」主題歌~ ~新海誠監督「天気の子」映像にも注目~

 今年1番のヒット映画・新海誠監督『天気の子』のVTR。ここでは「愛にできることはまだあるかい」がBGMとして流れます。ゲスト審査員の井上尚弥(TOKYO2020 コレが楽しみ・陸上男子400mリレー)は中高生の時からラッドのファン、今でもドライブでは欠かせないと話します。

 ホールではなくスタジオ使用ですが、生演奏であることは確か。「グランドエスケープ」では浮遊感を感じさせる音楽と映像が幻想的な一方、後半からは大合唱が入ります。1曲の中でかなりの対称性を見せる演出は見ごたえがあります。勿論、ボーカルとして三浦透子も参加。
 「大丈夫」ではオーケストラアレンジ、『天気の子』の映像演出が入るのは楽曲間の繋ぎとこの曲の終盤少しだけ。したがって結果としては、RADWIMPSの2曲のステージをガッツリ見せてもらった形です。
 6分近い演奏時間でしたが、見ている方としてはあっという間でした。さすがに後半になってくると、満足度の高いステージが多くなります。歌唱後には、ホールと中継する形で野田さんのメッセージもありました。(6分5秒)

 

(ウラトーク)
 おげんさんはやはり相当巻きの指示が入っていたようで、「みんなで早口でコントを」という状況だったみたいです。歌っている時点で息はあがっていて、全員の合わせはなんと本番が初めてだったとか。
 「天気の子っていうからそらジローかと思ったら違うんですね」と早々に話す山里さん。三浦さんの第一声を聴いて「優しい歌声じゃない」と感激。新海監督の曲作りはかなりストイックで、野田さんが出した音楽でも何度となく突き返されたそう。映像を活かすためにスタジオでパフォーマンスしているとあらためて解説、スタッフの人数もかなりいるようです。「何ヶ月もかけてみんなが頑張って演出しております」「(関わっている人は)約6000人とおっしゃってました」
 「君の名は。」の時は聖地・四ツ谷を巡礼したと話す山里さん。ステージを見て「野田さん、大人数に囲まれがち」とあるあるを発見。「リーチ・マイケルさんの格好をしたRGさんにやってもらいましょう」とまで話してます。演出は「同じ敷地内にいるの?」とビックリ。「男性にこれ歌ってもらったら、すごいキュンしてしまうかもしれない」「大丈夫になりたいって言われたことないですもん人生で」「野田さん歌詞いいんですよね、また」と女性目線で話す直美さんと杉浦アナ。もっとも「俺たちの周りでこれに近いこと言ってるのは、大西ライオンの「心配ないさ」しかないからね」、当然2人ともこちらには全くときめかないと話します。「いっつも綾部に怒られてたもん。自分がないって」となぜか同期芸人の暴露トークになってしまいました。
 クライマックスも女性陣2人が感激する中で「心配ないさ~」と台無しにします。なお山里さんは彼のことを「百獣の部下」と呼んでいるようです。

 

(解説)
・3年前の『君の名は。』と同様、『天気の子』も大ヒットしました。ヒロイン・天野陽菜役を演じた森七菜は翌年歌手としてもデビュー、知名度を大きく上げています。

・三浦透子は数多くの映画・ドラマに出演している女優ですが、既に2015年歌手デビューを果たしています。これ以前には「おかあさんへ」がCMソング、「Romance~サヨナラだけがロマンス~」が映画主題歌になっています。

・主題歌は5曲あります。他の3曲は「風たちの声」「祝祭」「愛にできることはまだあるかい」でした。「大丈夫」は映画のラストシーンで流れる音楽になっています。

・野田洋次郎はこの頃から役者としての仕事も増加、翌年の連続テレビ小説『エール』で古賀政男をモデルにした役を演じています。また以前にほとんどなかった歌番組出演も、この年から頻繁にではありませんが少しずつ解禁するようになっています。


Superfly(3年連続4回目/第66回/2007/35) 「フレア」(2019/越智志帆/越智志帆/初) ~ヒロインの応援歌として書き下ろした主題歌!~ ~朝ドラ「スカーレット」主題歌~

 連続テレビ小説『スカーレット』のVTRが流れます。物語の舞台は滋賀県の信楽、主演は勿論ゲスト審査員の戸田恵梨香(TOKYO2020 コレが楽しみ・開会式)。朝ドラ話を内村さんと少し展開した後で、戸田さん自らが曲紹介。

 原曲と違って、最初にサビを1分20秒ほど時間をかけてアカペラで歌います。これはもう、彼女ほど歌唱力のある人が使える特権と言って差し支えありません。ヒロインの戸田さんにとっては応援歌でもあり体の一部とまで言い切るこの曲、本当に名曲です。何年か後にこのアレンジのまま紅白のトリで歌う、そんな光景まで想像できる素晴らしい内容でした。歌唱後は戸田さんの所に向かって移動してツーショット、お互いがお互いに感激するコメントもありました。(4分0秒)

 

(ウラトーク)
 カタカナで#ウラトークを杉浦アナがあらためて告知。ステージは「2文字でうまいってわかったもんね」、静かな声ながらもビックリしています。「今ほど、自分の声が雑音だと…」、それ以降の声がかき消されるくらい越智さんの歌声がウラトークでも響き渡っていました。
 「フレアって、本当ファイナルファンタジーの魔法でしか言ったことなかったけど」「今日からフレア、こっちだなぁ」。戸田さんが最初の立ち位置より少し近づいていることも発見。彼女のアップを見て綺麗とも話していました。
 「こんなにいい声出たら…気持ちいいですよね」「こんないい声出てたら、人の悪口とか言ってなかったと思う」「いい声を意識すれば、きっといいことも言えますよね」。しまいには「山里亮太の声は変わります!」「2020、きれいな声で悪口いいます!」という結論になりました。

 

(解説)
・『スカーレット』は『鮎のうた』以来、40年ぶりの滋賀県を舞台にした連続テレビ小説です。特に信楽焼をテーマにした作品は、ドラマ史上初めてのことでした。戸田恵梨香は2000年代中盤以降からずっとトップ女優ですが、紅白出演は初めてです。

・W杯・Nコン・朝ドラと、SuperflyはNHK主要どころのタイアップをこの年でほぼ押さえた形になりました。ちなみにこの年は他にTBSドラマの主題歌「Ambitious」も発表しています。

・ただ「フレア」と年が明けてすぐ発売のアルバム『0』以降は、新作リリースが急に少なくなりました。なお前年にフジファブリックの金澤ダイスケと結婚、私生活の充実を優先させている可能性も高そうです。


菅田将暉(初出場/第70回/2017/26) 「まちがいさがし」(2019/米津玄師/米津玄師/初) ~米津玄師が菅田将暉のために作った歌~ ~米津玄師 手がけた大ヒット曲~

 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』やライブのVTRが流れます。ゲスト審査員の長谷川博己田中圭(TOKYO2020 コレが楽しみ・開会式&バスケットボール)も、同じ役者として彼の人となりを話します。
 グレーのセーターを着て歌う姿、極めて高い歌唱力ではないものの非常に胸を打たれる歌声、何より自らのことを歌っているかのような歌詞。そういえば彼は「浅草キッド」もカバーしています。米津玄師がすごい、という部分もありますが、いつの時代でもやはり一番胸を打たれるのは真っ直ぐな歌声。そんなことをあらためて再確認できたステージでした。(3分36秒)

 

(ウラトーク)
 「神はさ、菅田くんに何個才能あげるわけ?」「役者としても凄い、アーティストとしても凄い、人間もいい子だしさ」「天才だよ、ずるいよ」。ただ菅田さんの何が欲しいですか?という質問には、悩みに悩んで「髪質」と答えました。ワックス映えする、自分の場合ペタっとしてしまうことが理由なのだそうです。今日の髪型を見て「地球のGなんかねぇんじゃないかって感じでね」と言ってます。
 杉浦アナがブカブカのセーターがポイントと話していたところで、サビで明るくなるタイミングで山里さんが突如驚きます。「今さらビックリします?」「後半戦ですよ、紅白の!」と、直美さんが呆れていました。
 セーターの話を再び展開した後、菅田さんの交友関係の話題にもなります。「ノブさんとか一緒にカラオケ行ってるんじゃないかなぁ」という話題からメインはノブさん中心に。杉浦アナは民放番組で見た彼の「Lemon」が酷いことになっていたと話してます。ちなみに大悟さんは酔っ払うとBEGIN「防波堤で見た景色」や浜田省吾・小林明子「恋におちて」を必ず歌うみたいです。さらにダイアン・津田さんの名前まで飛び出しました。というわけで「もっとちゃんと聴きたかったのに千鳥さんの話になっちゃってた」「(会話の)クセがすげぇんじゃ…」

 

(解説)
・菅田将暉の役者デビューは2009年。ドラマ初出演が『仮面ライダーW』の主演でした。2013年の映画『共喰い』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、以降多数の映画・ドラマに出演しています。

・映画で歌を披露したのは2016年の『何者』が最初で、翌年1月にも映画『キセキ-あの日のソビト-』でグリーンボーイズの一員として歌います。ソロ歌手デビューはその年3月の「見たこともない景色」でした。同年には大河ドラマ『おんな城主 直虎』に出演、また月曜日のオールナイトニッポン担当に就任します。

・「まちがいさがし」は米津玄師のプロデュース、またドラマ『パーフェクトワールド』の主題歌として大ヒットしました。米津さんとは既に2017年「灰色と青」でコラボ、以前から親交のある関係です。ドラマは松坂桃李主演で菅田さんはあくまで主題歌を歌う歌手としての扱い(最終回に特別出演あり)、その点でも大変価値のあるヒットでした。

・既に前年「さよならエレジー」が大ヒット、翌年も「虹」が大ヒットして歴代の男性俳優でもトップクラスの売上を記録する歌手になっていますが、今のところ紅白出場はゲスト出演を含めてもこの時のみ。今後どうなるかは分かりませんが、結果的に紅白が1回のみになるのはあまりにも勿体ないような気がします。

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