9月20日のオリンパスホール八王子公演から始まった2019年私立恵比寿中学秋ツアー。その鹿児島公演の様子を振り返ります。

 鹿児島県文化センター・宝山ホールは鹿児島の繁華街である天文館の北側にあります。上の画像にある西郷隆盛像が見下ろし、小松帯刀像がすぐそばで見守るという、他ではまず味わえないような歴史的な威厳のある場所です。キャパシティーは約1500、鹿児島では市民文化ホールに次ぐ規模で開館はこちらの方が早め。エビ中の場合関東ではアリーナでも完売するくらいの人気ですが、地方になると2年前の松山は後方の埋まりがあまり良くなかったです。今回の鹿児島はいうと遠征組もやや少なかったようで、残念ながら半分くらいしか埋まっていませんでした。ただ熱狂度は高く、特にファミリー有志から送られた花輪は他にないほど個性的なものでした。

 9月23日に見た名古屋公演との違いは2つあります。1つは新しいアルバム『playlist』の収録内容が明らかになっていること。もう1つは安本彩花が休養中であるということ。したがってこの公演は5人でステージに立つという形になっています。冒頭、どこかで見たことあるような影絵パフォーマンスから始まって幕が落ちて登場。最初に演奏されるのはおなじみ「仮契約のシンデレラ」。おそらく日本で唯一であろう、円周率を歌詞にしたパートは安本さんが歌っているのですが、その代役を務めたのは師弟関係にあるぽーちゃん。初めて聴いてから7年、ライブでも相当数目にしていますが、まさかこの曲を聴いて感動させられる日が来るとは想像していませんでした。楽曲の歴史と、グループの確固たるチームワーク。振り返ると何度もあったメンバー卒業の他に、体調不良などで別のメンバーが穴を埋める場面は多々ありました。そういう意味では慣れたものとはいえ、やはり色々と感じ入る部分は多いです。

 その後に続くのは「ハイタテキ!」「熟女になっても」「YELL」。「熟女になっても」のラップパートはサングラスを掛けた美怜ちゃんが代わりに担当します。この4曲は全会場固定のセットリストなんですが、「YELL」なんかは何度聴いても涙が出そうになる素晴らしい歌詞です。よく考えるとこの曲、Youtubeでは300万近く再生されていてワンマンライブでも定番ですが、アルバムには未収録でシングルも配信限定。ファミリーにとってはお馴染みだと思いますが、そうでない人は知らない人も多いかもしれません。ちなみにこの曲、2017年のマイベストランキングでは2位にしました。楽曲の良さと一般知名度が、これほどまでに一致しない楽曲も珍しいかもしれません。それくらいの楽曲です。

 今回のセットは大航海をモチーフにしたようなもの。後でひなたが説明しますが、”世界のみなさんおめでとう”ということでエビ中号という船に乗って世界を回るというテーマなのだそうです。というわけで?ここでメンバーごとに自己紹介しますが、なぜか妙なメロディーが加えられています。さすがに回数を重ねた鹿児島では空気も慣れていましたが、2公演目の名古屋では戸惑っているファミリーの方が多かったような…。ちなみに安本さんの分は、全員が彼女に届けという感じで自己紹介していました。

 続いての曲、名古屋の頃には「金八DANCE MUSIC」でその後「梅」を歌ってた時期もあったようですが、ここで選曲されたのは「未確認中学生X」。ちょっとした歓声があがったのは、おそらくセトリが変わるタイミングだったからだと思われます。そこから「禁断のカルマ」「バタフライエフェクト」…7曲経過しました。自己紹介タイムもいつもより若干短かったので、よく考えるとここまでずっと盛り上がる曲で踊りまくってます。

 ですが3曲終わったところで、今回はMCではなくブレイクタイムでダンスを踊ります。その間ちょっとしたセットチェンジもありました。給水も振り付けに入っているような勢いで、これまでのツアー以上にアスリートチックな状況になっています。そこから始まるのもまたアップテンポで「シンガロン・シンガソン」、そして「元気しかない!」

 その曲の間奏のコントのくだりで、まさかのちょっとしたMCタイム。ファミリーを椅子に座らせて色々話します。周りが色々ボケまくる中で、ひなたが今回のツアー趣旨を説明したりしています。ちなみに鹿児島でのワンマンは3年ぶりなのだとか。鹿児島の鹿が馬と間違えないように…なんて話すりったんワールドな内容もありました。一応曲中なので、座らせはしたもののちょっとした小休憩程度で、すぐに演奏再開。次の楽曲は、2019年12月に新しくリリースされるアルバム『playlist』に収録される「ちがうの」。Youtubeで、そのままステージの様子もアップされているので見て欲しいです。

 楽曲提供はここ数年注目度がアップしているミュージシャン・ビッケブランカ。エビ中だけでなく外部への提供自体なかったみたいですが、雰囲気はたむらぱんが提供した「誘惑したいや」「ポップコーントーン」などにも近いような。メロディーだけでなく愛をテーマにした歌詞も非常に美しく作られていて、アルバムのリードナンバーにはまさにピッタリ。エビ中のアルバムは今のところここまで全て名盤ですが、おそらく今回もそうなりそうな雰囲気です。

 「星の数え方」は今年3月リリースのアルバム『MUSiC』に収録されているバラード。ここでようやくアップテンポ中心から選曲の傾向が変わります。再びダンスタイムブレイクを挟んで、「踊るロクデナシ」「曇天」「まっすぐ」と極めてアーティスティックなナンバーを続けて披露。以前にも書いたかと思いますが、「曇天」はほとんどミュージカルを見ている感覚。アイドルとしてより、1990年代ブレイクの安室奈美恵やSPEEDに繋がる系譜と言った方が正確かもしれません。「まっすぐ」に至っては、アイドルと言われなくなるであろう遠い将来でも絶対に歌い続けられる楽曲ではないでしょうか。何度聴いても、タイトル通りの歌声に涙が出そうになってしまいます。

 「頑張ってる途中」、フラミンゴっぽいダンスを挟んで「Lon de Don」。今年はアーティスティックな部分を全面に押し出している印象もありますが、歌詞の内容も何もない「Lon de Don」辺りを今のライブでも選曲する辺り初心は忘れていない、ということでしょうか。そして続く楽曲も新曲、「PANDORA」

 えらくロックで激しいナンバーです。パンク系の激しい楽曲は過去にも何曲か歌っていましたが、この曲はそれらと違う方向性。歌詞のフレージングが未完成という印象もありましたが、これはパフォーマンスを重ねるたびに良くなりそうです。それにしても私立恵比寿中学、どこまでパフォーマンスの引き出しが増えるのでしょうか。直後の選曲が「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」なのも、凄さに拍車をかけています。

 ラストは「Family Complex」。歌詞の中にメンバーの名前が散りばめられているこの曲は、まだしばらくの間ライブのラストで歌われそうです。アンコールは久々に聴いた気がする「キャンディロッガー」、そして「ポップコーントーン」に今年の名曲「青い青い星の名前」。パフォーマンスが終わってから5人のMC、喋ってる時間は当然ながらここが一番長かったです。この日のファミリーは、半分くらいの人が地元組で、それ以外は私も含めて遠征組のようでした。鹿児島のキャンペーンで足を運んだのは一番遅く加入した同士のぽーちゃんとりったん。したがって仕切る役回りのメンバーがいないので、お姉さん方からは会話が想像できない、端から聴いていたら会話の内容が理解できないという話などをしていました。最後に、また鹿児島でライブしたいとファミリーに約束して笑顔で舞台裏に去っていきました。

 結果的にこの日を持って2019年・および2010年代のライブ見納めという形になりました。結論としてはやはり、このライブを最後に選んで本当に良かったといったところでしょうか。2019年はここ数年と比べて見る回数は少なめでしたが、特に上半期はフェス中心にスケジュールを組んだことでかなり充実したライブライフだったように思います。フェスではあいみょん・King GnuにOfficial髭男dismという2019年の顔が見られた、特に髭男は立て続けに3回も見ることが出来たので非常に満足度が高かったです。下半期はやはり初来訪となった下仁田と鹿児島が特に思い出深かったですね。

 2020年以降も月に何度かのペースで足を運びたいところでしたが、コロナ禍ということもあって結局行けずじまい。私立恵比寿中学のライブもオンラインで1度見たのみの形になりました。こんな感じで、過去行ったライブレポのアーカイブも順次公開していく予定にしています。なお投稿日はライブが行われた日時に設定しています。