2016.7.30 Negicco 13th Anniversary「Road of Negiiiiii ~TADAIMA~ 2016 Summer」 in NHKホール

はじめに

 2003年7月20日に新潟で結成されたNegiccoは、今年で活動14年目に突入します。彼女たちが初めて全国ネットのテレビに出演したのが2004年9月10日のポップジャム。NHKホールの公開収録、当時はMikuも含めた4人組でした。「恋するねぎっ娘」を歌った彼女たち、その時は「売れる!」と思ったのだそうです。ところがそれから紆余曲折、所属していたタレント養成スクールが廃校してなんとか事務所移籍するも、新曲を出すのにさえ事欠く状況。Mikuが卒業し、新たにMisakiが加入するも1年半で卒業…。それくらいに厳しい状況が続いていた彼女たちに光が射し始めたのはつい数年前のこと。「光のシュプール」でついに後継番組・Music JapanでNHKホールに戻ったのが2015年2月22日。実に10年5ヶ月ぶりのカムバックでした。時の司会が、広島から一足先に大ブレイクを果たしたPerfumeであったことも、ドラマチックな展開により拍車をかけていました。

 8月30日の「ねぇ バーディア」で出演した回に続いて、NHKホールに立つ形になった今回のワンマンライブ。キャパシティは約3600、昨年の新潟県民会館(1700)や日比谷野外大音楽堂(3000)よりもさらに上。Negicco史上最大規模のワンマンライブになりました。その様子を早速レポしていきます。

 

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開演前

 NHKホールの中に入るのは今回が初。2011年の大晦日に隣のふれあいホールで、スーパーハイビジョン映像での紅白歌合戦を体感したことはありますが、それだけに個人としても大変待ち望んだ日でした。

 ホールの中に入ってすぐ目に入ったのは沢山の花輪。新潟県民会館の初ワンマンでもロビー1列にズラリと並んでいましたが、NHKホール公演となると数も顔触れの豪華さもそれ以上。1階席に向かう通路の階段全てが花で埋まっていました。地元・新潟の放送局その他関係者、楽曲提供や共演などでお世話にミュージシャン、ファン有志などなど。この多さを見ると、笑っていいとも!のテレフォンショッキングではどれくらいの数になるだろうとつい想像してしまいます。彼女たちが出演する前に番組が終わってしまったのは非常に残念ですが…。

 その中で一際目立っていたのはやはり小林幸子でしょうか。この人は新潟出身だけでなく、華々しくデビューを飾った後に長い苦労を重ねてようやく大ヒットに至った、という共通点があります。「ウソツキ鴎」から「おもいで酒」まで15年、これはNegiccoの活動期間よりも更に長いです。ただ演歌だと彼女以外にも先例はいますが、J-POP特にアイドルポップスでここまで長いのはNegicco以外に存在しない、ということはあらためて記したいところ。既に「にいがたJIMAN!」というプロジェクトでコラボ済みですが、ライブでの共演が実現する日は果たして来るのでしょうか。ジャンルが全く違うといえど最近の小林幸子は何でもありなので、案外再来年辺りに実現しそうな気もしますが…。

 今回見た場所は1階席中央9列目、全体を生で見渡すにあたってものすごく良席。観覧希望で当選するのも難しい紅白歌合戦ではほぼ間違いなく経験できないような場所でした。というより他のホールを含めてもここまで良い席に当たったのは記憶にありません。ちなみに開演前に2階席と3階席にも足を運んでみましたが、どこに当たっても見るにあたって死角はほとんどなし。やはりものすごく見やすい会場のようです。唯一弱点があるとすれば、会場自体が番組収録の場となっている関係でスマホの電波が全く入らないことでしょうか。

開演~オープニング

 ステージには大きなスクリーン。場内が暗転するや否や大歓声、ネギライトも一気に点灯します。映し出されるのはMUSIC JAPAN出演時のライブパフォーマンス(「ねぇ バーディア」「光のシュプール」)。客席に映し出されるネギライトの数、映像ではスタンドの一部分のみを占める形。ですが今日は1階席から3階席まで、数多くのファンがネギライトを点灯させています。フェイドアウト気味に映像が終わり、スクリーンの向こうには3人の姿が透けて見えます。幕が上がりいよいよ3人登場、オープニングを飾るのは12年前にこの場で歌った「恋するねぎっ娘」。元は新潟の名産ネギ「やわ肌ねぎ」PRキャンペーンのために、1ヶ月限定で結成されたユニット。2003年12月に新潟限定で発売されたCDが話題になり、翌年の10月に徳間プロモーションから全国流通。12年前にポップジャムで歌ったのはそれに際してのものでした。確かにここまでの道のりは、過去売れたアーティストにも先例があって、本人たちが売れると感じたのも無理はありません。バックでは12年前の映像も一緒に、そこには3人だけでなく当時のメンバーMikuも映っていました。

 冒頭は5曲続けての披露。「恋するねぎっ娘」の次に歌われたのは「ねぎねぎRock~私をお家に連れてって~」。ちょうどオーディション番組を勝ち抜いた時に発表されたネギ啓蒙ソング。ネギの宣伝っぷりは、おそらくその目的で作られた「恋するねぎっ娘」を上回っていると思われます。次に歌われた「ネギさま! Bravo☆」はサンバのリズムに乗せた夏ソング。Nao☆ちゃんがホイッスルで盛り上げます。発表は2010年。よく聴くとピアノ演奏がものすごいアクセント、今のNegiccoの音楽の萌芽はこの時点で既に表れていたと考えて良いのでしょうか。

 ”夢に向かって走り続けたい”と歌う「トキメキ★マイドリーム」。この曲が作られたのは2004年。タオル回しの演出がある曲は、connieさんが初めてNegiccoに提供した楽曲なんだそうです。初収録のCDはシングル「恋するねぎっ娘」のカップリング。ローカルアイドルとして活動していた、数人しか現場にいない頃から現在まで、Negiccoの歴史を語るには欠かせないconnieさん。もしかすると彼女たちにとって一時期はこの曲の歌詞が心の拠り所だったかもしれない、そんな曲をNHKホールで歌うわけです。おそらく作った当時もこれだけ大きな会場で歌うことは想定していなかったと思われます。ものすごく夢のある話を目の前で体現している、そう考えると思わず涙が出てくる内容でした。3年くらい見ていただけでもそう感じるのですから、おそらく10年以上応援し続けていた人は間違いなくここでまず涙を流していたことでしょう。

 ”いつまでもずっと信じてる ここからまた10年経っても”と歌う「Negiccoから君へ」は、結成10周年・アルバム『Melody Palette』のラストに収録されたナンバー。フルアルバムとしてリリースされたのがこれが最初、この時点でもここまで大変な苦労を経て辿り着いたというストーリーが歌詞によく表れています。発表されてから大事なステージで歌われる機会も多かった曲がこのセクションの締め、というのに大きな意味を感じる瞬間でもありました。

本編~NEGiBAND登場

 ここでスクリーンが降りて絵本風のアニメーションが映し出されます。ざっくり言うとシンデレラのストーリーをNegiccoの略歴に反映させたような内容。”割とあっさりと”舞踏会へのチケットを手に入れるも、その後再び呼ばれるどころか仲間も離れていって、熊(≒マネージャー)が加わって、一緒に頑張っていた別の3人(明らかに広島の3人組の影絵でした)が先に呼ばれて、紳士(≒嶺脇社長)が手を差し伸べてくれて…、最終的には頑張った結果が報われて再び呼ばれてその3人も祝福してくれて…という流れでした。所々にクスッと笑える場面もあって楽しめる内容です。

 そこからはNEGiBANDの面々が登場。メンバーは下手側から順番にKey.真藤敬利、Ba.鹿島達也、Dr.mabunua、Sax.永田こーせー、Trp.真砂陽地、Trm.松尾直樹、Gt.オオニシユウスケ、Key.小林岳五郎。ステージは下手側上からドラム、ベース、キーボード、上手側上からネギホーンズ、ギター、キーボードという配置で、中央にビジョンが設置されています。オープニングのインスト「Make Up Prelude」から生演奏。メンバーも衣装を変えて再登場、あらためて初めに演奏される楽曲は『ティー・フォー・スリー』から「RELISH」。ホールに爽やかな風を起こした後に続くのはアルバム同様、「マジックみたいなミュージック」。アルバム自体がものすごく名盤ですが、特に「マジック~」は生演奏で聴くとそれとは比較にならないほどの、半端ない臨場感。キーボードの味のつけ方、サビ前の5連符その他多数。ホールの音響も非常に良いので、贅沢な気分どころの騒ぎではありません。生演奏でないデビュー期の曲から続く流れだったのが、余計にその気持ちに拍車をかけていました。

 ここでMC。3人の挨拶に”ただいまー!”とオーディエンスに呼びかけます。もちろん”おかえりー!”とみんなで返します。相当緊張しているという話でしたが、それだけこのステージにかける思いが溢れているということでしょう。自己紹介・バンド紹介も終えたところで演奏されるのは「矛盾、はじめました。」「土曜の夜は」。この2曲は楽曲単位で言っても大変贅沢極まりないナンバーで、『ティー・フォースリー』におけるアルバムでの流れは1年に数回しか味わえないレベルの美しさです。これが目の前の生演奏で再現、ましてや冒頭の初期曲・その背景にストーリーも存在。デビュー当時は勿論ほんの3年前でも想像できなかった姿に、涙なしでは見られないステージでした。ただおそらくメンバーだけでなくバンドも緊張したようで、若干ホーン隊の音が裏返っていたような気もしましたが。この2曲に続けて披露された「江南宵唄」も3人のウィスパーボイスに心地良い演奏が彩りを添える内容。そもそもこういった曲自体、アイドルところかソロを含めた女性ボーカルでもなかなか聴けなくなっています。そういう意味で考えても大変貴重なステージと言えるのかもしれません。

あまりにもゆる過ぎるグッズ紹介

 『ティー・フォー・スリー』最大の聴きどころとも言える3曲を披露した後に始まるのは、Nao☆ちゃん進行の物販紹介コーナー。今年のツアーから始まりましたがやはり相当好評だったようで、すっかり恒例行事と化していました。概ねどういう感じでやっているかは、下の動画(4月27日中野サンプラザ公演)を見て頂ければ分かると思います。


 一旦オーディエンスが座ろうとしますが、Nao☆ちゃんの呼びかけで起立。そして礼、着席。結局皆さん座ります。NEGiBANDも一緒に加わって”グッズ紹介を紹介するみんなを紹介します”。いきなりグダグダの進行。どうやらNao☆ちゃんが先生で、あとのメンバー2人のバンドの方々が生徒という設定の模様。この公演で発売されるグッズを一つずつコント風に紹介します。

 今回は開場前に外でグッズ販売が行われていましたが、16時頃に到着した時点で長蛇の列。ホールの端から端までおよそ2往復半、無事購入できるまで1時間半を要しました。というわけで開演の時点でキャップ・升・リュックは既に売り切れ。終演後時点では3つくらいしか在庫が残っていないという絶好調の売れ行きでした。SOLD OUTの商品は宣伝する必要がないのであまり時間をかけず次に進みますが、その分コントを見れなくなるのは嬉しい誤算というべきなんでしょうか。ネギライトを肩叩きの用途に使うという間違った使用方法に対して長々とノリツッコミしたり、メモ用紙に書いてあることも消化出来ているのか出来ていないのかよく分からなかったり、ぽんちゃもぽんちゃで紹介するタオルを広げたら上下逆だったりして、相変わらずグダグダです。ナタリーのレポには”自由な言動で暴走する”という見事な一語で表現されていました。締めも起立・礼・着席。相当ふわふわした進行の中でここだけはちゃんと決めていた模様。

アコースティックコーナー

 そんなトホホな空間の後に繰り広げられるのはアコースティックコーナー。こういったギャップは各アーティストそれぞれの形で表現されていますが、Negiccoもかなりの領域に達してきました。歌われるのは2006年に発表された「Falling Stars」。新潟の夜を歌う楽曲は元々宇宙をイメージしたような打ち込みアレンジですが、それとは全く違うバンドの生演奏。3人とも10年前から今に至るまでの道程と約3000人のネギライトで輝くホールの光景、双方を噛みしめながら歌っているように感じました。アルバムを経てより進化した「おやすみ」は優しい踊りを入れるパフォーマンス。3人が目を合わせながら一緒に繰り広げるハーモニー、ラストの優しい笑顔とポーズで決めるショット。そこから暗転する展開も見事でした。勿論ここ以外でも、セットや照明をはじめとした舞台演出も各所大変丁寧かつ素晴らしい内容で、この公演に大きな彩りを添えています。「Good Night ねぎスープ」はNEGiBANDのドラムでもあるmabanuaが編曲担当。ライブでもドラム演奏がしっかり聴きどころになっていました。ただ新しいアルバムからの披露が増えた分以前の曲はどうしてもセトリから外れてしまうのは世の常。非常に難易度の高いプレイが要求される「BLUE, GREEN, RED AND GONE」は今回残念ながら演奏されていないですが、滅多に味わえない凄さなので個人的には何かの折にまたセットリストに復活して欲しいと願うところです。

 MCでは今回の衣装が昭和感をイメージした?内容であることと、Negiccoは夏の曲が多いという話題。そういえばぽんちゃが1階席!2階席!3階席!とコールを促していました。そこから演奏されるのは「サンシャイン日本海」。アコースティックver.など結構色々な形で見ている曲、「1, 2, サンシャイン!」の前フリで始めるのを見たのは、個人的に曲が発売された2年前のTIF以来だったような気がします。バックにはPVと同様の、紗が入った昭和風の映像で送る新潟の風景。ちなみに楽曲を作った田島貴男は関係者席で全力コールしていたそうです。「虹」「カナールの窓辺」でも聴かせる歌声と演奏、そして本当に心から良い曲だと思わせるクオリティ。「カナールの窓辺」はトランペットのソロも大きな聴きどころですが、こちらも完璧な内容でした。

MC~いつも通りのスベリ芸

 そして再びMC。基本的に30代~50代の男性が多い彼女たちのライブですが、今回は女性の客もチラホラ。また割合としては高くないですが、昨年の京都ワンマン辺りと比べれば格段に多くなっていました。「サンシャイン日本海」など過去の衣装を身につける人も出てきて、傾向も少しずつPerfumeに近づきつつあるのでしょうか。さすがに向こうみたいな女装する強者はまだ出てきていないようですが。

 ちなみに平成生まれは女性ファン以上に少なかったようです。確かにNao☆ちゃんが時々放つギャグはやや古め。今回聴けたのは「ダメよ~ダメダメ」「そんなの関係ねぇ」などなど。後者は振り付きで、もう2016年だというのに全力で演じていました。他にも前触れ無く突然コールを要求することもあるので見ている方も大変です。ただそれに戸惑いつつもしっかりノる辺りが、Negiccoのライブらしい部分でもあります。某ライブレポでは”いつも通りのスベリ芸”と評される、そんな部分は大きなホールになっても変化なさそうでした。なお「今でしょ!」は最近「いつするの?」とマイクを出してレスポンスする場面も増えていて、「後でしょ」が正しい回答だったというオチも多々発生しています。いつか東進の林先生には彼女たちのライブのMCを見てもらって感想を聞きたいと思うわけですが…。

 話が逸れましたが、MCはこの公演のために25日から東京入りしていてなかなか帰れないという話題に続きます。かえぽは早く帰って愛犬のユキちゃんを抱きたいという話。ちなみに猫に関してはアレルギー持ちだそうで、「楽園の余韻」MV撮影の際は別撮りだったようです。バンドメンバーにも猫アレルギーがいるみたいです。そこから図ったようにSNSの話題に突入。ギターのオオニシさんは面倒という理由で最近Twitterを更新しなくなったそうですが、Nao☆ちゃんは最初それが理由でアカウントを作っていなかったそうです(過去のMCを聴く限りかなりのアナログ人間という理由もありそうですが)。”今の時代にそれは”と事務所の偉い人に怒られて渋々始めたようですが、ある日パスワードを忘れるという椿事が。パスワードを教えてとぽんちゃに尋ねるNao☆ちゃん、それを知っているはずがないのに当てるぽんちゃ。長年のつき合いだから無事分かった、ということで一件落着なわけがなく、重大なセキュリティーの問題が生じているという見事なオチでした。というわけで次に演奏されるのはやっぱり「SNSをぶっとばせ」。何とも分かりやすい展開です。

圧巻のラインダンス

 ライブはここから大詰め、盛り上がる定番曲のコーナーに入ります。「トリプル!WONDERLAND」「さよならMusic」、小林さんのボイパで始まる「ときめきのヘッドライナー」。この3曲は発表当時から現場で見る機会がかなり多いですが、それだけに見るたび進化しているという感想も強くなります。「ときめきのヘッドライナー」は3年前のリリースイベントから始まり、生演奏で昨年からタオル回しの演出が加わり今年はボイパでスタート。この1曲を切り取っても分かりやすい進化の過程が表れています。変わっていないのはNao☆ちゃんの喋りくらいでしょうか。彼女はあの時から独特の世界観で構築されるギャグ連発で、最初に見た時はどうリアクションすべきか大変困惑したものですが。

 ライブにおける進化が最も分かりやすい形で表現されている曲が次に演奏されます。それは何と言っても「圧倒的なスタイル」。間奏で定番になっているラインダンス、3年前にTIFで初めて見た時は正直”えっ?えっ?”という戸惑いしか出てきませんでしたが、10回以上現場で見た立場になった今ではもはや慣れたものです。ただ、だからこそその場面に入るまで感じ入る部分は相当なものになります。全力のコールがNHKホール中に響き渡る中、この後の光景を想像した私は完全に涙腺崩壊。時々手を動かしてはいましたが、ただステージを見つめて泣くことしか出来ない状況でした。この時以外でも、全力でコールするよりそれを含めたステージを凝視して味わう場面は個人的にいつも以上に多かったです。3000人単位のラインダンス、NHKホールでは過去見られない光景だったのではないでしょうか(もっとも観客全員でラインダンスする曲自体他にそうそうないと思いますが)。ただラインダンスした後は周りと一緒に笑顔になって、涙は自然に止まりました。

 ラストはMJ初出演時の挨拶が映像に流れます。その時のパフォーマンスをバックにあらためて「光のシュプール」。”終わらない”という歌詞が、Negiccoのこれまでとこれからを暗示しているように感じたのはきっと私だけではないと思います。演奏が終わり盛大な拍手に包まれる会場、そこからすぐに”アンコール、ネギ!”コールに入ります。

アンコール

 アンコールではまずリーダーのNao☆ちゃんが重大な報告がありますということで、マイクを持って喋ります。会場に少し緊張が走ります。以下のMCはナタリーの記事から抜粋。

「この1年の活動を通じて、今の私たちには厳しいと実感しました。ずっと立ちたいと思っていた場所に勢いで立つものではないなって」「Negiccoは今まで1歩ずつ進んできて、いろんな夢を叶えてきましたけど、これからも1歩ずつがんばって、Negiccoを将来ずっと続けていけるグループにしたいし、自分たちが胸を張って『武道館に立てる』と思えた日が来たら、みんなで一緒にうれしさを分かち合えたりしたらいいなと思いました」

 今回のステージや盛り上がりを見ると武道館も夢ではないと思いましたが、実際この日のNHKホールは、満員近いとは言え当日券販売の3階は後ろが空席だった模様。この会場のキャパ約3600に対して武道館は約10000、確かにこの現実を見るとまだ厳しいというのが実情でしょう。実際日本武道館単独公演というハクがついたところで現実は2階席が暗幕で包まれている、なんてことも多々あります。そう考えるとこの判断は実に賢明かつ、一歩一歩進んでいくNegiccoらしい決断だと感じました。

 もう一つの重大発表はぽんちゃから、この数年お世話になっているサトウ食品の新商品コマーシャル完成・初披露。NHKホールでサトウ食品のコマーシャルが2度ビジョンに流れました。今回の売りは「ながモチフィルム」、3人がモチを伸ばしながら食べる場面がベストショット。8月22日、所沢で行われるNegiFES.の2日後全国オンエアされるそうです。

 一番最後を除いて重要な発表はこのライブでなかったですが、同日にアイドルネッサンスとの対バン、翌日は新潟とネギの産地を回る原点回帰ツアーが発表されました。いずれも普段地方のイベントがメインで1000人も満たない小規模、J-POPではまず使われないような会場が選択されています。下仁田に至っては、ポップスはおろか演歌でも検索結果がほとんど出てきません(唯一年末チャリティーショーのゲストに畠山みどりと松川未樹が出演したくらいでしょうか)。是非足を運びたいところですが個人的には遠征必須、またこの流れだと来年以降この地域以外にも多くのホールを回りそうな気配がするので、判断が難しいところ。ただ今の彼女たちはライブハウスよりも、大なり小なりホールの方が間違いなく合う音楽になっているので、この流れには全面的に大賛成。彼女たちは地元新潟をはじめとした地方を大事にしているスタンスなので、大きな会場よりむしろこういう地方を開拓した方が独自性が表れてより面白いかもしれません。そのうちアイドルではなく演歌歌手寄りのスケジュールになりそうな気もしないではないですが、やや年齢が高い客層的にはむしろそちらの方が良かったりして…。

 というわけで彼女たちだけでなく、NEGiBANDも再び加わって「自由に」「恋のシャナナナ」。『ティー・フォー・スリー』が発売された関係で『Rice&Snow』収録曲は必然的にセトリから外れる曲が多くなりますが、シングル曲以外で残ったのは文字通り自由にアレンジしやすい「自由に」でした。一方「恋のシャナナナ」は比較的明快なメロディーで盛り上がる楽曲、こちらは次のアルバム以降でもセトリに残る曲候補の一番手になるでしょうか。そしてここまで演奏されていなかった「ねぇバーディア」。バックに流れるのは勿論MJ出演時の映像。”ねぇ Mikuちゃん覚えてる?””あのポップジャムの日の出来事!”彼女にもその声はきっと届いたことでしょう。感動的な名場面でした。ステージの方は、特に立ち位置以外でも縦横無尽、階段状を駆け回るぽんちゃのハイテンションぶりが特に印象に残りました。

 ラストの曲に入る前に3人それぞれ挨拶。これもナタリーから抜粋。

「まさか13年、同じメンバーでここまで来れるとは思っていなかったですし、いろんな夢を叶えさせてもらってます、2人に」(Kaede)
「14年目に突入して初めてのワンマンライブでこのNHKホールのステージに戻ってくることができて、本当にうれしいです」(Megu)
「1ヶ月間限定の長ねぎを宣伝するグループが、まさか13年続くとは思ってませんでした。Mikuちゃんも今日NegiccoがNHKホールに立てることを喜んでくれました。またこのステージに帰って来れるように、これからもぽんちゃとかえぽと3人でがんばっていきます」(Nao☆)

 三者三様、個人的にはかえぽの”2人に”という一語にとても彼女らしさが表れているように感じました。バンドメンバーはキーボードの真藤さんのみが残り、アルバム『ティー・フォー・スリー』同様「私へ」で締めくくります。坂本真綾が彼女たちのために綴った歌詞は、聴く人以上に3人へ贈る言葉として成立している内容。”がんばらなくちゃ 強くならなきゃ そう思うほど泣きたくなるんだ”、”こんな自分を懐かしいと言える時がくるよね”。この曲を歌う3人は、歌うというより自分の言葉で節をつけて伝えているかのようでした。その姿を見て個人的にはまた、涙が出てきそうになります。歌い終わり、3人がオーディエンスに感謝を述べて舞台袖に向かいます。スクロールには今回のライブに携わった方々のテロップが流れるエンドロール。そして2017年新春、”まさかの食い合わせ”という紹介のもとで発表された私立恵比寿中学とのジョイントライブ決定。エビ中に関して言うと今年6月にワンマンに足を運び、最近は彼女たちのアプリゲームもプレイしている私。新春いつどこで行われるかという発表次第になりますが、個人的には”行くしかない”という気持ちになったのは言うまでもありません。

おわりに

 以上です。本文自体がかなりの長文になり、その中でも多く感想も書いているので、まとめとして今更書くことはないです。今まで見て来た中で一番の、最高のライブでした。一つのステージを見てこれだけ感動して涙を流したことは過去に無く、今後もおそらくないと思います。2008年以降Perfumeをメインに、他のアーティストも色々見ていくという形になっていますが、来年以降それが変わるかもしれません。

 少しずつ実績を積み重ねていった結果いつの間にか前例のない存在になっているNegiccoですが、ここ数日の発表を見る限り今後の活動も全く前例がない独自の方向に向かっていきそうな予感がありあり。彼女たちから退屈さを感じることは当面の間なさそうです。いや彼女たちだけでなく支えるバンドメンバーや裏方も同様でしょうか。武道館を経てアリーナクラスの会場を回るNegiccoを想像するのも夢がありますが、彼女たちの未来はそれとは違う方向の”幸せ”なのかもしれません。

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