今週のビルボードチャート~12/1(22/7、Vaundy、菅田将暉)


 今週はHey! Say! JUMP「Sing-along」がCD20万枚を売り上げて順当に首位を獲得しました。今年でデビュー15年目であることを考えると、かなり息の長い活躍が続いています。流石です。

 2位は宇多田ヒカル「君に夢中」が初登場。ダウンロードとラジオ指標で首位を獲得、ダウンロードはポイントの6割近くを占めています。ちなみに44000という数字は、2位のLiSAの3倍近いポイント数でした。TBSドラマ『最愛』の主題歌、相変わらずこの局のドラマ主題歌は他と比べて強いです。

 3位は22/7「覚醒」、CDセールス2位です。8万枚近く売り上げたCDセールスがポイントの9割以上、同じ秋元康プロデュースの地方の48グループに近い指標を記録しています。CDセールス3位Aquors「not ALONE not HITORI」も同指標が高めで総合31位、同じく4位のM!LK「Ribbon」は配信がやや高く総合23位。なおM!LKは今回LINE MUSICだけでなく、SpotifyとApple Musicでも楽曲シェアキャンペーンが行なわれているようです(オフィシャルページより)。

 あいみょん「ハート」がフィジカル計上で7位にランクイン。もう彼女くらいになるとCD売上はポイントの15%程度で、半分くらいが今週14位のストリーミングになっています。ここ最近のマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」は13位から10位、ストリーミングも3位から2位になりました。あとはVaundy「踊り子」が35位から15位にアップ、ストリーミング11位で今後伸びる要素が大アリ。注目すべき曲の一つになっています。

 JO1「僕らの季節」が総合22位で初登場、12月15日のCD発売を前にストリーミングで伸びています。こちらはTikTok×Spotifyキャンペーンを実施(オフィシャルページより)、いよいよランキング上位進出のためにLINE MUSIC以外も使用するフェーズに入ってきました。とは言え目的はファンへのキャンペーン展開がメインで上位進出は二の次という解釈も十分可能なので、今後の様子は注視する必要がありそうです。

 

 今週は初出のラジオチャートが先週と同じランキングになっていたため、差し替えが発生しました。今回に限らずここ最近速報アップ後に訂正アナウンスが入ることが多く、少し前にはTWICEの楽曲を間違えて集計したという事案も発生しています。データ集計は大変ややこしく、また人気のアーティストが楽曲をリリースした週はファンがやきもきしているケースもあるかと思います。担当する方も大変ではありますが、だからこそ今いちど最終チェックの強化を求めたいところです。

 幸い現在はビルボードチャートにおけるデータの誤りをチェックする分析者も何人かおられます。その分析は簡単にデータをチェックして新曲の感想を書くだけの私よりも、はるかに充実した内容です。ビルボードチャートを担当する方も私は別にいいとして、そういった指摘を頂ける方を今後も大事にして欲しいとあらためて願います。

 21世紀初頭まではあくまで業界向けメインでチャートマニアの存在は二の次(あまつさえデータ管理のため検閲みたいな行為もあったほど)でしたが、今は本当にマニアだけでなくリスナーの集合体としての結果をヒットチャートという形で示す気概をビルボードから感じます。したがって今後も自分としてはチャート好きの立場として、その試みを応援したいです。

 2021年度のチャート集計は今週でラスト、来週から2022年度に入ります。これまで年間チャートについて記事にしたことは一度もありませんが、今回はちょっとした試みを加えて記事を書いてみようと思います。こちらもまたよろしくお願いします。

3位 22/7「覚醒」


 秋元康プロデュースのデジタル声優グループ。というわけでイントロから昭和末期~平成でも聴くことが出来るやや古めかしい管楽器メインのアレンジ。映像はYOASOBIなども手掛けている門脇康平氏という新しさですが、それだけに楽曲とのギャップがかなりあります。ただ逆に考えると、こういったアニメーションMVで流れる音楽はダイナミックなデジタルサウンドが耳に入ることが多いので、ある意味では新しい試みと言えるような気もします。とは言え発足は2016年10月で今作は8thシングル、本来はもう少し前の作品から通して聴いて向き合うのが正しいかもしれません。

16位 Vaundy「踊り子」


 ベースソロから始まるイントロの時点で強く引き込まれました。イントロの重要性は近年も記事になっていますが、個人的には今も昔もイントロがバシッと決まる曲はほぼ例外なく名曲だと思っています。

 ベースを他の音より前面に出すサウンドは新しさを感じますが、楽曲はどことなくレトロな雰囲気。4:3のサイズで撮影されたMVがそれを象徴していますが、サビのメロディーもどこかで聴いたことあるような親しみやすさ。ただ古さの中に新しさを感じるサウンドは、やはり只者ではありません。今年レビューした「不可幸力」「花占い」「踊り子」は全く異なる三者三様の内容で、近年のアーティストでもトップクラスの引き出しの多さではないかと思いました。凄いです。

 MVで小松菜奈が出演しているのも、偶然ですが非常にタイムリー。『渇き。』『溺れるナイフ』辺りが分かりやすいですが、独特の雰囲気を出すのが非常に上手い役者です。「自由へ道連れ」「お別れの歌」「Ain’t Nobody Know」など、彼女もミュージックビデオ出演が本当に多いです。

30位 菅田将暉「ラストシーン」


 TBS系の日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』主題歌として注目の楽曲。かつては自身主演のドラマで主題歌も担当するケースが非常に多かったですが、菅田さんに関してはスポットの特別出演がある程度で歌手活動と完全に切り離しています。おそらく本人の意向ではないかと勝手に思っているのですが、個人的には非常に好感の持てる方針です。

 菅田さんは気持ちに訴えかける歌唱が非常に得意な歌手だと思っています。ストリングスも入ったバラード自体に特別な目新しさはありませんが、それだけに菅田さんの真っ直ぐな歌声がより胸に響く内容です。楽曲提供は「さよならエレジー」「虹」と同様石崎ひゅーい、もうすっかりお馴染み・安定の組み合わせ。聴いてみるとやはり名曲ですが、この組み合わせだと聴く前から名曲と判断しても良いくらいの領域に達しています。

 

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