今週のビルボードチャート~3/9(SixTONES、Snow Man、山内惠介他)

今週のチャート総評

 Aimer「残響散歌」がついに首位陥落、フィジカル中心のSixTONES「共鳴」と配信中心のKing Gnu「カメレオン」の熾烈な争いになりました。結果は40万枚CDを売り上げたSixTONESが16000pt近い数字で1位。リッピングが思いのほか大きく5000pt近く、さらにラジオオンエアも1位で2000pt近く計上しています。アニメ『半妖の夜叉姫』第2クールオープニングテーマ、ストリーミング配信すれば海外向けにも大きなアピールになると思いますが、なかなかそうもいかないのがこの事務所の難しい所です。

 一方King Gnuはダウンロードだけでなくストリーミングでも初週1位、現在のSpotifyデイリーでも「残響散歌」を上回っています。「カメレオン」は月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』主題歌ですが、ドラマの視聴率は毎回2桁キープ。TVerのランキング1位、登録者数165万は今クールのドラマやどのバラエティ番組よりも多い数字になっています。そうなると主題歌が大ヒットするのも必然の結果です。CDも来週3月16日発売予定で、春のビルボードチャートを牽引する形になる可能性が極めて高そうです。1月からランクインしている「一途」「逆夢」も引き続き10位以内に残存、オリジナルアルバムも『CELEMONY』が2020年1月発売なので今年中にあるかもしれません。2022年のトップアーティストになる可能性も高そうで、3年前の「白日」以上にヒットする雰囲気もあります。

 4位のBEYOOOOONDS「英雄~笑って!ショパン先輩~」も9.8万枚という高いCD売上を記録。ダウンロード12位・ラジオ26位などそこまでCD一辺倒でないのは好感持てますが、リッピングで11位止まりなのはやはりこのジャンルの宿命でしょうか。なおCDは初回生産限定盤とそのSPでブルーレイ映像の収録違い含め4種、通常盤は13種類(ソロ12+集合1)のうち1枚が入っているトレーディングカード特典つきです。ポイントはおそらく映像よりもメンバーが映っているカードで、全種類コンプリートのために相当数買う猛者も、数は少ないと思いますがおそらくいるのではないかと思われます。

 今週はロングセラーで動きが少なく、ポイントもKep1er「WA DA DA」が少し上げた程度で目立った動きはありません。ヒグチアイ「悪魔の子」が77位→50位、ここはちょっと注目でしょうか。ストリーミングキャンペーン実施のENHYPEN「Always」は4位→26位、先週2位のNMB48「恋と愛とその間には」はCDセールス4位ながら総合で76位。他にも米津玄師「POP SONG」YOASOBI「ミスター」など、ロングセラーが多い中で順位を下げる楽曲がやや目立つ状況になっています。

 TWICE「SCIENTIST」が34位に初登場。韓国版は既にYouTubeで1億再生ですが、日本語版も間もなく発売される『#TWICE 4』に収録されます。

 RADWIMPS「うるうびと」は42位・ダウンロード4位です。映画『余命10年』主題歌で劇中音楽も担当、サントラはアルバムチャート38位に入りました。映画は国内ランキング初登場2位で、順調なスタートを切っています。

 今週のビルボードチャート発表は3月9日ですが、それに合わせたようにレミオロメン「3月9日」が54位にランクイン。こちらも12月のクリスマスソング同様、春の恒例行事になっています。また今週95位にLittle Glee Monster「Your Name」が初登場していますが、カップリングでその「3月9日」カバーを収録。

 57位Snow Man「ブラザービート」は3月30日CD発売ですが、なんと動画指標で1位でした。先週公開で既にYouTube再生数は約700万(「共鳴」は約400万)、別格級の強さを見せています。CD発売週のポイントもかなりの数字になりそうで、早くも注目です。

 CDセールス3位・1.6万枚売り上げた山内惠介「誰に愛されても」は66位。リッピング46位は微々たる程度で、ポイントはAM中心にオンエアされているであろうラジオの方が多いです(100圏外ですが)。ファンの年齢層はおそらく相当高いと思われますが、なかなかデータ的に可視されにくいのはこのジャンルの難しい部分かもしれません。

 56位のBiSH「愛してると言ってくれ」は毎月連続リリース継続中。またCD5位のわーすた「ミライバルダンス」も93位に滑り込み。

今週のピックアップ曲

SixTONES「共鳴」

 フルコーラスのアップではないので不完全ですが、一応書きます。楽曲提供は前々作「僕じゃないみたいだ」と同様佐伯ユウスケが担当。声優・アニメ関連、少し前には西野カナやナオト・インティライミの作品も手掛けた実力者です。

 非常に複雑な譜割りとピアノ中心に洗練された雰囲気、一言でいうとジャニーズ・ミュージックの進化を強く感じさせる作品です。その分どれくらい一般ウケするのかという僅かな疑問もありますが、SixTONESのメンバーが持つ高い音楽性を考えるとこの方向性で全く問題ありません。今回の楽曲の鮮やかさはK-POPや新進気鋭のボーイズグループではなかなか出せない個性で、その点でも素晴らしいです。確実にファンではない雑多な音楽好きにも響く内容で、事務所はもっとそういう人々に彼らの魅力・楽曲の良さを伝える義務があるように感じました。

BEYOOOOONDS「英雄~笑って!ショパン先輩~」

 ピアノを弾いているのも、ボイスパーカッションもメンバーです。楽曲はショパンのクラシック曲「英雄ポロネーズ」「ノクターン」のアレンジ。全体的にクセの強い楽曲が、10年くらい前に新進気鋭のアイドルソングを聴いた時と同じような感覚で、個人的には妙に懐かしい気持ちになります。パフォーマンスやアイデアは面白いですが、ついていけるかそうでないかに分かれる楽曲でもありそうです。

 とは言えインパクトは間違いなく抜群、頭に残るにはこれくらいあっても全く問題ないと自分は考えます。なお楽曲を手掛けた星部ショウは自らこの曲についてもYouTubeで解説。興味ある人は是非こちらもチェックすることをお薦めします。両A面の「ハムカツ黙示録」もいい感じにおかしな曲なので(YouTube)、こちらも注目。シングルはまだ少なく今作が3枚目、その点では今後の伸びもまだまだ期待できそうな気がします。

TWICE「SCIENTIST」

 今回は日本語版を紹介、あえて韓国語版との比較無しで書きたいと思います。

 タイトルに合わせて、メンバーはサイエンティストに扮しています。ダンサブルはダンサブルですが、今作に関して言うとサビ以外は低音中心でメロディアスに聴かせる内容です。日本語の譜割り的には隙間が生じている部分もある様子で、訳詞担当・歌う側ともに苦労した跡がうかがえます。

 K-POP市場は「TT」がブームになった5年前以上に世界へ広がっていて、そろそろ無理して日本語版を出す必要も無くなっている気はしますが、それでも日本のファンとしては大変な中でもわざわざ作ってくれることが嬉しいという面もありそうです。実際TWICEのファンと接しているわけではないので、なかなか分からない部分もありますが…。

Snow Man「ブラザービート」


 メンバー全員が主演する『おそ松さん』実写映画版の主題歌です。そもそもこの作品をよく実写映画に出来るな…という印象もありますが、こればっかりは映画を見ないと何とも言えません。

 フルコーラスがどれくらいなのかは分からないですが、3分半という長さでの公開は高ポイント。楽曲はYouTubeの説明にある通りのパーティーチューンで、歌詞も『おそ松さん』のイメージに寄せている内容です。「ハダシの未来」や「ワイルド アット ハート」を歌っている嵐に近いイメージで、そこにファンキーな要素を加えた楽曲と言って良いでしょうか。しっかり全員にソロパートが与えられているのも素晴らしいです。

 ファン以外にも間違いなく楽しめる&憶えやすい内容で、2022年を代表するヒット曲になることは間違いなさそうです。ストリーミング解禁も望まれるところですが、YouTubeでの再生数は既に非常に多くなっています。1000万超えはもちろん確実、目指すは「D.D.」の5800万あるいは1億でしょうか。ここまでの数字をファンの呼びかけだけで達成させるのは不可能ですが、それくらいの数字を彼らには是非残して欲しいと思っています。

山内惠介「誰に愛されても」

 映像は相変わらずshort ver.のみ公開ですが、ストリーミング配信は行われています。今回もカップリング違いで赤盤・青盤・橙盤と3パターン分かれる形のリリースです。

 いつもの通り水森英夫の作曲、今回は1980年代のヒットメーカー・売野雅勇が作詞提供。ダイナミックなメロディーで聴き応えのある楽曲になっています。さすがに昔のような独特の宛字はない様子ですが、ストーリー性ある歌詞は十分な聴きどころになっています。ここ2年紅白歌合戦は過去曲やカバーになっていますが、今年はこの新曲が選曲されることを願いたいです。

 

 

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