2017.8.20 PASSPO☆「青年も、大志を抱け!ツアー」2部 in 阿倍野ROCKTOWN

 2009年結成・メジャーデビューシングル「少女飛行」がオリコン1位を獲得したのが2011年。デビュー8周年を迎えるPASSPO☆も、女性アイドルグループの中ではかなり長い活動期間となっています。毎年TOKYO IDOL FESTIVALで彼女たちのステージは必ずチェックしているのですが、あいにく今年は個人的に5年ぶりにTIF不参戦。だからと言うわけではないのですが、今回久々にフライト(=ワンマンライブ)参加となりました。足を運ぶのは2014年4月・umeda AKASO公演以来3年ぶり。その間にメンバー卒業やレーベル移籍など、想定以上に大きな変化がありました。果たして今のPASSPO☆はどういったステージを見せているのでしょうか。

 阿倍野ROCKTOWNはあべのキューズモール4Fにあるライブハウス、キャパシティは300。umeda TRADでワンマンをやっていた3年前はすぐソールドアウトになっていましたが、今は当日券も出るという具合。とはいえ会場は後ろまでしっかり埋まっていて、少なくとも閑散とした状況では決してありませんでした。

 この日は1部が1500円のLCCツアー・初心者向けコース。1時間ほどで、定番曲中心にかなり懇切丁寧にステージを進行していたとのことです。私が参加するのは2部。3500円、こちらが通常のフライトということになるでしょうか。今回のツアータイトルは”青年も、大志を抱け!”。というわけで?本番直前に流れた楽曲はTOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」。それをなぜか会場全員で大合唱。もっとも2番の歌詞は知っている人の方が少なかったようですが…。

 終わるや否や、フライト搭乗のアナウンス。今回のツアーでは新しい試みにも挑戦する、などの案内。最初に演奏されたのはまだ聴き慣れないものの、力強いパフォーマンス。おそらく1部LCC便でやっていたこともあって、紹介はありませんでした。タイトルは「すてんだっぷガールズ!~第1話 ダメダメ怪獣にご用心~」、長いです。人気の定番曲「夏空HANABI」を早くもドロップした後、演奏されるのはクルー(メンバー)の他己紹介ソング「7’s Up」。両側にある高い台に1人ずつ乗って、それぞれを歌って紹介。で、歌い終わった後にも”ダメ人間のカリスマ” ”No GAME No LIFE 全ヲタクの味方”といった具合に自己紹介。明らかに重複していますが、気にしてはいけません。今回のツアーについての説明、あんにゃこと玉井杏奈が主に進行していたでしょうか。ちょっとしたユーモアも入れつつ実によどみのない喋りで、とても最年少とは思えないしっかりしたものでした。他にはステージが暑いので冷房をチェックする場面もあり(20度に設定されているようです)。あとは同日あべのキューズモールでイベントを開催していたMAXの話も。先日PASSPO★のフンフンフン。という連載企画でインタビューさせてもらったばかりのようで、MAXに負けないくらいPASSPO☆も長く素敵なグループでいたいとあらためて意気込んでいました。

 今回個人的に楽しみだったのが、2月のアルバム『Cinema Trip』収録曲の演奏。「マイノリティー・ヒーロー」「PlayGround」の2曲は、ともに大迫力のパフォーマンス。前者はあんにゃ、後者はみおみおこと増井みおが比較的目立っていたでしょうか。彼女たちの定番曲だとオーイングやコールなども既に定着していてライブだとほぼそれ込みになりますが、この2曲含め新しいナンバーは振りコピなどのノリはあってもコールは少なめ。ロックユニット・PASSPO☆のアーティスティックな凄さがより体感できる内容となっています。2人ともすっかりパワフルなボーカルで魅せる存在になっているように感じました。続く「BEAST IN YOU」はレーベル移籍前の2013年のアルバム『JEJEJEJET!!』収録曲ですが、こういう形で並べて聴くと思いのほかロック色強め。「WANTED!!」は以前からの定番なのでそれらしく盛り上がる内容でした。

次の曲に入る前にあんにゃが語ります。内容は2014年に奥仲麻琴が卒業した時の話。当初は受け入れられなかったものの、最終的に別れは悪いことではないという内容をとても熱く語っていました。ここで演奏されるのは「Growing Up」「TRACKS」。両方とも卒業した彼女、まこっちゃんのパートが重要な位置を占める曲のようで、この日ライブに参戦したパッセンジャーの中でも特に反響が大きかった名場面でした。

 打って変わって次は新企画・Beef or Chickenのコーナー。次に演奏される3曲が、それぞれBeefコースとChickenコースとしてメニューが発表されていて、パッセンジャーが好きな方をパフォーマンスするという内容。3曲の曲順もその場で決めて、照明や音声の打ち合わせも直前にそのままやっていました。個人的にはもっと凄い物を2年前に見ているのでそこまで目新しさは感じませんでしたが、実力・自信・経験を重ねていないとまず不可能な企画であることは間違いなく確か。「不屈のレジスタンス」が入っているChickenコースも見たかったですが、結果として選ばれたのは女性限定エリアで特に多かったBeefコースの方。演奏されたのは「いたずらRock’n’Roll」「2DAYS」「Vivi夏」でした。やっぱりこの夏例年通り?お世話になった「Vivi夏」の存在が大きかったでしょうか…。

ここまで12曲、かなりあっという間に時間が流れた印象ありましたが本編は残りあと4曲。”えー!”という声が一斉に挙がります。ラストスパート、まず演奏されるのは「NASA!~なんであいつ好きなんだ、嗚呼~」。クルーの中では歌割りがやや少ない気がする、なちゅこと岩村捺未とゆっきーこと藤本有紀美のダブルセンター。ゆっきーは背が高くて抜群のスタイル・もう少し声量があればなお良しといったところ。なちゅは親近感が持てる体型・飛び抜けてはいないものの安定した歌唱力。どうしても断トツに声量があるもりしーこと森詩織が目立つのは仕方ないと思いますが、個人的にはもう少しなちゅのソロパートが目立つ曲を増やしてもいいのではないかと感じたところです。確かにあんにゃとは逆に、最年長とは全く思えないキャラクターですが…(汗)「Cosmic You」「ラブリフレイン」を経て、ラストは「STEP&GO」で大団円。フロアもメンバーに合わせて左右に動きますが、ステージではドサクサに紛れてスタッフを乱入させたり。とても自由な締めでした。

アンコールはツアーTシャツを身に着けて登場。新曲のカップリング「Party like a Rockstar」はもりしーがメインボーカル。思えば4年前初めてTIFで見た時、彼女の歌唱力には衝撃を受けました。圧倒的な声量とパワフルを絵に描いたパフォーマンス、PASSPO☆を好きになったキッカケは間違いなく彼女によるもの。その魅力が余すところなく出ている、非常にカッコ良い楽曲に仕上がっています。もう1曲は結成期からずっと演奏されている「Let it Go!!」。年々パフォーマンスが進化しているPASSPO☆ですが、根本として楽曲に全くブレがないことを今回のセトリ、ラストのこの曲であらためて感じさせられました。9月9日の日本青年館は残っていますが、セミファイナルとしては最高の終わり方だったのではないでしょうか。

というわけで、2月のアルバムを聴いた時と同様3年半ぶりのフライトもまた、”PASSPO☆の凄さここにあり”ということを見せつけた内容でした。彼女たちより下の世代のアイドルも台頭しつつあり、注目度も以前と比べると確かに落ちています。もっとも、だからこそ腰を据えて作品に向き合ったり、より高いパフォーマンスを追求できる部分もあるのかもしれません。

 今の彼女たちはより高みを目指し、そして何よりも長くPASSPO☆として活動することを重きに置いています。まだ現状アイドルというカテゴリですが、そのうち結婚して子どもが出来てもユニットを続けたいと公言しているクルーもいます。パッセンジャーとしての自分も同じ想いです。それと同時に、今これだけ凄いパフォーマンスが出来るからこそもっと大きな舞台に立って欲しいです。このライブでキャパ300の会場が完売しないというのは、広い音楽界を見渡すと間違いなく損失の方が大きいように思います。もっとPASSPO☆は知られるべき存在で、アイドルファンもそうですが何よりロックファン・とりわけ熱い音楽が好きな方は一度現場に足を運んで欲しいです。9月発売のシングルはおそらくリリースイベントも各所であるはずなので、まずはそこから入っても良いのではないでしょうか。Negicco、私立恵比寿中学、東京女子流、そしてPASSPO☆。個人的に今年はアイドル界でベテランと言われるほど長く活動している女性グループに肩入れする場面が本当に多くなっています。

 最後に、今日はキャプテンのあいぽんこと根岸愛の調子があまり良くないようでした。普段は高い歌唱力でMCもビシっと決めるのですが、今日はどうも声が普段より出てない感じでMCも派手に噛んでしまう場面が数度。どうしたものかと思いましたが、理由はおそらく単純明快。


 9月9日は全員、万全の体制でツアーを締めることを願います。

 

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