THE FIRST TAKEからのヒットを検証する~後編・データ編1~

 前回の記事では簡単にこれまでのTHE FIRST TAKE史を振り返りましたが、いよいよ後編です。今回はデータ面から色々分析していきます。

 なおデータを取り扱う関係上、当記事はアーティスト別の再生数ランキングと同様今後何ヶ月か1回のペースで加筆する形になるかと思います。初回記事作成は2022年6月25日、その後もデータ更新の際に更新日をトップに記す形となります。

歴代THE FIRST TAKE再生数ランキング表

 まずは分かりやすいデータから、再生数ランキングを50位まで作りました。赤文字青文字はそれぞれ紅白歌合戦歌唱曲・アーティスト(歌唱年に出場した際のみ色文字表記)を指しています。また再生回数は10万の位まで表記、それ以下は切り捨てとしました。

ランキングデータ

楽曲アーティスト再生回数配信開始日原曲発売日ビルボードデータ
1.DISH//(北村匠海)18280万2020/3/202017/8/15最高9位(2週)
112週ランクイン(更新中)
2020年27位、2021年14位
2.夜に駆けるYOASOBI12720万2020/5/152019/12/15最高1位(6週)
118週ランクイン(更新中)
2020年1位、2021年3位
3.紅蓮華LiSA12350万2019/12/62019/4/22最高2位(5週)
144週ランクイン
2020年3位、2021年16位
4.ドライフラワー優里10100万2020/10/302020/10/25最高2位(6週)
86週ランクイン(更新中)
2021年1位
5.群青YOASOBI7180万2021/2/262020/9/1最高6位
94週ランクイン(更新中)
2020年91位、2021年8位
6.LiSA5770万2020/10/162020/10/12最高1位(8週)
85週ランクイン
2020年9位、2021年4位
7.再会LiSA
Uru
5670万2020/11/62020/11/16最高10位
22週ランクイン
2021年65位
8.ベテルギウス優里3830万2021/10/132021/11/4最高2位(2週)
33週ランクイン(更新中)
2022年上半期2位
9.My WayDef Tech3470万2020/11/202005/1/22
10.ないものねだり谷口 鮪(KANA-BOON)
もっさ(ネクライトーキー)
3180万2020/3/132013/4/24
(KANA-BOON)
11.おもかげ
(produced by Vaundy)
milet
Aimer
幾田りら
3170万2021/12/172021/12/17最高11位
17週ランクイン
12.残響散歌Aimer2960万2022/2/92021/12/6最高1位(9週)
28週ランクイン(更新中)
2022年上半期1位
13.火炎女王蜂2870万2020/2/72019/1/30最高24位
7週ランクイン
14.DADDY! DADDY! DO!
feat. 鈴木愛理
鈴木雅之2660万2020/8/212020/4/15最高29位
5週ランクイン
15.優しい彗星YOASOBI2640万2021/3/102021/1/20最高14位
26週ランクイン
2021年70位
16.CITRUSDa-iCE
(大野雄大、花村想太)
2320万2021/4/22020/11/25最高7位
72週ランクイン(更新中)
2021年36位
17.春を告げるyama2250万2020/12/182020/4/17最高7位
96週ランクイン
2020年30位、2021年27位
18.ANIMAReoNa2240万2020/10/92020/7/13最高16位
9週ランクイン
19.カタオモイAimer2200万2022/1/282016/9/21
20.シャッター優里2194万2021/10/12021/7/7最高17位
50週ランクイン(更新中)
2021年91位
21.unravelTK from 凛として時雨2110万2020/4/102014/7/23
22.梅田ナイトフィーバー’19梅田サイファー2000万2021/8/192021/10/13
23.かくれんぼ優里1970万2020/7/102019/12/1最高25位
96週ランクイン
2020年98位、2021年41位
24.かつて天才だった俺たちへCreepy Nuts1920万2020/8/262020/8/19最高2位
12週ランクイン
25.inside youmilet1780万2020/6/52019/3/4最高11位
10週ランクイン
26.YOKAZE変態紳士クラブ1670万2021/5/72020/4/30最高17位
60週ランクイン(更新中)
2021年39位
27.サウダージポルノグラフィティ1630万2021/9/32000/9/13
28.Shout Baby緑黄色社会1500万2020/4/172020/2/8最高58位
2週ランクイン
29.unlastingLiSA1480万2019/12/252019/10/21最高10位
6週ランクイン
30.オーケストラアイナ・ジ・エンド1390万2021/1/222016/10/5
(BiSH)
31.ヨワネハキ
feat. 和ぬか, asmi
MAISONdes1280万2021/8/252021/5/19最高13位
40週ランクイン
32.BL女王蜂1240万2020/2/192020/1/29最高56位
2週ランクイン
33.SLUMP -Japanese ver.-Stray Kids1240万2020/6/262020/5/6
34.Mela!
LADYBUG
緑黄色社会1230万2020/11/182020/4/13
2021/2/3
35.Catch the momentLiSA1220万2020/10/282017/2/15
36.Imitation RainSixTONES1220万2022/1/12020/1/22
37.世界は恋に落ちているCHiCO with HoneyWorks1140万2020/9/182014/8/6
38.TOKYO
CHE.R.RY
YUI1110万2020/11/182006/1/18
2007/3/7
39.秒針を噛むずっと真夜中でいいのに。1090万2021/2/122018/8/30
40.いつかSaucy Dog1060万2021/10/152017/5/24最高38位
28週ランクイン(更新中)
41.~THE FIRST TAKE ver.~DISH//1060万2020/6/32020/4/29最高11位
71週ランクイン
2020年28位、2021年35位
42.366日HY1010万2021/3/122008/4/16
43.ココロオドルnobodyknows+1000万2022/6/102004/5/26最高23位
1週ランクイン
44.ツキミソウNovelbright (竹中雄大)980万2021/5/282020/12/11最高23位
79週ランクイン(更新中)
2021年29位
45.勿忘Awesome City Club940万2021/5/212021/1/27最高5位
73週ランクイン(更新中)
2021年11位
46.ひとりゴスペラーズ940万2020/2/142001/3/7
47.花束のかわりにメロディーを清水翔太930万2021/6/112015/10/28
48.韻波句徒CHEHON930万2022/5/132016/5/25最高56位
4週ランクイン(更新中)
49.虹の彼方にReoNa880万2020/10/212019/2/6
50.美人ちゃんみな860万2022/4/222021/3/19最高65位
2週ランクイン

ランキング解説

 最も多くの再生数を稼いでいるのはDISH//「猫」でした。2020年3月の北村匠海ソロだけでなく、6月のHOME TAKEでもメンバー全員集まって動画を歌っています。そのせいでしょうか、ビルボードでは「猫」と「猫~THE FIRST TAKE ver.~」の2つが別になったややこしい集計になっています。どちらも上位にランクインしている反面票割れも激しく、ちょっと気の毒な印象もあるのですが…。

 YOASOBI「夜に駆ける」で初めて歌唱シーンを見た人も多いのではないかと思われます。また「群青」が2020年より2021年の印象が強いのも、おそらくはこのTHE FIRST TAKEの影響なのだろうと推測できます。

 LiSA「紅蓮華」「炎」だけでなく、「unlasting」「Catch the Moment」も1000万再生達成。THE FIRST TAKEの知名度上昇に大きく貢献しています。

 DISH//とともにTHE FIRST TAKE効果が大きいのは優里「ドライフラワー」「ベテルギウス」「シャッター」はもちろんですが、「ドライフラワー」より前に「かくれんぼ」での抜擢が今日の人気に大きく繋がったと言えそうです。

 名曲系の再生数は2005年発表の「My Way」を歌ったDef Techが1位、その次が新しいデュエットバージョンの「ないものねだり」。どうしてもソロ系・ボーカルグループ系がメインになりやすい特性上、バンド系の出演が少なくなるのはやや惜しいところです。例えばKing Gnuはソニー系(アリオラジャパン)ですが、ここまで意外に1度も出演がありません。

 女王蜂「炎」は『どろろ』、鈴木雅之「DADDY! DADDY! DO! feat. 鈴木愛理」は『かぐや様は告らせたい』のアニメタイアップが強力。海外からの再生数も多いようです。

 さてビルボードとの繋がりですが、1000万再生クラスになるとやはりHot100へのランクインが目立つようになります。ただ2020年と現在ではストリーミング市場規模や係数比率など色々違う面もあるので、一概に何とも言えない面もあります。このデータだけでは、明確にTHE FIRST TAKEきっかけのヒットかそもそも別の要因が強いかどうか判別しにくいかと思いますので、参考程度に見て頂ければ幸いです。

各動画のおおまかな分類

 ざっと再生回数順に並べてみましたが、原曲の発売日と比較して考えると、およそ以下のように分類できるような気がします。1アーティストが近いタイミングで2曲歌う場合は、過去曲+新曲(話題の曲)の2動画組み合わせが多い印象です。

大ヒット御礼型

 YOASOBI「夜に駆ける」LiSA「紅蓮華」が代表例です。立ち上げたばかりの2019年末~2020年によく見られたケースです。最近だと2022年2月に歌ったAimer「残響散歌」が最も分かりやすいかと思われます。

プロモーション同時型

 LiSA「炎」はCD発売・フル配信開始とほぼ同タイミング、優里「ドライフラワー」もTHE FIRST TAKE公開と配信開始日が似通っています。Creepy Nuts「かつて天才だった俺たちへ」も同様でしょうか。優里「ベテルギウス」に至っては、配信開始よりもTHE FIRST TAKEの方が先でした。

そもそもTHE FIRST TAKEがオリジナル型

 「再会」「おもかげ」といったコラボ曲は完全にTHE FIRST TAKEメインで、ストリーミングの配信音源もここが発信になっています。THE FIRST TAKE FES.としてアップとなった「梅田ナイトフィーバー ’19」も、この類と考えて良いでしょうか。

ブレイク目論見型

 DISH//「猫」が一番最初の例ですが、これに続けとばかりに新しいアーティストが登場するケースも目立ちます。変態紳士クラブ「YOKAZE」MAISONdes「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」が分かりやすいケース、Da-iCE「CITRUS」もそれに近いでしょうか。

名曲の再評価型

 Def Tech「My Way」ポルノグラフィティ「サウダージ」、最近だとnobodyknows+「ココロオドル」がこれにあたります。

おわりに…

 とりあえずこんな形でランキングを作りましたが、累計の再生数ランキングだとどうしても古い動画の方が順位は高くなります。また、ビルボードチャートとの繋がりも表に少し追記しただけで、分かりやすく記していないと思います。

 というわけで、今度はさらに別のランキングを作って色々考察してみたいと思います。前編後編から予定外の3記事目に続く形になりますが、もう少しお付き合いください。よろしくお願いします。

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