THE FIRST TAKEからのヒットを検証する~最終編・データ編2~

歴代THE FIRST TAKE一日平均再生数ランキング表

 累計再生数ランキングは長期的なヒットを観測するのに効果がありますが、短期のヒットは見えにくいです。そこで今回は、短期のヒットを計測するランキングを作りました。

 今回は歴代の再生数を累計ではなく、再生数/公開日数で1日あたりの平均再生数で算出しています。

 データは全て2022年6月26日現在のものとします。また平均再生数は10の位を四捨五入としました。また新しければ新しいほど1日平均再生数は必然的に高くなるので、とりあえずランキングの対象は直近2週間以内に公開された作品のみとします。

ランキングデータ

楽曲 アーティスト 1日平均
再生数
再生回数 配信開始日 原曲発売日
1. ココロオドル nobodyknows+ 65.54万 1048万
(42位)
2022/6/10
(16日)
2004/5/26
2. DISH//(北村匠海) 22.09万 18288万
(1位)
2020/3/20
(828日)
2017/8/15
3. 残響散歌 Aimer 21.69万 2960万
(12位)
2022/2/9
(137日)
2021/12/6
4. 韻波句徒 CHEHON 21.49万 945万
(46位)
2022/5/13
(44日)
2016/5/25
5. スパークル 幾田りら 16.91万 625万
(112位)
2022/5/20
(37日)
2022/1/17
6. ドライフラワー 優里 16.73万 10106万
(4位)
2020/10/30
(604日)
2020/10/25
7. おもかげ
(produced by Vaundy)
milet
Aimer
幾田りら
16.64万 3178万
(11位)
2021/12/17
(191日)
2021/12/17
8. 夜に駆ける YOASOBI 16.48万 12725万
(2位)
2020/5/15
(772日)
2019/12/15
9. レンズ 幾田りら 15.18万 379万
(127位)
2022/6/1
(25日)
2022/6/14
10. ベテルギウス 優里 15.02万 3844万
(8位)
2021/10/13
(256日)
2021/11/4
11. 群青 YOASOBI 14.84万 7196万
(5位)
2021/2/26
(485日)
2020/9/1
12. カタオモイ Aimer 14.81万 2206万
(19位)
2022/1/28
(149日)
2016/9/21
13. 美人 ちゃんみな 13.35万 867万
(50位)
2022/4/22
(65日)
2021/3/19
14. 紅蓮華 LiSA 13.25万 12359万
(3位)
2019/12/6
(933日)
2019/4/22
15. 再会 LiSA
Uru
9.51万 5680万
(7位)
2020/11/6
(597日)
2020/11/16
16. 燦燦 三浦大知 9.74万 175万
(194位)
2022/6/8
(18日)
2022/4/12
17. LiSA 9.35万 5780万
(6位)
2020/10/16
(618日)
2020/10/12
18. シャッター 優里 8.20万 2197万
(20位)
2021/10/1
(268日)
2021/7/7
19. GIRI GIRI 鈴木雅之 feat. すぅ 8.11万 186万
(189位)
2022/6/3
(23日)
2022/4/15
20. 飛行船 三浦大知 7.96万 238万
(163位)
2022/5/27
(30日)
2018/7/11
21. ハレンチ ちゃんみな 7.08万 375万
(129位)
2022/5/4
(53日)
2021/9/24
22. Imitation Rain SixTONES 6.96万 1225万
(35位)
2022/1/1
(176日)
2020/1/22
23. 梅田ナイトフィーバー’19 梅田サイファー 6.46万 2008万
(22位)
2021/8/19
(311日)
2021/10/13
24. 僕なんか 日向坂46 5.97万 232万
(167位)
2022/5/18
(39日)
2022/5/25
25. My Way Def Tech 5.97万 3479万
(9位)
2020/11/20
(583日)
2005/1/22
26. W/X/Y Tani Yuuki 5.86万 545万
(84位)
2022/3/25
(93日)
2021/5/26
27. 優しい彗星 YOASOBI 5.60万 2646万
(15位)
2021/3/10
(473日)
2021/1/20
28. サウダージ ポルノグラフィティ 5.54万 1638万
(27位)
2021/9/3
(296日)
2000/9/13
29. ドレミソラシド 日向坂46 5.18万 264万
(151位)
2022/5/6
(51日)
2019/7/17
30. CITRUS Da-iCE
(大野雄大、花村想太)
5.17万 2325万
(16位)
2021/4/2
(450日)
2020/11/25
31. Everlasting SixTONES 4.66万 768万
(56位)
2022/1/12
(165日)
2022/1/5
31. ヨワネハキ
feat. 和ぬか, asmi
MAISONdes 4.23万 1290万
(31位)
2021/8/25
(305日)
2021/5/19
32. Champion Road CHEHON 4.23万 135万
(216位)
2022/5/25
(32日)
2020/12/23
33. いつか Saucy Dog 4.20万 1067万
(40位)
2021/10/15
(254日)
2017/5/24
34. 春を告げる yama 4.07万 2256万
(17位)
2020/12/18
(555日)
2020/4/17
35. YOKAZE 変態紳士クラブ 4.05万 1681万
(26位)
2021/5/7
(415日)
2020/4/30
36. Ordinary days milet
Cateen
4.04万 573万
(78位)
2022/2/4
(142日)
2021/8/4
37. DADDY! DADDY! DO!
feat. 鈴木愛理
鈴木雅之 3.96万 2669万
(14位)
2020/8/21
(674日)
2020/4/15
38. 僕らの季節 JO1 3.84万 303万
(142位)
2022/4/8
(79日)
2021/12/13
39. ないものねだり 谷口 鮪(KANA-BOON)
もっさ(ネクライトーキー)
3.82万 3180万
(10位)
2020/3/13
(835日)
2013/4/24
(KANA-BOON)
40. Move The Soul JO1 3.64万 244万
(161位)
2022/4/20
(67日)
2022/4/3
41. Fly High milet
Cateen
3.60万 468万
(105位)
2022/2/16
(130日)
2021/11/30
42. ANIMA ReoNa 3.59万 2243万
(18位)
2020/10/9
(625日)
2020/7/13
43. 僕が死のうと思ったのは 中島美嘉 3.59万 792万
(53位)
2021/11/17
(221日)
2013/8/28
44. さすらい 奥田民生 3.48万 373万
(130位)
2022/3/11
(107日)
1998/2/5
45. 雪の華 中島美嘉 3.48万 800万
(52位)
2021/11/5
(233日)
2003/10/1
46. 火炎 女王蜂 3.30万 2873万
(13位)
2020/2/7
(870日)
2019/1/30
47. キャラクター 緑黄色社会 3.29万 190万
(186位)
2022/4/29
(58日)
2022/1/21
48. バンビーナ 布袋寅泰 3.17万 650万
(76位)
2021/12/3
(205日)
1999/4/16
49. 東京 SUPER BEAVER
feat. 長屋晴子
2.94万 582万
(66位)
2021/12/10
(198日)
2022/1/23
50. シルエット KANA-BOON
feat. 山田貴洋
2.90万 290万
(145位)
2022/3/18
(100日)
2014/11/26

ランキング解説

 再生数の累計ランキングとは逆に、こちらは新しい作品であればあるほど高い順位になります。分かりやすくするために2022年の発表曲を赤マーカー再生数の累計より順位を上げた曲を黄マーカー表示にしました。

 現在1位のnobodyknows+「ココロオドル」は異常値を叩き出しています。ここ2週間の作品でもHarry Styles「Boyfriends」が41.77(13日)、斉藤和義「歌うたいのバラッド」が20.63(9日)という状況なので、尋常ではないほどのペースで再生されていることが分かると思います。今後少しずつ数字は下がるはずですが、1日10万再生ペースをキープできている動画は20個もありません。1年後も10万以上の再生数なら一大ムーブメントクラスですが、果たしてどうなるでしょうか。

 歴代再生数1位のDISH//「猫」は、現在も1日あたりの平均再生数は群を抜いて多いです。そもそも2位と比べても1.5倍の再生数で圧倒していますが、配信から2年以上経ってもこれだけの数字を記録しているのは驚愕の一言に尽きます。「ドライフラワー」「夜に駆ける」「紅蓮華」と、さすがに1億クラスまでいくと平均再生数もなかなか10を下回りません。累計再生数を見れば一目瞭然ですが…。

 今年配信分は、Aimer「残響散歌」がまだ平均21万ペースをキープでトップ。CHEHON「韻波句徒」幾田りら「スパークル」も、公開1ヶ月以上経ちますがかなりの勢いになっています。1日平均再生数10万は、1000万再生だと100日・およそ3ヶ月で達成可能、1年を通してキープさせるには3650万必要となります。現在3650万超えの作品数は8作、3年で8作と考えるとやはり相当な数字が必要になります。

 50位以内に今年配信開始の作品は24作、ただ時間を追うごとに1日平均再生数は間違いなく下がっていきます。当然入れ替わり立ち替わりになるかと思われますが、50位以内に入るには1日平均2.90万、およそ3万台をキープできるかが重要になります。

 参考までに、1日平均再生数3万がどういった状況なのかを簡単に表にしました。目安の再生数ランキング順位も、2022年6月26日現在を指しています(こちらも年が経つごとに大きな数字になるはずなので)。

公開日数 再生数 目安の再生数
ランキング順位
30日(1ヶ月) 90万 230位近辺
90日(約3ヶ月) 270万 140位前後
180日(約半年) 540万 85位前後
365日(1年) 1080万 40位前後

THE FIRST TAKEのヒット効果

 最後に、動画公開直後のビルボードランキングの動きを検証します。さすがに全作品やると膨大な量になるので、今回は2022年以降の全ランクイン作品と、2021年以前に累計再生数ランキングに入った楽曲(複数曲演奏分は除外)を対象とします。

 楽曲の並びは公開順、チャートアクションは公開前・公開中と公開1~3週間後までの順位を記載しました。また前週より順位もしくはポイントが上昇した週に関しては赤文字表記としています。

2019年~2020年公開分

楽曲 アーティスト 公開前
順位
公開週
順位
公開後
1週目
公開後
2週目
公開後
3週目
配信開始日 原曲発売日
紅蓮華 LiSA 15位 5位 7位 5位 7位 2019/12/6 2019/4/22
unlasting LiSA 31位 43位 59位 86位 圏外 2019/12/25 2019/10/21
火炎 女王蜂 圏外 圏外 76位 圏外 圏外 2020/2/7 2019/1/30
ひとり ゴスペラーズ 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/2/14 2001/3/7
BL 女王蜂 圏外 56位 88位 圏外 圏外 2020/2/19 2020/1/29
ないものねだり 谷口 鮪(KANA-BOON)
もっさ(ネクライトーキー)
圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/3/13 2013/4/24
DISH//(北村匠海) 圏外 圏外 圏外 圏外 99位 2020/3/20 2017/8/15
unravel TK from 凛として時雨 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/4/10 2014/7/23
Shout Baby 緑黄色社会 圏外 圏外 93位 圏外 圏外 2020/4/17 2020/2/8
夜に駆ける YOASOBI 5位 2位 1位 1位 1位 2020/5/15 2019/12/15
~THE FIRST TAKE ver.~ DISH// 37位 16位 11位 12位 18位 2020/6/3 2020/4/29
inside you milet 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/6/5 2019/3/4
SLUMP -Japanese ver.- Stray Kids 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/6/26 2020/5/6
かくれんぼ 優里 73位 72位 50位 56位 56位 2020/7/10 2019/12/1
DADDY! DADDY! DO!
feat. 鈴木愛理
鈴木雅之 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/8/21 2020/4/15
かつて天才だった俺たちへ Creepy Nuts 圏外 63位 73位 82位 88位 2020/8/26 2020/8/19
世界は恋に落ちている CHiCO with HoneyWorks 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/9/18 2014/8/6
ANIMA ReoNa 圏外 86位 58位 47位 80位 2020/10/9 2020/7/13
虹の彼方に ReoNa 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2020/10/21 2019/2/6
Catch the moment LiSA 圏外 81位 圏外 圏外 圏外 2020/10/28 2017/2/15
ドライフラワー 優里 圏外 93位 39位 16位 8位 2020/10/30 2020/10/25
LiSA 1位 1位 2位 1位 1位 2020/11/6 2020/11/16
My Way Def Tech 圏外 圏外 78位 圏外 圏外 2020/11/20 2005/1/22
春を告げる yama 45位 35位 27位 28位 28位 2020/12/18 2020/4/17

2021年公開分

楽曲 アーティスト 公開前
順位
公開週
順位
公開後
1週目
公開後
2週目
公開後
3週目
配信開始日 原曲発売日
オーケストラ アイナ・ジ・エンド 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2021/1/22 2016/10/5
秒針を噛む ずっと真夜中でいいのに。 圏外 69位 80位 84位 圏外 2021/2/12 2018/8/30
群青 YOASOBI 14位 14位 6位 9位 9位 2021/2/26 2020/9/1
優しい彗星 YOASOBI 73位 19位 23位 14位 22位 2021/3/10 2021/1/20
366日 HY 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2021/3/12 2008/4/16
CITRUS Da-iCE
(大野雄大、花村想太)
圏外 圏外 60位 63位 48位 2021/4/2 2020/11/25
YOKAZE 変態紳士クラブ 圏外 63位 24位 17位 25位 2021/5/7 2020/4/30
勿忘 Awesome City Club 16位 13位 14位 19位 18位 2021/5/21 2021/1/27
ツキミソウ Novelbright (竹中雄大) 34位 29位 29位 32位 34位 2021/5/28 2020/12/11
花束のかわりにメロディーを 清水翔太 圏外 圏外 92位 圏外 圏外 2021/6/11 2015/10/28
梅田ナイトフィーバー’19 梅田サイファー 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 2021/8/19 2021/10/13
ヨワネハキ
feat. 和ぬか, asmi
MAISONdes 34位 26位 14位 13位 16位 2021/8/25 2021/5/19
サウダージ ポルノグラフィティ 圏外 圏外 42位 80位 圏外 2021/9/3 2000/9/13
シャッター 優里 27位 27位 21位 19位 21位 2021/10/1 2021/7/7
ベテルギウス 優里 圏外 圏外 圏外 圏外 8位 2021/10/13 2021/11/4
いつか Saucy Dog 圏外 圏外 88位 89位 圏外 2021/10/15 2017/5/24
おもかげ
(produced by Vaundy)
milet
Aimer
幾田りら
圏外 28位 11位 15位 21位 2021/12/17 2021/12/17

2022年公開分

楽曲 アーティスト 公開前
順位
公開週
順位
公開後
1週目
公開後
2週目
公開後
3週目
配信開始日 原曲発売日
カタオモイ Aimer 圏外 62位 42位 29位 43位 2022/1/28 2016/9/21
残響散歌 Aimer 1位 1位 1位 1位 3位 2022/2/9 2021/12/6
Fly High milet
Cateen
81位 71位 圏外 圏外 圏外 2022/2/16 2021/11/30
アルデバラン AI 圏外 圏外 39位 44位 83位 2022/2/18 2021/11/1
W/X/Y Tani Yuuki 18位 17位 12位 9位 10位 2022/3/25 2021/5/26
Move The Soul JO1 48位 57位 圏外 圏外 圏外 2022/4/20 2022/4/3
美人 ちゃんみな 圏外 圏外 65位 80位 圏外 2022/4/22 2021/3/19
キャラクター 緑黄色社会 圏外 圏外 82位 圏外 圏外 2022/4/29 2022/1/21
ハレンチ ちゃんみな 圏外 圏外 72位 83位 100位 2022/5/4 2021/9/24
陽はまた昇るから 緑黄色社会 69位 77位 圏外 圏外 圏外 2022/5/11 2022/4/10
韻波句徒 CHEHON 圏外 圏外 61位 80位 93位 2022/5/13 2016/5/25
僕なんか 日向坂46 圏外 圏外 31位 1位 19位 2022/5/18 2022/5/25
スパークル 幾田りら 94位 43位 43位 44位 62位 2022/5/20 2022/1/17
レンズ 幾田りら 圏外 圏外 圏外 12位 2022/6/1 2022/6/14
燦燦 三浦大知 圏外 35位 90位 2022/6/8 2022/4/12
ココロオドル nobodyknows+ 圏外 圏外 23位 2022/6/10 2004/5/26

解説

 動画の公開は概ね水曜日か金曜日にされることが多いです。ビルボード週間ランキングの集計は月曜~日曜なので、その効果は集計週よりも翌週の方が大きく出るケースが大半となります。

 THE FIRST TAKE歌唱曲で最初にランクインしたのはLiSA「紅蓮華」ですが、当時既に大ヒット中でした。ただ公開週に15位→5位へのランクアップの他、この週を境に動画指標の順位が明らかに上昇しています(CHART INSIGHT参照、ただMVがshort ver.のみ公開という事情もあり)。もっとも2020年前半の時点では、THE FIRST TAKEの再生がビルボードチャートに及ぼす影響は多くありません。DISH//「猫」さえも、ビルボード初登場は動画公開からしばらく間が空いての99位でした。

 THE FIRST TAKEがヒットコンテンツに成長したきっかけは、やはり自粛期間中にヒットしたYOASOBI「夜に駆ける」ではないかと思われます。公開時点で既に大ヒット中でしたが、ここに出演する以前に生で歌う場面は一切ありませんでした。メディアが本格的に注目し始めたのもこの出演以降で、実際ラジオ要素がランクインし始めたのは総合1位獲得週からです(CHART INSIGHT参照)。DISH//「猫」が新しくTHE HOME TAKEとして公開されたのもこの時期、「夜に駆ける」同様一気に大ヒット曲に成長します。

 もっともTHE FIRST TAKEで歌えばすぐにヒットするかと言うと決してそうではなく、200~300万くらいの再生だとランクインも難しくなります。優里「かくれんぼ」で初登場、「ドライフラワー」で大ブレイクしたのはもちろんこのコンテンツの力も大きいですが、出演時点で既にストリーミングのバイラルチャートなどで注目される存在であったことは忘れてはいけない事実のような気がします。実際「かくれんぼ」はビルボードだと、THE FIRST TAKE出演前から既にランクインはしていました。

 明らかにTHE FIRST TAKEきっかけでのブレイクが増えたのは2021年以降でしょうか。Da-iCE「CITRUS」変態紳士クラブ「YOKAZE」はここでの歌唱がなければヒットしていたかどうかも分かりません。また、当初はソニー出身のアーティストが当然ながらメインですが、エイベックスやユニバーサルなど他レーベル歌手の歌唱も少しずつ多くなり始めます。設立当初から多かった旧譜歌唱がランキングで目立ち始めたのもこの頃で、2020年11月のDef Tech「My Way」が78位だったのに対して2021年9月のポルノグラフィティ「サウダージ」は42位。ビルボード側の細かい集計システム変更や市場規模の変化もあるので一概に言いにくい面もありますが…。

 そして2022年、ここ数ヶ月で明らかにTHE FIRST TAKEきっかけのランクインが増えたという肌感覚は調べて見る限り間違いないようです。今年のランクインはここまで16曲、既に昨年とほぼ変わらない多さです。ただ偶然そういった曲が固まったという側面もあり、日向坂46「僕なんか」みたいにCDリリースと重なった(というよりさらなるヒット狙いで意図的に重ねた?)だけというケースも存在します。ちゃんみな「美人」「ハレンチ」CHEHON「韻波句徒」のような、新人でなくとも特定のジャンル以外あまり知名度が高くないアーティストのランクインも増えました。全体的にストリーミング再生数が昨年と比べると下がり気味というデータもあるので、その分ランクインしやすくなった可能性も高いですが…。

 THE FIRST TAKEはソニーが立ち上げた企画なので、特にソニー系レーベルのアーティストが出演する動画に関して言えばプロモーションの側面も非常に大きいです。コラボ曲もそうですが、直近だと幾田りら「レンズ」は配信リリースよりも前の歌唱でした。これだけのデータが揃った以上、今後も新人・話題の自社アーティストをブレイク狙いで出演させる例が多くなっていくはずです。そして、ここで優れたパフォーマンスを残したアーティストが話題になり再生数を呼び、ヒットに繋がっていくことになります(今回楽曲面からの分析は一切無しの記事ですが…)。

 ヒット分析としてのTHE FIRST TAKEコラムは以上になりますが、ファンやリスナー・一般ユーザーから見ると好きなアーティストが出演して素晴らしいパフォーマンスをしてくれる、それだけで十分だと思います。その積み重なりが数字に残りそれがヒットとなるのは言うまでもありませんが、再生数上位の曲だけでなくそれ以外にも優れたパフォーマンスは多数存在します。興味のある方はもちろん、そうでない人も新しいアーティスト発掘の場として活用できれば…と思います。長文・長編になりましたがここで締めさせて頂きます。ありがとうございました。

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