当サイトでは毎週水曜日に発表されるビルボードチャートについての記事を恒例としていますが、ここ最近特にTHE FIRST TAKEからのランクインが目立ちます。もちろん今にはじまった話ではないのですが、最近は数年前の楽曲がこれによって突然ランクインするケースも増えています。
そこで今回は2回に分けて、THE FIRST TAKEの検証記事を作ることにしました。前編はこれまでの動画を抜粋して振り返る歴史編、後編は再生回数とビルボードのチャートの関連性について調べたデータ編を予定しています。
- adieu「ナラタージュ」~記念すべき第1作
- LiSA「紅蓮華」~初の再生数1億超え達成
- 加藤ミリヤ「Aitai」~代表曲の再評価
- ゴスペラーズ「ひとり」~アカペラ
- DISH//(北村匠海)「猫」~ここきっかけで大ブレイクの初例
- マカロニえんぴつ(はっとり)「青春と一瞬(Strings ver.)」~ソニー以外の初登場
- YOASOBI「夜に駆ける」~2020年の大ヒット曲
- 押尾コータロー×DEPAPEPE×崎山蒼志「GUITAR SESSION」~演奏メイン
- 鈴木雅之「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」~アニソン×デュエット×ハロプロ
- 平井 大「祈り花 2020」~avex traxから出演
- 優里「ドライフラワー」~2回目出演でブレイク
- LiSA×Uru「再会(produced by Ayase)」~THE FIRST TAKEオリジナルコラボ
- 橋本 愛「木綿のハンカチーフ」~公開はデビュー前
- Da-iCE「CITRUS」~ここから日本レコード大賞受賞にまで発展
- 郷ひろみ「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」~キャリア50年の大御所も
- 乃木坂46「きっかけ」~現役アイドルも出演
- milet×Aimer×幾田りら「おもかげ (produced by Vaundy) 」~超豪華共演
- SixTONES「Imitation Rain」~ついにはジャニーズも参戦
- nobodyknows+「ココロオドル」~最新のバズ
adieu「ナラタージュ」~記念すべき第1作
THE FIRST TAKEの第1弾は、adieuこと上白石萌歌の「ナラタージュ」でした。コロナ禍で台頭したとも言われるTHE FIRST TAKEですが、立ち上げは2019年11月なのでそれよりも前です(登録が5日、初アップが15日)。
各アーティストごとに2曲歌うのが恒例になっていますが、これは初期からそうのようです。19日後には、同様に「天気」の歌唱動画が公開されています。原曲の発表は「ナラタージュ」が2017年、「天気」は当時ちょうど発売になったミニアルバム『adieu 1』の収録曲でした。
LiSA「紅蓮華」~初の再生数1億超え達成
初の再生数1億超えは、2019年12月に公開されたLiSA「紅蓮華」でした。
『鬼滅の刃』OPテーマとしてこの年に大ヒットしましたが、当時YouTubeのMVはshort ver.のみ・サブスクも10月に解禁されたばかり。再生数が大きく伸びた理由には、これらの要素も挙げられます。ここでTHE FIRST TAKEの存在を知ったという人も、相当数いたのではないのでしょうか。
加藤ミリヤ「Aitai」~代表曲の再評価
THE FIRST TAKEの歌唱は、代表曲と新曲の2本立てというのが一般的になっています。近年の曲ではなく、10年以上の前をパフォーマンスした初めての例が加藤ミリヤ「Aitai」でした。
2009年のアルバム『Ring』収録曲ですが、YouTubeのMV再生数はこの曲がトップです。現在3100万再生は清水翔太の「Love Forever」より600万多く、ソロ次点の「SAYONARAベイベー」の倍を記録しています。
ゴスペラーズ「ひとり」~アカペラ
アカペラのパフォーマンスは、当時SNSでも大きな話題になりました。2001年の代表曲、私がTHE FIRST TAKEの存在を知ったのはおそらくこれがきっかけだったかと記憶しています。なお複数人での出演は、彼らよりもLittle Glee Monsterが先でした。
DISH//(北村匠海)「猫」~ここきっかけで大ブレイクの初例
シングル「僕だけがやりました」のカップリング曲が2020年に大ブレイクしたのは、間違いなくこの動画がきっかけでした。そういえば、コロナ禍が始まって在宅率が高くなったのもこの時期からです。
これをきっかけに地上波テレビの音楽番組出演も明らかに増加、その中で”THE FIRST TAKE ver.”と銘打たれることも多くありました。また、ここ数年のボーイズグループ躍進のきっかけとしても外せない存在であることは間違いありません。THE FIRST TAKEだけでなく、J-POP史を変えた動画と言っても過言ではないでしょう。なお「猫」はソロバージョンだけでなく、同年6月にはバンドとしても出演しています。
マカロニえんぴつ(はっとり)「青春と一瞬(Strings ver.)」~ソニー以外の初登場
THE FIRST TAKEはソニーミュージック主導なので、当然アーティストも最初はソニーレーベル所属の歌手が中心です。初めてソニー以外が登場したのは2020年4月3日、murffin discs時代のマカロニえんぴつでした。
muffin discからはSUPER BEAVERやsumikaがソニーレーベルからメジャーデビュー、おそらくソニー側もそう考えていたと思われますが、現在の彼らはトイズファクトリーで活動中。ブレイクした今だからこそ、再度の出演を希望するファンも多いのではないでしょうか。
なお歌以外の演奏が入ったのはギターを持ち込んださユり「航海の唄」「ミカヅキ」が初、バンド形態はマカロニえんぴつ「hope」が初となっています。
YOASOBI「夜に駆ける」~2020年の大ヒット曲
2020年5月公開。YOASOBIが広く知られるきっかけになった「夜に駆ける」のMVはアニメーションでした。このTHE FIRST TAKEの動画で、初めて幾田りらの歌うシーンを見た人も相当数いたのではないかと思われます。YOASOBIとして3曲・ソロで2曲コラボで1曲といまやすっかり常連となりましたが…。
緊急事態宣言の発令期、この時期アップされた動画は自宅もしくはプライベートスタジオで収録された「THE HOME TAKE」でした。
押尾コータロー×DEPAPEPE×崎山蒼志「GUITAR SESSION」~演奏メイン
やがてTHE FIRST TAKEは歌だけでなく、聴かせる演奏も魅力的なコンテンツになります。2020年6月にアップされたこの動画は、崎山さん以外ギター演奏のみのインスト仕様でした。
鈴木雅之「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」~アニソン×デュエット×ハロプロ
2020年8月に公開された動画は、大ベテラン・鈴木雅之の出演が話題になりました。男女デュエット・元ハロプロなど「初」の要素が特に多いパフォーマンスは、2600万再生を記録しています。この曲もMVはフルコーラス公開でないので、フルをYouTubeで聴くならこちらを推奨という形になります。
平井 大「祈り花 2020」~avex traxから出演
ソニーとは関係の薄い、別のメジャーレーベルからの出演は2020年9月の平井大が初めてでした。ギターではなくウクレレの弾き語り、まさに聴かせるパフォーマンスです。同月にはSKY-HIも出演、THE FIRST TAKEは発足1年も経たない速さでソニーのみにとどまらない規模になっていきます。
10月に出演した元E-girls・伶(鷲尾伶菜)は元エイベックスですが、ソロ転向後のレーベルはソニー系です。もしかすると、彼らが出演した背景にはそういった面もあったかもしれません。
優里「ドライフラワー」~2回目出演でブレイク
優里のTHE FIRST TAKE初登場は2020年7月の「かくれんぼ」(THE HOME TAKE)ですが、ブレイク曲はやはり「ドライフラワー」で間違いありません。歌唱後ビルボード93位初登場後39位→16位→8位と一気にランクアップ、現在まで長くロングセラー継続中です。
LiSA×Uru「再会(produced by Ayase)」~THE FIRST TAKEオリジナルコラボ
ソニーレーベルに所属する歌姫同士の共演、2020年11月の「再会」はこのTHE FIRST TAKEがオリジナル音源となっています。ソニー系同士のコラボレーションも、2020年以降確実に多くなったような気がします。
橋本 愛「木綿のハンカチーフ」~公開はデビュー前
そして年末には、歌手としてデビューする前の橋本愛が歌う「木綿のハンカチーフ」のカバーが話題となります。あらためてレコーディングされた音源の配信は2021年2月からでした。
Da-iCE「CITRUS」~ここから日本レコード大賞受賞にまで発展
2020年11月に6ヶ月リリース第4弾としてリリースした「CITRUS」のヒットも、間違いなくここでのパフォーマンスがきっかけでした。2021年4月2日公開後、14日付のビルボードで60位に再登場。それ以降60週以上連続でHot100に入るロングセラーが現在も継続中(最新週も28位にランクイン)。
2021年のロングセラー組では、変態紳士クラブ「YOKAZE」やNovelbright「ツキミソウ」もTHE FIRST TAKE歌唱があります。これらのデータについては、また後編記事で扱いたいと考えてます。
郷ひろみ「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」~キャリア50年の大御所も
2021年8月にはデビュー50年目の郷ひろみが出演。今のところTHE FIRST TAKE最年長・最ベテランの出演になっています。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONやCHEMISTRYにポルノグラフィティなど、この時期はベテランが出演して話題になるケースが多くありました。
乃木坂46「きっかけ」~現役アイドルも出演
女性アイドルの初出演は私立恵比寿中学「なないろ」ですが、大きく話題になったのはやはり乃木坂46でしょうか。4期生の遠藤さくらがソロ歌唱、「きっかけ」はこの年の紅白歌合戦の歌唱曲にもなっています。
milet×Aimer×幾田りら「おもかげ (produced by Vaundy) 」~超豪華共演
ソニーが誇る4組の豪華共演です。Aimerがこれだけはっきり顔出しで登場するケースは、これ以前にほとんどありません。「残響散歌」がヒットし始めた頃で当然ソロでもTHE FIRST TAKE出演、こちらも約3000万再生を記録しています。
SixTONES「Imitation Rain」~ついにはジャニーズも参戦
今年年始1発目のパフォーマンスは、なんとSixTONESでした。ソニーレーベル所属とは言え、こういったネットコンテンツ出演は少し前のジャニーズだと考えられなかったことです。もっとも彼らはいまやYouTubeコンテンツも充実している状況ですが…。
nobodyknows+「ココロオドル」~最新のバズ
2004年の紅白歌合戦でも披露されたヒップホップナンバーですが、ここに来て大きく再生数を伸ばしています。公開2週間で963万という非常に速いペース、歴代でもかなりの反響となっています。
次回の記事では歴代THE FIRST TAKEの再生数比較、さらにビルボードチャート他への影響について書いていきたいと思います。ただデータ以外どこまで深い分析になるかは分からないので、その辺りは期待せずにゆっくり見て頂ければと考えています。
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