2017.5.7 COMIN’ KOBE ’17 in 神戸ワールド記念ホール・神戸国際展示場

 ゴールデンウィーク、関西恒例の無料チャリティーライブイベントCOMIN’ KOBEは今年で13回目の開催。回を追うごとに出演者も豪華に、協賛企業も多くなっています。昨年は実行委員長の松原裕がステージ4の癌で開催の危機に立たされていましたが、やはり音楽の力は大きいです。今年は明らかに昨年より元気になっていて回復傾向。オフィシャルサイトのフリーダムっぷりも絶好調の元、無事開催の運びになりました。

 初めて足を運んだのは”GOINGKOBE”の名前だった2009年ですが、昨年も書いた通り当時は10時半開場で11時到着、リストバンド交換で並んだ記憶は全くありません。2012年辺りから人の多さを感じるようになりましたが、今年はステージを少し増やしたこともあって、今までで一番の人の多さ。恒例となっている開場前のリストバンド待ち列も軽くポートライナー2駅分、実質3駅分あるようでした。待ち時間2時間超、この約10年で色々なフェスに参加するようになりましたが、カミコベほど行列が長いのは他に記憶がありません。

ヒステリックパニック(ビジュアルノーツ「R」Stage・国際展示場3号館)

 最初はバックドロップシンデレラを見る予定だったものの、あいにくの長蛇の列で見れたのは最後の数曲のみ。というわけで実質的には名古屋出身の彼らのステージが最初。ボーカルのTack朗さんは髪もTシャツも黄緑色尽くしで、リハーサルでは「もののけ姫」を原曲キーで歌うという次第。てっきり彼がメインなのかと思いきや、場を牽引するのは白ポロシャツに短パン・赤髪姿のともさんでした。縦横無尽に動き回るアクトに洒落にならない迫力のスクリーモ、まるでFear, and Loathing in Las Vegasを見てるかのようです。あるいは極度のミクスチャー具合を考えるとUVERworldにも近いかもしれません。

 「シンデレラ・シンドローム」「ねこ地獄」など、冷静に聴くと軸のメロディーはJ-POPにあるような気がしました。それらに過激な要素を限りなく詰め込んで超絶ロックに仕立ていることに、凄さを感じずにはいられなかったです。ダイブ多数、サークルモッシュも全4曲で発生。ワールド記念ホールのステージに立てるほどファンが広がるかは分かりませんが、一度見たら間違いなく記憶に強く残るアクト。今後の活躍もおおいに期待できそうです。

かりゆし58(KissFM Stage・国際展示場2号館)

 沖縄からやってきたロックバンド。彼らと言えば「アンマー」が有名ですが、その曲も演奏してくれました。音楽としてはロックというよりレゲエというノリもあったでしょうか、ただいずれにしても南国系。来てくれる人みんなが兄弟だと思って歌っていますというMCから、彼らの温かさと人間としての深さを強く感じさせる、良いアクトでした。

COUNTRY YARD(Spotify Stage・国際展示場2号館)

 2007年結成、2010年初のCDリリースでカミコベ出演は今回が3年ぶりとのこと。非常にストレートな英語詞メロコアバンドで、シンプルにカッコ良い演奏を見せていました。

POT(KissFM Stage・国際展示場2号館)

 昨年に続いて観覧。前回は横からの初見で、印象は正直なところ激しいという一語のみ。ですが今年はそういうわけでもなく。最初に演奏された「I don’t care」が大変キャッチーで掴みはバッチリ、大阪出身ということもあって喋りも面白く煽りも非常にうまく。ただ楽曲に合わせて手を挙げたりするのも良いのですが、例えばラストに演奏された「COUNTDOWN」は”3!””2!””1!”というフリもあってバリエーションも豊か。私がPOTのステージを見るのは2回目ですが、初めてでも存分に楽しめる入りやすいステージという印象でした。パンクロック界隈は勿論、それ以上に彼らの名前が広がっても良いのではないでしょうか。

打首獄門同好会(Spotify Stage・国際展示場2号館)

 こちらもカミコベでは2年連続観覧。前回は打首目当てでPOTと続けて、という形でしたが今回はどちらかと言うと次のステージが目当て。ちなみにこの2組は会場も時間帯も昨年とほぼ同じ、ステージの場所だけ変わったという形でした。COUNTRY YARD、POTと徐々に増えるオーディエンスはこの時間帯になるとかなり埋まっています。

 POTのステージが終わるや否やうまい棒を配り始める面々。ただ今年はオーディエンスのテンションが幾分高いようで、袋ごとうまい棒の束を上に投げる方が数名。メンバーがその行為を注意しながら、軽くリハで演奏するのは「ヤキトリズム」「カモン諭吉」。いつものモニターは今回ステージの上部に映し出される形。2ステージの間にも大きなビジョンが設置されていますが、同じ映像が流れるようです。

 うまい棒を配った以上最初に演奏されるのは当然「デリシャスティック」。その次はひたすら魚介類を歌う「島国DNA」、”まぐろのさしみ” ”かつおのたたき”他を三三七拍子で大合唱。続いてはカミコベ初演奏となる2曲、「きのこたけのこ戦争」「歯痛くて」。きのこ軍とたけのこ軍に分かれてウォール・オブ・デスという展開、ただ今回彼らが歌うステージは入り口から向かって右側。そこ基準で真ん中に分けられて右側がきのこ軍になったので、今回に関して言うと実質もう片方のステージも含むたけのこ軍圧勝という形に落ち着きそうでした。ラストは「日本の米は世界一」で大団円。かなりの盛り上がりでギターの音の調節が難しい中でも、微妙な音のおかしさにしっかり気づく辺りはさすがベテラン。盛り上げ方他何から何まで、完全なる横綱相撲という趣でした。

 なおこのステージの演奏終了は13時40分頃で昨年は13時過ぎ。2年連続でこんなお昼時に彼らを配置するのは、フードエリアからの要望も大きいのでしょうか…。

ヤバいTシャツ屋さん(KissFM Stage・国際展示場2号館)

 ワールド記念ホールの裏のタイムテーブルはキュウソネコカミ、毎年ほぼ満員の人で埋めるバンドです。彼らとは時間帯だけでなく、音楽性もファン層も被っている(※小山くんのMCより)にも関わらず2号館は後方までほぼ満員。リハでは目の前に靴が落ちているのをイジりつつ「ウェイウェイ大学生」を軽く演奏。

 本番はまず新曲「ヤバみ」、最初から勢い全開。歌詞は音響も良くないこともあって正直ほぼ聞き取れないのですが、盛り上がるという意味では無関係。ギターのチューニングも正直合っていない(というより多分聴こえていない)のですがやはり同様に無関係。「無線LANばり便利」でランランラン、「喜志駅周辺なんもない」でコール&レスポンス、「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」で全員座らせてからのジャンプ、「スプラッピ スプラッパ」でサークルモッシュ。盛り上げ方に隙がありません。「スプラッピ スプラッパ」の元歌は『おかあさんといっしょ』で使われていた楽曲、NHKもまさかこんな形でカバーされるとは思ってもいなかったことでしょう。

 「Tank-top of the world」、そしてラストの「あつまれ!パーティーピーポー」は会場一体の大団円。”えっびっばーでぃっ!”コールの大きさ・一体感は向こうの”ヤンキー怖い” ”スマホはもはや俺の臓器”並かそれ以上でしょうか。演奏に関してはまだ別の箇所で見ないと分からないですが、それ以外は全て完成されているアクトでした。

 ボーカル・こやまたくやのMCは”J-ROCK界の高田純次”と名付けたいほどに嘘ばっかりの適当でした。それに的確にツッコむ”道重再生”ベース・しばたありぼぼは歌声の安定感も含めて、まさしくヤバTの女房役といったところ。評判通りの素晴らしさで、早いうちにまたあらためて見たいです。出来れば野外、カミコベならワールド記念ホールで。

クリトリック・リス(市民広場スーパーStage)

 クリトリック・リスを名乗るスギムさんは、1969年生まれの47歳。大阪芸術大学卒、ヤバTの大先輩だそうです。元々はサラリーマンで部長にまで昇進した方なのですが、何がどうなってこうなったのでしょうか。現在は黒パンツ以外全裸の姿で全国を走り回っています。2年前から名前だけは気になっていたのですが(※ぱいぱいでか美の次のステージでした)、今回ようやくの初見。噂通りの風貌で、フェスという体をなしていなければ間違いなく不審人物そのものです。

 「ライス&ライス」「酒相撲のテーマ」「柳瀬次長」「トカゲ男と世話焼きおんな」など、細かい順番は忘れましたが歌詞も凄いです。登場人物が揃いも揃ってクズばかりで、酒まみれ女まみれ。パフォーマンスもステージから降りてそこらじゅう走り回るわ焼酎を撒き散らすわテントに登るわで破天荒そのもの。大暴れする中で、マネージャーと思わしき中年で太った方が終始無表情で立っているのもなんとも言えない味がありました。

 「TRAIN-TRAIN」ならぬ「BUS-BUS」、四列シートバスの悲哀を歌う曲が終わった後に異例のアンコールの声。むろん単なるお約束のようですが。ところがそこで演奏された語りメインの「1989」は、かなりノーマルに名曲でした。笑いを多くとるアーティストがマジメな曲を書くと実はすごく良い曲、というのは過去にも多くいますが、彼もやはりその一人のようです。素晴らしいアクトでした。そんなクリトリック・リスですが、4月になんとソニー・ミュージックエンタテインメントからまさかのメジャーデビュー決定。果たしてこのスタイルでブレイクするのでしょうか、おおいに注目です。

オメでたい頭でなにより(246 Stage・国際展示場2号館)

 2号館246 Stage、狭い空間に多くの人が集まっています。リハで登場するや否や、流れる楽曲は大塚愛の「さくらんぼ」。カバー&サンプリングにハードコアの要素を加えた内容のようでした。”バラードしかやりません”と挨拶していましたが全くそんな雰囲気でなく、一旦退場。出囃子として流れるのはまさかの「ウキウキウォッチング」。まんまお昼12時新宿アルタで3年前まで見られた光景をフルコーラスやった後に続く楽曲は「憂き浮きウォッチング」。名前の通り、”そうですね” ”友達の輪” ”んなことない” ”明日来てくれるかな?”などそれらしいフレーズのオンパレード。むろん楽曲はバラードではなくハードコア。正確に言うとおめでたいハードコアということで、略して”オメコア”。関西だと口にするのが憚られそうな略称ですが、気にしてはいけません。

 「wosushi~ウォールオブ寿司~」はネタ組とシャリ組、オーディエンスを真ん中で区切ってウォール・オブ・デス。まさか一日で2曲も魚の曲を聴くことになるとは想像していませんでした。続く「ダルマさんは転ばないっ」も個性的。演奏を止めてオーディエンスを静止させること数度、分かりやすい歌詞に”ウルトラソウッ”で終わる締めもユニーク。「生霊の盆踊り」を経てラストは「オメでたい頭でなにより」。WODから展開されるラインダンス、オーディエンスがラインダンスをする光景はアイドル方面で2組ほどいますが、ロックのライブでは初めて見ました。

 まだ結成から1年経っていないようでカミコベは当然初出演、ただボーカルの赤飯はニコ生歌い手なのでそこからのファンが既に一定数いそうです。奇抜なアイデアとライブの楽しさと楽曲のユニークさ、近年ライブからブレイクするアーティストに全て共通しています。彼らにとってカミコベがほぼ初の大型フェスという状況でしたが、全くそのようには見えませんでした。おそらく各フェスに呼ばれるようになれば、あっという間に売れっ子になるのではないでしょうか。そういう意味では、このステージを選んだのは後々すごく大きな価値が出そうな気がします。

爆弾ジョニー(KissFM Stage・国際展示場2号館)

 個人的には初見になりますが、こちらは既に何度もフェスに出ていてメジャーデビューもしているバンド。「唯一人」含めて4曲演奏していましたが、ポップ性・ロック的盛り上がり・演奏他含めて大変良い内容。どちらかと言うと今回は次のバンド目当てで最初から見られたのは偶然でしたが、自然に引き込まれるものがありました。ラストの「なあ~んにも」は特に素晴らしかったです。6/8リズムでギターを奏でる曲は「嗚呼、青春の日々」(ゆず)・「青すぎる春」(eastern youth)など、不思議と青春が似合う曲が自然に思い浮かびます。

 

四星球(Spotify Stage・国際展示場2号館)

 実は2009年に初めてこのフェスに足を運んだ時に、ワールド記念ホールで最初に少し見たバンドが彼ら。ブリーフ一丁で演奏する姿を見て、これはとんでもない所に来てしまったと思ったわけですが…。カミコベには毎年欠かさず出演していますが、ちゃんとステージを見るのは実を言うと今回が初めてです。

 リハでは普通の服装で盛り上げるボーカル・北島康雄ですが、本番では”日本一のカーニバルバンド”ということでサンバの衣装で登場。なかなかの出オチ感ですが、15年やっているバンドは当然ここで終わりません。「運動会やりたい」を演奏しますが、”今日はこの一曲しかやりません!”と何度も宣言。目の前のオーディエンスだけでなく、隣のステージで待機しているオーディエンス、果ては準備しているSUPER BEAVERチームにまで煽って盛り上げます。紅組と白組に分けてウォール・オブ・デス、対決をしてもらいます。”WOD仕切る人の真似対決” ”カミコベのリスバンかゆいかゆい対決” ”玉入れ対決”、ただ分ける場所は建物中央でなく自分が立つステージ中央なので、ほぼほぼ結果はSUPER BEAVER待ち全員を含む下手側の紅組圧勝でした。

 演奏は運動会に内包される形で「妖怪泣き笑い」「クラーク博士と僕」、計3曲のようでした。ものすごく面白かったです。不思議とこれまで思うほど注目されていなかった印象もありますが、実は5月の私立恵比寿中学のアルバム『エビクラシー』に「コミックガール」を提供したりもしています。とは言え”四星球が売れるまでは死ねない”というのが実行委員長・松原裕の談。文字通りに受け取ると、今くらいのままが色々な意味でちょうどいいのかもしれません…。

ラックライフ(ビジュアルノーツ「R」Stage・国際展示場3号館)

 昨年メジャーデビューした、高槻で結成されたバンド。ダイブを起こすような踊るロックではありませんが、爽やかさとメロディアスの中に熱さが備わっている良いバンドでした。よくいるタイプのように見えて、実はあまり過去にないタイプのバンドという印象があります。3曲目で歌詞を間違えて演奏やり直しというハプニングもありましたが、その爽やかさにかえって好感を持てました。

 自分たちにとって大事な曲ですというMCに続けてラストに演奏された「名前を呼ぶよ」は大変良く作られた温かいバラード。今年自分がカミコベで見たバンド、あるいはそれ以外でも注目されたバンドは踊るロックがほとんど主体になっていますが、それだけにメロディーと言葉で聴かせるバンドは本当に貴重。他のバンド以上に、今後の活躍をおおいに期待したいという気持ちになりました。

実行委員長のすべらない話(World Stage・ワールド記念ホール)

 年々カミコベでの滞在時間が短くなるワールド記念ホール。今年はついにトリ直前まで足を運ぶことがなくなってしまいました。アリーナに到着した際にステージで演奏しているのはKen Yokoyama。この後に実行委員長・松原裕が登場して喋ります。

 昨年のカミコベの時点でステージ4の末期癌でしたが、秋頃には更に病状が酷くなっていたようです。毎日血を吐いて貧血気味になって…というものすごく重い話を笑顔で話していました。そんな中10月4日に「Hi-STANDARDが16年半ぶりに新作ゲリラ発売」というニュースが流れます。それに大変興奮して勇気と生きる希望をもらった彼、気がつけば吐血も止まって体調も良くなったという話でした。いつもなら1月17日に開催発表するカミコベを今回11月にしたのはそれが理由だそうです。そのことを電話で健さんに報告、同時にハイスタとしても出て欲しいと出演依頼。難波さんと恒さんには伝えておくというのがその時の返事。

 徐々に会場がざわざわします。そういえばこの日はKen Yokoyamaだけでなく、NAMBA69もラインナップに加わっています。ではドラムの恒岡章に関して言うと、”東京から新幹線で来てくれました”と話しています。気がつけばとんでもない話になってきました。マイクを通さず地声でバンド紹介。まさかカミコベで彼らを紹介出来るとは思わなかったと、涙を浮かべながら呼び上げます。”Hi-STANDARD!

Hi-STANDARD(World Stage・ワールド記念ホール)

 昨年末に東北対バンツアーやAIR JAMもあったので一日限りの再結成、というわけではありません。ですが震災復興を掲げたこのイベントだからこそ、松原さんだからこそここに呼ぶことが出来たのは疑いようもない事実でしょう。これまでKICK THE CAN CREWの再結成を3回見ている私ですが、それでもここでハイスタを見れるのは完全に想定外。演奏された楽曲は「MY HEART FEELS SO FREE」、昨年の新曲「ANOTHER STARTING LINE」、燦然と輝く名曲「STAY GOLD」、松原さんのお気に入り「Brand New Sunset」。電話では1曲という話でしたが、4曲もやってくれました。

 心なしかゆっくり演奏しているように聴こえるステージは、3人もこの場を噛みしめているかのように見えました。健さんと難波さんの微笑ましいやり取りと、それを見守る恒さん。次々とダイブが起こるアリーナ。大変美しい光景です。”生きていて良かった”とは、松原さんだけでなくこのステージを見た人なら誰しもが思うことではないでしょうか。

ガガガSP(World Stage・ワールド記念ホール)

 COMIN’ KOBEのイベントテーマは、ホームページから抜粋すると阪神淡路大震災を風化させず語り継ぎ神戸からの恩返しとして被災地支援を行い、神戸の魅力を伝えること。その震災も22年前、この会場に足を運ぶ10代~20代はリアルタイムで知らない出来事になりました。とは言え2011年の東日本大震災、昨年の熊本地震など大きな災害は後を絶ちません。このイベントを通じて少しでもそれに気づいて欲しいところですが、会場のマナーの悪さや不正入場があったりなどなかなか伝わらない人が増えているのが悩みの種。とは言え実のところそういった方々は概ね最後まで残っていないもので。予定よりかなり時間が押して19時半になろうというところ、ワールド記念ホールは人が多いものの満員というほどではありません。そういう意味では非常に過ごしやすい環境になっています。

 ガガガSP、日本最古の青春バンドと書かれたタオルを持って入場します。彼らのヒット的ピークは約15年前でかなり前、ですが昨年もMCで話した通り、人生はいつが青春であっても良いわけです。というわけで最初に演奏されたのは「青春時代」。この場所だからこそ大きな意味を持つ「神戸駅」「国道二号線」。大きな盛り上がりのアリーナ、コサック前田はステージから降りてオーディエンスに支えながらダイブして歌います。そのままステージに戻らずアリーナに立ちながら喋り、そして演奏されるのは新曲「月影」。今年で結成20周年、オールタイムベストをリリースした彼らですが楽曲の輝きは昔と何ら変わることがありません。まさしく月が照らす影のように美しい名曲でした。

 ラストは昨年同様、”死ぬまで生きてやろうじゃないか”という形で「晩秋」。アンコールは「線香花火」。いつの間にか四星球他のメンバーもステージで一緒に歌っています。最後に松原さんの挨拶、もう来年の4月29日にこの会場を押さえたようです。当たり前のようであって実は当たり前でない、奇跡の連続で続いていると話す松原さんや前田さんですが、おそらくこの勢いだと来年もカミコベ開催はほぼ確定といったところでしょうか。

 2009年に初めて行ったGOING KOBEを思い出すと、本当に大きなイベントになったとあらゆる意味で実感します。途中2年足を運ばなかった時もありましたが個人的にもカミコベは7回目、長いこと参戦しているものだとあらためて感じます。そういえばカミコベは今回で13回目ですが、私がブログで音楽を書くようになったのも今年で13年目。ものすごく個人的な話で恐縮ですが…。

 SNSでも取り上げられている通り、このイベントは本当に色々なことがあります。参戦者が多くなり過ぎた故の問題も年々大きくなっています。ですがこのイベントを最後まで見て、後味が悪くなったことは記憶する限り一度もありません。それは最後まで見ることで松原さんやガガガSPの、神戸とロックにかける強い想いが伝わってくるからでしょうか。あるいは単純に自分が問題となった場に遭遇していないからかもしれないですが…。

 ただ間違いなく言えることは、このイベントは無料だからこそ、観客の自由に全てが委ねられているからこそ意味があるということ。私も過去に数度足を運んだ際は有料にした方がいいのではないかと何度も思いましたが、今は全くそういう気持ちになれません。年々それだからこその難しさも顕在化していますが、カミコベに関しては何と言われてもその方向性で突っ走って欲しいです。これは私ごときが書くことではなく、おそらく松原さん自身が強く想ってることだと思いますが…。

 それゆえに松原さんには長く生きて欲しいです。これもまたここに携わるミュージシャンやスポンサーをはじめ全ての人が思っていること。楽しみであるとともに、このイベントが可能な限り続くことをあらためて願うところです。

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