2017.4.29 私立恵比寿中学 IDOL march HALLTOUR 2017~今、君とここにいる~ in 大阪国際会議場

 今年メジャーデビュー5周年を迎えた私立恵比寿中学。2013年の1stアルバム『中人』の時点でワンマンに足を運んだり、年間1位のアルバムに位置づけるくらいに好きではありましたが、今年1月3日のNegiccoとのジョイントライブをきっかけにファンクラブまで入会してしまいました。2017年はNegiccoとともに、エビ中のライブにもおおいに注力しようと思った矢先の、2月8日に流れた突然のニュース。ものすごくショックで信じられなかったとともに、メンバーや運営・家族のことを思うと今後果たしてどうなるかという不安・心配の感情も同時に押し寄せてきました。正直今回のツアーも果たして行われるかどうか、という状況でもありましたが3月にはツアー開催を発表。その後4月には新しいアルバムの告知やアーティスト写真も発表されて、新しい体制に移行し始めています。言うまでもなく、チケットを購入した1月時点では予想もつかない状況でした。

 会場の大阪国際会議場・グランキューブ大阪に足を運ぶのは今回が初めて。大阪のホールツアーは基本フェスティバルホールかオリックス劇場が相場で、フェスティバルホールが改装のため休止した時には稼働率高かったですが最近は若干少なくなりました。大阪の会場でここが選ばれるのは2年連続。個人的に昨年はスケジュールの関係と音の良さを重視して神戸国際会館こくさいホールに足を運ぶ形になりましたが。会場の端にはリハーサル風景とメッセージが書かれた写真が複数。私立恵比寿中学の強い決意とチームワークを感じさせる光景です。


 舞台袖・円陣気合い入れの声がマイクに入ります。オープニングSE「ebiture」が流れて幕が上がると、階段ステージに校章が描かれた大きな旗を持つ星名美怜の姿。旗持ちの役は会場によって変わるそうですが、残りの6人は後ろ側両サイドから入場します。セットは大正時代の校舎がモチーフ。

 早速演奏されたのは、アルバム『エビクラシー』からの新曲「制服“報連相”ファンク」。のっけからラップミュージックの新曲、攻めてます。続く楽曲「CHAN-CHARA-CHAN」、これはシングル「まっすぐ」のカップリング曲ですが、ライブでは今のところ年末のクリスマスライブでの披露のみ。ロック調の盛り上げ曲、更に続くは「梅」「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」。冒頭からクライマックスかと思える激しい展開です。よくよく考えると「梅」のラップパート担当はりななん。この曲以外にも多くある彼女のパートをみんなで埋める姿は、違和感ではなく強い結束をおおいに感じさせるものでした。

 4曲終わって最初のMC。7人の自己紹介がそれぞれ行われます。ここではMBSラジオ『エビ中☆なんやねん』からのネタも盛り込まれました(柏木ひなた→必死のパッチ、小林歌穂→タコ焼きボンバー)。今回のツアーは5月にリリースされるアルバム『エビクラシー』収録曲を全て演奏することをあらためて説明。”みんなのお気に入りの曲を見つけてくださいね♪”とぽーちゃん。このフレーズどうやらお気に入りのようで、MCで複数回取り入れていました。昼下がりに放送されるFMのお姉さんの喋りを意識しているようです。以前にも書きましたが、彼女のキャラクターは本当に天性だとあらためて感じます。MC後の演奏される曲は全て新曲のようで、次に演奏されるのは「フォーエバー中坊」。「永遠に中学生」の発展形みたいな印象で、ものすごく平和な楽曲でした。おそらく前山田健一の提供だろうと思いましたが、調べてみたところやはりそうだったようです。

 今ツアーも会場によってところどころセットリストを変えているようで、次の「ちちんぷい」は3公演目にして初セトリ入り。とはいえ以前からの定番です。タオル回し曲の「MISSION SURVIVOR」もすっかり定番、そしてエモーショナルに聴かせる「スーパーヒーロー」と続きます。ただでさえ感動的な歌詞で聴くたび泣きそうになるこの名曲ですが、今の状況で2番の歌詞を聴くと胸が熱くならないわけがありません。それでも涙を見せずに前を向いて、一つひとつの言葉を明瞭に最大限に気持ちを込めて歌う7人。感動せずにはいられない場面でした。

 MCタイム。以前からそうですが、MC始まりで必ず「○○、○○、○○でした!」と曲名を言ってくれるのはものすごく親切で嬉しいです。このセクションの内容はMBSラジオの番組『エビ中☆なんやねん』のコーナーをそのまま拝借ということで、ちょっとしたことを会議で決めよう!という展開でした。例えば冒頭の声出しは会議でやろうということで、実際今回取り入れられたようです。ケータリングのミニお好み焼きもこれで決まったとか。というわけで、安本さんがステージにウォーターサーバーを置こう!と提案します。ただ電気代がかかるということであえなく却下。水を飲むだけでなく頭からも浴びたいと話しだして、他のメンバーから総ツッコミ。確かにMC担当の割に妙にあれ?と思うことはありましたが、今日は特に天然っぷりが目立っていたような気がしました。結局この時間では何も決まらなかったというオチ。この辺りの自由な雰囲気は何も変わっていないようで、とりあえずは安心。

 MCが終わった雰囲気になって、突然真山さんが”最近の映画、コミック原作ばかりじゃない?”と切り出します。有名作品の決め台詞を披露するなど、ちょっとした寸劇の後に演奏されるのはこれまた新曲「コミックガール」。一風変わった独特の個性、楽曲提供はなんと四星球。ブリーフと法被をコスチュームにしているバンドです。続く「仮契約のシンデレラ」も7人になったと思わせる箇所が随所に。ただ発表時は9人だったので、社交ダンス風の振り付けは逆に本来の形に戻ったとも言えるような…。「誘惑したいや」も今公演で初セトリ入り。『中人』収録曲で4年前ですが、見るたびに楽曲が成長しています。よく聴くと歌えるようになるにはものすごく難しい曲、当時リアルな中学生に提供する側も歌う側も相当な挑戦だったように感じるわけです。今あらためて見ると、その時の判断は何も間違ってなかったと思えます。安本さんの曲紹介で次に歌われる新曲は「君のままで」、感動的な名曲です。もう一つ、レキシの池田さんが提供した「U.B.U.」を経てMCに入ります。

 2回目のMCは、前日に大阪のTOWER RECORDS梅田NU店で行われた『エビクラシー・ゲーム』についての話。この日に担当したメンバーは安本さんと美怜ちゃん。お客さんとのマッチ具合は美怜ちゃんが1.5/3、いや3/5くらいとのことでしたが安本さんはほとんどマッチしなかったよう。試しに即興で2人やってみますが、なかなか合いません。”春の花といえば?”の題目は「梅」という格好の答えがあるのに、安本さんは「チューリップ」と答えていますし…(もう一人のぽーちゃんは「梅」と答えてました)。なおこのイベントはライブ前日ないし翌日に仙台・名古屋・広島・福岡・札幌で、5月31日に東京各所で行われるようです。

 続いても新曲。このセクションから薔薇の花を形どったオブジェが8つ天井から降りてきます。SF的な浮遊感がある「藍色のMonday」も出色の出来。「さよならばいばいまたあした」も素晴らしかったです。曲そのものも良かったですが、振付・フォーメーションもこの2曲に限らず全曲極めて特徴的。楽曲の歌詞とのリンク具合も相当なもので、発売が待ち遠しいとともに早く今ツアーの別公演に足を運びたいと感じました。たむらぱん提供の「ポップコーントーン」を経て、これまた新曲の「春の嵐」。sora tob sakanaをプロデュースしている照井順政の提供曲ですが、ものすごく歌うのが難しい楽曲です。『エビクラシー』の核になる曲…もっともこのフレーズは全曲に充てたいくらいなのですが。TAKUYA提供のロックチューン「紅の詩」を経て、これまた新曲「なないろ」


 レキシの池ちゃんとは「頑張ってる途中」「U.B.U.」の提供だけでなく、メジャーデビュー期9人時代の彼女たちの番組のMCを務めた縁もあります。いわば身内みたいなものです。7人のエビ中としてのスタートとしてだけでなく、りななんへの想いもふんだんに込めた楽曲になっています。ちなみに彼女の誕生日は7月16日、だから”なないろ”。そして1月の時点で決定していた、ツアーファイナルの日程もまた7月16日…。

 本編ラストは「感情電車」。こちらもまた提供は彼女たちと非常に縁深いたむらぱん。長崎ちゃんぽん店を全国展開しているリンガーハットのCMで使われている楽曲です。感情と環状をかけたような振り付けに、最後の最後にロングトーンを決めるぽーちゃん。本来歌唱力で魅せるタイプのメンバーでないだけに、彼女を抜擢したこともそうですがそれ以上にあまりの見事な歌いっぷりに驚き。このツアー、元々ものすごい歌唱力の真山、安本、廣田、柏木もそうですが星名、小林、中山の覚醒っぷりも半端ないです。

 本編終了後に挨拶も兼ねたMC。立命館大学入試広報課の広報大使に今月就任、関西ということでその関係のトークもしていました。大学に通っているメンバーは実を言うと美怜ちゃんだけなのですが、そこは細かいことは気にしない、ということで。一旦幕が降りて、アンコールを求める声が入ります。

 アンコール1曲目は「禁断のカルマ」。ここは過去2会場とも別の曲で、本当に日替わり選曲になる可能性が高そうです。個人的に真山さんの歌の凄さはこの曲で知ったので、思い入れは深いです。ただこの時期にこの選曲は、かなりの決断だったのではないかと感じる部分もありましたが…。もう1曲は「ハイタテキ!」。パワフルなステージを2曲続けた後に、ラストに演奏されるのは「サドンデス」

 中盤の寸劇風ダンスサドンデスは毎回結果が変わるらしいです。ファンクラブ限定サイトでは毎回の学芸会(=ライブ)レポートの写真とセットリストが掲載されていますが、ご丁寧に”本日のサドンデスの結果”も付記されています。彩花「う、食い倒れぇぇぇー」、あいか「たこ虹ちゃん!みてるー?」…といった具合。今回は倒れそうになるぽーちゃんをひなたが駆け寄るという展開でした。で、ラストの歌詞。

”満身創痍の全力エンターテイメント 見ていてこれが私たちだ”
”連れてってもらうんじゃなくて きっと連れてゆくからさ あの場所まで”
”胸が痛くても 声が枯れるまで 心はひとつ 私たち私立恵比寿中学”

 エビ中の歴史は必ずしも順風満帆ではなく、むしろ予期せぬ苦難の連続。今年の件もそうですが、他にもひなたやぽーちゃんが病気で一時期活動できなくなったり、それ以前にこれからというところでメンバーが3人転校(=卒業)したり。ただステージに立つ彼女たちはいつも笑顔で、いつも素晴らしいパフォーマンスで、とても自由なMCで。仲の良さ・結束力の高さは以前から感じていた部分ですが、今回はとりわけ7人の姿が頼もしく・大きく見えました。昨年のツアーよりも、もっと言うとエビネギの時以上に。”連れてってもらうんじゃなくて きっと連れてゆくから”というフレーズは、メンバーにとってもファミリーと呼ばれるファンにとっても同じ気持ち。そんなことを、横一列みんなユニゾンで歌う姿から感じずにはいられませんでした。

 歌い終わりそのまま挨拶でなく、あくまでこの日の「サドンデス」の感想やツッコミを入れて深々とした挨拶となる段取りが本来あるユルい雰囲気のエビ中。このツアーの「サドンデス」は、楽曲だけでなくその後のやり取りも一体として考えた方が良さそうです。というわけで今回のツアーは7月までの全19公演。関東の会場はパシフィコ横浜が既にSOLD OUT。おそらく大宮ソニックシティや市川市文化会館、ファイナルの東京国際フォーラムも一般発売が始まればすぐ売り切れると思いますが、地方公演は直近の日程でもまだ多少の余裕あります。かくいう大阪公演も多くはないですが、当日券発売もありました。彼女たちに限らず、アイドルは東京あるいは地盤となっている地方で知名度高くても、それ以外の地方で案外知られていないケースが非常に多いです。特に地方に在住している方でこの記事を読んで頂いた方がいるならば、これをきっかけにチケットを購入して足を運んでもらえるとすごく嬉しいです。私も最初は大阪1日目だけの予定でしたが、おそらくもう1公演、松山か金沢に足を運ぶことを考えています。その頃には『エビクラシー』も既に発売されていて、更にバージョンアップしたパフォーマンスになることが予想されます。今からでも遅くはありません。是非ひとりでも多く、ファミリーになってくれることを願いたいです。

 

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