2016.12.29 COUNTDOWN JAPAN 16/17 2日目 in 幕張メッセ

レキシ(EARTH STAGE)

 渋谷氏の前説によると、初めてCDJが行われた13年前と今とでは大いなる進化を遂げているようです。当時は出演者もなかなか集まらなくて、3日間開催で今の1日分のアーティストとほぼ同じ数、くるりと向井秀徳に至っては2日にわたって出て頂いたという話でした。初回に足を運んで今もここにいるという人、挙手を求めるとチラホラ。ここまでこのフェスが成長したのもあなたたちのおかげです、とあらためて感謝していました。

 さてレキシのステージですが、初っ端から青いイルカが登場します。着ぐるみの中に入っているのは、やはりキュウソネコカミのヤマザキセイヤ。というわけで最初から「KMTR645」のコラボステージで大盛り上がり。1曲目にしていきなりピークを迎えたと言ってもいい状況、”レキシでした~”と挨拶して舞台袖にはけようとしますがさすがに止められます。

 ”これ以上盛り上がらないって!”と言いつつも当然そんなことはなく、次の曲は「年貢 for you」。EARTH STAGEのキャパは40000人ということですが、おそらく30000人はいたでしょうか。そんな中で急に「リンダリンダ」を歌い出す池ちゃん。”♪年貢、年貢~”と、3万人の年貢コールが響き渡るEARTH STAGE。意味が分かりません。そして相変わらずバックバンドの対応力も恐ろしいレベルです。

 そしてお約束「狩りから稲作へ」。オーディエンスエリアに掲げられた稲穂の数は、確実に数千はあるでしょうか。この曲でしか使えないアイテム、持ち帰る時に恥ずかしくて仕方ないグッズなのですが持ってる人はすごく多いです。かくいう私も今回600円で購入しましたが、ご丁寧に”不良品以外の交換は遠慮しております”というアナウンス。思わず笑ってしまいました。ご本人もいい加減この曲から卒業したいと喋りますが、そこから急に放り込まれる尾崎豊の「卒業」。そして”ねぇどうして~(中略)稲穂が出ちゃうんだろう~”と勝手に「LOVE LOVE LOVE」の替え歌を歌う池ちゃん。しかもオーディエンスに振って、大合唱になってしまってます。”キャッツ キャッツ 愛を叫ぼう~”。いったい誰のライブなんでしょうか。というわけで今年限りで終わる気などサラサラなく、来年も確実にセットリストに組み込まれることは間違いないと思われます。

 十二単風の衣装を身につけて「SHIKIBU」、でもこのリズムはいくらでも応用が利くということで「涙のリクエスト」のサビをまたまた大合唱。自分の曲と人の曲との比率が1:1、全く同じです。そしてレキシのフェスでは大変珍しい5曲目に突入、ラストはなぜ車のコマーシャルに使われたのか全く分からない(本人談)「きらきら武士」。無駄にタメを入れる池ちゃんのマイクパフォーマンス、ですが目の前のカメラマンはクスリともしません。全く似てないCharaのマネをするなどしばらくは彼を笑わせるために終始しましたが、結果的には敗北のようでした。この曲でも一瞬Misiaの「Everything」が入ったりして、全くブレることがありません。というわけで5曲しかないのに情報量がものすごく多いステージになりました。果たしてワンマンだとどれだけの量になるのでしょうか…。

キュウソネコカミ(EARTH STAGE)

 フェスに出演するたびに入場制限となるキュウソネコカミのステージ、前回はGALAXY STAGEでしたが今回ついにEARTH STAGEに昇格。というわけでリハーサルから本気です。地球の被り物を被ってこの日のために作ったという「俺は地球」、もう1曲「良いDJ」も演奏されましたが、既に本番と変わりありません。リハーサルなのにモッシュが巻き起こるという状況です。

 本番スタート、まさかのイルカの着ぐるみで登場。その後に志村けんの白鳥姿のようにイルカの浮き輪を体に装着したレキシの池ちゃんも登場。というわけで、2ステージ続けて「KMTR645」から始まります。レキシのステージで演奏されるのは予想してましたが、こちらでも演奏されるのは予想外。ちなみにこのステージでイルカの中に入っていたのはマネージャーのようです。

 コラボステージを終えて演奏される「MEGA SHAKE IT!」。ものすごい熱気です。「ファントムヴァイブレーション」「サギグラファー」も同様。後ろを見渡す限り、EARTH STAGEでも入場制限がかかりそうなほど入っていたでしょうか。2万人は確実にいたかと思われます。そこで放り込まれる「DQNなりたい、40代で死にたい」。結成当時から演奏されているこの曲には”ヤンキーこわい”の定番コール&レスポンスが存在します。最初はライブハウスで数名しかいなかったそうですが、この日は推定2万人。オーディエンス大興奮、もちろんメンバーも大興奮。”ヤンキーこわい”で感動するというのもよく分からない話ですが、おそらくデビュー当時からのファンは泣いていた人もいたのではないでしょうか。

 さらに畳み込まれるように演奏される名曲の数々。「ハッピーポンコツ」「ウィーワーインディーズバンド!!」「ビビった」「わかってんだよ」。ブレのない分かりやすい歌詞は、若者は勿論若い時代を経験したことがある中高年にも十二分に共感できる内容。それをハッキリと叫ぶように、全力で歌い上げるヤマザキセイヤとヨコタシンノスケ。キュウソの歴史でも間違いなく現時点最大のハイライトになったステージですが、このスピリットが続く限り彼らはまだまだ成長するのではないでしょうか。

WANIMA (EARTH STAGE)

 彼らもこの数年で一気に急成長を遂げました。CDJは前回GALAXY STAGEが初登場でしたが、一気にEARTH STAGEにまで登り詰めます。こちらもまた、後ろの方まで多くの人で埋まる大盛況。ボーカルのKENTAはベース担当という意外に他のバンドではないパターン、そして左利きのレフティ。二次元では『けいおん!』の秋山澪が有名ですが、実在人物では初めて見ました。海外ではそこまで珍しくないようですが、日本には本当にほとんどいないようです。

 彼のキャラクターは三枚目、カメラに向かっておどけたポーズ続出。天性の明るさの持ち主です。PIZZA OF DEATHからやってきましたとの自己紹介、「BIG UP!!」「Hey Lady」の演奏で早々にロックキッズの心をつかみます。モッシュ、サークル連発。スマホの光を掲げるパフォーマンスをしてもらった後に、今年の代表曲である「ともに」「リベンジ」「オドルヨル」「いいから」、そして圧巻は「THANX」。”ありがとうを込めて歌った”で始まるサビの大合唱はロックフェスのテーマソングとしても完全に成立、最大級の一体感がEARTH STAGE全体に構築されていました。ラストは「For you」。8曲全て半端ない盛り上がりを見せていました。

 楽曲はパンクにレゲエを混ぜ合わせたミクスチャーロック。いずれにしてもお祭り色が強いサウンドで思わず踊りたくなるサウンドです。明瞭な言葉で構成される歌詞もまた、一緒に口ずさみたくなるには十二分。キャラクターも含めて、全てにおいて愛される要素が詰まっているアーティストも滅多にいません。彼らはまさしく選ばれたバンドのひとつで、明るさと人柄の大きさは”太陽を思わせるバンド”と形容したくなるほど。そして自然に出る熊本弁とアンプに置かれるくまモンには、郷土愛の強さも感じました。熊本出身と強くアピールした場面はありませんが、そのさりげなさもまた彼らのカッコ良さの一つに数えられるのではないでしょうか。

BLUE ENCOUNT (GALAXY STAGE)

 当初はKalafinaを見るスケジュールで、時間的にあまり余裕のない彼らのステージはパスする予定でした。ただ極めて素晴らしいバンドのステージが続いたことを考えると、やはり外すわけにはいきません。同じことを考えていた人はやはり多いようで、移動する人の波は勢い・数ともにものすごいものがありました。到着した頃には既に前方は埋まっていて、間もなく入場制限になるという大盛況。ボーカル・田邊駿一もライブ中何度も”すごい人”という言葉を連発しています。

 今年を代表する名曲「Survivor」でスタート、「HALO」を経て直近の新曲「LAST HERO」。極めて高速なリズムの中で繰り広げられる力強い演奏と歌声、その中にも存在しているポップ性は、間違いなく来年以降更に伸びると確信できる内容でした。

 「JUMP」「DAY×DAY」を経て、ここからが彼らの真骨頂。”ライブでこんなこと言うのカッコ悪いけど、力を貸してくれ!”という切実な願いのもとに演奏された「もっと光を」は、オーディエンスの大合唱も加わって凄まじい一体感です。

 演奏も最高でしたが、今回もっとも圧巻だったのが田邊駿一の大演説。数日前に倒れて医者にしばらくライブができないと告げられた話。生き甲斐を失い、死にたいとまで思った中でファンの応援が励みになった、だから奇跡的なスピードで普通にこのステージに立つことが出来た、そして”生き甲斐奪われて、戻ってきた奴だから言わせろよ! フェスがあるのも、こうやって笑ってるのも、当たり前じゃねえぞ! 生きろ! 死ぬ気で生きて、全員また来年、ここじゃ小さいからEARTH STAGEで会おうぜ!!”と宣言。その喋りは終始絶叫気味、ビジョンに映る彼の目は本気かつ全く偽りのないもの。ここまで熱い男なのか!と素直に感動、周りで泣いていた人も複数。ラストは「NEVER ENDING STORY」、この演説の後にもっともふさわしい楽曲で締める形になりました。

 近年台頭しているロックバンドの中でも、ビルボードランキングのレビューなどで聴く限り一歩抜けていた印象が元々ありましたが、今回のステージでそれが確信になりました。演奏技術や曲の良さもそうですが、何よりスピリットが素晴らしいです。おそらく来年はEARTH STAGE、今年と比べても相当彼らの名前を見る機会は多くなるのではないでしょうか。彼らもまた熊本出身、本当に今は熊本発のバンドが熱いです。

Aimer (COSMO STAGE)

 ここまで見たステージはバンド勢の凄さに圧倒された内容が続いていましたが、打って変わってこちらは”神聖”という言葉が実にしっくりくる内容。「Brave Shine」「RE: I AM」「蝶々結び」「カタオモイ」「us」の5曲は、バンド演奏はありますが実にシンプルな編曲。したがって彼女の伸びのある歌声が効果的に響きわたります。ラストの「us」は特に圧巻でした。顔のアップをはっきりと映さないビジョンも、神秘性をおおいに感じた部分になるでしょうか。聴き入るにはまさに十二分のステージで、心が落ち着きます。

fripSide (ASTRO ARENA)

 COUNTDOWN JAPAN初出演ですが、アリーナの雰囲気はアウェー感なくほぼホームの雰囲気。来年さいたまスーパーアリーナのワンマンライブを開催するくらいですから、当然と言われれば当然なのかもしれません。八木沼悟志が奏でるキーボード主体のバンド演奏も大迫力でしたが、やはりメインはボーカルの南條愛乃。彼女が登場した瞬間明らかに空気がガラリと変わりました。かわいさとオーラが半端ないレベルです。そこに放たれるのが「only my railgun」なのですから、この時点で神ライブになることは約束されたも当然。Angelaとコラボした「the end of escape」、その後の「black bullet」「two souls-toward the truth-」「sister’s noise」はいずれもアニメファンにはお馴染みの代表曲。彼女がボーカルになって来年で9年目になりますが、おそらくまたファンが増えたのではないでしょうか。スーアリのチケットも完売間近とのこと、こちらも大盛況になるのは間違いなさそうです。

[Alexandros] (EARTH STAGE)

 開演時間間近に入るともうフロントエリアどころか、真ん中付近にも行くことができません。それくらい多くの人で埋まったステージ。現在の彼らの勢いがうかがえますが、実力は明らかにそれ以上のものがありました。まずは今年のアルバム『EXIST!』から「ムーンソング」「Girl A」「Kaiju」、[Champagne] 時代から演奏されている「Kick & Spin」。盛り上がりも凄いですが、それ以上に一つ一つの音が全てクッキリ刻まれるギター・ベース・ドラム。風格さえも感じさせる演奏は、ここまで見た素晴らしいバンドと比較しても更に上をいく、完全に別格と評しても問題ない凄まじいものでした。

 新曲「Snow Sound」、これはJR東日本のJR SKISKIコマーシャルタイアップになっているようです。過去になくポップと思わせるメロディーの中に入る演奏とボーカルは、L’Arc~en~Cielの「winter fall」を思い出させる部分がありました。ラルクは1998年、この曲をきっかけに空前絶後という旋風を巻き起こしたわけですが…。

 「Run away」「Starrrrrrr」で更に熱量を挙げて、ラストは「ワタリドリ」を1フレーズ歌ってそのまま演奏されるかと思いきや「Dracula La」に移行。ひとしきりバンドメンバーが去った後、ボーカルの川上洋平が「12/26以降の年末ソング」を1フレーズ弾き語ったシーンもこのCDJで忘れられない名場面と言って良さそうです。

 演奏が凄いことは先述しましたが、これはCDでも十二分に伝わったこと。今回あらためて感嘆したのはボーカル・川上洋平の歌唱力。恐ろしいです。あそこまで100%裏声を綺麗に出せる男性ボーカルは他にいません。それこそL’Arc~en~CielのHYDE以来でしょうか。はっきり言って曲を知らなくても凄いと思える・MCさえもいらない、それくらいの領域にまで達しています。

 何もかもレベルが違う彼らのライブ、おそらく最終的に行き着くのはもっと上の領域になることは間違いありません。サカナクション・ONE OK ROCK・RADWIMPS・BUMP OF CHICKEN、更にはラルク・GLAY・LUNA SEA…。おそらく2010年代、残り3年間は彼らの天下が続くのではないでしょうか。最終的に目指すのはEARTH STAGEのトリではなく、NHK紅白歌合戦の方になりそうです。どちらを望んでいるかは分からないですが…。

LiSA (GALAXY STAGE)

 バンドメンバーがリハーサルで奏でる音、もうそれだけで優れた技量の持ち主ということがよく分かります。当たり前のことではありますが、実力あるアーティストには必ず優秀なサポートメンバーがついています。彼女もやはりその一人のようです。開演前から盛り上がるGALAXY STAGEのトリを務めるのはLiSA、アニソン発のアーティストがCDJでトリを任されるのは史上初になります。そもそも女性ソロでも滅多にない快挙ではないでしょうか。

 南條ちゃん同様、こちらも出てきた瞬間に半端ないオーラを放ちます。まず演奏されるのは「Break Freak Out」「L.Miranic」、のっけから激しい楽曲です。舞台中動き回るLiSAの衣装は上着を羽織っていますが、その下は露出度の高いワンピース。「say my nameの片想い」はハートの形を作る振り付けをみんなで一緒に。さりげなく上着も放り投げてワンピース姿に。ものすごくセクシーです。

 「Rally Go Round」ではポンポンを持ったダンサーが登場。その光景はもう完全にワンマンライブそのものと考えて良いかもしれません。そして「エスケープゲーム」ではコール&レスポンス。年越しラーメンチームと年越しそばチームに左右を分けて、曲中で対決するという展開。みんなのレスポンスが勝負を決めるというバトルは年越しそばチームの勝利、日本の伝統が守られたという形でした。初めて見ると少し面食らいましたが、おそらくワンマンでは恒例行事なのでしょう。

 「Psychedelic Drive」「ROCK-mode」、ここまで8曲。よく考えると全曲アップテンポ、煽るシーンはあってもはっきりとしたMCはありません。凄い体力です。そしてワンピースの肩紐を直すシーンも一度や二度ではありません。ラストは代表曲「Rising Hope」。最大級の盛り上がりの中で、ワンピースはついに脱げてしまいました。さすがに下着姿では当然ありませんが、黒いへそ出しルックになった姿は完全に”エロかっこいい”を地でいく状態になっています。

 お世話になっているJAPANの方々に感謝するLiSAもまた、人柄の素晴らしさを感じさせるMC。やはり今の一流ミュージシャンは人柄も一流ということでしょうか。アンコールで選ばれた楽曲は「BRiGHT FLiGHT」。とても爽やかに、明るい雰囲気を最大限に振りまいて歌う彼女もまた、笑顔がとても似合う美しい歌姫でした。それとともに今いる女性ソロアーティストの中で、もっともロックな位置にいる人物であることも確認できました。

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