2025.12.27 FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025

ライブレポ

 関西ロックキッズの風物詩・RADIO CRAZY。私も2010年代はこのイベントによく足を運んでいて思い入れも深いです。実を言うと昨年や一昨年も行く予定ではいましたがスケジュールと体調の問題で行けず、今年ようやく久々の参戦。気がつけばB’zが急遽ライブ中断した2017年以来、8年ぶりとなりました。

 次の日に幕張のCOUNTDOWN JAPANへ朝から移動する関係もあって、見たステージは4つ。多くはありませんが、いずれも非常に印象的なアクトでした。

 

アイナ・ジ・エンド(R-STAGE)

 BiSHが解散して2年。グループ在籍時より彼女の歌声は各方面から高く評価されていたので、ソロでもおそらく第一線で活躍するだろうとは予想していました。ただ今年の「革命道中 – On The Way」大ヒットは、自分が想像していたよりも早いスピード。アニメ『ダンダダン』のタイアップは強力ですが、結論から言うとそれだけでは説明できない理由がこのライブに詰まっていました。

 まず目をひいたのは登場した際の独特なファッションとスタイルの良さ。どうしてもグループ時代は強固なコンセプトが存在した所以で、雑誌ならともかくライブでそこに目が行くことはあまり無かったですが、これは見た目からインパクト強いです(下部にオフィシャルのXを掲載)。実際ファッション誌の表紙も飾っているようですが、もう開始数秒の時点で他には無いセンスの持ち主であることを痛感しました。

 「Poppin’ Run」「Frail」でライブスタート、ほとんど曲の予備知識が無い状態で見ると意外にポップ。そして妖艶とも言えるムーブで自由に動き回ります。この辺りはBiSH時代に培った経験もありそうですが、その時に見た記憶のない動きも多め。一言で言えば、確実に進化しているということです。マフラーをあれだけ自在に動かしてライブするのは、「WHITE BREATH」を歌っていた時のT.M.Revolution以来かもしれません。

 ハイライトは「ZOKINGDOG」から「革命道中 – On The Way」への流れ。ドッグランと言われる「ZOKINGDOG」は音源だと歌謡曲風のファンキーナンバーですが、ライブだと会場全員で”ワンワンワン ワンワンワンワン”と一緒に歌い踊る場面が圧倒的インパクト。歌っている方は犬というより猫みたいな感じですが、いずれにしてもR-STAGE特に前方は軽い動物園状態。ファンはかつて清掃員と呼ばれた方も多いはずで、その流れから考えるとやはり熱狂的。湧き上がる声も非常に大きいです。そしてキラーチューン「革命道中 – On The Way」の演奏が始まった瞬間彼らによって掲げられるピンク色のサイリウム。壮観でした。オーディエンスもメンバーと言わんばかりの勢いで、強い絆が生まれているようです。

 シャウト系のロックアンセム「Love Sick」に歌い上げるバラード「宝者」、ラストはポップなナンバー「サボテンガール」。MCでも話した通り、彼女が起こす革命はまだまだ始まったばかり。今年の大ヒットは通過点に過ぎず、その道中は当分続くことを確信させる会心のアクトでした。

 この日は自身の誕生日、そして大阪は彼女の地元。スタッフの方もフェスには珍しくヘアメイクの方まで同行するという気合いっぷり。最後はファンの方から自然に起こるハッピーバースデーコール。レディクレは3年連続出演ですが、調べると27日にブッキングされたのは今回初めてとのこと。もしかすると来年以降も、この日の出演がしばらく恒例になるかもしれません。


 

 

忌野清志郎 ナニワ・サリバン・ショー -令和残侠伝- (R-STAGE)


 今年デビュー55周年ということで、5年ぶりにレディクレで企画された忌野清志郎トリビュートステージ。FM802ではかつて同名のイベントを3度にわたって主催、もちろんそれ以前からも開局以来深い関係にあります。これはおそらく今のCOUNTDOWN JAPANでは企画しようにも枠は作るのが難しいはずで、レディクレならではのステージと言えます。

 MCはプロレスラーの高橋ヒロム、在りし日のキヨシローさんみたいな格好をしています。彼によると44年前の1979年12月27日は日本武道館、ジョニー・ルイス&チャーの前座を務めていたそうです。というわけで最初に歌うのはTRICERATOPS活動休止につきソロ活動中の和田唱による「JUMP」、少し生前のキヨシローさんに声色を寄せての演奏でした。

 GLIM SPANKYの2人が奏でるのは「ベイビー!逃げるんだ」、ソウルフルな歌声もギターの音もバッチリで見事な内容です。

 ROY (THE BAWDIES)が歌うのは「STAND BY ME」。いわゆる洋楽スタンダードナンバーですが生前のキヨシローさんはライブで何度も演奏、2019年にも彼が歌うこの曲がコーヒー・WONDAのCMで採用されています。続いてはザ・タイマーズの歌詞で歌う「デイ・ドリーム・ビリーバー」、いまや一線級の俳優である三浦透子はこの曲を歌うためだけの登場でした。

 OKAMOTO’Sの2人による「よそ者」、さらにTAKUMA (10-FEET)による「パパの歌」が続きます。TAKUMAさんは後半パパを”ママ”に変え、最後は”レディクレのみんな”と歌うさすがのライブ巧者ぶり、この1曲だけを見ても長く支持される理由がよく分かります。そして最後はアイナ・ジ・エンド「スローバラード」、聴く前から想像はしていましたがいざ見るとやはり圧巻も圧巻。彼女のハスキーボイスがはまりにはまっている、まさに神歌唱という3文字がしっくり来る歌唱でした。

 毎年というわけにはいかないと思いますが、5年に1回のペースでまた必ず開催されると思われます。昭和~平成のアーティストが、こうやって定期的にトリビュートされるのは実に素晴らしい光景です。その反面、健在なら今年74歳なので実際に出演していても全く不思議ではないはず。日本のロック界が彼を失うタイミングは、あまりにも早かったということをあらためて実感するステージでもありました。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION (Z-STAGE)

 この日のZ-STAGEは終日入場制限が起こる大混雑、次のステージ目当てで直前に行くと入れる保証がありません。というわけで2か月前に京都音博で見たばかりですが、再度見る形になりました。ただその時はかなりの後方からの観覧、今回もビジョンは見えますがステージはギリギリ肉眼で見える程度。生の音や空間は十二分に楽しめますが、見ることに関してはほとんど舞台より映像を注視する状況になりました。

 最初は「センスレス」からスタート、2曲目で早くもキラーチューン「リライト」を投入。2回目のサビを終えたところで演奏しながらMCする後藤さん、サビ大合唱と同時にこちらも毎回恒例です。今回は宇治金時のような柄のシャツを自らイジっていました。

 基本的にアジカンのセトリは定番曲と新しい曲が半々の割合で、「ライフイズビューティフル」と最後に演奏された「MAKUAKE」は2025年発表の曲です。しっかり新しい曲を演奏するところに、現役のミュージシャンであるところを実感しますが、今回は名曲が「ソラニン」「Re: Re:」「遥か彼方」という具合。定番ですが「遥か彼方」のセトリに遭遇することは個人的にあまり無かったので、嬉しい選曲でした。

 アジカンも来年で結成30周年、もう大ベテランの領域に入ります。ステージが始まる前説MCでも話していましたが、アジカンの活動はそのままフェス文化発展の歴史と重なります。カルチャーという言葉で彼らを表現していましたが、まさにその通りの内容でした。また、今回は忌野さんのトリビュートステージを見た後だったので、余計に今後も長くレディクレの現場に立って欲しいと実感。10年後も20年後も当たり前のような顔をして、若手から何を言われようと居座る、いや第一線で活躍してステージで演奏するアジカンを見たいと心から思えるステージでした。

 

サカナクション(Z-STAGE)

 ちょうど自分がフェスに行き始めた時期からサカナクションは活躍していて、最初に見たのは「アルクアラウンド」発表前、注目のニューカマー期だった2009年ロッキンのSOUND OF FORESTトリのステージ。当時から電子音に緑色のレーザービーム満載で先進的なバンドという印象を持ちましたが、あれからずっと彼らは進化しています。ただ2010年代中盤から新作発表のペースは低下、またブレイク期から山口さんは耳の病気、さらには数年前にうつ病を患うなど苦難の連続。そんな中でこのステージは6年ぶりの年末フェス出演、出演日は幕張よりこちらの方が早め。今回自分がこの日のレディクレチケット購入に至った理由は、ズバリ彼らのステージを見ることが目的でした。2012年レディクレ、翌年『sakanaction』ツアーには足を運びましたが、それ以来彼らのステージを見る機会が訪れずなんと12年ぶり。「忘れられないの」も「モス」も、それどころか「新宝島」でさえ生で見ていないという状況です。

 かくしてレディクレに来た観客も彼ら目当てが非常に多く、これがZ-STAGE常時入場制限が起こる理由にもなりました。アジカンどころかその前のクリープハイプ、それどころか朝イチのフレデリックからずっとここにいた方もいたようで…。会場は当然ながら満杯、入れ替わりもほとんどなく自然と前に向かう状況。それでもフロントエリアにはもちろん入れず、かろうじてビジョンがはっきり見える立ち位置を確保するので精いっぱい。最後に撮影タイムもありましたが、ステージで挨拶する5人の姿は全く収めることが出来ませんでした。

 舞台上には5台のマックが用意されています。もうこの時点でファンで無くとも1曲目は予想できる展開、「ミュージック」からライブはスタートします。舞台は肉眼でほぼ見えませんが、会場の空気と照明だけでも凄いことをやっていることがよく分かります。マックスタイルからバンドスタイルになってからは大合唱が発生、ものすごい一体感です。これは続く「陽炎」「アイデンティティ」でも続きます。アゲにアゲまくりアガリまくり、インテックス大阪に超巨大級のディスコが誕生しています。「アイデンティティ」からは間髪入れず「ルーキー」でここでもラストに大合唱、この繋ぎは12年前13年前に見たステージを思い出させます。

さらに「Aoi」でも冒頭から大合唱発生、4年前の「モス」でも大合唱、チアダンサーが登場する「新宝島」では言うに及ばず。7曲連続アゲ曲で大合唱発生するセットリストは、なかなか他アーティストで味わえないことだと思います。圧巻という言葉ではまるで足りないフロアの雰囲気、本当にサカナクションがこの場に戻ってきたことを喜ばしく感じるステージでした。ラストを「怪獣」「忘れられないの」で締める構成も見事、本当に文字通り忘れられないライブです。

 レディクレの歴史に残る超絶名ステージです。そして山口さんのMC「良い事が長く続かないように悪い事も長く続かない」、この一言にも強い強い説得力がありました。

 

まとめ&写真集

 8年ぶりのレディクレ参戦でしたが、ロックキッズを温かく迎える雰囲気は相変わらずでした。以前よりもフードエリアは確実に充実しています。ただその反面客数に反してフリーエリアで座るスペースが少なすぎる印象で、地面に座っている人も多く見かけました。予約制のこたつエリアはレディクレ名物で恒例ですが、ここを普通のテーブル・椅子にするだけでも全然収容力が違うのでは…と感じたのは私だけで無いはずです。翌日にCOUNTDOWN JAPANへ足を運んだ後だと、はっきり言いまして快適性には大きな差があります。

 あとはこれに限らず大阪開催のフェス全体の問題になりますが、交通アクセスが良くありません。コスモスクエア駅が大きく無いのは仕方ないとしても、代替アクセスが弁天町駅へ向かうバスのみではちょっと厳しいような気がします(用意されているチケット数も足りていない気が)。というより終演から中央線の終電に間に合わない人が発生しているというのは問題で、正直個人的に開演~終演時間は全体的に1時間早めた方がいいのでは…と思いました。バス運転手がそもそも足りていない状況なので、サマソニのように梅田なり難波なり天王寺なりにシャトルバスを出すのは難しいかもしれないですが…。

 とは言えRO社が手を引いて、FM802主催でレディクレが誕生してから16年。関西恒例の年末フェスとして完全に定着させているのには素直に頭が下がります。もう少し改善して欲しい部分はありますが、願わくばこのまま10年20年とずっと恒例であって欲しいと、願わずにはいられません。






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