今週のビルボードチャート~11/17(なにわ男子、スピッツ、大橋ちっぽけ)


 なにわ男子「初心LOVE」が63万枚という圧倒的なCD売上で首位を獲得。ただ今年記録したSnow Manの82万枚、乃木坂46の70万枚と比べると少ないです。CDデビューに際してメディア出演は極めて多く、SNSなどによるファンの盛り上がりも非常に大きいですが…。とは言え発売日は通常の水曜日とは違って金曜日、そして今はCD売上のみで楽曲やアーティストの人気を測る時代ではありません。そう考えると、十分順調なスタートを切ったと言って良いように思います。

 BE:FIRST「Gifted.」は1位→2位、INI「Rocketeer」は2位→3位で引き続き高い順位をキープしています。CD売上・ストリーミングともに高い数字を記録しています。ただSpotifyのデイリーランキングはまだトップ50圏外。来週の順位もまだ注視する必要がありそうですが、BE:FIRSTはYoutubeの順位が3位で高いのでそこまで急にランクダウンすることは無さそうな雰囲気です。

 7位にNiziU「Chopstick」が初登場、Youtubeでポイントの40%を占めていて得意分野をガッチリ固めてます。先週公開で早くも1500万再生突破しました。8位の≠ME「まほろばアスタリスク」はやはりCD売上で稼いでます。先週初登場のマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」はストリーミングを大きく伸ばして14位にランクアップ、29位は『劇場短編マクロスF~時の迷宮~』から「時の迷宮」が初登場。40位にJUJU「こたえあわせ」、44位に菅田将暉「ラストシーン」、57位に大橋ちっぽけ「常緑」など今週も注目作が多くランクインしています。

1位 なにわ男子「初心LOVE」


 既に各音楽番組で歌っているので今さらレビューしても仕方ない面もありますが、圧倒的に話題の1位ということで一応取り上げます。動画は少し短縮されたMVではなく、あえて羽田空港のデビュー記念パフォーマンスを選びました。

 今年話題になったジャニーズ事務所以外のボーイズグループと比べると、やはり”男子としてのかわいさ”が圧倒的に魅力的です。向こうの洗練されたカッコ良さとは毛色が異なり、何十年も歴史を重ねた事務所の伝統がしっかりなにわ男子にも受け継がれているのがパフォーマンスを見ても非常によく分かります。それは特に、メンバーの歌声に顕著に表れています。海外向けとは全く違う音楽性ですが、だからこその良さが今回の楽曲にも出ているような気がしました。

 ただ歌唱力自体は先日のベストヒット歌謡祭コラムでも書きましたが、過去の先輩グループよりも間違いなく高いと思います。裏声も躊躇なく取り入れていて、ラストサビではスキャットで歌い上げる裏パートも存在しています。単に「爽やか」という一言で済むような楽曲に仕上げていないことが、この曲の凄さです。来年以降の作品も非常に楽しみです。

24位 スピッツ「大好物」

 スピッツは今年でついにメジャーデビュー30周年。「ロビンソン」が1995年なのでもう26年も前のこと、当時デビュー30年くらいのアーティストが北島三郎や都はるみといったところでした。10代だった自分の感覚でいうとドシッと構えた大御所も大御所といったところですが、現在のスピッツは大ベテランでありながら若い時のような瑞々しさもキープしているという印象があります。こう書くとサブちゃんやはるみさんとジャンルが違うと言われそうですが、あの当時はJ-POPで30年売れ続けている人が存在していないのでどうしようもありません。そもそも1965年の日本音楽界は、まだJ-POPと言えるようなサウンドが皆無の時代です。

 さて、今回の新曲は劇場版『きのう何食べた?』主題歌で通算45枚目のシングルになっています。エイトビートのリズムに刻まれるバンドサウンドと草野さんの歌声が大変心地良い楽曲です。メロディーラインやギターソロも相変わらずツボを抑えていて、聴いていて安心できる温かいサウンドです。

 もしかすると今の売れ線から考えれば、こういった音楽も古めかしく感じる時代に入っているのかもしれません。振り返ると、今年は声を聴いただけで誰もがこの人だと分かる特徴ある歌声のバンドサウンドを聴く機会がやけに少なかった気もします。これはあくまで個人の感覚の違いでしかありませんが…。そう考えると、2021年のスピッツが新曲をリリースしてビルボードチャートの上位にランクインしている意味は、非常に大きなものがありそうです。

57位 大橋ちっぽけ「常緑」


 先月発売されたミニアルバム『you』収録曲ですが、今週57位でビルボードに初登場。これがSpotifyバイラルチャートで2位にランクインしています。Youtubeのコメントを見る限り、この2週間ほどでTikTokから流れてきたリスナーが急増している様子です。「香水」「ドライフラワー」など、ここ数年TikTokきっかけのブレイクが増えていますが、この曲も同様のケースになるのでしょうか。

 ポップな編曲ではありますが、ルックスと歌声がイケメンなボーカルがギター片手に歌うラブソングという構図は「ドライフラワー」と同様です。スクラッチも入ったノリノリの雰囲気は異なりますが、弾き語りの姿がしっくりくるアーティストであることも確かです。メジャーデビュー3年目で日本コロムビア所属、名前は以前から耳にする機会はありましたが、これでブレイクする形になるでしょうか。個人的には他の曲もまたチェックしたいと考えています。

 

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