2018年3月20日・21日にNHKホールで開催された”Reframe”。最新映像技術をふんだんに使ったステージは、ここ数年のNHK紅白歌合戦でもお馴染みとなっていますが、それをワンマンライブとして全面的に押し出した内容になっています。
今回はステージを更に進化・深化させて全8公演、渋谷公会堂をリニューアルさせたLINE CUBE SHIBUYAのこけら落としとして開催される形になりました。約1時間半の公演、あまりに密度が濃すぎて詳しい内容を正確に伝えるのははっきり言って困難です。これに関してはナタリーのライブレポを見てもらうとして、ここでは見た感想を率直に、やや簡単に書いていく形にします。
渋谷公会堂といえば、東京に多くあるホールの中でもトップクラスに重要な位置を占めるホール。特に1980年代は多くの公開歌番組の会場として、BOOWY解散ライブの舞台としても長く語り継がれています。1964年東京五輪ウエイトリフティングの会場としての開館以来長く使われていましたが、建物の老朽化のため2015年10月に閉館・解体。その後建て替えを経てLINE CUBE SHIBUYAとして生まれ変わったこけら落としとして、このReframe 2019が選ばれた形となります。楽屋などの施設も目新しく、上演後のMCではステージだけでなくそれについても感激気味に話していました。
Reframe、それは辞書によると”再構成する””見方を変える””見つめ直す””捉え直す”などの意味があります。過去を大事に振り返りつつ未来に向けて進んでいく、ということは今までのツアーでも何度となく話していた記憶があります。数多くの演出が施されたReframeですが、私が印象に残ったのは過去の楽曲やツアーを次々に振り返っていくコーナー。「コンピューターシティ」「チョコレイト・ディスコ」「ポリリズム」など、流れる曲に合わせて3人がそれぞれフォーメーションを決めるシーンは、おそらく他で見ることの出来ない光景でしょう。
「Perfumeの掟」と言われるダンスと映像の融合コーナーが初めて行われたのは、2010年11月3日の東京ドーム公演。映像が年を経るごとに大きく進化するのは自然なことですが、ダンスや音・何より3人の魅力も映像に合わせてあるいは超えて?ずっと進化していることが証明できたのも今回の大きな成果だったように思います。当ブログで多くのステージの素晴らしさを文章にしてきたつもりですが、今回ばかりはどう考えても表現することが出来ない凄さ。3人もそう言っているのですから仕方ありません。よく考えると、LINE CUBE SHIBUYAで表現できる映像演出をテストするには今回ほどうってつけの場面はありません。つまり言うと、この公演どころかこのホール自体がPerfumeのために作られた、そんな感想まで生まれるほどでした。
パフォーマンスされた楽曲で特に印象に残ったのはラスト2曲で、まずは「Dream Land」。2013年LEVEL3ドームツアーのアンコール、幻想的な雰囲気の中で多くの風船が舞い降りたシーン以来久々に目にして光景もまた天の上にいるかのような演出。”美しい”という言葉を超えるものがそこには存在していました。もう一つは、一旦終演した後実質アンコール曲として演奏された新曲「Challenger」。今のPerfumeのために描かれたような楽曲は、振り付けも含めて大変スポーティー。そのまま来年の東京五輪公式ソングとして採用されてもいいのではないかと思える内容でした。
同会場での8連続公演・全席着席・ラストのMCも含めて約1時間半という長さも異例。毎回のツアーを通して何かしら新しいコーナーは生まれるものですが、既に多くの実績を作ったアーティストがここまで新しいことに挑戦すること自体少ないのではないでしょうか。ファンになったのは『GAME』の頃なのでもう10年以上、確かに若干飽きがくる場面もなくはなかったですが、またここまで毎回凄いものを見せられると次も見たい・楽しみという気持ちに自然となります。2019年のドームツアーも非常に楽しみですし、その後もおそらく活動休止もしくは解散するまでずっと現場に足を運ぶ形になるのはもう間違いなさそうです。
そういえばLINE CUBE SHIBUYA自体、一旦解体してあらためて再建築された建物。こけら落としでこの公演を選んだ会場側のセンスも、あらためて凄いと思った次第。渋谷公会堂時代に数々の名ステージが実現された場所ですが、これからもおそらく数多くの新たな歴史が刻まれる舞台として語り継がれていきそうです…。