2019.11.2 Negicco MAXI SINGLE RELEASE TOUR“MAXI” in 箕面温泉スパーガーデン・箕面劇場

 Negiccoの全国ツアーにおける大阪公演は、過去2度難波の味園ユニバースで開催されています。キャバレーを改装した建物は大変味のあるライブハウスでしたが、今ツアーの大阪会場として選ばれたのはなんと箕面温泉スパーガーデンの箕面劇場。まさかの会場にビックリしましたが、Negiccoが温泉でライブをすること自体はそこまで珍しくありません。東京では東京天然温泉古代の湯やら浅草ROXまつり湯やらに何度も出演、新潟ではホンマ健康ランドで新年会が2年連続で行われています。ですが単発ではなく全国ツアーの会場として選ばれる例は、少なくとも他のJ-POP系アーティストでは見た記憶がありません。果たしてどんなステージになったのでしょうか。ではどうぞ。

 箕面温泉スパーガーデンに行くのは、子どもの時に家族でプールに行って以来25年以上ぶり。初めて行った時は展望エレベーターではなくケーブルカーだったのですが、今はもうその面影も全くなく。2010年代前半に経営破綻で一旦閉鎖されたようですが、その後大江戸温泉物語をスポンサーにして営業再開。レジャー施設として大変な賑わいを見せています。そこにある箕面劇場は古くからの名物で、無料のお笑いライブや大衆演劇、昭和・平成の歌謡ショーを筆頭に、演歌歌手やアイドルのステージも土日中心に行われているようです。ちなみにスパーガーデンの入り口には、いまやスーパー銭湯には欠かせない存在となった純烈の大型パネルが展示されていました。年に何回もこのステージに立っているとかいう話だとか…。

 会場は椅子が400席ほどで、意外と広め。ちなみに演歌歌手のショーでは、指定席が2000円で立見が無料という形なのだそうです。ちなみに今回はチケットを購入した人のみ見られるという形式で、当日券販売ありでした。グッズ販売や特典会は卓球場で行われるという形。

 さて14時半に公演開始。お馴染みの「Make Up Prelude」に乗せて幕が開いて3人登場という形ですが、開く方向も下から上ではなく下手から上手という形でまた独特。最初に演奏されたのは新曲「夢・Dreamer」。続く「SNSをぶっとばせ」では下仁田同様、舞台から降りて3人とも客席中を回ってハイタッチ。通路から一番遠い真ん中の席まで手を伸ばしていました。

 今回はお笑いの街・大阪。というわけで早々にNao☆ちゃんが古めのギャグを思いつくままにぶっ込みます。劇場の11月のスケジュールも見て、その中にある忍者ショーに妙に反応していました。前日からこの施設に宿泊して温泉などを堪能したようで、お湯の感想は”トゥルトゥル”ということ。3人で久々にボウリングをした話もしていました。最高スコアが70点台という具合で…。相変わらずまとまりはありませんが、それもあって?会場は笑い声の絶えない和やかな雰囲気でした。良い空気です。

 MC後の演奏は「愛、かましたいの」。そういえばこの曲のPVの舞台は新潟県の高田世界館、レトロな雰囲気タップリ。今回の舞台にもよく合っていると思っていたら、なんだか間奏でNao☆ちゃんがタコの被り物をして関西でお馴染みのたこ昌CMパロディー。会場は大ウケ…というより面食らった人の方がやや多そうな雰囲気だったでしょうか。このタコのアイテムは、後のパフォーマンスでもそれぞれぽんちゃ、かえぽが被らされ…被る場面が1度ずつ入りました。「パジャマ・パーティー・ナイト」「I Am A Punk!」を経て再びMC。タコのくだりはNao☆ちゃん曰く「すべった~!」とのこと。ここの部分が一番リハーサルに時間をかけたようで、笑いに厳しい大阪の人にウケるかどうか相当苦慮したのだそう。「お笑いに命をかけている」という、もはや芸人としか思えない言葉まで飛び出します。確かにギャグの研究に余念はなさそうですが…。

 中盤に入り落ち着いた曲が選曲されます。「マジックみたいなミュージック」「グッデイ・ユア・ライフ」「君といる街」といった具合。おそらくこの時点で誰が選曲したか想像つくわけですが。落ち着いた曲になると、パフォーマンスの質の高さがハッキリ分かるのがNegiccoの特徴。それにしても「君といる街」、久々の選曲かと思いますがローカルアイドルとしてはこれ以上ないほどにしっくり来る歌詞だとあらためて感じるところです。

 後半の盛り上げ曲は「光のシュプール」「キミはドリーム」「トリプル!WONDERLAND」。今回当会場で最も異質な部分は全員が座りで見る形だったことですが、それでもあまり違和感なくしっくりきました。アンコールでまず歌われたのは「雫の輪」

 Negiccoを最初に見たのは2013年TIF、その次が「ときめきのヘッドライナー」リリースイベント。Nao☆ちゃんは当時から歌は上手くてギャグも空まわ…いやウケていましたが、かえぽは少し声が震え気味でやや頼りない印象でした。しかしこの曲最初のソロ、声量も当時とはまるで違って非常に綺麗で伸びのある歌声。勿論年を経るごとに良くなってはいましたが、あらためて振り返るとここまで頼れる存在になったかという嬉しい気持ち。またぽんちゃも、2018年はずっと高い声が出なくなって苦悩していましたが、下仁田箕面を通してそんな様子は全く見受けられず。パフォーマンスは今ツアーがこれまで見た中でも過去最高の出来で、まだ更に伸びそうな予感も感じられるくらいでした。

 新曲「I LOVE YOUR LOVE」は西寺郷太氏の楽曲提供、これもT-Palette移籍直後から初期以来で久々。直後に演奏されましたが、つまるところ今作・今ツアーがNegiccoにとってまた新しい歴史の序章になるのかもしれないと感じた次第。周りの状況としては、2010年代は空前のアイドルブームにおける台頭、これからはNegiccoにしか真似できない活動で徐々に注目される形。ローカルアイドルとしてここまでの立ち位置にまで至った時点でそうではありますが、それでも今回のツアーほどNegiccoでしか味わえない魅力を強く感じた機会はありません。先日のPerfumeの”Reframe”と比べるとそれはダンス×デジタル演出の極致、こちらは人との温かさ×手作り感の極限。どの表現が適当なのかは分からないですが、最高という座標軸の中でこの2組は真逆のベクトルを描いているような、そんな気がしました。

 アンコールのラストは全員立席で「圧倒的なスタイル」。見知らぬ人と肩を組んで全員でラインダンスするというのも、Negiccoという平和な空間が作り上げた空気。終わってみればメンバー3人・観客のおそらくほぼ全員・そしてスタッフに至るまで。来年もまたここでライブ出来ることを強く願う形になっていました。個人的にも、純烈ほど定期的にとは言いませんが、毎年恒例という形で呼んで欲しいですし、見に行きたいです。

タイトルとURLをコピーしました