2022年アルバム~私立恵比寿中学『私立恵比寿中学』

アルバム概要


リリース:2022年3月23日
前作:『playlist』(2019年12月18日)
通算枚数:7枚目
楽曲数:10曲
うち先行配信済:3曲
レーベル:Sony Music

楽曲解説

Anytime, Anywhere

先行配信:2021年11月26日
MV:リリックビデオ(YouTube)、ライブ映像(YouTube)
作詞・作曲:大橋ちっぽけ
演奏時間:3分49秒

 「常緑」がTikTok中心に大ヒット中の大橋ちっぽけが楽曲提供。

 ミディアムテンポで聴かせる楽曲は、歌いやすそうに見えて実は歌いこなすのが非常に難しい内容。ダンスのみを主体とするグループが、この曲に歌詞に描かれた心情を歌えるかと言われるとかなり厳しいと思います。正直歌い手によってはひたすら平凡な楽曲にもなりかねないメロディーですが、そう感じさせないのはやはり私立恵比寿中学の魅力。丁寧に一言一句をしっかり歌うメンバーの歌声に、”さすが”と思わず唸らざるを得ないナンバーです。

 

イエローライト

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞・作曲:田村歩美
演奏時間:4分34秒

 たむらぱんとエビ中の関係は非常に深いです。初の楽曲提供はメジャーデビューシングルのカップリング「結果オーライ」なので、今作でついに10周年を迎えました。通算では8作目、その中には「誘惑したいや」「ポップコーントーン」「感情電車」といったライブ定番曲も多く含まれています。

 少しずつ音程を下げていくBメロの進行、非常に自然な形で入るサビ、ダメ押しのように繰り返されるサビ後半、そして何と言っても全体を通して慈愛に満ち溢れた歌詞。これは10年近くエビ中を見守ってきた、たむらぱんがエビ中へ贈るプレゼントと言っても差し支えありません。今作もまた、文句のつけようのない名曲中の名曲です。

きゅるん

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞:高橋久美子 作曲:COMiNUM, Myko ISLAND, Ryo Ito
演奏時間:3分16秒

 高橋久美子はチャットモンチーのドラム担当、現在は作詞家だけでなく作家としての顔も持っています。こちらも「朝顔」「青い青い星の名前」に続く3作目の提供、お馴染みの存在になりつつあります。作曲担当のCOMiNUMは新進気鋭のミュージシャン・0amのメンバー。TikTokで注目されている音楽プロジェクトです。

 J-POP色強めのメロディーに、エレクトロ色がやや強めの編曲。全体的にガーリーでオシャレな雰囲気ですが、コーラスや合いの手に大人数ならではの長所もしっかり活かされています。主旋律はかなり音程高めで裏声を駆使したボーカル、ライブでは聴きどころであると同時にその日の調子を測るバロメーターにもなりそうです。

 

ハッピーエンドとそれから

先行配信:2022年3月9日
MV:あり(YouTube)
作詞・作曲:石原慎也(Saucy Dog)
演奏時間:5分3秒

 今年もっともブレイクしたバンドの1組であるSaucy Dogの石原慎也が楽曲提供。淡い青春を感じさせる楽曲がエビ中の新たな良さを引き出しています。

トキメキ的週末論

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞:児玉雨子 作曲:山崎佳祐
演奏時間:4分27秒

 水樹奈々やアイカツシリーズなど、アニソン方面を中心に手掛けている山崎佳祐の楽曲提供。

 ディスコティックで明るい王道アップテンポナンバーで、確実にライブで盛り上がる内容です。Aメロは歌割りがやや詰まり気味ですがBメロはうまい具合に空間が存在していて、現場ではそれぞれのソロパートを歌うメンバーのコールがそこに入りそうです。

シュガーグレーズ

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞・作曲:TORIENA
演奏時間:3分33秒

 若手のクリエーター・TORIENAの楽曲提供。リミックス色も強い自身の作品は、流行のJ-POPとは全く異なる作風です。

 全編ボーカルにエフェクトが入る電子音中心のアレンジ。クラブのミュージックに近い雰囲気で、所謂アイドルソングのイメージから最も遠い内容に仕上がっているように聴こえます。これもまた、全ての音楽ジャンルに対応できる私立恵比寿中学の強さです。

 

さよなら秘密基地

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞・作曲:けんたあろは
演奏時間:3分46秒

 ボカロPとして活動しているけんたあろは、楽曲提供は虹のコンキスタドールに続く形で、でんぱ組.incと同時期の発表になりました。

 冒頭とラストはややアカペラに近い編曲ですが、中盤は慌ただしさも感じさせるアップテンポ。メロディーも独特のリズムも全体の構成も、今までのヒット曲からあまり経験したことのない新しさと面白さ。癖になるタイプの楽曲であると同時に、数年後は今より価値が上がる楽曲になっていそうな予感を感じさせるナンバーでもあります。クリエーターとして彼の名前は今後注目すべき存在になるかもしれません。

 

ナガレボシ

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞:Giz’ Mo (from Jam9)
作曲:ArmySlick, Giz’ Mo (from Jam9)
演奏時間:4分2秒

 Jam9やArmySlickといった名前はエビ中の楽曲だと初見ですが、数年前はE-girlsやAAAなどで目にする機会の多いクリエイター。アイドルにもたこやきレインボーや=LOVEなど提供数は多いので、意外と言われれば意外な気がする名前です。

 伸びやかなメロディーで聴かせるバラード。この曲に限らず今作の歌割りはほぼほぼソロパートなので、1人1人の歌声が非常に分かりやすく耳に入ります。

宇宙は砂時計

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
作詞・作曲:キタニタツヤ
演奏時間:4分2秒

 キタニタツヤもSaucy Dogや大橋ちっぽけと同様、人気上昇中のアーティストです。「悪魔の踊り方」はYouTubeで1400万再生、昨年リリースの「聖者の行進」は現在Spotifyで600万再生。楽曲提供は過去にさくらしめじなど、今月はエビ中の他にジャニーズWESTにも「セラヴィ」を書いています。

 楽曲はやや重たい雰囲気のバラード。こちらも今までのエビ中とは異なる新しい魅力に満ちた内容です。

 

イヤフォン・ライオット

先行配信:2021年8月11日
MV:あり(YouTube)、ダンスver. (YouTube)
作詞:児玉雨子 作曲:杉山勝彦
演奏時間:4分36秒

 アルバムのラストは、現体制になって初めて発表された楽曲になりました。杉山勝彦はもうアイドルファンにはお馴染み、メジャーデビューシングルの「仮契約のシンデレラ」もド直球のバラード「まっすぐ」も彼の作品です。

 先日アップされたダンスver.を見ると、フォーメーションも複雑で難易度はかなり高いように感じます。もう新メンバー3人もすっかり溶け込んでいる、ということが映像を見るとよく分かります。この体制になってから個人的に現場へ足を運べていない状況が続いてますが、もうおそらく学芸会鉄板ソングとして定着していることは間違いないはずです。フォーメーションや歌割りの複雑さに反して、メロディーが直球で非常に憶えやすいというのも重要なポイントではないでしょうか。

全体の感想

 2年3ヶ月ぶり、これまでのエビ中では最長スパンとなった今作のリリース。新メンバーの桜木心菜・小久保柚乃・風見和香にとって加入後初のアルバムになっています。メンバー6人は既に20代を迎え、大人の雰囲気も兼ね備えた素敵な女性に成長していますが、3人はフレッシュな10代、特に風見さんはまだ現役の中学生です。

 これまでの6作も全くハズレ無しの名作ばかりですが、今作もやはり文句無しの名盤です。シンガーソングライターとは違う、また全ての楽曲で異なるクリエイターを起用できるという、私立恵比寿中学の長所を最大限に活かした作品でした。新進気鋭のミュージシャンだけでなく、10年間の歴史を知っている杉山さんやたむらぱんが参加しているのも、ファンにとっては嬉しい部分です。

 アイドルファンは言うに及ばず、フェスなどに足を運ぶ音楽ファンにも既に彼女たちの凄さは認知されているように感じます。あとは普段ライブに行かない人、アイドルに興味ない人にも彼女たちの凄さが伝わって欲しいと思うところです。歌唱力・ダンス・ライブパフォーマンス・キャラクターなど、万人に好かれる要素は山程あるので…。

 

 

 

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