1st Album『狂言』
2022年1月26日に発売決定しました。ジャケットはORIHARAさん @ewkkyorhr です。
そして本日より各店舗にて予約もスタートしました。
詳しくはアルバム特設サイトをご覧下さい……https://t.co/K5LfkkTDct#Ado #Ado狂言 #Adobum pic.twitter.com/V3lczGcv80— Ado (@ado1024imokenp) October 23, 2021
アルバム概要
リリース:2022年1月26日
前作:なし
通算枚数:1枚目
楽曲数:14曲
うち先行配信済:7曲
レーベル:ユニバーサルミュージック
楽曲解説
レディメイド
先行配信:2020年12月24日
楽曲提供:すりぃ
MV:あり(Youtube)
タイアップ:AbemaTV『AbemaPrime』2月度EDテーマ
演奏時間:4分3秒
アルバム1曲目を飾るのは「レディメイド」、「うっせぇわ」に続くオリジナル作品です。”カルナバル”という単語がしっくりくるようなメロディーが聴きどころ。楽曲提供のすりぃはボーカロイド使用の楽曲投稿がメインで、確かに所々初音ミクの声でもしっくりくる部分もあるような気がしました。
踊
先行配信:2021年4月27日
楽曲提供:DECO*27(作詞)、Giga・TeddyLoid(作曲)
MV:あり(Youtube)
タイアップ: NHK総合『NHK MUSIC presents 夜光音楽 ボカロP 5min.』テーマソング
演奏時間:3分30秒
ビルボードチャートレビューのレビューで大絶賛した曲ですが、実際「うっせぇわ」の次に再生回数を稼ぐ楽曲に成長しました。Youtubeでは1億回再生を達成しています。聴いていて非常にテンションが高くなるナンバーで、それ以外はもう今さら語る必要もない、2021年を代表する大ヒット曲です。
ドメスティックでバイオレンス
先行配信:なし(新曲)
楽曲提供:Kanaria
演奏時間:2分38秒
タイトルがキャッチーかつリズミカルで憶えやすいです。メロディーに対する言葉の入れ方が非常に秀逸。この曲を聴いて感じたことを一つ挙げるとすれば、Adoさんの歌唱は正確な音程よりも発声・感情をより重視しているということでしょうか。心を揺さぶる楽曲で素晴らしい内容ですが、10年後20年後のライブではほぼ歌われない部類の曲かもしれないとも感じています。
FREEDOM
先行配信:なし(新曲)
楽曲提供:jon-YAKITORY
演奏時間:3分6秒
ギターを抱えながら歌う姿が目に浮かぶロックナンバー。2002年生まれという若さによく合う歌詞も印象的です。途中コール&レスポンス推奨のパートあり、しばらくはライブの定番曲として頻繁に演奏されそうです(もっとも今後どれくらいライブ活動するかは未知数ですが)。
花火
先行配信:なし(新曲)
楽曲提供:くじら
MV:あり(Youtube)
演奏時間:3分32秒
yama「春を告げる」など、ボカロ以外にも楽曲提供の多いくじらさんの制作。彼のアルバム『寝れない夜にカーテンをあけて』収録の「金木犀」に、ゲストボーカルで参加した繋がりもあります。
今回の楽曲はネット音楽らしい雰囲気というより、従来のJ-POPの延長線上にあるミディアムバラードという趣。正直申し上げるとAdoさんが歌うイメージがあまり持てない曲でもありますが、アルバムの最初から聴くとここで良いアクセントになっているという印象です。声の出し方は1~4曲目と違っていて、ボーカリストとしての器用さもよく表れています。
会いたくて
先行配信:2021年8月12日
楽曲提供:みゆはん
MV:あり(Youtube)
タイアップ: 映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』挿入歌
演奏時間:4分55秒
ひと昔前ならYUIが歌うイメージの、椅子に座ってギターを弾きながらの歌唱がしっくりくるバラード。サビ冒頭の「会いたくて」の最高音がこれまでの歌手にあまりない出し方で、新しい感覚です。
楽曲提供のみゆはんはアニメ音楽がメイン、そのためネット音楽・ボカロとは別ジャンルのクリエーターです。ストリングスが入る編曲も、アルバムの他曲とは大きく異なっています。先行配信はされていますが、これまでのイメージと異なる部分もあるせいかビルボードは最高27位止まりでした。
ラッキー・ブルート
先行配信:なし(新曲)
楽曲提供:柊キライ
演奏時間:3分29秒
普段発することがなさそうな種類の声を使っている楽曲です。ダークな歌詞・独特なリズムは今回のアルバムで完全に異彩を放ってます。
ギラギラ
先行配信:2021年2月14日
楽曲提供:てにをは
MV:あり(Youtube)
演奏時間:4分36秒
「うっせぇわ」旋風中に新しく配信された楽曲で、当時のビルボードチャートレビューでもピックアップしています。あらためて聴いても、一つ一つの単語がしっかり頭の中に入る巧い曲に仕上がっているように感じました。
阿修羅ちゃん
先行配信:2021年10月28日
楽曲提供:Neru
MV:あり(Youtube)
タイアップ: テレビ朝日系ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(第7シリーズ)主題歌
演奏時間:3分15秒
この曲もビルボードチャートレビューでレビュー済。ガツンと来る冒頭の歌い出しの時点で言うこと無し、隙が存在しない構成に抜群のスピード感。個人的に彼女の楽曲の中で一番好きです。
心という名の不可解
先行配信:2022年1月17日
楽曲提供:まふまふ
MV:あり(Youtube)
タイアップ: フジテレビ系ドラマ『ドクターホワイト』主題歌
演奏時間:4分29秒
先日のビルボードチャートレビューで書いたばかりの曲です。医療系ドラマの主題歌であることは共通していますが、楽曲の内容は全く違います。
うっせぇわ
先行配信:2020年10月23日
楽曲提供:syudou
MV:あり(Youtube)
演奏時間:3分26秒
言わずと知れた、メジャーデビュー曲かつ代表曲です。昨年1月に初めて聴いた時のレビューはこちら。これだけ直接的な歌詞を書けるsyudouさんも素晴らしいですが、やはり”本当に心から訴えている”と思わせるAdoさんの歌声あっての大ヒットであることは言うまでもありません。
マザーランド
先行配信:なし(新曲)
楽曲提供:煮ル果実
タイアップ:TBS系2022冬季スポーツテーマソング
演奏時間:4分20秒
聴きどころはやはり2番の歌詞だと思います。偶然なのか意識して作ったのかは分かりませんが、「うっせぇわ」の次の曲順にした理由がこれにあることは間違いなさそうです。全体としてはデジロック色強めのアレンジがポイントでしょうか。
若干退廃的な雰囲気もあって、少なくとも明るい楽曲ではありませんが、なんとこれが2022年TBS冬季スポーツテーマソングで同局の五輪中継でも流れます。歴代のスポーツ中継テーマソングとしてかなり異質の内容ですが、実際見ると意外としっくりくる物なのかもしれません。
過学習
先行配信:なし(新曲)
楽曲提供:伊根
演奏時間:3分35秒
BPMはやや速めですが全体的に聴かせる楽曲で、シングル曲としてもし出すとしたら地味な印象もある内容です。ただアルバム終盤で聴くには間違いなくしっくり来る曲だとも思いました。
夜のピエロ
先行配信:2021年6月14日
楽曲提供:biz
MV:あり(Youtube)
タイアップ:毎日放送制作ドラマ『初情事まであと1時間』OP主題歌
演奏時間:3分15秒
ラストも大ヒット曲です。ビルボードチャートでもレビュー済。メロディーがはっきりしている曲で大変聴きやすく、アルバムのラストにピッタリの内容です。
アルバム全体の感想
元々は歌ってみた動画の投稿から始まり、メジャーデビュー後の楽曲も自作ではありません。ただ楽曲提供先はほとんどがインターネットを中心として活動する若手クリエイターです。ある意味では「歌ってみた」動画の超絶ベスト版、というのが今作の内容だったように思います。新曲の出来も概ね素晴らしく聴く価値はおおいにあり、また大ヒット曲も多いのでこれからAdoを聴いてみようという人にも強くお薦めできる内容です。
歌唱力の素晴らしさはこれまでの新曲レビューでも書きましたが、アルバムを通しで聴いて少し感じたのは「若いからこそ可能な歌声」であること。10年20年先を考えていないのは現状で考えると当然で、またその必要も全くないのですが、歌唱時における喉の負担が他と比べてもやや大きそうな印象は正直ありました。「うっせぇわ」を筆頭とする激しい歌声は間違いなく彼女にとって大きな個性であり長所ですが、どこかのタイミングで大きく歌い方を変えるかもしれない…という予感はしています。
彼女の立ち位置はあくまでもインターネット中心、少なくとも芸能界の中心からは多少距離を置いている印象があります(ややタイアップが増加傾向に入り始めてはいますが)。Youtubeではなくツイキャスで配信する辺りも、親近感が感じられる部分です。1970年代だとフォークシンガーが歌謡界に反発して…という意味もありましたが、令和の時代にそんな感覚は存在していません。ただ必要以上に注目されることをあまり好まない人物という印象も持っています。音楽性は椎名林檎がデビューした時を多少思い出させる部分もありますが、彼女のように20年後、国の事業にも携わるようになり毎年紅白歌合戦に出場する姿は、今のところ全く想像出来ません。
Adoさんのような売れ方をしたアーティストは過去にいないので、やはりこれからの彼女はそのままネット音楽の歴史に繋がる部分も大きくなると思います。正直言って先が全く読めない上に、今回の文章自体がファンから見ると全く的外れな内容なのかもしれません。その点では新しいJ-POP史を作る人物の1人として、今後どうなるのか非常に興味深いです。次のアルバムまでの活動がどうなるのか、引き続き注視する必要がありそうです。
コメント