2022年アルバム~レキシ『レキシチ』

アルバム概要

リリース:2022年4月20日
前作:『ムキシ』(2018年9月26日)
通算枚数(フルアルバム):7枚目
楽曲数:10曲
うち先行配信済:2曲
特設サイト:あり
レーベル:ビクターエンタテインメント

楽曲解説

ギガアイシテル

先行配信:2020年9月11日
MV:あり(YouTube
タイアップ:映画『クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』主題歌
演奏時間:4分2秒
ゲスト:MC旧石器(minan from lyrical school)

 一昨年の映画クレヨンしんちゃん主題歌、ラップパートでリリスクのメンバーが参加しています。物語の始まりをイメージしたポジティブな楽曲で、確かにアルバムに収録するとすれば1曲目がピッタリです。

 楽曲の歴史要素はやや薄めで、歴史という縛りが無くても名曲として通用しそうな歌詞です。ただ一応ギガの表記は”戯画”が通常のご様子。

 

たぶんMaybe明治

先行配信:なし(新曲)
MV:あり(YouTube
演奏時間:3分31秒
ゲスト:あ、たぎれんたろう(atagi from Awesome City Club)

 先日出演したMステでも披露した曲。Awesome City Clubの男性ボーカル・atagiは本来シティポップにファンキーな成分を入れたような声質で、昨年大ヒットした「勿忘」はむしろ異質な部類です。そういう点では、本来のatagiさんらしさを池ちゃんが最大限にフィーチャーした楽曲のような気がします。

 今作のテーマは明治、MVもそれを強く意識した内容になっています。若手漫才コンビのジェラードンがゲスト出演。この歌詞でこのサウンドは、今に始まったことではありませんがレキシのハイセンスミュージックを象徴した内容とも言えます。

だって伊達

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
演奏時間:3分57秒

 聴かせる切ないバラードですが、歌詞はほぼダジャレ。字面だけで見ると、馬鹿らしさだけが先立つような内容です。逆に言えば、この歌詞でこの雰囲気を作れるのが音楽家・池田貴史の天才性。それが非常によく分かる作品でもあります。

 

つれづれ

先行配信:なし(新曲)
MV:無し

演奏時間:3分52秒

 ムードたっぷりのイントロとテンポの良い韻踏みがクセになる楽曲です。舞台は伊勢めぐりへの関所超えで、『東海道中膝栗毛』がモチーフになっている作品と考えて良いでしょうか。

縄文ロンリーナイト

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
演奏時間:4分10秒

 レキシの縄文土器といえば「狩りから稲作へ」が有名ですが、この曲は土偶がメインになっています。サウンドは縄文時代の雰囲気とは全く関係ない、レキシらしさに満ち溢れたハイセンスな内容です。

 

マイ草履

先行配信:2020年9月11日
MV:あり(YouTube

演奏時間:4分36秒
ゲスト:にゃん北朝時代(カネコアヤノ)

 歴史上の草履エピソードと言えば、足軽時代の木下藤吉郎が織田信長に差し出した草履を思い浮かべますが、ゲストミュージシャンのカネコアヤノのレキシネームは全く別の時代が由来となっています。MVも安達祐実がメインの、いわゆる日本史とは完全にかけ離れた内容です。なお楽曲と映像はすこぶる名曲。

いきなり将軍

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
演奏時間:3分13秒

 たぶん実際の歴史上でこんな場面は存在しないはずで、ある意味では存在しない文章がタイトルになっているわけです。そんなリアリティーを抜きにして考えると、ゆったりとしたリズムで気持ちが落ち着く楽曲です。なお筆者は史実を重視して曲を聴いていないので、その点一応ご了承下さい。

 

Let’s FUJIWARA

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
演奏時間:3分51秒

 平安時代の藤原氏はあまりに人物が多すぎて日本史的には難所も難所ですが…。この曲では摂関政治の全盛期を過ぎた頃、和歌で有名な藤原定家が登場してます(直後のYeahとかけただけだとは思いますが)。ディスコサウンドに日本史的要素を持ち込んだ、まさに池田貴史の得意分野を体現したようなノリ良い作品です。

 

鬼の副長HIZIKATA

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
演奏時間:3分35秒
ゲスト:ぼく、獄門くん(打首獄門同好会)

 一応作詞作曲は池田貴史名義ですが、楽曲は歌詞以外完全に打首獄門同好会そのものの内容です。三三七拍子連発のメロディー、ハイトーンの女性ボーカル、”ひじ””かた”のコールから最終的に打首お得意の食べ物を連想させる”PIZA”にまで発展してるので、相当レキシの世界に侵食しています。池田さんのボーカルも無し、おそらくこれまでのレキシ作品史上もっともゲスト色の強い楽曲ではないかと思われます。今作のアルバム最大のスパイス、レキシファンはともかく打首ファンには大満足できる内容です。

フェリーチェ・ベアト

先行配信:なし(新曲)
MV:無し
演奏時間:3分41秒

 ラストは横浜に移住したイギリスの写真家、フェリーチェ・ベアトをテーマにしたバラードです。ほとんど彼の名前を拝借しただけの歌詞で、レキシの作品の中では一番歴史要素の薄い曲かもしれません。秀逸なメロディーと熱唱が聴かせる、アルバムラストに相応しい名曲です。

アルバム全体の感想

 7枚目の作品ですが、今回もブレなくレキシワールドを隅から隅まで堪能できる内容でした。以前と比べると遊び心が若干少なくなっているような気もしましたが、そこは権利的な問題で映像化できそうにないワンマンライブでファンならば堪能出来ると思われます。atagiさん参加の「たぶんMaybe明治」も良いですが、個人的にはビックリするくらい打首でしかない「鬼の副長HIZIKATA」がもっとも強く印象に残りました。

 ゲストミュージシャンが全体的に少ないので豪華さはありませんが、その分池田さんのボーカル・本来の高尚な音楽性をもっとも堪能できる作品のような印象もあります(打首の曲除く)。2年に1作くらいのペースが今作は4年ぶり、おそらく次もそれくらい空きそうな予感はしますが…。ただレキシ以外でも能力の高さは「なないろ」「ねぇバーディア」といった尋常ではないレベルの名曲が証明しています。最近は楽曲提供も少なくなっているような気がするので、個人的にはレキシの作品と同様にそちらで名前を見られることにも期待したいです。

 

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