今週のビルボードチャート~5/11(星野 源、LE SSERAFIM、PSY他)

今週のチャート総評

 ENHYPEN「Tamed-Dashed」が今週の1位。内訳はCDセールスが主体で、約38万枚という高い売上です。反面リッピングは10位でジャニーズ勢どころかロングセラーの「残響散歌」「カメレオン」にも及ばない数字、ダウンロードも20位なので改善の余地はまだまだありそうです。K-POPの日本語版でSpotifyは原語版で5000万超ですがこちらは48万止まり、ストリーミング32位ですがLINE MUSICキャンペーンは当然実施しています(サイト)。

 9位の初登場はLE SSERAFIM「FEARLESS」。こちらもK-POPです。この曲でデビューという形になりました。メンバー6人中2人が元IZ*ONEですが、うち1人はHKT48・AKB48で長年中心的メンバーであった宮脇咲良です。したがって注目度は非常に高くなっています。

 14位もK-POPでPSY「That That (prod. & feat. SUGA of BTS)」。「江南スタイル」が全世界でヒットしたのは2012年、BTSにとっては非常に偉大な先人にあたります。PSYは他にも数曲YouTube1億再生を達成していますが、BTS人気もあってなんと12日で1億3000万突破という結果を叩き出しています。

 17位はJO1「With Us」が初登場。アルバム『KIZUNA』からの先行配信となっています。例のごとくLINE MUSICキャンペーン実施、Spotifyの数字は49.0万ながらストリーミング13位に食い込んでいます。もっともYouTubeは173万再生で、それなりの数字にはなっています。

 さて45位ですが、めいちゃん「ラナ」が初登場。週間ストリーミングランキングでは1位ですが、CHART insightにはありません。これに際して、ビルボードから以下のアナウンスがありました。

 LINE MUSICキャンペーンは各アーティスト実施していますが、特典の応募には1アカウントごとの再生回数が条件となります。今週でもJO1が500回、ENHYPENが700回といったところですが、彼の場合は2525回・さらに抽選ではなく全員がトークイベント招待というハードルの高い要件になっています。とは言え彼を熱く支持するファンも多いようで、結果再生回数も飛躍的に跳ね上がり先ヨミ時点で1位となりました。本人はオリコン1位を目標にしていて(ツイート)、これに関してはしっかり達成となったようです(リンク)。

 Twitterを検索する限りこれによるファンの苦情が無さそうなのは幸いですが、そういったクレームと隣り合わせの施策という印象もあります。CHART insightでは「ラナ」だけ抜いたような形ですが、キャンペーンありきの数字になっているのはこの曲に限った話ではないので、その点ではちょっと不平等な結果とも言えます(もっともこの件を受けての施策なので、そこまで対応出来ないという実情もありそうですが)。なお参考までに、Spotifyの累計再生回数はここまで9.6万、これは国内デイリーで40位・週間では200位からも余裕で弾かれるくらいの数字です(今週のウィークリー200位で、国内21万・グローバル77万)。

 54位はmilet「Walkin’ In My Lane」。例のごとくドラマ主題歌、今回はフジテレビ木曜劇場『やんごとなき一族』のタイアップがあります。25日にCDも発売予定、ダウンロード8位・ラジオ5位ですがストリーミングはもう少しという状況です(Spotifyで累計44.6万、国内デイリーで110位前後)。

 58位の私立恵比寿中学「青春ゾンビィィズ」LINE MUSICキャンペーン実施中です。11月まで配信リリースが続くので、そのたびにHot100入りしそうな雰囲気です。ファンの立場とチャートを見る立場で相反する感想を持つ形になるので、個人的には少し複雑な心境でもあります。5/5配信開始なので今週の順位は高くないですが、来週は大きく上昇するものと思われます。ちなみに本日付のLINE MUSICチャートで3位、Spotify累計はここまで1.1万です。

 75位はOCTOPATH「Perfect」、こちらも本日付LINE MUSICチャート7位、Spotify累計2.9万です。

 96位は変態紳士クラブ「溜め息」、これはLINE MUSIC再生キャンペーンとは関係のない数字です。YouTubeでは既に130万再生となっています。なおロングセラーが続く「YOKAZE」は今週も40位、通算で54週目のランクインになっています。

 GWを挟んだということで、ロングセラーの再生回数は軒並みアップしています。Official髭男dism「ミックスナッツ」は3週連続2位、フィジカルの強い初登場曲がなければ1位という惜しい状況が続いています。Tani Yuuki「W / X / Y」は今週もまた過去最高のポイント数となりました。星野源「喜劇」BUMP OF CHICKEN「クロノスタシス」もロングセラーコースに入っています。一方INI「CALL 119」は順位こそ4位をキープしているもののポイントは1600近く減少、BE:FIRST「Betrayal Game」NiziU「ASOBO」も順位・ポイントを大きく下げています。

 SEKAI NO OWARI「Habbit」が46位→20位、ストリーミング・ラジオ・YouTubeで大きな順位上昇がありました。Spotifyのデイリーもここ数日で少しずつ順位を上げて51位までランクアップ、こちらでTOP50入りするとさらに跳ね上がりそうな雰囲気です。なおYouTube再生数は470万で早くも昨年の「バードマン」「tears」以上の数字になりました。相当な数字を記録することはほぼ間違いないものと見られます(過去の再生数ランキングはこちらを参照)。

今週のピックアップ曲

星野 源「喜劇」

 配信は既にされていますが、YouTubeは5月5日に公開。このタイミングでこちらでもレビューという形とさせて頂きました。公開から約1週間で300万再生、確実に1000万は超えるものと思われます。

 昨年の「不思議」も大ヒットしましたが、今作はそれと近い作風をベースとして大衆性の要素を加えたような楽曲に感じます。あくまで個人的な感想として、こういった作風は音楽的センスが高くてもなかなかとっつき辛いという印象があるのですが、「喜劇」はこういったネガティブなイメージを完全に払拭しています。”聴きやすい静のファンク”、これもまた過去のJ-POPからはあまり感じられなかった新鮮な味です。これをキャリア20年を超えるミュージシャンの作品から聴けるのは、驚嘆の域に達しています。常に進化するアーティスト・星野源の偉大さをさらに具現化したような珠玉の作品、2022年を振り返るにあたって重要な楽曲であることは言うまでもありません。

LE SSERAFIM「FEARLESS」

 激しい振付ながらも非常に洗練された雰囲気で、全体的に無駄な要素を一切排したような作品になっています。寝転がるシーンなどインパクトの強い動きもありますが、キャッチーな要素はほとんど入れていない様子。”パンパパパン…”と言葉になっていないパートが一番印象的だったりします。

 昨今のAKB48も頑張ってはいますが、このシャープさとセクシーさは咲良さんがいた頃の48グループでは全く想像できない内容です。むしろ数年前のIZ*ONEとも全然違う雰囲気で、ここで秋元氏が日本語詞を充てればたちまち世界観が壊れてしまうような状況です。単純にカッコ良い作品で、当然ですが咲良さんがいることによる違和感は一切ありません。これから日本のマスコミで扱われる機会も多くなりそうですが、最初はともかく知名度が高くなれば他の5人にも平等にスポットライトを当てて欲しい所です。

PSY「That That (prod. & feat. SUGA of BTS)」

 「江南スタイル」を踊るPSYさんはとろサーモンの久保田さんにそっくり、というのが先日あらためて見返した感想ですが、同時に映像の面白さ・ダンススキルの高さもおおいに感じた次第。BTSのメンバーが参加しているとは言え、曲や動きはPSYワールド全開で「江南スタイル」などと同様に楽しめる内容です。SUGAさんが参加するのは中盤以降、ルックスは全く違いますがダンスはバッチリの親和性。手堅くクオリティーの高い作品が発表された、と言って良いでしょうか。

milet「Walkin’ In My Lane」

 今作はバラードではなくアップテンポですが、Bメロはバックの音を少なめにして高い歌唱力をよりクローズアップさせています。英語が巧みなmiletさんのフレージングは、もうこのパートになると”来た!”と言える領域に達してます。際立った名曲とまでは言いませんが、リズムの使い方中心にクオリティーは今作も高値安定で間違い無し、安心して楽しむことが出来る楽曲のような気がします。

変態紳士クラブ「溜め息」

 ストーリー性のある歌詞が、そのままMVとして表現されている作品です。そういう意味ではストリーミングで聴くよりYouTubeで見る方が楽しめる内容と言えますが、それ故に3分弱のトラックが逆に物足りなさを感じさせる作品のような気もしました。歌詞そのものは共感性が高く、「YOKAZE」同様もしくはそれ以上に支持を集めてもおかしくない内容になっています。

 

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