2017.6.18 YATSUI FESITIVAL! 2017 2日目 in 渋谷各ライブハウス

オープニング

 前日同様、オープニングはDJやついいちろうのステージ。「じょいふる」(いきものがかり)「KMTR645」(レキシ)「粉雪」(レミオロメン)などをプレイします。「KMTR645」にセリフでやついが参加していたことは、この場で初めて知りました。「粉雪」はオーディエンスを混じえた団体芸、フロアもノリノリで応えます。各アーティストの登場音楽で使われている「YYY」(DJやついいちろう×いとうせいこう×いつか(Charisma. com) )もここで全編プレイ。前日同様どでかいやつい人形も登場した後、オープニングはAyaBambiからBambi Nakaのダンスパフォーマンス。「Living For Love」(Madonna)に乗せて、ものすごくキレのある動きを見せていました。

 Negiccoのステージの前にもダンスパフォーマンス、梅棒が登場します。「LOVE PHANTOM」(B’z)に乗せて繰り広げられる内容は野球部の恋愛物語。女性っぽい人もいましたが、彼も男性のようです。一応ジャズダンスということらしいですが、創作ダンスと言った方が適当でしょうか。大変ダイナミックかつユニークで、面白いステージでした。全くの初見でしたが、結成は2001年なので活動歴は長め。そのうち紅白歌合戦のバックにも登場するかもしれません。ちなみにメンバーの中には、アイドルの振り付けを担当している方もいらっしゃるようです。

Negicco(TSUTAYA O-EAST)

 Negiccoについては今年だけで見るのはもう5回目、通算ではリリイベ含めて20回近くになります。今さらこちらでは語るまでもないですが、やついフェスで見るのは初めて。彼女たちは初回から連続で出演しているとともに、よくよく考えるとここで知り合ったのではないかと思えるミュージシャンもズラリ。南波志帆、NONA REEVES、堂島孝平、RAM RIDER、スカート、カルメラ、Shiggy Jr.…。挙げていくとキリがありません。

 楽曲はその堂島孝平が提供した「愛、かましたいの」でスタート。ワンマンではセリフでアドリブが入ることも多いですが、今回は至って普通に音源通りの内容。続く「トリプル!WONDERLAND」も含めて、早々にフロアをネギ色に染めます。ただMCは相変わらずユルめ。今回は新潟から車での移動だそうですが最近それを新調した模様。おかげでNao☆ちゃんは椅子のポジションがつかめず尾てい骨が痛いという話でした。

 7月にベストアルバム発売、それに収録される「くちびるにメロディ」を披露。以前書いた通り、ConnieさんのNegicco愛がギッシリ詰まっている名曲に仕上がっています。続いてはそのファン投票でブッチギリ1位になった「さよならMusic」ショートVer.。ステージ中盤でこの曲を聴いたのは相当久々のような気がします。「恋のシャナナナ」はタオル回し曲としてすっかり定番になったようでした。以前は西寺郷太提供の「ときめきのヘッドライナー」がそのポジションだったのですが…。ちなみに前日のNONA REEVESのMCでは、Negiccoのステージで自分の曲がセトリに入るとすごくテンション上がると話していました。

 この日のパフォーマンスは3人とも好調。やついフェスはホームと言いつつもネギライトはそこまで多くなく、むしろホーム&アウェイといった具合。ただアウェイの現場も相当経験している彼女たちにとって、フェスはこれくらいが丁度いいのかもしれません。続くMCも結構な天然具合。Negicco活動15周年ということで、ぽんちゃは「私が14歳の時にNegiccoになったんですね~」と話していますが、Nao☆ちゃんに「年齢バレちゃうよ…」と突っ込まれます。かえぽも実質トップバッターだというのに、「今日誰見ました?」と話す展開。一応前日のアーティストをフロアから挙げてもらう形になりましたが…。

 ベストアルバム収録、別のステージにも登場するHomecomingsが提供した「ともだちがいない!」は個人的に初聴。軽快でコミカルな楽曲かと思いきや、実際はその逆で思いっきり歌唱力で聴かせる8ビートのナンバーでした。新曲が発表されるたびに新しい側面を見せている彼女たちですが、また引き出しが一つ増えたようです。ラストはもうすっかり定番曲となった「ねぇ バーディア」。終わってみればいつも通り、大変満足度の高いステージでした。次に見る時もおおいに期待したいです。

キケチャレ!(TSUTAYA O-EAST)

 エレキコミックと片桐仁(ラーメンズ)の3人で結成された女装ユニット。TBSラジオ『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』リスナーにはお馴染み、当然ながらやついフェスでも欠かせない存在になっています。1日目はゲストにむすびズム、あゆみくりかまき、DOTAMA、西寺郷太を迎えてパフォーマンスしていましたが2日目はまた違った顔ぶれと共演します。

 まずはキケチャレ寿として、エレ片3人と手島優「ONE NIGHT SEXY GIRL!!!」。黒を基調にした衣装で激しいダンスパフォーマンスを見せていましたが、年齢はエレ片が3人とも40代で手島優が34。終わった後の疲労が半端なく、無駄に曲後のMCを伸ばします。手島のキケチャレネームは”テ・マン”。昔はグラビアアイドルだったはずですが、今は”ヤらせろ!”とステージ上で叫ぶくらいに完全なヨゴレキャラと化しているようです。なお爆乳ヤンキーは現在も継続中、この日もDJやつい前のトリとしてステージを務めていました。

 後ろでDJプレイをしているのはRAM RIDER。キケチャレの曲も手掛けている大物です。2組目のゲストは、平均年齢15歳・手島優の下品さにドン引きしていたというばってん少女隊「フリースタイル男女」で、ばってん対エレ片のMCバトルが繰り広げられます。息があがってる3人はともかく、ばってん少女隊の6人は見事にかわいさとカッコ良さを両立させていました。曲終わりの喋りもばってん少女隊の父親の年齢を聞いたり国語の成績を当てたりするという具合で、とても平和に時間が進みます。ちなみにメンバーの国語の成績は全員3以上で5の人もいて、頭は皆さん良いようです。

 次のコラボゲストはベッド・イン「恋のダイヤルQ2」たる楽曲をパフォーマンスします。10数年ぶりにQ2という言葉を聞きましたが、ベッド・インの衣装も片方がボディコンで片方が思いっきり胸の谷間が見える衣装で無駄にセクシー。ただボディコンを着ている方の歌声はよく聴くとものすごく素晴らしい発声。イロモノ系という噂は聞いていますが、アーティストとしての実力はかなり確かなものがありそうです。ただ圧巻だったのはやはりステージよりも直後のMC。会話の9割が死語と下ネタのオンパレードで、キケチャレのメンバーもタジタジ。”やまだかつてない”とか”ねるとん”とかともかく、MCで”いんぐりもんぐり”なんて単語を使う人は初めて見ました。相当なインパクトがありましたが、個人的に気になったのはやはり歌声。ばってん少女隊とベッド・イン、それ以外にも見たいアーティストが多く被っていて直前まで悩みましたが、これを見て彼女たち単体のステージも見てみようと思った次第。

 ラストのゲストはNegicco。キケチャレとのコラボは3回目ですが、直前にベッド・インが場を荒らしまくったこともあって歌前のトークがまるで弾みません。リハーサルでのあまりの動けなさっぷりにNao☆ちゃんが見たことのない表情を浮かべたという話の後、パフォーマンスする楽曲は「ONE NIGHT SENSATION!!!」。複雑な振り付けに体力が残っていないこともあって、途中明らかにNegiccoが3人を介護していた場面も多々。ベッド・インや手島優を見た後だと、思いっきり上品な清純派アイドルです。ラストはそんな2組もステージに再登場して、全員で「YYY」。エレ片に絡みまくる下品担当3人と、それをあくまで立場を守りつつ眺めるNegiccoの3人の対比がすごく面白かったです。

PUFFY(TSUTAYA O-EAST)

 PUFFYをライブで見るのはものすごく久々で、2008年のROCK IN JAPAN FESTIVAL以来9年ぶり。当時のセットリストは「Basket Case(Green Dayのカバー)」「渚にまつわるエトセトラ」「Hi Hi」「boom boom beat」「これが私の生きる道」「マイストーリー」「ブギウギ No.5」「Tokyo I’m On My Way」「アジアの純真」でした。さて今回はどうでしょうか。最初に演奏された曲は「Hi Hi」「これが私の生きる道」、MC挟んで次の曲は「Tokyo I’m On My Way」でした。ルックスも歌声もそうですが、やってる曲も実際あまり変わっていないようです。ただ名曲「愛のしるし」は9年前演奏されてなかったので初見でした。2人曰く、会場のウケはやはり「愛のしるし」が一番良いようで…。

 ただ当然ながら10年も経ってるわけなので、その間の曲も演奏されます。「パフィピポ山」は前山田健一が作詞提供した2015年の楽曲、自由度の高いダンサブルなステージはこれまでのPUFFYとも一味違う良さが出ていていい感じ。「誰かが」は2009年にチバユウスケが提供した楽曲、こちらも良曲でした。6曲演奏、ラスト2曲はド定番の「渚にまつわるエトセトラ」「アジアの純真」。終わってみれば9年前よりもロック成分が確実に上がっていて、より見応えのあるステージになっていました。MCのリラックスっぷりも変わらずで、おそらく10年後20年後もこんな感じで素晴らしいアクトを見せてくれそうです。

ベッド・イン(VUENOS)

 VUENOSは渋谷の地下にステージが設置されているライブハウスで、地下セクシーアイドルを自称する彼女たちには打ってつけの場所。PUFFYのステージ終了後すぐに移動しましたが、その時点で入場規制寸前。生バンド形式でちょうどリハーサル中、メンバー2人はステージ衣装ではなくTシャツ姿。ただフロアに向けて放つ言葉はやはり死語・下ネタだらけでした。ファンが手に持つグッズは思いっきりジュリアナ仕様の扇に、極めていかがわしい形状のペンライト。本番が始まる頃にはやはり入場規制になっていたようです。フロアは勿論そこに向かう階段も人で一杯でした。

 ボーカル担当はおみあし担当・益子寺かおり。ギターはパイオツカイデー担当・中尊寺まい。バックバンドの演奏をもって奏でられる音楽は、思いっきり80’s~90’sのガールズロック。調べてみると、彼女たちのルーツはSHOW-YAのコピーバンド。すごく納得。歌詞はあまり聞き取れなかったですが、楽曲はMCほどのフザケはなくかなり真剣なナンバーのようでした。

 細かいセトリは分からないですが、「男はアイツだけじゃない」はやっていたでしょうか。久宝留理子の名曲を彷彿とさせる内容です。パフォーマンスはカッコ良いですが、MCは何度も書いているように死語と下ネタのオンパレード。”夢がMORI MORI”やら”サラダ記念日”やらをナチュラルに放り込める部分に相当な頭の良さを感じた次第、しまいには渋谷のラブホテルの話まで始めてしまいました。

 C.C.ガールズやシェイプUPガールズの名前を出していましたが、個人的には2人組ということもあって、Babeを彷彿とさせる部分の方が強いです(Winkは断じて違います)。キャラクターはテレビで一般ウケするかどうかは分かりませんが、一度見ると間違いなく記憶に残る魅力。その一方音楽はものすごくカッコ良い実力派。枕をしたおかげで(あくまでMC設定上の話)サマソニ他各フェスの出演も決定しているそうです。おそらくステージを見ればキャラクターの濃さと音楽的才能に驚くはず。今年下半期~来年の台風の目になるのではないでしょうか。

sora tob sakana(VISION)

 各会場、渋谷の道玄坂と文化大通りの間にある狭い道に集結していますが、VISIONは道玄坂の広い大通り沿いで他と離れた位置にあります。タイムテーブルを組むにあたって一番の難関になるわけですが、今回は後述する事情と雨模様の天気ということもあってここから5組通しで見る形になりました。

 sora tob sakanaはアイドルファン、特に楽曲派と呼ばれる方からは昨年以降ものすごい好評を得ているグループ。ことに先日の恵比寿LIQUIDROOMでは凄い内容を見せていたそうで、昨年TIFで見ていますが今回どこまで伸びているかを確認するためどうしても見たいグループでした。

 楽曲は「海に纏わる言葉」「Summer Plan」「タイムマシンにさよなら」「帰り道のワンダー」でスタート、いきなり4曲連続。いずれもリズムは一定でなく、歌うのは勿論踊るのにも大変苦労しそうな楽曲です。昨年見た時は声量が足りないという印象もありましたが、今回はその時と比べてやや良くなっています。ただダンスの方はそれ以上にキレが上がっている印象もありました。白い衣装で揃えているのは昨年見た時と同様、ハーフっぽい顔立ちの子は風間玲マライカちゃんでしょうか。合間のMCはどうやら彼女が中心の模様。一番歌唱力高い子は、プロフィール画像から推測する限り神崎風花ちゃんでしょうか。まだ際立った印象ではないですが、平均年齢は15歳近く。才能はまだまだ伸びる可能性大アリといったところでした。

 MCは中盤のみで、あとはノンストップ。「魔法の言葉」「夜空を全部」「広告の街」「夜間飛行」「夏の扉」。どこか年齢以上に背伸びしているような楽曲、オーラたっぷりに魅せるダンス、まだちょっと拙いところが逆にそそられる歌声。考えてみるとデビュー初期の東京女子流に共通する部分も多いかもしれないと、しみじみ。後半はYouTubeにもフルコーラスで公開されている定番曲。生で見て印象強かったのは、やはり一音ごとにパートが代わる歌い出しが衝撃的な「広告の街」。「夏の扉」が終わる頃には、もう完全に引き込まれていました。

 FUJIYAMA PROJECT JAPANには、彼女たちの他に大阪☆春夏秋冬、むすびズムといった実力派アイドルが揃っています。来年の今頃にはどこまで伸びているでしょうか。アイドルファン以外にも、もっと多く知られて欲しい存在です。

神宿(VISION)

 原宿発、KMYD(KAWAII・MAX・YELL・DREAM)をキーワードとして活動しているアイドル。今年でデビュー3周年だそうです。こちらも昨年辺りから好評の声は耳にしていますが、名前以外は曲もメンバーも完全初見。登場したメンバーは5人組、衣装を見る限りメンバーカラーがありそうです。

 1曲目に演奏されたのは「踊れっ!神宿カーニバル」。自己紹介ソングに近いテイストでしょうか。声量は5人とも結構あるようで、なかなかの迫力。続いて演奏されるのは「ビ・ビ・ビ」「憎しみという名の贈り物はあげない」。曲を聴く限りそこそこ正統派のようにも思えましたが、タイトルはそうでもないようです。

 このグループもMCは中盤に少しあるのみで、ほぼぶっ通しです。あとの曲は「必殺!超神宿旋風」「原宿戦隊!神宿レンジャー」「Action!」「Summer Dream」「KMYD」。結論を言うと、やはりももいろクローバーZの影響がかなり強そうな印象でした。戦隊ヒーローものを模倣する辺りはまさにソレです。ただパフォーマンスの精度はかなり高く、実力派と見做しても間違いはなさそうです。TOKYO IDOL FESTIVALでも、今年あるいは来年までにメインステージは十分務まるのではないでしょうか。

ひめキュンフルーツ缶(VISION)

 結成8年目、メジャーデビュー5年目を迎える愛媛拠点のアイドルグループ・ひめキュンフルーツ缶。既に2016年のカミコベで見たこともあって、当初は別のステージに行く予定でしたが6月16日にまさかのメンバー全員卒業発表。5人で活動していましたが河野穂乃花が体調不良に伴う休業を経て卒業、それを踏まえて決断したということのようです。したがっておそらくこれを逃すと現体制のひめキュンは見れなくなる可能性高く、今回急遽見ることにした次第。現体制での活動は10月末で見納め、その発表後最初のステージがこのやついフェスでした。フロアは異様な盛り上がり、登場前のジングルで大合唱が起きます。

 「モノクロビタミン」「それ冗談!これ本気!!」「ぐるぐる」「アンダンテ」と一気に4曲披露。サウンドは全く奇を衒うことのない、愚直なまでにストレートなロック。迫力満点のアクトに応えるフロアはモッシュ連発、リフトも起こります。「ぐるぐる」では曲に合わせて巻き起こるサークル。ファンの場を盛り上げようと応援する想いは、こちらにも伝わり過ぎるくらいに伝わりました。

 ひめキュンのメンバーは卒業を控える形とは言え、悲壮感は全くなく。”あと4ヶ月あるんだよ!””ライブ来いよ!”という具合。昨年愛媛から東京に来るのにバスだったのが今年飛行機にランクアップしたというMCの曲紹介でしたが(VISIONでは毎回ステージ前に石橋鉄矢のMCが入ります)、実のところ格安便だったのでそんなに変わらないと毒づいていました。高まったテンションと熱気はそのままに、後半戦に入ります。

 「Wake up!眠りひめ」は筋肉少女帯メンバー提供の一風変わった楽曲、ただ大きな盛り上がりに変わりはありません。「フリーノート」を経て、「GAME OVER」「キラーチューン」までいくともうクライマックス。ラストは「例えばのモンスター」。大団円で、曲が終わるとエンディング用のSEも流れます。それをバックに4人で手を繋いで深くお辞儀。フロアは大歓声に包まれます。

 確かにヒットするにはあまりにストレート過ぎる楽曲群で、幅は正直に申し上げるとあまりありません。ですがこの盛り上がりと一体感を見ると、その選択は全くもって間違いなかったようにも思えました。ただただ美しい、その一言に尽きます。メンバーが総入れ替えしてもひめキュンフルーツ缶の名はそのまま、つまり言うと楽曲も新しいメンバーに受け継がれるわけです。この雰囲気は他のアイドルに出せない、それを考えると解散ではなく卒業して存続という選択は良い判断のように感じます。兎にも角にも、このステージを見ることが出来て本当に良かったです。あと数ヶ月、ファンの方や少しでもひめキュンが気になる方は必ず現場に行って欲しいところです。

PassCode(VISION)

 こちらも昨年TIFのSMILE GARDENでステージを拝見していますが、もうその時点で世界観は確立されている印象がありました。直後メジャーデビュー決定、今年は次々にフェスの出演も決まって台風の目になっています。

 ステージは冒頭南菜生の第一声から終始一貫。ハッキリと曲の識別が出来る段階でない自分には、40分間全ての曲がほぼ一体に聴こえました。定期的に巻き起こるモッシュ、無数に挙がるリフト。一応過度のモッシュとリフト・ダイブは禁止というルールがありますが、PassCodeのステージにそれは通用しないようです。多くのファンが集結するフロント以外で迷惑を掛ける形でなかったせいもあったか(リフトは後ろからだとステージを見るのに若干邪魔ではありますが)、最終的には警備も匙を投げたような形。今回は決して大きくない地下のライブハウスでしたが、規模の大きい会場だとどうなるでしょうか。一度嵌るとやみつきになりそうな魅力、最終的には武道館ワンマン辺りも夢ではありません。どこまで支持層を広げるか、更に楽しみになるアクトを見せていました。

東京女子流(VISION)

 東京女子流を見るのは2014年、TOKYO IDOL FESTIVALにおけるSMILE STAGEの大トリ以来。あの時は前に出演していたPASSPO☆で多数のリフトやサイリウム投げが起こるなど危険な雰囲気の中、1曲目で一気に場を鎮め山邊未夢がMCでそれを直接一喝するという内容で、大トリの風格に溢れる文句なしの神ステージでした。アーティスト宣言以降、現場どころか楽曲からも遠ざかってしまいましたが、3年間見てなかったからこそ今どうなっているかという確認の意味も込めて足を運ぶ形。裏には酒井法子、曽我部恵一、Shiggy Jr.もいてそちらを見たい気持ちもありましたが…。

 2010年にデビューした当時は中学生、2014年時点では全員高校生。3年ぶりに見たメンバー4人は19歳~20歳、白を基調にした肌の露出の多いドレスで登場。久々に見た4人はすっかり大人の雰囲気です。オープニングを飾る曲は、活動初期から人気の「Limited Edition」「Rock you!」。「Rock you!」のコールを聴く限り、フロアの熱は3, 4年前にTIFで見た時以上でしょうか。PassCodeやひめキュンがおおいに温めた部分もありますが、かなりの期待が出来そうな雰囲気です。

 リーダーの庄司芽生が中心となって進められるMC。”ファンの方、初めて見る方、久しぶりに見る方”という形で話し始める辺り、まずは女子流から離れたファンを呼び戻そうという強い意図がありそうです。ただ昔の曲ばかりというわけにも当然いきません。次のナンバーは「ミルフィーユ」。昨年11月発売の楽曲、クールな雰囲気のナンバーは昔とはまた違う魅力を感じさせる良曲でした。続く「深海」も昨年の楽曲。歌声に着目すると、昔から抜群の歌唱力である新井ひとみは相変わらず上手いです。もう1人のメインボーカル・小西彩乃が卒業して2年経ちますが、新たにソロパートを多く担当している中江友梨は明らかに昔より印象度高く、素敵なボーカルに成長しています。裏声に関しては特に抜群の出来でした。

 7月5日に新曲が発売されますが、今回ここでライブ初披露となるようです。「water lily~睡蓮~」は、睡蓮の花が開くような振り付けが特徴的。4人が円状に座る最初のフォーメーションからして良いです。本当に魅力的なグループに成長していると、心から感じさせるパフォーマンスでした。

 ライブもいよいよ終盤、演奏される楽曲は今年3月リリースの「Don’t give it up」。デビュー期は注目のアイドルとして多くピックアップされましたが、現時点では苦労に苦労を重ねた歴史となっているのが現状。それゆえに、強い決意を感じさせる歌詞が非常に説得力を持ちます。そして次の曲、冒頭のギターリフで大歓声。「ヒマワリと星屑」、デビューした当時の輝きは今になってまた新しく表現されています。ラストは「Attack Hyper Beat POP」。圧倒的な疾走感とダイナミックなダンス、フロアに響き渡る非常に大きなコール。感動的でさえありました。間違いなく3年前に見たTIFよりも、素晴らしい神ステージになっていることを確信。しかしこの日のドラマはここから。

 ステージから4人が去った後も、鳴り止まない歓声。それはいつしか手拍子になり、アンコールを求める声になります。ここで終わりなら照明も明るくなり、何かしらの音楽が流れるところですが不思議なことに動きません。しばらく経ってMCが登場。場内ブーイング。しかしこれがアンコールをやるかどうかの協議をしている最中で一旦出てきましたと説明すると一気に大歓声。過去やついフェスでこういうアンコールが起こった例は全くないようです。結果、1曲だけという条件でアンコール決定。再び4人がステージに登場。感謝と驚きの表情を一様に見せています。

 予期せぬ形のアンコール、楽曲は新曲「water lily~睡蓮~」を再度やる形。その後、フロアに集まったオーディエンスに向かって感謝の挨拶。名残惜しそうに、なかなかステージから離れようとしない、離れられない4人。鳴り止まない歓声。過去にも伝説と呼ばれたライブを幾度となく実現させてきた東京女子流ですが、この日も間違いなく伝説となるステージでした。むしろ今後の彼女たちの歴史の上でも、転機となる一日になるかもしれません。

 定期ライブの復刻、3年ぶりのTOKYO IDOL FESTIVAL出演も決まっています。2017年の東京女子流、想像をはるかに超えて進化しています。もしかすると、これまで以上にヒットして復活どころの騒ぎではなくなる予感もあります。武道館にまた立ちたいとMCでありましたが、このステージを見た一人としては立って欲しいというより立たせたい、今はその気持ちでいっぱいです。

エンディング

 その後はO-EASTに移動してDJやついのステージからフィナーレ。DJにキケチャレにコントもあって2日間フル稼働、さすがのやついさんも若干声に疲れが見えているようでした。それでも「トロピカル源氏」他で最大限に盛り上げるのは流石といったところ。残っている人全員が集まって「月が今夜笑ってるから、ぼくらそっと東京の空を見上げる」を歌うフィナーレでは、酒井法子も残ってくれています。他は曽我部恵一、ゲッターズ飯田、カルメラ、手島優、ぱいぱいでか美、LADYBABY、ゆるめるモ、ラブリーサマーちゃんなど。RiskyMelodyはプラカードも持参していました。その中でひたすら目立っている氏神一番、メチャクチャいじられていました。16歳のメンバーがいるLADYBABY、ラストの写真撮影で22時ちょうど。一足先に舞台袖に急いではけます。一通りやり取りが終わった後に、やついが挨拶して終了。2日間本当にお疲れ様でした…。

 というわけでアイドル・ロックからお笑い・怪談に至るまで、本当に幅広く楽しめた2日間でした。渋谷という土地柄もあって、不自由さを感じる部分は何ひとつありませんでした。唯一あるとしたら、アーティストの顔ぶれが豪華過ぎてタイムテーブルの重なり方がものすごく、食事を取る隙も作りづらいことくらいでしょうか。

 次回行く際は出来れば2日間足を運びたいです。このフェスでしか見れないアーティストも多くいるようなので…。

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