『みんなのうた』が放送開始されて60年、5月8日(土)にそれを記念した特別番組が放送されました。

 当ホームページは紅白歌合戦を多く扱っています。というわけで、今回は各ステージをレビューしながら、紅白との関わりも可能な限り書いていくことにします。

・おお牧場はみどり(1961年)

『みんなのうた』第1回で放送された楽曲。紅白では第53回(2002年)、第57回(2006年)のショーコーナーで東京放送児童合唱団の合唱あり。第53回では当時のモーニング娘。のメンバー6人(保田圭、吉澤ひとみ、高橋愛、紺野あさ美、小川麻琴、新垣里沙)が踊りながら歌う場面もありました。また、みんなのうたが始まる以前の1956年・第7回で藤山一郎さんが「あゝ牧場は緑」のタイトルで歌っています。

 放送ではまず出演者全員がそれぞれ距離を取りながら、顔見せという意味合いを込めた形で歌います。またFoorinの5人が成長しています。日向坂46のメンバーがイヤホンマイクです。ビジョンの映像は1961年に放送された当時の物ですね。

 司会者の挨拶、担当は井ノ原快彦さんと林田理沙アナウンサー。NHKホールが改装中なのとコロナ禍のため、会場はKAAT 神奈川芸術劇場で無観客。NHK横浜放送会館の5階~10階にあるホールですね。個人的には1度、2015年11月に中村八大氏の楽曲を歌い継ぐイベントで足を運んだことがあります。まだブレイクする前のLittle Glee Monsterも当時出演していて、「涙をこえて」「遠くへ行きたい」などを歌っていました。

 

・山口さんちのツトム君(1976年)

 1976年に放送されたこの曲は、レコードも大ヒットして社会現象になりました。オリコン年間売上では、斉藤こず恵盤が15位で川橋啓史盤が50位。ちなみに、みんなのうたで歌っていたのは川橋さんのようです。紅白では第57回(2006年)で、WaTの2人と和田アキ子が歌ってます。アッコさんが女子小学生のコスプレをしていた姿は、なかなかシュールなものがありましたが。

 ステージで歌うのはFoorinの5人。カントリーの色がやや強い編曲で、オリジナルと比べるとアレンジされている部分が大きい気がしました。それにしても、この5人が「パプリカ」以外を歌う姿を見たのは個人的に初めてかもしれません。

 

・ちいさい秋みつけた(1962年)

 小学校の音楽の授業でも必ず習うと思われる童謡。もっとも、自分の経験は随分昔なので今どうなのかは何とも言えないですが…。放送・レコードでの歌唱はコーラスグループのボニージャックス。紅白にも出場して「一週間」「手のひらを太陽に」を歌っていますが、「ちいさい秋みつけた」に関してはショーコーナーを含めても意外に一度も歌われていません。

 森山直太朗山崎育三郎古川雄大の、連続テレビ小説『エール』を思い出させる3人の歌唱。NHKにおける直太朗さんの扱いが、どんどんミュージカル俳優っぽくなっています。山崎さんは『エール』以前からそういう位置づけですが。

 

・スシ食いネェ!(1985年)

 シブがき隊の代表曲としてもお馴染みの曲。紅白歌合戦での披露は珍エピソードのオンパレードで、データ的には翌年の紅白で歌った「トラ!トラ!トラ!」よりシングルレコードの発売日が遅いという記録があります。つまり言うと、レコード発売の前に紅白で歌ったということです。それだけ『みんなのうた』での反響が大きかったのでしょうか。ステージ的には2個前のステージのせいでフッくんが2回足を滑らせてコケたことが名高く残っています。おそらくこれは音楽の教科書に載っていないはずですが、自分が小さい時に憶えた曲なのは間違いないこと。少なくとも、「NAI・NAI 16」辺りよりは先に知った曲です。

 いつの間にか3人組になってしまったNEWS。9人から3人になっても活動しているグループは今後もおそらく出ないはずですが、少し後にデビューしたKAT-TUNも似たような状況になっていますね。ステージは事前コメント通り大切かつ丁寧で、先輩ほどの若々しさではないですが(そりゃ3人とも30代なので…)、歌唱は間違いなく上手いです。

 

・一円玉の旅がらす(1990年)

 個人的な体験談から言うと、小学生の時に運動会のダンスの曲でした。それくらい当時の子どもにはお馴染みだった曲です。NHKからの楽曲でCDも十分ヒットしていましたが、歌った晴山さおりは紅白出場できず。当時は演歌だけでも10以上枠があったので、正直何とかならなかったのかなとも思いますが。

 歌唱は2016年に「おじいちゃんちへいこう」を歌った氷川きよしさん。髪も長くなりメイクも濃くなり、ルックスの中性化がどんどん加速しています。歌声・ステージに関しては勿論全く違和感ありません。本当に”日本の歌手の宝”とも言える歌声です。

 

・クラリネットこわしちゃった(1963年)~おしりかじり虫(2007年)~南の島のハメハメハ大王(1976年)

 振り返ると、音楽の教科書や童謡として取り上げられる楽曲は半分くらい『みんなのうた』で占められているのかもしれません。「ネコふんじゃった」がこの番組でピックアップされていたのは、正直私も知らなかったです。紅白的なエピを語ると、「おしりかじり虫」は2007年の紅白でタカアンドトシなどを招いて、大々的にショーコーナーが作られました。「南の島のハメハメハ大王」は2006年のショーコーナーで、天童よしみ松浦亜弥が爽やかに歌っていました。天童さん微妙に歌詞を間違えていたような記憶もありましが…。

 日向坂46から歌前トークに登場したのは加藤史帆、佐々木美玲、丹生明里ですが、ステージは全員が登場します。正直歌う前の時点で、彼女たちの「うたのお姉さん」感が強いことにビックリしました。これは他の坂道グループでも、なかなか出せない味のような気がします。

 佐々木久美、高橋未来虹がド下手なクラリネット演奏を披露して、他全員が耳を塞ぐ振り付けがコミカルです。「おしりかじり虫」は3期生4人のステージでした。「南の島のハメハメハ大王」も含めてそうですが、彼女たちは笑顔を基調にした表情の作り方がものすごく良いです。K-POPグループが見せる凄さとは種類の違う凄さがありますね。”かわいい”と言ってもらえることは最低限の条件として、それを超えるパフォーマンスを常に目指していることが、この1ステージを見ただけでも容易に推測できます。過去のモー娘。やAKB48の全盛期でも、このクラスのパフォーマンスはおそらく出来なかったのではないでしょうか。そんな気がします。

 

・パプリカ(2018年)

 Foorinが紅白で歌ったのは3度。ここ最近の『みんなのうた』で、もっとも知名度の高い曲だと思います。本当は昨年の東京五輪でも歌うはずだったのかもしれません。女性ボーカルのメインの萌乃ちゃんは、10歳から13歳になりました。日向くんは12歳から15歳、もう変声期が終わる頃です。すっかりおじさんになった私的には、年が経つたびにステージを見てしみじみという感想が増えてくる、そんな心境です。

 

・切手のないおくりもの(1978年)

 財津和夫さんの代表作の一つであるこの曲。「心の旅」「サボテンの花」との比較は分かりませんが、少なくとも「虹とスニーカーの頃」よりは圧倒的に知名度高いはずです。紅白では第59回(2008年)オープニングで大橋のぞみ、第69回(2018年)キッズショーで松田聖子が一節披露してます。

 スタジオから財津さん本人が歌唱。演奏もミュージシャンが直接という形になっています。各所から様々な人が歌う映像と一緒に合唱するというスタイルです。財津さんの歌声は相変わらず美しいですが、闘病生活の影響はやはりありそうです。とは言え、こうやってテレビで歌えることだけでも喜ばしいことです。

 

・竹田の子守唄(1974年)

 番組で取り上げられたのは1974年・ペドロ&カプリシャス歌唱分。原曲は1971年・フォークグループ赤い鳥。1971年シングル発売で、B面が「翼をください」でした。「竹田の子守唄」は紅白で一度も歌われたことなく、「翼をください」も第49回(1998年)スポーツヒーローショーのラストでチラッと歌われた程度で、知名度の割に意外と縁がありません。

 インディーズ期の2001年に「高校3年生」が採用された経歴もある森山直太朗さんですが、リクエストが少なかったのでしょうか、ソロでの歌唱はこの「竹田の子守唄」でした。ギターを弾きながら歌う姿が大変しっくり来ます。そのまま、抒情歌をテーマにしたカバーアルバムを出しそうな勢いでした。ギター&コーラスは、数々のコンサートでお馴染みの吉川忠英氏。聴き入るステージでした。

 

・勇気一つを友にして(1975年)

 個人的には今回初めて聴いた曲です。ステージで歌うのは古川雄大さん。三拍子のリズムと美しい声が心地よいステージでした。

 

・メトロポリタン美術館(1984年)

 これも実は今回初めて聴いた曲。ステージで歌うのは平原綾香さん。「Jupiter」がヒットした2004年に「Hello Again, JoJo」が採用されていますが…。

 1960年代や1970年代と比べると、1980年代の放送曲は寓話的要素が映像・音楽ともに少し強くなったような。あとキーボード他の打ち込み要素も明らかに増えているような。そんなことを少し思わせるステージでした。勿論『みんなのうた』に深く精通している立場ではないので、あくまでイメージ語りなのですが…。

 

・バラが咲いた(1966年)

 「かいじん百面相」が2015年にオンエアされていますが、今回歌うのは別の曲という石丸幹二さん。意外と今回の出演者、こういったパターンが結構見られます。

 「バラが咲いた」の元歌はマイク眞木、『みんなのうた』登場とヒットで、1966年の紅白歌合戦にもそのまま出場になりました。シンプルな編曲と伸びのある歌声で聴かせるステージです。ギター演奏は吉田次郎氏。

 

・手紙~拝啓、十五の君へ~(2008年)~足跡(2020年)

 Nコン課題曲とみんなのうたは密接な繋がりを持っています。全てではないですが、紅白歌合戦で歌われた楽曲も多いです。白組司会も務めた当時の「ふるさと」は、第61回~第65回まで5年連続コーナーや全員合唱で歌われました。

 Nコン課題曲がJ-POPと初めて大きく結びついたのが、2008年にアンジェラ・アキが歌った「手紙~拝啓、十五の君へ~」でした。紅白では第59回と、翌年の第60回にも歌われています。「足跡」は昨年の紅白、おそらく今回の紅白でも歌われるのではないかと思います。その時には芹奈さんも復帰して5人で、そしてコロナ禍もいい加減に収まって欲しいと心から願います(コロナウィルスの蔓延はともかく、それをキッカケにしたあれこれはもはや人災になっている面も否めないんですよね…)。

 

・コンピューターおばあちゃん(1981年)

 40年も前の曲なので、当時の20代くらいの女性も今はフツーにコンピューターおばあちゃんです。紅白では2006年・第57回にモーニング娘。アンジェラ・アキhiroko (mihimaru GT)がショーコーナーで歌っています。

 このステージでは日向坂46が再登場。キーボードや電子ドラムを演奏する動きも振り付けに取り入れています。そもそもがコミカルな曲ですが、振り付けはそれ以上にコミカルで、なおかつ曲にもバッチリ合っています。間奏のセリフは、新曲のセンターにも抜擢された加藤史帆の担当でした。

 

・ベストフレンド~Best Friend~(1992年)

 SMAPのシングル化されていない名曲として名高い曲。この曲も筒美京平氏の作曲なんですね。後輩のNEWSが、歌い継ぐステージでした。勿論、先ほどの「スシ食いネェ」よりはるかに丁寧に歌い継いでます。増田貴久さんの美声も健在で、大変なにより。

 

・大きな古時計(1962年)

 「こどもこころ」が2018年に採用された山崎育三郎さんですが、今回歌うのは「大きな古時計」。教科書レベルの名曲ですが、いつの時代でも共通する名曲であることは2002年に平井堅がカバーしたことで証明されています。第53回(2002年)紅白での出演は、中継が毎年恒例になった際の記念すべき初ステージでした。これまた、美しい歌声で聴き惚れるステージです。

 

・ありがとう さよなら(1985年)

 どこの小学校でもおそらく放送部で「今月のうた」を決めて校内放送で流していると思うのですが、この曲は毎年1度は必ずピックアップされていたような気がします。卒業・卒園の際にお馴染みなのですが、正直もっと古い曲と思っていたので1985年と聞いた時には驚きました。「コンピューターおばあちゃん」より新しい曲なんですね…。

 ステージでの歌唱は石丸幹二さんと平原綾香さん。平原さんのハモリが印象的です。そういえば「Jupiter」は後年リトグリがカバーしましたが、同じ番組に出演するシーンは初めて見たような気がします(既にうたコン辺りでもありそうですが…)。

 

・北風小僧の寒太郎(1974年)

 氷川きよしさんは実は紅白でもこれを歌っていまして、2006年のショーコーナーで北島三郎とデュエットしていました。かなりの曲が2006年ショーコーナーで歌われているような気がしますが、そのコーナーの題材が『みんなのうた45周年』だったので、当然そういう帰結になります。バラエティー的な目線だと、岡村隆史がドッキリで登場して中居正広を怒らせたコーナーです。当時の細かい流れは既に紅白名言集でも書いているので、また目次から参照してください。

 氷川さんはいまや全てのジャンルに対応できる万能歌手ですが、やっぱり演歌が歌えるからこそそれが可能になるのだなぁとこの日のステージを通して感じました。派手派手にアニソンを歌うのも良いですが、たまには昔のようにシンプルな格好で演歌を歌う姿を見たいと思える今日この頃です。

 

・WAになっておどろう~イレ アイエ~(1997年)

 ラストの全員合唱は長野オリンピック閉会式でも歌われたこの曲。角松敏生さん率いるAGHARTAの歌唱、V6のカバーは紅白で2度(第65回・第67回)、ショーコーナーでも2度(第48回・第57回)歌われています。やっぱり「”みんな”のうた」というタイトルに相応しい楽曲、という気がしますね。

 

~感想~

 とても良い番組でした。歌唱力の高い人が素晴らしいステージになるのは当然の帰結ですが、だからこそそれで勝負出来ない日向坂46の見せ方の上手さが余計に光った印象もあります。バラエティー方面での活躍は昨年から目立ちますが、今年は新しい曲も明らかにギアを上げてきた印象もあります。これはまあ今月中に書く機会が出来るので、その時に書きます。

 もしかすると、今回の紅白でも5分くらいでこういったコーナーが作られるかもしれません。ほぼ坂道系とジャニーズ系ばかり歌う形になりそうな予感もしますが、その方が案外面白い内容になるかもしれないとも感じました。大晦日はまだ半年以上先ですが、少なくとも制作側はそれを見越しているような、そんな予感もしています。