今週のビルボードチャート~6/29(HKT48、Kep1er、水曜日のカンパネラ他)

今週のチャート総評

 両者ともフィジカル発売、SEKAI NO OWARI「Habit」Official髭男dism「ミックスナッツ」の争いは99ptという僅かな差でセカオワが制しました。CD売上は2.3万 vs 3.1万でヒゲダン、ダウンロード・ストリーミングもヒゲダンリードですが接戦。大きく物を言ったのはやはり動画再生数で、CHARTinsightの円グラフを見る限りセカオワが倍近くのポイント数になっています。最後の決め手はラジオ、セカオワ2位ヒゲダン5位という結果ですがポイントでいうと500~700ptくらいの差はあるように見えます。決め手になったのはやはり動画再生数ですが、1位争いに関してはラジオのポイントも見逃せない形になりました。


 CDセールス1位(約16万枚)のHKT48「ビーサンはなぜなくなるのか?」は総合3位。完全に会場でおしゃべり会・オンライン握手会目当ての購入がメインではないかと思われます。リッピングが少ないのはもちろん、ダウンロードやラジオオンエアも圏外というのがちょっと厳しい所です。とは言え16万枚売り上げている結果は、全盛期ほどではないとしてもグループ人気はまだまだ健在であることを示しています。なおLINE MUSICキャンペーンは5月31日の先行配信時で既に済ませた模様、どちらにしても順位に影響はほぼなかったかと思いますが…。

 10位のJ-JUN with XIA (JUNSU)「六等星」はCDセールス2位。こちらはストリーミングも15%近く含まれています。やはりLINE MUSICキャンペーンは4月の先行配信時ではなくCD発売に合わせて実施している様子、TOP10入りに大きな役割を果たしています。

 ONE PIECE FILM REDからはAdo「私は最強」が21位に初登場、「新時代」とダブルでランクイン。「新時代」は6位から5位に順位アップしていますが、ポイントは少し落としている様子です。

 チャーリー・プース「レフト・アンド・ライト (feat. JungKook of BTS)」が24位に初登場。洋楽がこの順位で初登場するのは珍しいですが、これもBTS効果なのでしょうか。ダウンロード2位、YouTubeでは公開5日で早くも4400万再生を記録しています(ちなみに海外の10億が日本国内J-POPでいう1億クラスというのが個人的なイメージです)。海外ではこういったビッグアーティスト同士の共演が日本以上に頻繁に見られますが、BTSメンバーの参加も特に今後ソロワーク主体になっていくこともあって、おおいに増えそうです。なお先週1位の「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」は今週6位でした。

 27位はKep1er「Up!」が初登場。年始の「WA DA DA」が話題になりましたが、6月に早くも2ndミニアルバム『DOUBLAST』が発売されています。

 31位の鐘嵐珠(法元明菜)「Eutopia」は『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期アニメからの作品。香港からの留学生という設定らしいです。

 32位はONE OK ROCK「Save Yourself」。9月9日に発売されるアルバム『Luxury Disease』からの先行配信です。今作も国内盤と海外盤あり、YouTubeでも既に国内向け海外向け2種類のMVがフル公開されています。まずはダウンロード5位からのスタート、今後のチャートアクションに注目です。

 46位は水曜日のカンパネラ「エジソン」。配信リリースが2月25日、収録アルバム『ネオン』配信が5月25日なので、随分遅れての初登場です。ここ最近TikTokでの使用例が増えているようで今週のTikTok Songsチャート2位、それに伴いバイラルチャートでも上位に入り始めてます。

 51位もK-POPでNAYEON「POP!」。TWICEのメンバーから初のソロデビューとなっています。70位はマカロニえんぴつ「たましいの居場所」、新しいEPの表題曲でラジオ9位。下位では77位にLIP×LIP「ジュリエッタ」、96位に超ときめき(ハート)宣伝部「ギュッと!」、100位に風男塾「Hello Hello」、そして97位になにわ男子の新曲「ダイヤモンドスマイル」が初登場しています。なにわ男子はシングルではなくアルバム曲で、7月13日に『1st Love』発売が既に決定しています。

 Tani Yuuki「W / X / Y」がポイントを少し伸ばして4位、これで12週連続TOP10入りです。先週テレ東音楽祭に出演しましたが、今後各局で放送される夏の特番効果も少なからず順位に影響を及ぼしそうです。

 先週46位初登場の山下達郎「LOVE’S ON FIRE」は14位に大幅アップ。1位になったラジオ要素だけで3300pt近く稼ぐ凄まじい結果になりました(2位のセカオワで1500~2000程度なので、圧倒的です)。収録アルバム『SOFTLY』も総合チャート2位ですが(1位はStray Kidsのミニアルバム『CIRCUS』)、CD売上はオリコン調べによると2000年代以降リリースのオリジナル『SONORITE』『Ray Of Hope』を上回る数字を叩き出しているようです。仮にストリーミング配信されていれば、その分多少ラジオが減ったとしてもTOP10入りは間違いなく確実、場合によってはセカオワ・ヒゲダンと首位争いもしくはそれ以上のポイントを記録していたかもしれません。

 THE FIRST TAKE効果の大きいnobodyknows+「ココロオドル」は今週も23位をキープ。有華「Partner」はポイントさらに上昇で最高位となる29位。あとは時節柄もあって、Mrs.GREEN APPLE「青と夏」が49位にランクインしています。ただ今週はロングセラーのポイント・順位ダウンが普段の週より多く、少し息切れ気味のアクションとなっている様子。今年の夏は空前の暑さですが、ビルボードチャートのランクインもこの夏を乗り切れるかどうか重要な週になっている予感がします。

今週のピックアップ曲

HKT48「ビーサンはなぜなくなるのか?」


 HKT48は新曲は現在YouTube再生数200万、既に昨年の「君とどこか行きたい」を上回る数字になっています。女性アイドルグループと夏の組み合わせは大昔から定番中の定番で、外れも基本的に多くありません。この曲も夏ソングらしい、爽やかさに満ち溢れた良い曲になっています。

 今回の作品はMVが非常に良いです。リズムゲーム仕立ての作品は創意工夫に溢れていて、各メンバーのソロショットに名前が入るのもこれから応援しようという新規にピッタリ。前作もJR九州との協力で大変旅情溢れる名作に仕上がっていましたが、今回も面白い作品で再生数が伸びるのもおおいに納得。夏らしいアイドルMVを見たい人にも別に映像が作られていて、ファンへのサービス精神も満点です。

 各メンバー卒業など入れ替わり激しいですが、HKT48はまだ矢吹奈子・田中美久・松岡はななどの主力メンバーが多く残っています。地方の48グループの中では現在一番魅力的なグループかもしれません。奈子さんはIZ*ONEでの経験もあるので、今後はローカライズされた曲だけでなくK-POP路線で攻めるのも一つの手でしょうか。あえて今のAKB48と真逆の路線で突っ切るのもありだとは思いますが…。

Ado「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」

 先週は中田ヤスタカプロデュースの「新時代」について取り上げましたが、今週ランキング初登場の「私は最強」はMrs.GREEN APPLE・大森元貴の楽曲提供です。冒頭サビ後のストリングスも他のアーティストでは気にも留めない部分ですが、Adoさんのボーカル作品として考えると新鮮です。

 全体を通して大森さんの色が非常に強いです。伸ばす音を効果的に入れるBメロなんかはその典型で、セルフカバーで歌う声も容易に脳内再生できるほどです。ただ歌うにはかなり難しい曲なので、それを違和感なく歌えるAdoさんもやはりタイトル通り最強なのだと思います。8月にリリースされるアルバムは非常に豪華な作曲陣が揃ってますが、通して聴くとどんな感想になるのでしょうか。非常に楽しみにさせる楽曲でした。

Kep1er「Up!」

 爽やかさにスピードも加わった、K-POP女性グループの夏を表現した内容になっています。日本と比べると、スピード・スタイリッシュなど「S」の要素を大きくアピールした楽曲に見えます。

 MVは避暑をイメージした内容ですが、見終わると印象に残るのはメンバー9人のダンス。そこに制作側のパフォーマンスに対する信頼と自信をおおいに感じさせます。1月の「WA DA DA」ほどキャッチーではないですが迫力は満点、今作も高く評価される楽曲になりそうです。本格的に日本にも進出するとすればTWICE, NiziUなみのムーブメントが起きるのも間違いなし、そちらにもおおいに期待が高まります。

水曜日のカンパネラ「エジソン」

 水曜日のカンパネラといえば従来の常識に全く囚われないハイセンスな楽曲とコムアイのパフォーマンスですが、2021年にボーカルは詩羽に交代しています。ただ声だけでなく映像やメイクを見ても、情報がなければそのままコムアイさんのボーカル・主演が続いているように思えます。それだけ水曜日のカンパネラの世界観が強いという表れでしょうか。もちろん新しいボーカルの詩羽さんも魅力的であることは、言うまでもありません。

 歴代の水カンミュージックと比較すると、この曲は極めて分かりやすい内容でキャッチーです。ONE PIECEから拝借しているとも思える箇所は特に耳に残り、それ以外も繰り返し聴きたくなる面白さに溢れています。「桃太郎」や「シャクシャイン」「ラー」の頃にTikTokが無かったことや、当時感じた先鋭的な感覚を思い出すと、ここにきて時代が追いつき始めているのかもしれません。過去の名曲もTikTok向きと言われれば確かにその通り、「エジソン」だけでなく過去曲も含めて下半期の台風の目になる可能性もありそうです。

マカロニえんぴつ「たましいの居場所」

 イントロもそこそこにサビからの入りはいつもと違う音色と声の強さ、どちらかというとGReeeeNが作る音楽に近いです。間奏を経てのCメロはコアモードに入ったMr.Childrenみたいな部分もあるでしょうか。いずれにしてもマカロニえんぴつの曲として考えると驚きの連続で、「なんでもないや、」とはまた違う面白さを楽しめる作品になっています。

 引き出しの多さは彼らの魅力の一つですが、その種類はまた一つ増えたみたいです。「なんでもないや、」以外ももう少し聴かれて欲しいと、あらためて願います。

コメント

  1. すみません、見ていてたまたま
    気づいたのですが、水カンの曲紹介で
    貼られているMVが山下達郎さんの
    新曲になってしまっていませんか?
    もし、そうなら貼り直した方が
    良いと思います。
    それにしてもセカオワが久々にチャートで目立ったというだけでもすごいのに
    首位争いまで制したというのは
    個人的にいい意味で驚かされました。

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