2022.9.6 Perfume 9th Tour 2022 “PLAZMA” in 大阪城ホール

ライブレポ

 初めてPerfumeのライブを生で見たのが2008年のROCK IN JAPAN FESTIVAL、全国ツアーに初めて足を運んだのが2012年のJPNツアー。その後LEVEL3、ぐるんぐるん、3569、COSMIC EXPLORER、FUTURE POP、P Cubedに各フェスReframeファンクラブイベントなど、気がつけば30回以上彼女たちの現場に足を運んでいます。2020年以降現場に足を運ぶのも難しくなった現状ではありますが、さすがにこれだけ長く足を運んでいるPerfumeだけは例外です。今回は遠征も出来ずに大阪城ホールの1公演だけですが、行ってきました。

 なおツアーは11月6日まで開催されます。今ツアーはこれまでと違い厳格なネタバレ禁止令がないので、普通にありのままを書いていく形とします。したがってセットリストなどネタバレを多く含むことをあらかじめご了承ください。また、今回はいつもと文体を変えたエッセイ方式にしています。普段当サイトを見てる方だと多少違和感を憶えるかもしれませんが、その分主観的な表現を重視して書いてみました。これもひとつの実験ということで、よろしくお願いします。

開演まで

 9月6日火曜日、もう少しで雨が降ってきそうな空模様。自宅から最寄駅まで少し早い時間に自転車で向かうものの、その途中で大粒の雨。Yahooの雨雲レーダーではまだ持ちそうな雰囲気だったのに、最近は些か精度が良くない。鞄からタオルを出そうと思ったものの、どうやら入れるのを忘れてしまったようだ。とりあえず今回のグッズ、タオルの購入は早くも確定。

 大阪駅に着いて環状線のホームに向かうエスカレーターに乗ると、向こう側のホームに珍しい列車が入ってきた。TWILIGHT EXPRESS 瑞風という名前の列車、ホームページで調べるとどうやら山陰地方を回って新大阪で客を降ろしてから回送されたらしい。偶然見るにはかなりレアな列車、思わず撮影。京橋へは1本見送ることにしたが、数分に1本くらいのペースなので問題は全く無し。

 何度も足を運んでいるはずの大阪城ホールも、気がつけば随分久しぶり。あらためて見返すと、2019年9月29日のSuperflyワンマン以来なので3年ぶりだ。とは言え京橋からホールまで歩く道は以前と特に変わりなく、会場へ近づくに連れて高まる高揚感もそのまま。やがて大阪城ホールに到着。17時半会場だが、整理番号によって入場口や時間は異なる様子。

 私はグッズを買いたいのと、整理番号がAなので階段ではなく奥に向かう。大阪城ホールのグッズ売り場は階段を上がった入口前のイメージだが、今日はそちらではない模様。そういえばこれまでのPerfume全国ツアーは複数回行くことが多く、大阪城ホールではあまりグッズを買ってなかったことを思い出した。もっとも、グッズを買うのにどこの会場が良いというのはそんなにないのだが…。

 整理番号Aの入り口を過ぎ、グッズ売り場に向かう列はやや長め。どれくらいかは分からないが、そういえば2年前の福岡ヤフオク!ドームも長蛇の列だった。アドトラックを発見、思わず写真をパシャリ(アイキャッチ画像として掲載)。3年前と比べてもインスタを筆頭とした視覚効果のあるSNSは普及傾向にあるので、写真は出来る限り撮っておきたい。

 30分ほど並んでグッズ売り場に到着。外で販売されていることの多い売り場は今回冷房の効いた建物内、これなら晴れていてもそうした方が快適である。ソーシャルディスタンスという言葉がそろそろ死語になりそうな人の多さだが、売場の入り口にはしっかりアルコールが置かれていた。あとは今回グッズはチケット購入者のみ、スマートフォンにお気に入り登録したデジタルチケットをここでも見せる必要があった。

 グッズはタオル・帽子・キーホルダーを購入。靴下が少し気になった。でも一番欲しいのは、グッズよりも3人が出演しているパナソニックのワイヤレスイヤホンだ。

 1階から入場、おそらくアリーナだろうと思ったら本当にアリーナだった。検温・消毒を経て発行された席番は「アリーナ 南6ブロック 11列 6番」。ご丁寧に台紙まで配布されている。薄い紙の整理券を挟む穴があるとなおありがたい。

 荷物整理や着替えを経て、階段を降りるとステージが見える。真ん中にどかんと据えられている布がかかったステージ、そこから2本の花道があるようだ。ビジョンは4方向にそれぞれ、スタンド席向けに据えられていてアリーナ席からは見難い。どうやら舞台は360度形式、したがって潰されるスタンド席はいつもと比べるとかなり少ない様子である。

 今回は珍しく一般の当日券も販売されているが、おそらく席数が増えたこともその理由の一つであろう。ただ7年前のアリーナコンサートで7560円だったチケット代は今回11500円。毎回それ以上の価値があるライブをやっているとは言え、若者が手にしにくい値段であることは如何ともし難く…。客層もほぼ社会人で、高校生らしき人は全く見つけられず。ただこれは平日の夜開催というスケジュールの問題も大きく、土日だとまた変わってきそうだ。

 椅子の上に毎回置かれているチラシ類が、随分軽量化されている。例のパナソニックのワイヤレスイヤホンについての紙しかない。もっとも時期が経てばすぐ処分する物も多いので、自分としては非常にありがたい話だ。ちなみにFM802の冊子は退場時に係員が配布、アンケートは特設ページから直接入力らしい。技術の進歩あるいは感染対策もありそうだが、自分としてはこちらの方が前より色々楽でありがたい。コロナが落ち着いても、これについてはそのままで全く構わない。

 開始2分前からどこからともなく手拍子が始まる。いつもの光景だ。そこからどんどん音が大きくなり、開演予定時間の19時となるとかなりの人数が手を叩く。いつもと違うのは、やはり歓声を挙げている人がいないこと。各アーティストごとにファンのマナーも優劣あるようだが、Perfumeのファンはやはり紳士淑女の方が多いらしい。その証拠に、係員による諸注意アナウンスでは全員が手拍子を中断。聴いていたかどうかは分からないものの、少なくともそれを妨げる行為をする者は1人たりともいないようだ。

前半:開演~長いMC

 アナウンスが終わると再び会場内は大きな手拍子。気がつくと、ホール内には流れ星が舞い始めた模様。少しずつ場内が暗くなり、中央の幕が動くと、3人は天井からリフトで降りながら登場。それは「天空から舞い降りた妖精」と形容するには最も相応しいシチュエーションである。BGMはもちろん、今回のアルバムの最初を飾る「Plasma」。いよいよ開演、まずはドラマ『ファイトソング』主題歌の「Flow」のパフォーマンス。

 年を経るごとにテーマが大きくなっている気がするPerfume、”時代”というフレーズが胸に響く。そういえば『ONE PIECE FILM RED』でバズりまくっている「新時代」は、中田ヤスタカの楽曲提供だったことを思い出す。Perfumeの活動歴も長いが、それは同時に彼の活動歴が長いことも示している。capsuleやきゃりーぱみゅぱみゅは言うに及ばず、米津玄師に椎名林檎や湘南乃風ともコラボしてたりするので意外と幅広い。それでもPerfumeとはメジャーデビュー以降ずっと一緒で離れることなく、最後のMCであ~ちゃんが感謝を込めたトークをしていたのもあらためて頷ける。

 「ポリゴンウェイヴ」は発表当初の3分バージョンと4分半のOriginal Mixがあるが、ここではもちろん後者。YouTubeのMVやDance Practice Videoが前者なので、結果的には再生回数などデータ面でかなり損しているような気がしてならない。ステージの見せ場はOriginal Mixにしか入っていない間奏のダンスで、真っ赤な照明がハマっていた。当時のテレビ番組でなかなかやってくれなかった「ポリリズム」のポリループや、撮影日に震災の影響で一旦制作中断になった「レーザービーム」のMV(DVDに収録もYouTubeでは未公開)を思い出す光景である。

 「再生」は思わず踊りたくなるような曲である。当然振りコピなどは出来ないが、見よう見真似で手だけでも動かすのが自分のスタイルだ。10年くらい前に初めて来た時はもっと踊っている人が多かったような印象だったが、最近は踊るよりも手拍子の方が主流のようである。手拍子が自然に入るのはそれだけ温かい会場である証拠だが、促されない限りは手拍子よりもじっくり振付を見るか体を動かすかの方が自分にとって性に合っている。これは好みと解釈が人にとって異なるので、他人の邪魔にならない限り強要強迫統一すべきものではない。そもそも肝心の3人が「自由に楽しんで」「変な踊りが見れるのを楽しみにしている」と話す会場だ。おかしいと思われるのは勝手だが、とやかく言われる筋合いはないし実際言われたこともない。ただ後ろにいる人がライブ後にTwitterでこっそり悪口を書く、というのはもしかしたら過去にあったのかもしれない。

 360度のステージで一番大変なのは、どこにターゲットを向けるかである。そのために振付も変更があり、先ほどの3曲でも1番で北向き・2番で南向きになったりといった具合。というわけでパフォーマンス明けのMC、いつものように「ありがとうございました」と深々と頭を下げる挨拶は北・東・南・西と4方向にそれぞれ1回ずつ。いつもの自己紹介以降の喋りは北方向メインの様子、ただ適宜別の方向にも気を遣っている模様。3人で最初のMCらしい挨拶をした後、恒例の他のメンバーが水分補給している間に1人で喋るコーナーに突入。

 かしゆかがPerfumeのライブに初めて来た人などを質問。もちろん声を出してもらうのではなく、挙手でアピールという形。集団で初めてというエリアもあったものの、やはりこれまでのツアーと比べると少ない様子。とは言えそんなネガティブなことを口走るわけもなく、あくまで細かい所まで楽しんで欲しいというスタンス。アルバム『PLAZMA』についての感想もあり、これは次ののっちも同様。今回のっちは特におかしなことを口走る場面はなかったものの、やはり長い喋りになるとグダりそうな雰囲気。会場もそれを察してざわめき、私の心もやはりハラハラ。

 一方あ~ちゃんは、このツアーの合間にNiziUのコンサートに行ったことを報告(インスタは長年の大親友、ハリセンボン・近藤春菜のアカウントより)。

 『沼にハマってきいてみた』のNiziU回に出演していたことは記憶に新しいものの、その熱は2年経っても全く止まっていない様子。マユカのラップの話をするつもりが、気がつけばリマの話に展開。「生まれて初めて発した言葉が英語!」「DNAレベル(※リマの父はあのZEEBRA)から違うんよ!」「こっちはただのサラリーマンの息子だからね」、ついには「うちらなんか原宿アストロ、O-WEST、O-EAST…」「東京ドームなんて自分からやりたいと言った(※NiziUは先日の公演で東京ドーム公演開催を発表)」と自らのグループとの違いにまで言及。ノンストップで喋り捲るあ~ちゃん、その間に南側サイドでは、熱弁中思わず観客に愛想をふりまくのっちの姿。もっともNiziUの話はともかく、あ~ちゃんのMCが暴走するのはメンバー2人だけでなく観客にとってもお馴染みの光景だ。

 さらに「男子!女子!そうでない人!」「メガネ!コンタクト!裸眼!」のくだりに突入。と言っても2年前までのように「イェーイ!」と叫んでもらうわけにはいかず、それぞれメンバーが考案したポーズを取って貰う形。チーム分けも同様で、こちらも「イェーイ!」を拍手で代用。苦慮の跡がうかがえるとともに、制限を逆にポジティブな試みとして活かしているようにも見える。

 毎回3チーム+全員を区切るチーム分け、今回は「なんでやねん!」「どないやねん!」「知らんがな!」「それが大阪!」。以前やった際に特別盛り上がったと話す3人、そういえば自分も2017年メトロック大阪で耳にしていたフレーズ(ワンマンでは2016年京セラドーム大阪2日目で起用)。時計を見ると19時55分、50分で3曲というのは今のところレキシもビックリのスローペース。

中盤:アルバム『PLAZMA』収録曲中心に

 ライブ再開後のトップを切るのは「Drive’n The Rain」。椅子を使った振付と、「Next Stage with YOU」のような車をイメージした動きが印象的だ。「GAME」の棒が典型的だが、Perfumeは時々小道具を駆使した振付を採用することがある。少々得した気分だ。

 「ハテナビト」は今回のアルバムでも屈指の人気曲で、ここ最近Spotifyでは一番再生されている。それもあって、下着メーカー・ワコールのCM起用がこの日に発表された。MCでも話題になるかと思ったが、完全スルー。ただツアーはまだまだあるので、そのうち話すことになるのかもしれない。ステージは横に広がる花道も使って3人が3箇所に分かれる立ち位置、そのため全体というよりは1人の動きをじっくり観察。折角なので、YouTubeでアップされたばかりのCMも掲載しておこう。

 新しい曲が続く中で、突然過去曲としてドロップされたのが2010年発表の「ナチュラルに恋して」。ツアーでの演奏はCOSMIC EXPLORERのドーム公演以来5年ぶりだが、その間のフェスでも演奏されているのでレア曲ではない。ただこの流れで見ると12年前の曲でありながら意外なほどマッチしている楽曲で、おそらくセトリを考えるにあたってスタッフも同じ手応えを感じたのだろう。1番は東側・2番は西側に3人が集まる動きで段取りもよく考えられている。私を含めたファンもテンションが上がる。

 「Time Warp」が終わると、中心ステージに幕が降りる。2010年代だといわゆる「Perfumeの掟」と呼ばれる映像を駆使したインターバルだが、今回は「∞ループ」をBGMにした幕を映像仕立てにした内容だ。ガンガンに技術をアピールしていた昔と比べると多少こじんまりはしているが、頭を使ったアイデアという面では今回の方が上だ。技術的な面でも、案外こちらの方が苦慮する部分が多いのかもしれない。なにせ平面のビジョンではなく円型のステージに巻かれた幕がメイン映像である。スタンド向けのビジョンにどう映っているのかは知る由もないが、これはこれで新しく挑戦的な試みであることは言うまでもない。10年くらいずっとワンマンを見ているからこそ、しみじみとそう思う。

 終盤ではいつの間にかメンバーも幕の中に再登場して、一緒に踊っている。もしかすると見えない範囲で最初から踊っているのかもしれないが、4曲連続であれだけ動いていたら水分補給くらいはするだろう。衣装はいつの間にか真っ赤な色にチェンジ、その流れでMVよろしく「Spinning World」。ただ次の「アンドロイド&」では、いつの間にか黄緑色の衣装に変わっていた。曲の切り替えでは北側に移動していたので、そちら側の観客なら衣装チェンジの様子が見られたかもしれない。ただ私は南側の東寄りなので正反対の位置だ。

 「マワルカガミ」が終わると、いよいよP.T.A.のコーナーだ。あいにくの情勢で声出しが難しい昨今、これをどう構築するかが今回最大の注目点である。もっとも私は昨年夏と今年初めのpolygon waveには不参加。本来ならAmazon Prime配信で見ておくべき場面なのかもしれないが、やはり初めて見る現場は事前情報無しで行った方が刺激もあって面白い。

PTAのコーナー~過去曲メインの後半・終盤

 いわゆる観客と一体のライブ空間を作ろうというのがPTAコーナーの目的、あ~ちゃんの指導によって事が動く。まだ声出しNGに慣れていない自分、「男子!」と言われて反射的に声を出しそうになってしまう。いかんいかん、と思っているうちに、あ~ちゃんが「そうでない人!」と呼び掛けていないことに後で気づく。ラストのMCでそのことにショックを受けて号泣していたが、それに気づかなかった私は他の人と比べてもあ~ちゃんを批判する資格は1ミリもない(というより正確には批判する場面でもないのだが)。

 例の歯磨きソングは少し前だとチャットモの2人が作ってくれたオリジナルソングだったが、今回はいつもの「はみがきのうた」に戻っている模様。元々声を出す必要がない、あ~ちゃんの言葉と動きに合わせてファンにジェスチャーしてもらう不意討ちの踊りは「スイカ」「枝豆」「ダイビング」「サーフィン」「ネットサーフィン」。枝豆の動きがやけに多いのと、相変わらず振り回されるメンバー2人を見てほっこり。

 夏のPTAのコーナーは思わぬ曲を一緒に踊ることが多い。何年か前には早見優が歌う「夏色のナンシー」を選曲していた。ただ今回は一定のリズムで手拍子二拍やら四拍やらでえらく複雑。一体どんな結末になるのやら、鳴り始めたBGMは今年の夏に発表された非常に新しい曲のサビの部分。

 ちなみにPerfumeの次に大阪城ホール公演を控えているのはNiziUらしい。「NiziUのみんなのために大阪城ホールを温めよう!」と宣言するあ~ちゃんは、頭のてっぺんから骨の髄まですっかりwith Uそのものである。

 PTAのコーナー直後の曲は昔からアゲ曲が多い。「FAKE IT」「だいじょばない」辺りも考えられた中、今回の導入は「Party Maker」。”手をかざして”の歌い出しに合わせて一斉に掲げられるオーディエンスの手。この光景の美しさこそが、Perfumeのコンサートの醍醐味である。今回は北向きが正面なので、南から見ると後ろ側から彼女たちの動きを見る機会も多い。普通のライブだと後ろ姿など見られないので、かなり得した気分である。特に振りコピをするのだったら、後ろを向いていた方が確実に踊りやすい。

 花道も駆使して広くステージを活用した「Party Maker」とは対照的に、「ワンルーム・ディスコ」は一箇所に固まってパフォーマンス。オールドファンの私にとっては、例の「畳二畳のエレクトロ・ワールド」を思い出させるシーンである。ちなみにここの曲順では、本当に「エレクトロ・ワールド」を選曲する日もあるらしい。いずれにしてもこの曲は踊るにあたって大変適した曲で、右腕を挙げて人差し指を突き上げる動きをしない人を見ると「せっかく来たのに勿体ない」と感じてしまう。楽しみ方は人それぞれ自由なので、全くもって強制すべきことではないのだが…。

 オールドファンにとって嬉しかったのは、やはり「Puppy love」の選曲だろうか。マイクスタンドが用意されるパフォーマンス、そういえば今回のセトリはいつもよりハンドマイクを使う曲が多いような気がしないでもない。いつ以来だろうと思って調べるとPTAツアー以来4年ぶりで通常だと2016年ツアー以来…と考えると意外とそこまで久々でもなかった。ただ上下上上下上下下と両腕を動かすシーンは、「CLAP CLAP」の手拍子と比べれば実に単純で元祖的な振付である。『JPN』の「MY COLOR」はそれよりも確実に難しいので、さしづめこの曲は「観客全員と一体になって踊るPerfumeの元祖」と言っていいだろうか。

 終盤の大詰めは「STAR TRAIN」。今年のドラマで再注目された曲なので、やはりセトリに入ったかという感。とは言えリリース当時から自分の中で最上位に入る名曲、こういった曲はふとした機会で何度でも振り返られるものである。この曲もそういった存在に成長したということだろう。

 ラストのMCで今回のライブを総括。大阪でのライブは盛り上がる、ということはPerfumeに限らずどのアーティストでも聴いた言葉だが、だからこそ緊張するという発言はもしかすると初めて聴いたかもしれない。「私たちのPLAZMAは意外とアナログ」、確かに振り返ると今回演出面で超弩級の驚きはいつもより少なかったような気はする。ただ4年前の『Future Pop』の時は少し手が届かなくなりそうな感覚もあったので、そこから”再生” ”再構築” “Reframe”を経て辿った現在の地点が”遠いようで意外と近い” “PLAZMA”…という解釈も出来るのだろうか。

 そんなことを考えながら、ラストの演奏はアルバムと同じ「さよならプラスティックワールド」。現実に近いと言いつつも、ラストは花道ではなく天空へのリフトに乗って戻っていく形。さながらPerfumeの3人は、”地上に舞い降りた天使達”なのかもしれない…これだと田村直美のヒット曲のタイトル引用になってしまうのだが。

 終演後はやはり混雑を避けるため規制退場。振り返ると、今回3人以外の声を聴く機会は開演中一度もなかったような気がする。コロナ規制下の中におけるライブのあり方は色々議論されているが、少なくともPerfumeのファンのマナーは確実に上位レベルにあると考えて良いだろう。すっかり夜になった21時半、今日の出来事を色々思い出しながら帰路に着く。ただ最寄駅に着いた途端大粒の雨、いつから私は雨男になってしまったのだろうか。会場に着く時も自宅に帰る時もずぶ濡れになってしまったのが、今回の一番の誤算であった。

おわりに

 …以上です。普段とは少し違う今回のライブレポ、いかがだったでしょうか?

 それはともかく、今回のPerfumeのコンサートもまた素晴らしいものでした。極めて先進的な技術と過剰なまでの人間らしさを心ゆくまで堪能できるのが彼女たちの現場ですが、今回は後者の要素がより強まった内容ではないかと思います。それと同時に先進的なテクノロジーも制作しているのは当然人間なので、そういった手作り的な部分と一見するとそう思わせない技術の連続性をあらためて感じさせる場でもありました。

 何が言いたいかと言われると、やはり「最高のPerfumeは常に最高を更新し続ける」ということです。今回もまさにその言葉に相応しいアクトでした。アリーナツアーとは言え普段より席数が多い分今回は一般でもチケット入手可能なので、このレポを読んで興味を持った人は是非購入をお薦めします。ステージから遠くても観客を驚かせる光景は演出面でもダンス面でも構成面でも多々あるかと思います。何より100のライブレポを見るより1つ現場を見る方が正しく「場」を感じることが出来るはずです。ライブは生き物、足を運べる環境にある人ならば、やはり行けるうちに行っておくことをあらためてお薦めしたいです。

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