今週のビルボードチャート~10/19(米津玄師、Official髭男dism、藤井風他)

今週の初登場曲&注目曲

・1位 米津玄師「KICK BACK」
 →10/12(水)配信開始 ダウンロード1位 ストリーミング1位 ラジオ4位 アニメ『チェンソーマン』OPテーマ 11/23CDシングル発売予定

・3位 Official髭男dism「Subtitle」
 →10/12(水)配信開始 ダウンロード3位 ストリーミング2位 ラジオ6位 ドラマ『silent』主題歌

・4位 藤井 風「grace」
 →10/9(日)配信開始 ダウンロード2位 ストリーミング14位 ラジオ3位 動画指標2位 『KAZE FILMS docomo future project』コマーシャルタイアップ

・10位 超特急「宇宙ドライブ」
 →CD発売初週・セールス2位(4.2万枚) ストリーミング35位(LINE MUSICキャンペーン)

・13位 Vaundy「CHAINSAW BLOOD」
 →10/12(水)配信開始 ダウンロード6位 ストリーミング17位 アニメ『チェンソーマン』EDテーマ

・25位 Ado「行方知れず」
 →10/9(日)配信開始 ダウンロード10位 ラジオ22位 映画『カラダ探し』主題歌 椎名林檎の楽曲提供

・27位 aiko「果てしない二人」
 →CD発売初週・セールス4位(1.4万枚) ラジオ2位 映画『もっと超越した所へ。』主題歌

・50位 KAT-TUN「ゼロからイチへ」
 →10/10(月)配信開始 ダウンロード8位 水野良樹の楽曲提供

・56位 ENHYPEN「Make the change」
 →10/11(火)配信開始

・80位 King & Prince「ツキヨミ」
 →10/11(火)MV公開 動画指標1位 ドラマ『クロサギ』主題歌 11/9CDシングル発売予定

・91位 ヤングスキニー「本当はね、」
 →10/5配信開始 『王様のブランチ』10月度EDテーマ

・99位 Da-iCE「スターマイン」
 →8/22配信シングル『イマ』収録曲

 大幅ランクアップなど、注目のチャートアクションを見せたのは以下の曲です。

・2位 JO1「Supercali」(先週34位)
 →CD『MIDNIGHT SUN』発売初週・セールス1位(60.2万枚) ラジオ1位 ダウンロード5位 ストリーミング19位

・7位 なとり「Overdose」(先週4位)
 →ランクダウンするもののポイントは上昇 ストリーミング4位 動画指標3位

今週のピックアップ曲

米津玄師「KICK BACK」


 YouTubeではまだフルMVが配信されていませんが、もう今のうちに書いておきます。JO1が60万枚もCDを売り上げる中、配信メインで総合1位獲得は間違いなく快挙です。Spotify再生数は1週間で1114万、日本国内どころかグローバルでも47位にランクインする勢いです。『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』とアニメからの超ビッグヒットがここ数年続いていますが、『チェンソーマン』もどうやらそうなりそうな見込みです。

 スピード感に溢れるサウンドとエフェクトをかけたような歌声はハチPの頃を彷彿とさせる人工的な内容ですが、Bメロ→サビへ移行するにつれてメロディーが切ない人間味を感じさせる楽曲になっています。今回の楽曲はKing Gnuの常田大希が共同編曲、それ故に攻めていると感じさせる音が非常に目立っている印象です。

 弦楽器が入る2番Bメロも大きな聴きどころですが、アラサー~アラフィフ的に最も耳に残るのはやはり”努力 未来 A Beautiful Star”の歌詞です。モーニング娘。「そうだ!We’re ALIVE」で連呼されていたフレーズですが、当時の売上は勿論、構成・カッコ良さなど極めて完成度の高い名曲でした。ただそれでも、まさか20年後に全く違うアレンジでサンプリングされるとは誰も想像出来なかったことでしょう。2042年の音楽もまた現時点でどうなるか読めないですが、この曲がまたインスパイアされる可能性も十分あるような気がします。『チェンソーマン』抜きでも間違いなく大ヒットしていたと思われる、2022年を代表する名曲中の名曲です。

Official髭男dism「Subtitle」

 こちらもMV公開はまだですが、既にサブスクでも最上位の大ヒット曲と化しているので書くことにします。主題歌になっているドラマ『silent』は難聴をテーマにした作品で、今作はタイトルでも分かる通りそれを強く意識した内容になっています。

 キャストやストーリーを見る限りでも感動的な内容になる予感がありますが、その主題歌も涙を誘うドラマに非常に合った内容に仕上がっています。リズムの使い方も耳に残りますが、この曲はやはり歌詞。J-POP史上、これだけ抽象的な言葉を使わないラブソングは非常に珍しいのではないかと思います。今回の曲に”LOVE”という単語は一切含まれていません。”愛”という言葉も”愛してる”というフレーズを超えた、より説得性の高い文章に昇華させています。

 毎回藤原聡の作る曲には何かしらの新しさ・凄さを感じるわけですが、近年の「Cry Baby」「ミックスナッツ」はサウンドワークが中心でした。今作は歌詞、本当に彼はJ-POP史上に残る天才だとあらためて感じるところです。

藤井 風「grace」

 癒しの風を感じさせるような歌い出しから、藤井風による天性の音楽性が伝わってきます。これ以上ないほどに心地良いサビは、メロディーセンスも歌詞も表現力も抜群という言葉では足りないほどです。その声からは、朴訥なキャラクターとも繋がる彼の優しい人柄が伝わってきます。映像はインドでのロケですが、現地の人々と一緒に踊るラストの多幸感はミュージックビデオ史上ナンバーワンと言っても過言ではない素晴らしさです。「何なんw」「きらり」を筆頭に早くも多くの名曲を生み出している彼ですが、個人的にはこれが最高傑作と言っても良い完成度の高さです。ただそれを更に超える作品も来年以降また出てきそうな雰囲気で、末恐ろしさも感じます。彼もまた、現在の音楽界における天才の1人であることは言うまでもありません。

Vaundy「CHAINSAW BLOOD」

 彼もまた曲が発表されるごとに新機軸を見せ続けているミュージシャンですが、今作はハリウッドの雰囲気まで感じさせるハードロックです。国内のミュージシャンだとONE OK ROCKに近い雰囲気ですが、Vaundyの音楽でこれを感じたのは今作が初めてです。『チェンソーマン』EDテーマ、OPテーマの米津玄師ほど注目されていませんがこの曲も文句無しの傑作です。テンションが高くなる音楽であると同時に、心地良さまで感じさせる部分が今作の強さではないかと思います。

Ado「行方知れず」

 「うっせぇわ」でAdoの音楽を初めて聴いた時に最も彷彿とさせたミュージシャンが椎名林檎ですが、ついに彼女からの楽曲提供が実現しました。双方とも有無を言わせないような女性ならではの強さを特にサビで感じさせることが多いですが、当然ながら聴く前から名コラボ確定なのは言うまでもありません。聴いた結果は、言わずもがな。実にしっくり来る超カッコ良い作品です。ただ3分16秒だと林檎さん的にかなりの短さを感じたので、もう少し長く聴きたいという気持ちにはなりました。

aiko「果てしない二人」


 aikoさんにしか作れないaiko節、彼女もやはりJ-POP史に燦然と輝く天才です。オープニングのメロディーから、彼女にしか作れないような旋律が展開されています。並の歌手なら不協和音になりかねないメロディーも、彼女が歌うと癒しの心地良さになるわけです。今作はいつもより少しスケールの大きい歌詞とメロディー展開、その中にaikoさんならではのスパイスを加えた非常に”らしい名曲”になっています。歌詞にならない間奏のスキャットでさえも彼女ならではの特性、聴きどころの非常に多い名曲です。5分近い長めの曲ですが、逆に言えば世界でもっとも短い5分間を体感できる曲だと言っても良いかもしれません。

 

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