いきものがかり「TSUZUKU」


 昨年Twitterで話題になったものの、後の展開のまずさで一気に盛り上がりが消えてしまった『100日間生きたワニ』、その映画版の主題歌。巻き込まれた側のいきものがかりは災難といいますか、一時的な放牧の少し前から続いている流れの悪さを断ち切れていないといいますか…。

 ただあのワニの絵を通して生きていこうというメッセージは原作からしっかり伝わっていて、それを歌にすると今回の新曲、水野良樹さんが得意とする折目正しい大作系バラードになるのはとても自然なこと。「SAKURA」の頃から、一つ一つの言葉を気取らず噛み締めて歌う吉岡さんのボーカルが私は大好きなのですが、この曲はそんな彼女の良さがすごく表現されています。ここ何年かのいきものがかりの楽曲の中でも、特に本気度の高い作品ですね。映画や原作にネガティブな印象しか持てない人でも、この曲に関しては全く別物として一つの楽曲として聴いて欲しいです。あとはやっぱりメジャーデビュー15周年というキャリア・実績があるので、以前と比べると落ち着いた佇まいを曲からも感じますね。自然な形で、出来れば時々今回のような大きな仕事も挟みつつ。同世代のミュージシャンとして、長く愛される存在であり続けて欲しいとあらためて願いたくなりました。

スピッツ「紫の夜を越えて」


 スピッツは昨日3月25日にメジャーデビュー30周年を迎えました。「ロビンソン」で多くの人が彼らの存在を知ったのは26年前になるでしょうか。リリース間隔が空いた時期もありましたが、これだけ長くメンバーの顔ぶれが変わらないバンドも珍しいように思います。草野さんの歌声は今に始まったことではありませんが、奏でられる音も昔と変わらぬ良さがあります。今回の新曲もイントロの三輪さんのギターさんからして、音色もバランスも音階の使い方もまさしくそんな感じで。前情報がゼロでもスピッツの音だ、って分かる入り方だと思います。本来の犬とはまた別の意味で、ブランドとして見事に完成されていることが最初の音で分かります。サビのドラムの刻み方も、コーラスの入れ方も何もかも。ジャパニーズ・バンドの職人という言葉が完全にしっくり来る内容です。目新しさとかそういうことでなく、スピッツはスピッツの音楽として30年貫いているから今も支持されている、それがよく分かる今回の新曲ではないでしょうか。