2023.5.5 VIVA LA ROCK 2023 in さいたまスーパーアリーナ 3日目

ライブレポ

 全5日間開催ですが、私が参戦したのはこの3日目まででした。ここでは今回のVIVA LA ROCKの方針と、それについて感じたことをまず書いていきます。

 今回のコンセプトは一言で言うと「自由」だったように感じました。厳しく禁止していたのは4年前と同様「場所取り」くらいのもので、行動制限無し・声出し解禁・マスクについても完全に任意。スタンド席も1つ飛ばしという制限は無く、飲食についてもスタンディングエリア以外は自由でした。

 ただそれと同時に「自由には責任を伴う」ということを、あらためて伝えていたフェスだったようにも思います。公式ページのメッセージ、および各日の運営責任者・鹿野淳氏の朝礼でも「皆さんを信頼する」「思いやりをもって」ということをしきりに強調していました。逆に言うと信頼を損なう行為が見られた場合は、その部分に制限をかけないといけない…。それを暗に示しているコンセプトであったことも確かです。同時期にJAPAN JAMを主催しているロッキング・オン社はダイブなど危険行為禁止を強くアナウンスしていますが、それは過去にそういった事故が起こったことが理由です。

 自分勝手な行動が結果的に自分の首を絞める、そういったケースは過去にもありました。個人的に2013年から2016年までTOKYO IDOL FESTIVALに足を運んでいましたが、年々一部観客のマナーが悪くなり警備が強化されそれをさらに突破しようとしてマナーが悪くなり…という負のスパイラルが発生していました。女性アイドルグループシーンは2010年代後半以降明らかに勢いが無くなりましたが、個人的にそれは一部観客のマナー悪化も無縁ではなかったと思っています。

 ロックは反体制的で無ければならない、何かしら権力に反抗し続けなければならない、そんな言説も一部で見られます。ただそんな時代は、世良公則&ツイストやサザンオールスターズがブレイクした45年前には既に終わっているというのが私見です。21世紀はもうすっかり大衆化されて、子連れの家族も一緒にロックフェスを楽しむ時代になっています。何よりこういった大きなイベントを開くには関係各所との調整がいまや不可欠、特にコロナ禍の間は開催に漕ぎ着けるまで並大抵という一言では片付けられないほどの苦労がありました。

 2010年代はフェス文化が発展した時代でしたが、コロナ禍で一旦その進化は止まらざるを得ない形になりました。2023年の現在、それ以前の制限がようやく撤廃されようとしていますが、その間に得られた知識などが消えるわけではありません。そもそもウイルスそのものが完全に消えるわけでもありません。いま必要なのは単純に2019年以前の状況に戻ったことを喜ぶわけではなく、苦しい3年間の経験も活かした上でコロナ禍前よりも優れたイベント・優れた空間を、演者や運営だけでなく参加する人々全てで作り上げることではないかと思います。

 それでは3日目各ステージのレポを書いていきます。なお今回はこれまで以上に自分の目線を重視した内容です。ステージのおおまかな流れについては公式のPHOTO&REPORT、および各ステージごとの総括レポート(STAR STAGE, VIVA! STAGE)を見てください。

フレデリック(VIVA! STAGE)

 2010年代中盤以降はロックフェスに欠かせない存在、ビバラも2回目から皆勤賞のフレデリックですが、なぜか個人的に縁がなく今回初めて見る形になりました。確かに「オドループ」を筆頭に踊れるロックで会場を温めるには間違いないバンド、ただ1発目からその「オドループ」をぶっ放すのはさすがにビックリしました。アッコさんに提供した「YONA YONA DANCE」、のってけのってけを連発する「スパークルダンサー」も流石のパフォーマンスですが、だからこそその後に演奏した初期曲「SPAM生活」の異質さが浮き彫りになります。

 トリとトップバッターが好きだと話すボーカルの三原健司。「偶然見に来たというのが無い」「意志が感じられる」「全員が自分たちのために来てくれる」というのがその理由だそうです。だからこそこの日は、「トリまでしっかり見て欲しい」というsumikaへの熱いメッセージをMCで残していました。

にしな(VIVA! STAGE)

 2010年代にはもう少し女性ソロボーカルのフェス出演も多かったような印象ですが、振り返るとこの3日間で見た女性ソロボーカルは大森靖子とanoと彼女の3組。「青藍遊泳」から始まる楽曲群は歌い上げるナンバー中心、非常に豊かな声量が活かされています。もう少し腹筋を使ってもいいような気はしますが、MCによると序盤はかなり緊張していたそう。声は曲が進むごとに良くなって、終盤の代表曲「ヘビースモーク」は流石の仕上がり。ただこれで終わりかと思ったところで1分57秒のアップテンポ「アイニコイ」を演奏する所は、他のアーティストであまり経験したことのない面白さです。

 彼女も音源デビューは2020年、大きな会場での声出しライブはこの日が初めてです。多くの人が”yeah”でコール&レスポンスするところ彼女は”ヤー”、そのちょっとした脱力系のMCもライブの見どころのような気がしました。

indigo la End(STAR STAGE)

 川谷絵音ボーカルのindigo la Endも長いことフェス常連のはずなのですが、なぜか個人的に今まで見る機会が訪れることなく。ゲスの極み乙女。にジェニーハイなど5グループ掛け持ちしている彼は、今回ビバラもインディゴとジェニーハイで出演。今年はおそらく何年かぶりに夏は大忙しになりそうです。

 楽曲は先月発売されたアルバム『朱の音』収録曲が冒頭3曲。その次の「瞳のアドリブ」は配信でリリースされた新曲でした。ただ全体的には、2015年くらいによく聴いていたバンドのイメージ同様。聴きやすい曲に安定感のある演奏、非常に見やすいステージでした。

 人気曲「夏夜のマジック」ではミラーボール演出あり、会場をきらびやかな光で包みます。一方ラストの「晩生」は轟音メインの激しい演奏、バンドのイメージを根本から覆す見事なステージでした。

 なお川谷さんのMCはゲスの極み乙女。で見た時と変わらず。”屋内は良い”のコメントを起点に、先週に出演した某フェスについて色々口を滑らせていました。ただ確かに野外より屋内の方がしっくり来るバンドであることは、個人的にも同感です。

DISH//(VIVA! STAGE)


 「猫」で大きく知名度を上げた彼らも、この機会に見たいアーティストの1組でした。ボーカル・北村匠海は俳優業もかなり忙しい人物なので、こういった機会は非常に重要です。かなりのビッグネームですがリハーサルは4人揃って音合わせ、「勝手にMY SOUL」で早くもフロアを盛り上げます。

 一般的には「猫」のイメージが強めですが、ステージは全体的にアップテンポの曲が多いバンドらしさ全開です。「猫」のカップリング曲「僕たちがやりました」を2曲目に演奏、そういえばこの曲自体が2017年のヒット曲でした。自己紹介代わりという入りで「猫」ももちろん歌唱、少し歌詞を間違えた所を歌唱後に申告する所がかわいらしいです。

 「万々歳」はタイトル通りにバンザイ、「勝手にMY SOUL」でファンを踊らせ、「JUMPer」ではもちろんジャンプ。オーディエンスを乗せるだけ乗せといて、最後は名曲「沈丁花」。ビバラ初出演ですが、セットリストはこれ以上ないほどの綺麗な組み合わせでした。演奏も素晴らしかったですが、やはり印象的だったのは北村さんでしょうか。歌も演奏もおそらく演技もバッチリなイケメンで性格も好人物、これだけ完璧な超人は芸能界広しと言えども滅多にいないのではないかと強く感じました。

ORANGE RANGE(STAR STAGE)

 ORANGE RANGEが「上海ハニー」でブレイクしたのは2003年、「ロコローション」「花」で日本中を席巻したのは2004年。フェスの出演も当時から多いはずなのですが、彼らもなぜかこれまで見る機会がなくようやくの初見になりました。

 ビバラロックということで最初に演奏されるのは「ビバ★ロック」。2003年発表なのでビバラの倍の歴史を誇るわけですが、今となればこのフェスのために作られたと言っても不思議ではない感覚です。おなじみ「以心電信」も会場にいる10代は生まれていない人多数、ただスタンドから見たアリーナは後ろから埋まっていて動きもバッチリ。国民的ヒット曲の強さを感じます。

 「SUSHI食べたい」はお馴染みfeat.ソイソース作品、ただ寿司を食べたいことをメッセージにした曲です。内容も何もありませんが、今回7年ぶりのソイソース作品「Pantyna」もここで演奏されました。歌詞のテーマはパンツ、歌い出しは”君を食べたい 頭から食べたい”。この状況で無ければ逮捕されてもおかしくないような歌詞で、とてもじゃないですが男同士でもない限りカラオケで歌える曲ではありません。ただそんな下世話さもブレイク当時からの彼らの魅力、それが変わらないことに安堵もできるナンバーです。

 他の演奏曲も「上海ハニー」「イケナイ太陽」という具合で、ラストはメジャーデビュー曲「キリキリマイ」。全部が知っている曲あるいは分かりやすい曲という強さ、パフォーマンスは懐かしさやベテランらしさなど微塵もない現役も現役の若々しさ・激しさ。ORANGE RANGEは20年経ってもやはり国民的バンドということを再確認できました。

Creepy Nuts(VIVA! STAGE)

 Creepy Nutsのメジャーデビューは2017年、それ以降瞬く間に話題作をリリース。現在はヒップホップファンどころか音楽好きでなくても広く知られた存在です。この日はどうしても見たいアーティストが多数出演している非常に豪華な顔ぶれでしたが、彼らももちろんその1組です。R-指定のアクトは4年前のビバラにおけるASIAN KUNG-FU GENERATIONの「リライト」ゲストボーカルとしても見ていますが、2人揃った姿は今回が初めてです。

 RIP SLYMEを筆頭に、過去にもヒップホップのアーティストは何組かフェスで見ています。ただMCバトルとDJバトル優勝者のユニットはやはり格が違いました。オープニングの「数え唄」からオーディエンスの空気を掌握、「2way nice guy」で早くも神ライブ確定。アリーナは後ろまで満員、もう完全にフェスではなくワンマンライブを見ているような感覚です。

 息継ぎの間も無いようなR-指定のラップは特に「耳無し芳一Style」が凄まじく、おそらくメロディーのある歌がメインでも発声が桁違いに良いので確実にブレイクはしていたでしょう。松永さんもDJプレイも間違いなく今まで見たことのないようなレベルのプレイで、そりゃオリンピックの閉会式に呼ばれるのは当然と言わんばかりでした。ただ静寂の間に起こる”まつながー”の声には笑いが発生、”最近の声援は太汚い”とちょっとしたクレーム?をMCで入れていました。

 「日曜日よりの使者」カバーでは大団円の雰囲気あり、その後の「のびしろ」は自身のステージを締めるにあたって完璧過ぎるくらいの歌詞。現在のヒップホップを背負う存在ですが、おそらく30~40年後にはロックでいう矢沢永吉みたいなポジションになると思われます。つまりは”音楽好きなら絶対に1回は見ないといけないアーティスト”。ひたすらその一言に尽きる、尋常ではないほどレベルの高いアクトでした。

Saucy Dog(STAR STAGE)

 Saucy Dogの知名度が大幅に上がったのは昨年ですが、初の日本武道館ワンマンは2021年。ホールツアーも2020年には開催予定だったので、コロナ禍がなければ大ブレイクはもう少し早かったかもしれません。ビバラも今年で6年連続出演、そう考えると既にフェスで見ていてもおかしくないアーティストです。

 知名度を大きく上げた「シンデレラボーイ」の演奏からスタート。テレビで見た時から石原さんのボーカルは素晴らしいと感じていましたが、生で聴くと尚更です。声量・発音ともに全く申し分ないの一段上をいっていて、楽曲だけでなくパフォーマンスで考えても紅白歌合戦出場まで到達するのは当然と思わせる内容でした。

 全体を通して聴く限り今回のセットリストはロック色強め、これはYouTubeなどストリーミングの上位とは少し異なります。「雷に打たれて」あたりはキャッチーで良い曲ですが、Spotifyでの再生回数は200万超えているとは言えかなり下の方でした。この曲を歌う際に石原さんがフロアに落下するハプニングが発生しますが、遠目からだとそれが分からないほどのスムーズさでした。

 ブレイクしているからこその苦悩もあるようですが、MCではだからこそ好き勝手やってますと話す石原さん。ただ抜群のライブを見る限りでは、まだ人気はピークに達していないような気がしました。もうそろそろタイアップのオファーも多く入っているはずで、「シンデレラボーイ」「いつか」以上の大ヒットはすぐ訪れるように感じます。ただそもそもこれだけ観客を魅了するライブが出来ると考えると、少なくとも人気が急落するということはまずあり得ないように思いました。

凛として時雨(VIVA! STAGE)

 凛として時雨のライブを見るのは2015年9月、Perfumeの主催イベント「Perfume FES!! 2015~三人祭~」以来。ドラムのピエール中野は古くからのPerfumeファンなので、当時のMCは食い気味に早口で喋りまくっていました。ただ普段はほぼMC無しのスタイルである彼ら、見ていたファンが非常に驚いていたのをSNS書き込みで見た記憶があります。

 今回は新旧混ぜ合わせたセットリストで、ひたすら激しいパフォーマンスを繰り広げる超硬派なライブ。歌詞が聴き取れないのは彼らの場合ご愛嬌、力強い演奏にひたすら酔いしれる形です。もちろん挨拶以外のMCは全く無し、強烈な凛として時雨ワールドを作り上げていました。

BiSH(STAR STAGE)

 BiSHのステージは過去に2度見ていますが、いずれも今みたいな知名度がない時期でした。1回目は2016年のTOKYO IDOL FESTIVAL、6曲連続で「BiSH-星が瞬く夜に-」を演奏していました。その次は2017年にNGKで行われた学天即・奥田の主催イベント。こちらはMC無しの熱量高いライブ、当時出演していた3組ではもっともファンの数が多めでした。「プロミスザスター」が発表されたのはこの時期、それ以降一気に楽曲・ライブともに評価を上げて現在に至ります。今年6月に解散が発表されたのは2021年12月ですが、このタイミングで声出し解禁になったのもまた運命的な巡り合わせと言って良いでしょうか。

 デビュー当時は大暴れし過ぎたTOKYO IDOL FESTIVALで次の日の出演が強制キャンセルになる勢いでしたが、時節柄だけでなく今のファン規模・知名度を考えてもそんなことは許されません。フロアの熱狂度はモッシュが起こること間違いなしという雰囲気もありましたが、ライブ開始前に鹿野さんが直々に諸注意。「ダイブ・モッシュなど危険行為が発生した場合は中止も辞さない」。意志の強さは昔と変わらないとしても、その方向性は大きく変化しているようです。

 舞台袖から颯爽と登場した6人、「BiSH-星が瞬く夜に-」からライブはスタート。TIFで6曲連続でやっていた頃と比べると会場の規模は桁違い、4階のスタンドまで多くの人が入っています。サイリウムを振りながらヲタ芸をしていると思われるアリーナ前方エリアの清掃員、彼らにとってもメンバーの活躍は喜ばしいことでしょう。その後は「GiANT KiLLERS」に2分余りの「ZENSHiN ZENREi」、激しいパフォーマンスとコールで攻める曲が続きます。

 前日のビバラアンセムと同様、ビバラがなければ今の自分は無かったと話すアイナ。その後に演奏される「オーケストラ」は発表当時アイドルファンで大きく話題になった曲、アーティスト・BiSHの評価はここから一気に上昇した記憶があります。この曲が無かったら今のBiSHは無い、そう言っても過言ではないほどの存在感でした。今年リリースされた「Bye-Bye Show」はイエモンのメンバー全面協力、WACKのイエモン愛はBiSの頃からそうですが、メンバーが直接演奏・プロデュースにまで至ったのもBiSHの活躍あってこそ。

 リーダーのセントチヒロ・チッチがエモーショナルなMCを展開しますが、その後に喋り始めるメガネ姿のハシヤスメ・アツコが喋り始めた途端会場から笑い。楽曲やパフォーマンスだけでなく、そういった緩さも人気の理由だったと思わせたところで、ラストは「サラバかな」「beautifulさ」とそれらしい選曲。解散まであと2ヶ月、最後まで駆け抜けて欲しいと心から感じたステージであるとともに、個人的にはギリギリで見ることが出来て本当に良かったとあらためて感じました。

SUPER BEAVER(VIVA! STAGE)

 SUPER BEAVERは2007年結成、非常にキャリアの長いバンドです。2010年中盤以降は完全にフェス常連ですが、個人的にはようやくの初見でした。彼らの名前を見る機会が増えたのは特に2020年以降という印象で、そうなるとVIVA! STAGEラストを任されるのも納得といった所でしょうか。この日は解散前ラストで熱狂的なファンも多いBiSHが1番グッズ装着率が高いと予想してましたが、SUPER BEAVERのファンTシャツを着ている人はそれ以上と言ってもいいほどの多さ。もう代々木第一体育館やスーアリでアリーナ単独が出来るクラスの人気ですが、ここまで規模が大きくなっているのは予想外でした。

 「秘密」「ひたむき」「美しい日」、最初からフロアをおおいに盛り上げます。ボーカルの渋谷さんは思いのほかオーディエンスを煽ったり歌わせたりする場面が多く、楽曲をただ聴かせるより一緒に参加してくれることを重視しているようでした。確かに元歌を聴くと、明らかにそれ前提のパートがしっかり存在しています。スタンドから見るとその姿は非常に熱狂的、渋谷さんは風貌も相まって何かしらの教祖にまで見えます。

 会場を温めるだけ温めて名曲「名前を呼ぶよ」、さらに「グラデーション」「シアワセ」も熱い熱いパフォーマンス。ラストの「東京流星群」「青い春」は一緒に歌ってもらうパート自体が初聴でもすぐ分かる親切設計。気がつけばステージから遠いスタンド席にいる自分も一緒に歌っている状態、終わる頃には会場にいる全員がSUPER BEAVERの虜になっていたのではないでしょうか。これだけ心底楽しいと思わせるライブを見るとファンが増えるのは当然、メジャーレーベル復帰以降ここにきて現在までどんどん人気が伸びている理由があらためてよく分かるステージでした。

sumika(STAR STAGE)

 前回もビバラでトリを務めたsumikaですが、今回ばかりはわけが違います。2月に突然訪れたギター・黒田隼之介の逝去は、メンバー・ファンのみならず音楽界に大きな衝撃を与えました。今年はデビュー10周年で、5月14日に横浜スタジアム単独公演も近づいてる最中。それでも3人編成であらためて、アラバキ・JAPAN JAMとともにこのゴールデンウィークでライブ活動復帰になっています。2018年メジャーデビューでそれ以前からフェス出演も多いですが、巡り合わせが良くなく個人的には彼らも今回が初見です。

 STAR STAGE側のスタンド席2階は上段までほぼ総立ち、「ファンファーレ」のイントロが鳴り出した瞬間に大歓声。心地よいリズム感と各楽器の美しい音色、何よりも過不足の全くないカジュアルなノリの良さ。ダジャレの歌詞が耳に残る「ソーダ」、声出し解禁のタイミングだからこそサビのオーイングが気持ち良い「絶叫セレナーデ」、そしてこのタイミングだからこそのサイケな楽曲「ふっかつのじゅもん」。曲を知っている知らないに関わらず、万人が心から楽しめるハッピーな空間が続きます。

 4曲終わってのMC、2月にあった悲しい出来事に自ら触れます。”落ち込む所まで落ち込んで”、”引き上げてくれたのは人の力”。この3日間各アーティストが人との繋がり・生きることをMCで話していましたが、片岡さんの言葉はやはり段違いで説得力があり、また熱かったです。その後に演奏されるのは「Porter」「イコール」「Traveling」、黒田さんが作詞に参加した「透明」ではバックの映像に歌詞が映る演出も施されていました。

 ビバラ10周年・結成10周年を祝う言葉から再び始まる片岡さんのMC。「継続こそが美しい」、その意味の言葉をこの上なく熱く語っています。ビジョンに映る観客の目に映る大粒の涙。続けることの偉大さをあらためて感じる名場面、それはフジファブリックや私立恵比寿中学などとも共通しています。ライブは大詰め、「ファンファーレ」を経て最後は「Shake & Shake」でシェキラララと大合唱。アンコールは名曲「Lovers」で紙テープ演出、テープにはメンバーからのメッセージも記されていました。「大団円」という言葉はまさにこのためにあるといったところで、歴代で見てきたロックフェスでも間違いなく最上位に入る最高のステージでした。

3日間通しての感想

 3日間で見たアーティストはVIVA LA J-ROCK ANTHEMS含めて30組、うち初見は17組。ライブそのものも勿論ですが、見たアーティストの数という点でも非常に充実した時間を過ごすことが出来ました。4年前に足を運んだ時と同様非常に過ごしやすい環境で、2009年のロッキン以来14年ぶりの3日間ほぼフル参加でも問題なく楽しむことが出来ました。

 「自由」という言葉を例年以上に標榜したと感じる今回のVIVA LA ROCKですが、マスク装着率も7割程度に落ち着きました。ただ目に見えて体調の悪い人は周りを見渡す限りいない様子で、少なくともスタンド~アリーナ後方はしっかりとした意識で参加していた人が大半だったかと思います。フロントエリアはほぼ足を運んでいないので何とも言えません。その他JAPAN JAMも同様にダイブモッシュ論争もSNSで巻き起こっていますが、こればっかりはビバラ運営・鹿野さんの話す通り”自分勝手な行動は控える” ”助け合いの精神”そのものとしか言いようがないです。ただ今の快適な環境を続けるためには”自由を守るためにわがままな行動はしない”、それが4年前まで以上に見る側に求められる社会になったような気はしました。

 とは言えルールをよく知らないまま参加するとなると違反も自然と起こるもので、そうならないためには周りの経験者や親などがしっかり楽しみ方を教授することも重要な気がします。今回のビバラは家族連れもいて、”お子様は未来の音楽に繋がる神様です”とも朝礼で話していましたが、それこそ小さい頃から場を知っていればマナーも自然と備わるもの。説教になると逆効果になるので伝え方も難しいところですが、フェスに足を運ぶ人々の役割も今後は案外大きくなっていくのかもしれないと感じるところです。

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