2023.5.4 VIVA LA ROCK 2023 in さいたまスーパーアリーナ 2日目

ライブレポ

 2日目、ここでは各エリアについての説明を書くことにします。

 会場はさいたまスーパーアリーナのスタジアムモード、STAR STAGEとVIVA! STAGEが横並びに配置されています。片方のステージが終わった後に、もう片方のステージでリハ→本番。その繰り返しで進行していきます。CAVE STAGEへの入り口はスーアリのスタンディングエリアから1箇所のみ、この導線の悪さは毎回改善点として挙げられている印象もあります。

 スタンド席は200LEVELだけでなく400LEVELにも配置、飲食も自由に見られるエリアです。各階ごとに飲食スペースも設けられています。

 さいたま新都心駅からスーパーアリーナに繋がるけやきひろばでは、出店だけでなくフリースペースであるGARDEN STAGEも存在。アーティストが出演しない時間も、ゆるキャラショーなど何かしらの企画が開催されます。一般開放エリアなので、チケットを持ってない人でも自由に参加することは可能です。建物内にある1階スペースも、飲食エリアとして活用されていました。

 飲食はけやきひろばだけでなく、スーパーアリーナ内にも存在。ビバラ期間内限定のアーティストインスパイア飯だけでなく、ロッテリアやケンタッキーフライドチキン他の店も営業していました。ただ出店などのソフトドリンクは250円~300円。冷たい飲み物に拘りがなければ、事前に買っておいた方が多少節約できるかもしれません。

 それでは各ステージのレポを書いていきます。なお今回はこれまで以上に自分の目線を重視した内容です。ステージのおおまかな流れについては公式のPHOTO&REPORT、および各ステージごとの総括レポート(STAR STAGE, VIVA! STAGE)を見てください。

キタニタツヤ(STAR STAGE)

 2日目のトップバッターはKANA-BOONでしたが、この日自分が最初に見たステージはキタニタツヤでした。音源もほぼ聴いていない中での初見ですが実績は確かで、Spotifyでは再生数1000万超が2曲。10曲近くが100万再生を達成しています。

 どちらかと言うと高音より中音域~低音域のボーカルがメインで、音程はややフラットです。ただその分歌詞は大変聴き取りやすく、エモーショナルに言葉を伝えることを重視しているアーティストという印象を持ちました。不穏な空気も感じさせる音楽性は激しいですが、人としてはサービス精神旺盛かつ優しめ。前日たまたまこの日のチケットを購入しているおばあちゃんと居酒屋で会ったことを起点に、人との縁が大事と話すその姿は非常に温かかったです。

 このステージは終始写真撮影OKでした。いくつか写真を掲載しますので、会場の様子を少しでも伝えることが出来れば幸いです。

flumpool(VIVA! STAGE)

 flumpoolのステージを見るのはものすごく久々で、2013年7月にアミューズ所属アーティストが一堂に会したBBQ in つま恋以来10年ぶり。初めて見たのはブレイク直後の2009年ROCK IN JAPAN FESTIVALなので、そう思うと活動期間は非常に長いです。最初に見た時は爽やかで若々しい印象、2013年に見た時は楽しさが伝わる反面若干空回りしていた印象でしたが、デビュー15周年を迎える今回のステージはビバラ初出演(元々は2020年出演予定)ながらベテランらしい安定したステージでした。

 2009年、紅白歌合戦初出場の時に歌った「星に願いを」からスタート、近くのオーディエンスからは懐かしいの声が挙がります。ビジョンには歌詞テロップが表示される優しさ、それは同時に主戦場が当初からライブハウスではなくホールだったことを表しています。

 新曲「Magic」はスケールの大きいバラードで、今のflumpoolだからこそより説得力を持つ名曲でした。セットリストは「花になれ」「君に届け」など懐かしい曲がやはり印象的でしたが、盛り上げ曲は2016年発表の「World beats」。ディスコ風味なサウンドで、オーディエンスを踊らせていました。

 前日はやや音量設定が大きく、響き過ぎて歌詞が聴き取りにくいアーティストもいましたが、このステージに関して言うと適度な音量で非常に聴きやすかったです(あくまで個人の感覚)。歌い方も無理せず落ち着いた印象で、こちらも10年前・15年前と比べて対照的。経験と加齢による時の経過をあらためて感じるパフォーマンスでした。

TENDRE(STAR STAGE)

 TENDREに関しては楽曲どころか、アーティスト名もほとんど初めてでした。ほぼ当日に見ることを決めた形です。

 サックスやキーボードにパーカッションなど、他の出演者とはかなり異なるタイプのライブです。心地良いグルーヴを響かせるライブを終始展開、スタンド席でまったり楽しむことが出来ました。

androp(VIVA! STAGE)

 andropは新潟で見た音楽と髭達2015以来8年ぶり、その時と同様「Voice」からスタート。当時は曇り空で時折雨が降る野外でしたが、今回は照明演出が効果的に使える屋内の会場。彼らの場合、やはりこちらの方が間違いなくしっくり来ます。代表曲だと2018年のドラマ主題歌「Hikari」は会場にいるオーディエンス全員のスマホライトが大変美しく照らす演出、ラストは一番盛り上がる「Yeah! Yeah! Yeah!」で鉄板。

 それ以外は近年の曲でしたが、全体的にandropらしさの範囲内で楽曲・盛り上げ方ともに引き出しの多さを感じさせるアクトでした。映像演出も見事な「Tokio Stranger」は動画撮影の許可あり、そこには自らの作品に対する自信も感じさせました。ボーカルの内澤崇仁は柴咲コウにAimerや上白石萌音などへの楽曲提供も実績多め。現時点でも知名度は高いですが、もっと音楽ファン以外にもandropの存在は知られていいのではないかと感じるところです。

秋山黄色(STAR STAGE)

 このステージの時間は外に出て休憩に充てる予定でしたが、思ったより早く会場に戻れたので前半途中から見ることが出来ました。入場すると何曲か演奏した後、例の件に触れて「音楽に人間性は関係ないと思ってたけど、やっぱりそんなことない…」と話しています。声出しだけでなく、本来の激しいライブはこのステージで久々の復活ということでした。

 ギターを弾くその姿は音も歌も動きも激しく、倒れ込んで演奏するシーンもあります。そこにはこのステージのみならず、自分が作る音楽に対して命をかけているというメッセージ性も含まれていました。モードに入った時の怖さは誰も止められないという印象も確かにありましたが…。ただプライベートはともかく、ライブでは今後もこの日と同様思う存分暴れて欲しいと心から感じるパフォーマンスでした。

スガシカオ(VIVA! STAGE)

 1966年生まれ、1997年メジャーデビューのスガさんは現在56歳。今回の出演者でも特にキャリアの長い大ベテランですが、7年ぶりに生で見た彼は当時よりもさらに声が若返っていました。

 「19歳」に昨年のアルバムでセルフカバーした「Real Face」、ラストのお馴染み「Progress」はいずれも2006年発表曲。盛り上げ曲として作用した「午後のパレード」も同じ2006年ですが、古さを全く感じさせません。ただキャリア20年超のアーティストで、ここまでフェスに10年以上前の発表で同じ年の曲が含まれるのはあまりないような気がします。新しい曲は「バニラ」「さよならサンセット」、サイケな雰囲気はここにきて更に拍車がかかっていました。

 総じてキャリアに裏付けされた凄さを感じさせるステージでしたが、そこにベテランらしさは良い意味で存在していません。なんだかここにきてまたあらためてブレイクしそうな、そんな雰囲気まで漂っていました。

UNISON SQUARE GARDEN(STAR STAGE)

 UNISON SQUARE GARDENは4年前のビバラで初めて見た時に「演奏だけでライブが成立する」と確信しましたが、今回もまさしくそんな内容でした。ここ数年の曲中心のセトリで、個人的にはっきりと認識できたのは「シュガーソングとビターステップ」くらいでしたが、フェスで見る上では全く問題ありません(もちろん事前に知っていた方がより楽しめるとは思いますが)。斎藤さんの歌とギター、田淵さんのベースともはやダンスに近いステップの踏み方、そして鈴木さんの力強さと細かさを兼ね備えたドラムプレイ。MCほとんど無しで40分ノンストップ、ワンマンだとこれが2時間になるのでしょうか。長年の活躍ははっきり言って当然で、おそらくは10年後20年後もこんな感じでそのまま突っ走ることが容易に想像できるアクトでした。

BE:FIRST(VIVA! STAGE)

 この3年間の音楽業界でもっとも伸びたのはおそらくボーイズグループ界隈ではないかと思われますが、その担い手とも言って良いのがBE:FIRST。2021年デビューなのでこれまでのライブは声出し無し、すなわちファンからの声援が飛ぶステージは今年が初となります。個人的なフェスに行く楽しみ方の一つに、どの出演者のグッズを身に着けている人が一番多いかを観察することがあるのですが、この日は文句なしに彼らがナンバーワンでした。

 テレビ出演や動画などで7人のレベルの高さは既に証明されていますが、あらためて生で見るとやはり凄いです。多少の差はあるとは言え、歌やダンスは7人とも一定以上のレベルを軽くクリアしています。おそらく大人数・長期間のオーディションで相当精査されたとは思いますが、そのレベルは一般人の感覚から見ると恐ろしく高いことは間違いありません。現場で見て特に感じたのはリズム感と勘の良さで、各パートの入りがこれだけガツンと綺麗に決まるグループはそうそうないような気がしました。

 メンバーはファッションで分かりやすく区別されますが、歌唱力という点では黒シャツ・金髪姿のメンバーが群を抜いて上手いと感じました(SHUNTOのようです)。他に印象的だったのは黒いタンクトップ姿で、一段とワルっぽいラップを披露していたメンバーでしょうか(こちらはRYOKI)。MCやパフォーマンスはかなり挑戦的かつ強気、ファンだけでなく時代をも牽引しようと感じさせる頼もしさ。来年以降もビバラをはじめとするフェスにどんどん出て欲しい所ですが、それどころではない大きな未来も容易に想像できます(とは言えSKY-HIとの関係の深さを考えると、ビバラに限っては来年以降の出演も十分ありそうですが)。

VIVA LA J-ROCK ANTHEMS(STAR STAGE)

 ビバラアンセムの細かい歴史は公式ホームページを見てもらえればいいとして、ここでは見たままの感想を書いていきます。

 1曲目はBLUE ENCOUNT・田邊駿一による「リライト」。アジカンやブルエンが今回ビバラに呼ばれていないのは不思議な人選ですが、特に田邊さんはこれだけのためにビバラへ参加する形でした。言うまでもなく熱いパフォーマンスで、安定感もあります。とは言え歌唱後のMCでは、かなり緊張したことを話していました。

 その次はUNISON SQUARE GARDEN・斎藤宏介による「若者のすべて」。そういえばフジファブリックも今回なぜかビバラ不参加です。3曲目はSHISHAMO・宮崎朝子「カブトムシ」、確かに自身が作る楽曲や歌唱はaikoの影響が大きい印象ですが、それを差し引いても圧巻のパフォーマンスでした。これだけ歌で聴かせるステージは、SHISHAMOのライブでもあまり見た記憶がありません。

 SKY-HIDios・たなかは生演奏バックにメドレーを披露。Diosのたなかは元・ぼくのりりっくのぼうよみ。盟友の2人は何年も前にコラボ曲を作っていますが、前日のSKY-HIのステージでは彼の結婚式に出席したというエピソードを話していたそうです。

 このアンセムズに出会わなければ今の自分は無かったと話すBiSHアイナ・ジ・エンドによる「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」、確かに初参加した2018年以降、明らかに彼女のソロ仕事が増えた印象はあります。ラストはキュウソネコカミヤマザキセイヤ「天体観測」。ここでも前日のキュウソ同様、フロアに降りて観客の上に乗り、支えられながら歌うパフォーマンスを見せていました。

 今回でVIVA LA J-ROCK ANTHEMSは最終回、過去にパフォーマンスしてもらった楽曲・ゲストでの再演メインという総決算的な内容になりました。来年以降これが無くなると、寂しいと思うファンも多いのではなかったでしょうか。そういう意味ではやはり、赤い公園・津野米咲がいなくなったのはとてつもなく大きいことだと実感します。

クリープハイプ(VIVA! STAGE)

 あらためてセットリストを確認してから分かったことですが、今回のクリープハイプも8曲中4曲が2012年のアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』の収録曲。なかなか偏ったラインナップでした。最初に演奏されたのがムーディーなラップソング「ナイトオンザプラネット」、それだけに危うさを感じさせる初期曲とのギャップが際立ちます。

 声出し解禁ということで、BE:FIRSTと同様こちらも女性客の歓声が目立ちました。ただイケメンのカッコ良さにキャー!と叫ぶ先程とは、どうも種類が違うような気がしてなりません。というわけで中盤では例の「HE IS MINE」も演奏、大勢の女性客による”セックスしよう!”がアリーナ中に響き渡るのでありました。

 尾崎さんはこの日扁桃炎で喉の調子が良くなかったようですが、あまりそうと思わせないパフォーマンスは流石プロフェッショナルです。

Vaundy(STAR STAGE)

 各ステージごとに場所を変えて見ている今回のビバラですが、Vaundyはスタンディング後方エリアから見る形としました。ところが陣取った場所はあいにくほとんどステージが見えない場所、おまけにビジョンでもステージカメラが入らない形。ビバラオンラインでの配信も無し、公式レポの写真も顔が見えないショットのみ。昨年は大晦日に紅白歌合戦出場もありましたが、基本的にあまり顔を出さないスタンスは今年も継続のようです。一昨年からずっと曲がヒットし続けているアーティスト、アリーナはほぼ全エリア満員でした。

 というわけで個人的には、ある意味神秘性を保ったまま見ることが出来たという形になります。聴かせる歌から激しい歌まで、演奏された12曲は全てヒット曲で盛り上がりました。特に中盤の「不可幸力」から「CHAINSAW BLOOD」への流れは曲の落差も大きかったので、後者の激しさが余計に強調されていました。紅白で見られたようにMCも煽り全開、BE:FIRSTと同様時代を担うアーティストはやはり強気なのが条件なのかもしれないと感じた次第です。アンコール無しでラストは紅白以降大ヒット中の「怪獣の花唄」、紙テープ発射演出もあって華々しく2日目の幕を閉じる形になりました。

この日の感想

 初見・久々のアーティストが混在する2日目になりましたが、この日は全体的に強気かつ自信をアピールするようなアクトが目立った印象でした。それは今まで見てきたフェスからはあまり感じなかったことで、こういった強さがもしかすると、今後国内さらに世界へ進出するために重視すべきことなのかもしれないとあらためて思いました。

 3日目は2日目以上に、初見のアーティストを多く見る形になります。続きは次の記事で。

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