1位は先週と変わらずNiziU「Take a picture」。13000近くあったポイントは、CDセールスが加わって39000にまで伸びました。ストリーミング、Twitterは3位でラジオが8位、カラオケはランクインしていませんが、それ以外は全ての指標で1位。構成比はCDセールスが60%近くを占めていますが、それ抜きでも10000ポイント超で総合1位獲得という形になっています。楽曲については先週記事にした通り、まあ文句のつけ所が全く無い内容です。同じCDに収録されていますがメインの曲でないため、CD要素が加算されない「Poppin’ Shakin’」も、17位から7位にランクアップしています。それ以外の上位は新曲が少ない週なので、大きな入れ代わりはありません。

(先週のビルボードチャートレビュー、NiziUの楽曲レビューはこちらをクリックしてください)

 

32位 にしな「ヘビースモーク」


 ビルボードは各要素で様々な順位を分かりやすく確認できる場所ですが、ネクストブレイクを探すという点で一番面白いのは何と言ってもラジオチャート。平成以降はずっと、全国のFM局でこれは!という音楽がプッシュされてオンエアが伸びていきます。きっかけはレコード会社の売り込みだとしても、その後続くかどうかはミュージシャンの腕とリスナーの需要次第。以前と比べるとドラマタイアップをきっかけに…ということが難しくなっている中で、ラジオが音楽シーンに与える影響はますます大きくなっていきます。ストリーミングの再生が急増した結果ブレイクしたとしても、そのきっかけはFM802辺りの…になる可能性はおおいにあるわけです。

 さて今週のラジオ1位、総合で32位に入ったにしなはワーナーミュージック・ジャパンのニューカマー。昨年10月から6ヶ月連続配信リリース後、今年4月7日に1stアルバム『odds and ends』を発売。「ヘビースモーク」はアルバム収録曲かつ、3月31日に先行配信として発売された楽曲となります。ただ彼女の歌声が一番最初に広く世に出たのは、メジャーデビュー以前の2019年。川谷絵音さんがTwitterで募った企画に応募して、2700人から一番良かったボーカリストとして選ばれます。彼のプロジェクト・美的計画の楽曲「KISSのたびギュッとグッと」は2019年8月9日にデジタルシングルとして発売されました。ショートバージョンですが、参考までに動画も貼っておきます。


 さて「ヘビースモーク」について書いていきます。この曲はギター女子が歌う退廃的なバンドサウンドという趣で、非常に格好良い内容に仕上がっています。聴き応え・迫力ともに若いながらも、既に完成されている雰囲気さえ感じさせる素晴らしい内容です。楽曲は10年前にも似たようなものがあった印象もありますが、若干の柔らかさがある彼女の声質で聴くと新鮮さが生まれますね。ライブ映えもおそらくしそうで、実力派ミュージシャンとして早いうちに一定の支持を受けるのは間違いないと思います。今年来年辺りは特に多くロックフェスで見られることでしょう。

 気になるのは、この手の実力派女性アーティストは出てきた時にプッシュされる割に、意外と音楽ファン以外にハネないことが多いということ。同レーベルにはあいみょんという生きた見本がいるので、プロモーションする上ではおそらく参考にする部分はかなり多くなるはずですが、どうでしょうか。この曲だけに限って言うと、実力・完成度が一番売上に直結しないジャンルという印象も正直あるので、そこだけが心配です。

 

76位 eill「ここで息をして」


 ラジオオンエア2位にランクインしたeillは女性シンガーソングライター。新曲「ここで息をして」はアニメ『東京リベンジャーズ』のエンディングテーマになっています。

 彼女もあくまでこの曲だけを聴いた感想で書きますが、まず最初に思ったのが格好良い、そしてもう1つ感じたのは意外と今まで感じたことのないテイスト。歌い上げるわけでない、それでいて高音で聴かせるわけでもない、かと言って平凡とは全く思えない歌声。個人の感覚と経験でしか書けない部分ですが、この”今までに感じたことのない”感覚は今後を占う上で非常に大きいと考えています。これまでの音楽史上、社会現象になるほどブレイクしたアーティストはほぼ全て”今までにない”ものが世間に評価された形なわけでありまして…。編曲も打ち込みJ-POPに生演奏ジャズも混ぜたような、いわゆる強いこだわりを持たないことでこだわりを作り上げているような内容。かなり器用な万能型アーティストであることも、この1曲から読み取ることが出来ます。

 2018年デビューなので過去曲もまたあらためて聴く必要はありそうですが、今すぐではなくても長く売れ続けて気がつけば誰もが知っている存在になる、そんなタイプのアーティストではないかと思いました。SPACE SHOWER MUSICから、この曲でポニーキャニオンからメジャーデビューという形なのだそうです。そうなると音楽ファン以外に広く名前が知られるのはむしろここから。今後伸びるアーティストとして、おおいに注目する必要がありそうです。