2016.10.9 ビクターロック祭り×MBS音祭~2016大阪・秋の陣~supported by uP!! in 大阪城ホール

 

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 ロック系統のミュージシャンが多く所属しているビクター。ビクターロック祭りは2014年から「ずっとロック、これからもロック。」を合言葉に、幕張メッセ国際展示場での開催が恒例になっています。既に来年3月も開催が決定しています。一方MBS音祭も2014年から毎年大阪城ホールでこの時期開催されています。今年は8日と9日の開催ですが、9日はビクターロック祭り初の関西公演として、MBS音祭とのコラボイベントとして実現する形になりました。未見の気になるアーティスト、久々にあらためて見たいアーティストが今回このイベントで揃っていたこともあって、この時期関西ではMINAMI WHEELも恒例ではあるのですが、今回はこちらに足を運んできました。その6組のステージの様子を早速どうぞ。

 なお進行は毎週木曜深夜に放送されている『MBS SONG TOWN』ナビゲーターの福島暢啓アナ、三戸なつめU.K.(楠雄二朗)。個人的には三戸なつめのステージも見たかったところですが、残念ながら彼女のレーベルはソニー系。そうなると企画的には難しいところだったでしょうか。

 

Gacharic Spin

 トップバッターは結成7周年、先月メジャー2ndアルバム『確実変動-KAKUHEN-』をリリースしたGacharic Spin。昨年辺りから名前を見る機会が少しずつ増えてきて、今回非常に楽しみにしていたバンドになります。

 真っ赤な衣装で登場する6人。構成はギター・ベース・ドラム・キーボードにダンサー2名。これなら普通はダンサーかギターがボーカルになるものですが、メインボーカルはなんとドラム担当。メガネをかけた青髪の彼女の名前は、はなさんと言うそうです。海外だとそこそこいますが、日本だと特に女性ではマキシマムザホルモンのナヲさんくらいでしょうか。かなりの声量の持ち主で、あらゆる意味でスペックの高い人のようでした。

 「KAKUHEN」「赤裸ライアー」と続くセットリスト、目に入るのは旗を振っている2人のパフォーマーもそうですが、それ以上にキーボード担当の動き。2つのキーボードを駆使する演奏能力、なぜか胸に身につけている”光るオッパイ”、パフォーマーよりも目立っている足を高く上げる動き。彼女の名前はオレオレオナさんと言うそうです。この人の動きを見ているだけで余裕で2時間3時間は楽しめるように思いました。

 「シャキシャキして!!」はCMでも使われている曲。サビでの振り付けはワンマンだと全員揃ってというところですが、まだ入場していない観客もかなりいるため今回一緒に踊る人は少数。ただ「ダンカンビート」で盛り上がっている人数はそれよりも結構な数いるようでした。ベースのF チョッパー KOGA、ギターのTOMO-ZOの演奏もかなりのもので、ボリューミーなロックの割に意外とメロディーがキャッチー。結局パフォーマー2人が一番歌を歌っていなかったという結果になりました。

 というわけで評判通りあるいはそれ以上の実力を見せつけたステージでした。初見のインパクトも強いですが、それに留まらない魅力も非常に大きいものがありました。今回のイベントはトリのアーティスト目当ての女性が大多数でしたが、アリーナのトイレで見る限り男性に限って言えば、彼女たちのグッズを身につけている人が一番多かったような気がします。

 Twitterでちょっとしたレポを書いた際、反応が一番大きかったのはやはりトリのアーティストでしたがその次は彼女たちでした。おそらくこれを見てファンになる人の定着率は極めて高いはずで、そうなると数年後には日本武道館ワンマンくらいは実現する形になるでしょうか。来年以降の活動も非常に楽しみです。出来ればワンマンも一度見たいと考えています。

藤原さくら

 4月~6月に放送された月9ドラマ『ラブソング』のヒロイン役で大きく知名度を上げた彼女ですが、名前を見かけるようになったのは今年2月のアルバム『good morning』から。音楽ファンにはドラマ以上にアルバムの評価が高く、彼女もまた今回のイベントで見たかったアーティストの一人でした。

 バックバンドの演奏がイントロになっていて、入場して椅子に座ってそのまま歌に入るステージ。最初の楽曲は「Lucky boy」。ステージに上がる人もオーディエンスも、アリーナ含めて全員着席で聴き入ります。

 その次に演奏される3曲は「Walking on the clouds」「I wanna go out」「cigarette butts」、全編英語の曲が続きます。最近海外進出にも力を入れているアミューズ所属ということもあって、いずれは向こうでもステージに立つことを想定しているのかとも考えましたが、このインタビューを見る限りでは単純に洋楽の影響・曲作りの結果という形のようです。ただいずれはそういう話が来る日も訪れるかもしれない、とも思いましたが。

 ドラマでも歌われた「好きよ 好きよ 好きよ」「Soup」も披露。やや低めのキーの彼女の歌声に、福山雅治が作った曲は非常に合っています。「we are You are」、そしてラストは「かわいい」で計8曲。ラストではバンドメンバーの紹介があり、それぞれソロの演奏も披露。彼女自身も職人肌の印象がありますが、こちらも非常に演奏の上手い職人が集まっているようでした。

 歌は声のインパクトが強いですが、単純に声の出し方も優れています。ギターを弾くスタイルの女性ソロは非常に多くなっていますが、その中でも一番引き込まれるステージになっているような気がしました。演奏にしても歌声にしても、レベルは極めて高いと思います。ドラマで注目を浴びた彼女ですが、来年以降はもう多分音楽活動メインで突き進むことになるでしょう。自作のヒット曲を作ることが出来れば、すぐに一定の地位を築くのではないでしょうか。

 そして謙虚かつツボをつくようなMCもなかなか。飛距離が足りないのでピックを投げてもアリーナに届かなったり、自分のスタイルを見越して”私のステージでは椅子を倒してモッシュしてもらって…”なんて話すシーンもなかなか。このイベントではステージの合間に各出演者のアンケートがビジョンに流れますが、私のベスト3という項目で”好きな牛種ランキング”が出た時には会場からちょっとした笑いが漏れていました。客を思いっきり乗せるタイプではないのですが、やはりアミューズ所属アーティストのMCの面白さは彼女に関しても例外ではなさそうです。笑顔で慣れていない関西弁を話すところなんかは、文字通り”かわいい”の一言でした。この人もまた、いずれはワンマンがどんな様子か拝見したいところです。

KEYTALK

 ちょっと前まではなかなか見る機会が出来なかったアーティストの代表みたいな感じでしたが、気がつけばここ1年でステージを見るのは3度目。結構な回数になりつつあります。サウンドチェックから早速メンバー登場、「YURAMEKI SUMMER」「太陽系リフレイン」で準備運動。
本編は「HELLO WONDERLAND」「パラレル」「fiction escape」「エンドロール」「桜花爛漫」、途中メンバーの盛り上げやコール&レスポンスも挟みます。11月発売の新曲「Love me」が終わるといよいよ恒例のお祭りタイム「MATSURI BAYASHI」「MONSTER DANCE」。「MATSURI BAYASHI」では巨匠こと寺中友将が缶ビールを飲み干すシーンに始まり、法被姿のダンサーまで登場して大騒ぎ。会心のステージを見せつけていました。

 というわけで盛り上げ及び演奏能力の高さという意味では完全に高いレベルで完成されている印象でしたが、逆に言うとラスト2曲に照準を合わせすぎな感もありました。全体的に歌のメロディーと演奏のキーが少し合ってなかったような印象もあって、超盛り上げ系のラストはともかくそこまでにやや違和感。彼らの凄さはライブの盛り上げだけでは決してなく、高度な編成とメロディーにもあるように思うので、盛り上げ方向に完全に振り切れるのはややもったいない気もしているところです。

 またこのイベントは先述した通りトリ目当ての観客が非常に多く、むろん彼ら目当てのファンも女性中心にそれなりにいましたが、この後の2組と比較して完全に会場全体を巻き込んでいる印象では必ずしもなかったです。最後に巨匠が大阪城ホールワンマンを高らかに宣言していて、実際のところおそらくそんなに難しいことではないようにも思いますが、先々のことを考えると案外課題の多いステージのようにも感じました。フェス向けのバンドもサイクルが早くなっていて、予想以上に今年は新しい顔触れも多く出ています。そう考えると2013年・2014年台頭組の若手バンドはKEYTALKに限らず、来年が正念場になるのではないでしょうか。

レキシ

 2014年のRADIO CRAZY以来、約2年ぶりにステージを拝見。彼らのファンは当時よりも確実に増えているようで、アリーナには結構な数の稲穂が掲げられます。持ち時間40分、少しでも時間を節約しようということで?かなり忙しなく登場。「きらきら武士」からスタートします。ただ無駄にウケ狙いのマイクパフォーマンスを行ったせいで、節約した時間はあっという間に巻きに変わってしまったようでした。

 10分ほど続いた「きらきら武士」はクライマックスかとも思える大盛り上がり。”レキシでした!ありがとうございました!”と挨拶して去ろうとしますが、当然まだ時間は残ってます。というわけば次は江戸時代から平安時代ということで「SHIKIBU」。シキシキブンブンシキブンブン、とみんなで歌います。曲終わりの決めポーズからなかなか動かないバックバンド、思わず”これだからコミックバンドと呼ばれちゃうんだよ”とツッコミ。

 ここからお待ちかね、毎回どのイベントでも必ずやっている「狩りから稲作へ」の時間。なんでもグッズとして販売された稲穂は、このイベントでも長蛇の列の末に売り切れたそうです。レキシの中でも明らかにこの1曲でしか使われないであろうグッズ、それを宣伝する人は多数あれど自らのグッズにツッコミを入れて呆れる人も彼くらいのもの。”どうもケビン・コスナーです”の挨拶から始まって、突如ボディーガードのメロディーで歌ったり、2つ前のステージで藤原さくらが投げてそのままになっていたピックを拾って自分の懐に入れたりと、まさにやりたい放題。そして何度となく書いている通り今回のイベントは星野源のファンだらけ。ここぞとばかりにいじるたび盛り上がるオーディエンス、しまいには”♪君の稲穂降らせて”と「SUN」の替え歌まで勝手に披露。ついでに”稲穂が出ちゃうんだろう…”とドリカムの「LOVE LOVE LOVE」も歌唱。なおキーボードの方はドリカムのサポートメンバーでもあるそうで、一応公認という形だそうです。レキシ本人だけでなく、バンドの対応能力も大変なもので、その2曲も全く問題なく演奏しておりました。

 ラストは大化の改新をネタにした「KMTR645」。イルカのビニールを身につけた姿は自称”イルカになった少年”、果たしてどれくらいがこの元ネタを知っているのかという話ですが…。キュウソネコカミとのコラボ曲、5体のイルカがアリーナに投げ込まれてクラウドサーフするステージでした。

 このイベントでは歌い終わった後に司会者とのトークも入りますが、そこでも舌好調。”レキシ以外レキシじゃないの”という具合に際どい時事ネタを入れたり、この後の予定は?と聞かれて”明日は東京でオフです”と意味のない告知をしたりなど留まることを知りません。考えてみればレキシが大阪城に見参したわけですから、凄まじいステージになるのは必然。武道館は2回やっていますが、城ホールでのステージは今回が初めて。もう来年にでもここでワンマンを実現してほしいところです。何と言ってもここは”大阪城”なわけですから。

スガシカオ with 菅波栄純(THE BACK HORN)

 来年2月でデビュー20周年、気がつけば今年で50歳を迎えた大ベテラン。各所のフェスやイベントにも頻繁に出ていますが、個人的には意外とここまで生で見る機会がなく今回が初めてという形になります。

 バンドスタイルのステージですが最初は弾き語り。今回どうしてもという形で冒頭披露されたのは「夜空ノムコウ」。今年解散するSMAPもビクターの歴史を担う重要なアーティスト。胸に沁みる歌声は、あらためて日本を代表する名曲であるとともに感じ入ることの多い場面でした。

 そこから繰り広げられるステージはまさしく硬派のロックそのもの。ギター演奏にTHE BACK HORNの菅波栄純を迎えたことも大きかったと思いますが、1990年代~2000年代と比べるとものすごいカッコ良さになっていたように思います。「赤い実」「あなたひとりだけ幸せになることは許されないのよ」といった新しいナンバーは初聴でしたが、見ていて全く退屈させません。その後の「19才」は2006年の代表曲、当時からカッコ良さは折り紙つきでしたが明らかに進化しています。テンション高い菅波さんの演奏、いつの間にかギターが手から離れていて思わず歌い終わった直後にスガさんがツッコミを入れます。

 10月に今年最後の関西でのライブ、来年にスガフェスを開催するというMCを挟んで「真夜中の虹」「奇跡」、ラストは『プロフェッショナル 仕事の流儀』でお馴染みの名曲「Progress」。文句のつけようのない素晴らしいステージでした。伸びのある高音が綺麗に響くスガさんの歌声とパフォーマンスは、50歳にして進化している印象もあるほどです。20年間第一線で活躍しているのは、まさしくこのステージングあってのことだとあらためて感じた瞬間でした。

星野 源

 星野源を見るのもまた2014年のRADIO CRAZY以来。その時点で人気は確実に上昇傾向でしたが、さすがに今ほどの規模ではなかったです。あの時はインテックス大阪R-STAGE、場所取りに失敗してビジョンもステージもほぼ見えない環境で、音の方も途中ハプニングが起こって「地獄でなぜ悪い」はメロディーとほぼ合わないという状況。本来の姿を見られたとは言い難い面があったので、余計に今回どうしても見たいステージでした。この2年の間に紅白歌合戦出場、CDショップ大賞受賞。受賞作品となった『YELLOW DANCER』は大傑作。どこまで進化したかをあらためてステージで確認する形でしたが、それ以前にグッズの列の時点で既にとんでもない長さ。ちょうど新曲発売ということでそのポスターも掲げられていましたが、一緒に写真を撮る人多数。もうそれだけで答えが出ているような状況でした。

 こちらもまずは弾き語りからスタート。スポットライトに照らされて「くせのうた」を披露。一つ一つの言葉が彼らしい形で、聴く人の心を響かせます。そこからバンドメンバーが加わって「地獄でなぜ悪い」「化物」。入念なサウンドチェックを重ねていることもあって、2年前のような不協和音は全く起きません。”たくさん腰を動かして腰を痛めて帰ってほしいと思います”というMCを挟んで「桜の森」。次のMCでは近況報告。新曲の発売もさることながら、11日からMBSでも放送されるドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で僭越ながら新垣結衣ちゃんの相手役を務めさせて頂くということ。”高校生の時の俺に伝えたら死ぬ!”といった具合で、体全体を使って大喜びしていました。

 「夢の外へ」「Crazy Crazy」を経て残り2曲。会場全体が残念そうな雰囲気、”エーッ!”というコールを更に促します。この人もレキシの池ちゃんほどではないですが、思いついたことをどんどん勢いで喋ります。その度に会場大ウケでした。しまいには”あと2曲ですが、フェスのトリなのでアンコールやります!””新曲の「恋」をやります!””ですのでみんな出て来るまでに最大限盛り上げてください!””星野源のライブではアンコールを告知します!”といった具合。まあこれは予定通りだと思いますが。

 ラスト2曲、まずは定番の「SUN」。勿論ここに来ている人全員が知っているレベルの曲で、大盛り上がりです。ただ2つ前のステージでも確実に耳にしたメロディー。というわけで?2番サビで例の稲穂を取り出して、歌詞もわざわざそれ仕様に変えて歌います。彼のことですから最低限触れてはくれるだろうと思いましたが、ここまでやってくれるのは期待以上。サービス精神満点です。本編ラストは「Week end」で大団円。むろんアンコールは新曲の「恋」。ライブでは今回が初披露ということで少し緊張もしていたようですが、見事なものでした。演奏にも見せ場があって完成度非常に高く、更なる進化をここにきてまだ感じさせる内容。今年の中でも間違いなく上位に入る一曲になりそうです。

 極めて完成度の高いステージは、まさにフェスのトリに相応しい内容。星野源への褒め言葉はどの単語でも当てはまり、”カッコ良い”でも”かわいい”でも”面白い”でも成立します。特に歌っている時の表情が抜群で、あそこまで幸せそうに歌う人は他にいないというほどでした。女性からの黄色い声の割合は、3年前に見た三代目J Soul Brothers以来の感覚でまさしくアイドル。ですがあらためて見ると男でもうっかり惚れてしまいそうなレベルで、女性なら100人中100人が好きになるといった勢い。音楽的なこだわりも随所に垣間見え、ウケ狙いの喋りだけでなく一つ一つの動きに気配りや感謝の気持ちもおおいに伝わる内容でした。早い話、2016年の音楽の「功」「明」を象徴しているのが今の彼だと思います。

 まさに今のJ-POPを牽引する存在で、最低でも5年10年、もしかすると30年くらい経っても普通に大阪城ホールでワンマン公演しているのではないでしょうか。俳優活動込みで考えると、”究極のマルチプレイヤー”と呼称しても良いと思います。どう考えても当分の間、彼の人気が落ちることはないでしょう。その背景に病気での長期休養、そもそもヒットするまでが非常に長かったなど人一倍の苦労があったことも特筆すべき事項ではないかと思われます。

おわりに

 行くたびに新しい発見があるのがこの手のフェスですが、今回に関しても全く同様でした。言うことなしの内容だったと思います。あとは何回も足を運んでるにも関わらずスタンド席ばかりだった大阪城ホールですが、今回ようやく初めてアリーナ席で見ることが出来ました。54列目なのでステージからは決して近くないのですが、やはり格別なものがありました。音の良さをあらためて感じることが出来たように思います。ここ5年くらいでアリーナ会場も全国各所色々足を運んでいますが、やはり自分にとってここは格別な場所。今後も何度となく訪れることになるのは間違いなさそうです。

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