1位はジャニーズWEST「サムシング・ニュー」。相変わらず21万枚のCD売上を筆頭とする圧倒的なフィジカルでポイントを稼ぐ形です。ただCHART INSIGHTを見る限り、同じ事務所のアイドルと含めてもCD売上数の割に読取数が少なくありません。3種発売ですが今回3形態セットがあるようなので、おそらくセットが1枚扱いされた分読取り数の割合が高くなったと思うのですが、いかがでしょうか。なお楽曲提供はあいみょん。一応short ver.はYoutubeで公開されていますが、こういう時こそストリーミング解禁で相当浮動票が獲得できるのではないかとも思えますが…。

 藤井風「きらり」がなんと2位にランクインしました。Youtubeでの公開はジャケットのみの静止画ですが、これもどうやら計上されているようですね(動画再生数は30位でした)。ですので詳しくは後述します。Official髭男dism「Cry Baby」も10位初登場、これも同様に。なお先週紹介した[Alexandros]「閃光」は、今週15位にアップしています。

 

2位 藤井 風「きらり」


 前作の「旅路」は総合10位、相当良い曲だと思いましたがロングセラーという形にはなりませんでした。今作「きらり」は2位初登場、順位もそうですがポイント数も約1.5倍に伸ばしています。指標はダウンロード・ラジオオンエアともに1位ですが、ストリーミングも12位で指標全体の25%を占めています。前作はストリーミングがやや伸びていない印象でしたが、今作ではその課題をクリアしている状況のようです。

 本田技研『VEZEL』のコマーシャルソングで、アーティストブランドだけでなく曲を聴いて調べてダウンロード or ストリーミング、というリスナーが多数占めると推測されます。”ドライブで聴きたくなる曲”という発注を受けて作られた曲だと思いますが、これだけ完璧に応えられる例もあまりないような気がしますね。突き抜けるような高音とは違う声質で、これだけ爽やかさを感じさせる楽曲は過去ほとんどなかったのではないでしょうか。ここ数年ずっと注目されている藤井さんですが、いよいよ音楽ファン以外にも広く知られる大ヒット戦線に入り始めた予感がします。そういえば今年のビバラロック、直接見たわけではなくTwitterによる体感のみではありますが、一番反響があったと思われるアーティストは間違いなくこの人でした。

 

10位 Official髭男dism「Cry Baby」


 2019年のビバラで初めて見た時に衝撃を受けたのがOfficial髭男dism。当時のレポはこちらにも書きましたが、今でも本当に忘れられません。この年の髭男は、直後にリリースされた「Pretender」が大ヒットして一気に国民的バンドになりました。今年の藤井さんは、2年前の髭男に近い雰囲気を感じています。

 さて今回の髭男はアニメ『東京リベンジャーズ』OPテーマ。今作も凄いです。イントロがまず名曲の予感ありありなんですが、そこからの歌い出しの音が予想と全く違います。この入りからこの音で出すか?とまず思いましたが、最初だけでなく全編メロディーと編曲に微妙なズレを生み出しています。楽曲の構成そのものは複雑ではないのですが、それぞれの繋がりとメロディーは捻くれまくってます。正直これだけ”どういうこと?”という気持ちで新曲を聴いたのは初めてですね。本当に藤原さんしか作れないような、天才を通り越した変態性を感じる作品です。更に恐ろしいのは、こんな曲なのにとっつきにくさを全く感じさせないこと。好みとかどうとかは別として、髭男史上でも特に”凄い”曲であることは間違いありません。

 ランキングのデータ的にはちょうど藤井さんの1つ下、という状況でした。アニメタイアップなのでストリーミングは伸びると思いますが、大ヒットとなるかどうかは分からない面もあります。ただこれは2021年の傑作曲として絶対振り返られないといけない曲ですね。ただでさえ高い才能だけでなく、それを更に進化させているというのが何よりも恐ろしいです。

 

CD6位 あゆみくりかまき「サチアレ!!!」

 今回もう1曲はビルボード圏外ですが、何度かフェスのステージを見て多少思い入れもあるあゆみくりかまきのラストシングル曲について書きます。確かに今作も指標はCD6位のみで他は全くの圏外。データ的には『銀魂』の「反抗声明」が少しヒットした程度、2018年に見たJAPAN JAMではあまりの若いファンの少なさに驚きました。それでも2010年代に栄えた女性アイドルシーンを支えた存在として、外したくはありません。

 振り返ると、あゆくまは常にストレート一本で勝負していたようなイメージがあります。青春系と言いますかスポ根系と言いますか。その熱さが、マタギと言われるファンに強い感銘を与えていたような気がします。もっともその一本気な熱さは音楽以前に最近のアスリートを見ても少数派という印象で、世間に大きくブレイクというには票田がやや狭かったのかなとも思います。引き出しが多い、リードボーカルの歌唱力が特に高いというわけでもなかったので…。

 とは言えその決して器用でない部分もあゆみくりかまきの特性。最後の新曲となった「サチアレ!!!」も、ラストだからこそ表現できる熱い言葉で長年支えてくれたマタギへの感謝を伝えるような、ブレを全く感じさせない押しの作品です。気がつけば、2010年代中盤で活躍した大手以外の中堅女性アイドルは、すっかりシーンにいなくなりました。新しい女性アイドルグループもまだまだ地下には多くいますが、時流の流れもあって今はほとんど出て来られません。この曲を聴くと、あゆみくりかまきがこれまで歩んできた足跡だけでなく、先に解散していったアイドルのいた”時代”までつい思い出します。心から伝えたい「ありがとう」という気持ち、それは演者もファンも、聴いていた私も同じです。