前回の記事に引き続き、「君しか勝たん」特典映像について見ていきます。今回はTYPE-C, TYPE-Dの10人を取り上げます。22種類とも優れた映像なので、興味を持った人は是非それぞれのCDを購入してもらえればと思っています。

 

小坂菜緒「文学少女のふりをした彼女は、自分がスポーツ漫画オタクであることを地球上の誰にも言い出せずにいる。」(TYPE-C収録)


 「キュン」や「ドレミソラシド」など、シングル表題曲のセンターを務めることも多い彼女。乃木坂46にいた西野七瀬を目標にしているとのことですが、関西出身・美人・センター・定評のある演技・控えめで決して奢らない性格など現時点でも既に重なる部分は多いです。名前から”こさかな”というニックネームで親しまれています。

 今回の個人PVは演技メインのショートムービー。スポーツ漫画オタクを演じる彼女の姿は、実際にいたら極めて痛い女子高生だと思うのですが、演じるのが彼女なのでバッチリ美しい映像として成立しています。遠くからゴミ箱にペットボトルを投げつけるシーンなど、実際に決めるまでかなりのテイク数を必要とするショットが見どころ。最後のオフショットでは、やはりそれらを決めるのに苦労するシーンが映し出されていました。彼女はおそらく、10年経ってアイドルでなくなったとしても、女優としてメディアで見る機会は相当多そうな予感がします。

 

富田鈴花「富田っ!あんた、間違ってるわ!」(TYPE-C収録)


 明るい性格でバラエティ的な才能も極めて豊富、どのジャンルから見ても必ず一定以上の結果を残すマルチプレイヤー。一方で大変マジメな性格の持ち主であり、それが時には長所にも短所にもなるという特性もあります。人一倍の努力家で負けず嫌いという印象もあり、バラエティ番組でなかなかフラれないことに涙を見せる一面もあるほど。

 でもよく考えると、不思議なことに彼女をかわいいと感じたことがあまりありません。というわけで今回のPVは、富田さんの”かわいい”を全面的に追求する企画。確かに映像を見る限り、番組で垣間見えるお笑い的な部分より得意ではない印象もありましたが、そこはやはりアイドル。しっかり”かわいい”富田さんを堪能できる映像に仕上がっています。

 ラストはオリジナルソングあり、タイトルは「トゥトゥトゥイ」。”トゥィッター  トゥィッター”で始まる歌い出しは妙なインパクトですが、エフェクト込みの歌声と楽曲は、映像含めてしっかりかわいらしい作品に仕上がっていました。つまり言うと、冨田さんは決してかわいくないわけでなく、かわいいを出す機会がこれまであまりなかっただけということ。出来上がった作品と発想の良さが見事に一致していて、今回の企画PVでもトップクラスの出来ではないかと個人的には思っています。

 

濱岸ひより「ひよタンバリン」(TYPE-C収録)


 ”ひよたん”と呼ばれている彼女は、3期生が加入するまで最年少メンバーでした。高い身長も含めて美しいルックスはファッションモデルのようですが、喋ると基本的にはド天然。時々出てくる福岡弁と笑い方に大きな特徴があります。所謂末っ子キャラですが、それ故もあるでしょうか、最近は特にパフォーマンスの成長が目覚ましいメンバーでもあります。

 映像は、ひよたんがタンバリンを鳴らすたびに場面が色々切り替わるという内容。外国の貴婦人が案内役になっていますが、元々は自身が子どもの頃一緒に寝ていたぬいぐるみ。現実と空想が入り混じったファンタジーな内容ですが、彼女の姿とファッションは素敵です。ラストには楽曲もあります。”♪ひよタンバリン~”から始まる歌い出しは相当ユルい楽曲を想像させますが、実際はギターのエッジがよく効いたバンドサウンド。1990年代後半に活躍したスーパーカーの音楽を思い出しました。歌声は声質が大変綺麗で、とても聴きやすいです。この曲も是非機会があれば、グループのライブで披露している所を見たいですね。

 

渡邉美穂「普通にあこがれて」(TYPE-C収録)


 グループ1のしっかり者、かどうかは実際分かりませんが、どの番組を見ても安定して高い結果を残しているメンバーという印象があります。したがって、大変地頭の良い人だと勝手に思っています。負けず嫌い、というのはグループ全員に共通している特性ですが、確かに彼女はその傾向がかなり強いかもしれません。特技はバスケットボールで、それをテーマにした番組も担当しています。

 母親を尊敬しているとともに、デビュー時はアイドルになることをかなり反対されたというエピソードがあるようです。というわけで、映像は”もし自分がアイドルではなかったら”というテーマで展開。気がつけば自分が母親になっていたという入りは『世にも奇妙な物語』チックですが、もし自分が母親だったら…というテーマで映像を作るのは理が適っています。自身の今の想いが、よく伝わってくる良い作品だと思いました。

 

上村ひなの「明日はもうちょっとアイドル。」(TYPE-C収録)


 ”いつでもどこでも変化球”。これは彼女のキャッチフレーズですが、次々に出てくるその類稀な発想は本当に他から出てこないユニークさ。そもそも最初3期生として加わったのが彼女だけ、というスタートから異例。メンバー最年少の17歳ですが、その将来性には本当に末恐ろしい物を感じます。

 内容はいわゆる”アイドルが色々やってみた企画”ですが、進行は彼女が幼稚園の時に作った空想上の友達・アルパカジェントルメン。メニューは”激辛料理レポート””大喜利””打つなの!と唱えながらひたすらパンチ”。そしてエンディングテーマで「ラブポーション No.17」。「ひよタンバリン」同様スーパーカー色強めで、フルカワミキさんボーカルでもあまり違和感ないサウンドです。字余り気味のサビがクセになりますね。ちなみに両曲更に富田さんPVも、楽曲制作は太陽コンピューター。後述しますが、河田さんのソロ曲も担当しています。

 

加藤史帆「5年間」(TYPE-D収録)


 今回の表題曲センター担当は、日向坂46でも一、ニを争う人気メンバー。若干気の抜けたような喋り方が特徴的ですが、ダンス・歌唱・お笑い全てにおいて相当高い実力の持ち主です。

 海辺を背景にしたドキュメンタリータッチ、その中でこれまでの5年間を振り返るナレーション。”アイドルは思ったより過酷でした”、という言葉が印象的です。ピアノのみの演奏をバックに歌う姿は完全に女性ソロシンガーで、美しさと格好良さが見事に同居しています。”Sing for you”という歌詞には、”史帆”という名前にもかけているように聴こえます。全22作の中でトップクラスに聴かせるマジメな作品…と思いきやエンディングで突如裏PV「パラパラ」に切り替わります。ビックリするぐらいに真顔でパラパラを踊る姿はとってもシュール。おそらくこれをやるのが一番の目的で、その前フリにどれだけ落差をつけられるかを考えた結果がこの映像だと思います。流石・見事・やっぱり。最初に見終わった後に出てきた単語は、この3つのフレーズでした。

 

佐々木久美「NIGHT FLIGHT」(TYPE-D収録)


 日向坂46を率いるキャプテン。そのリーダーシップは極めて強く、彼女がいるからこそ今の日向坂46があると言っても良いほど。身体能力も高い上に頭の回転も早く、特にお笑い方面はモノマネ・変顔から芸人の細かい知識も含めて相当なもの。現在AbemaTVで『みえる』のMCを務めていますが、いずれはここ何年も途絶えているアナウンサー以外の女性MCとして君臨して欲しいと個人的には思っています。それくらいのポテンシャルが、彼女にはあるように見えます。

 そういう方面はテレビで現在相当見せているので、今回の企画では思いっきり音楽方面に寄っています。メイキングも抜きで完全にフルでソロ曲「NIGHT FLIGHT」のPVを作って収録、という内容になりました。ラップで構成するAメロと爽やかなメロディーのサビ、近未来的サウンドを意識しています。ソロ曲として大変魅力的な内容であるとともに、本体のシングル表題曲でも一回くらいこういうテイストの曲を試して欲しいという思いにもかられます。秋元康は大変偉大な作詞家・放送作家・プロデューサーですが、還暦を超えた彼ばかりに頼るのは今後のことを考えても…という部分も大きいですからね。

 

東村芽依「わたしはねこ」(TYPE-D収録)


 奈良県出身ですが、テレビでの喋りは他のメンバーと比べるとあまり得意な方ではありません。ただ不思議系としてしっかりキャラの濃さは既に出ています。彼女の能力の高さはパフォーマンスで顕著に見られ、特に運動神経の高さは他の坂道メンバーを凌駕しています。迫力のある動きで魅せる彼女のダンスは、日向坂46のライブでもトップクラスの見所となっています。

 自身の冠番組で時々猫キャラを出してくることがあるのですが、それを思いっきり出してきたのが今回の企画。Eテレの教育番組か、もしくは保険会社のコマーシャルを見ているかのような映像です。かわいらしい楽曲ですが、よく聴くと歌声も普段の喋り声と少し違っていて、とても良い味を出してます。癒されますね。ちなみに作詞は齊藤京子PVと同様、山崎あおいが担当しています。

 

河田陽菜「かわだっち」(TYPE-D収録)


 グループでもトップクラスの天然キャラクター。彼女の笑顔には、見る人全てを癒してくれる特殊能力が備わっています。山口県出身。なお”かわだっち”というタイトルですが、苗字の読みは”かわ”です。

 たまごっちを彷彿とさせるような”河田陽菜育成ゲーム”が今作のテーマ。挨拶は”ひなっちーす”。唐揚げを食べる姿、あっち向いてホイで負けて不機嫌になる姿、けん玉や縄跳びをする姿、パンダの格好で色々やる姿、不良姿になるもキャラクターを維持できず笑ってしまう姿…、なぜか山口県の形をした着ぐるみを被る姿、メイド姿でオリジナルのテクノポップを踊る姿…。可愛いは正義、というフレーズはこの映像の為にあると言いたくなる内容でした。Youtubeでは松田好花・影山優佳・山口陽世とともにこの作品も予告映像の再生数が特に多いですが、実に納得。この映像だけでTYPE-Dを購入する価値があると言っても良いくらいの、見事な内容です。

 

髙橋未来虹「そういえば、あの頃」(TYPE-D収録)


 ラストは新3期生。非常に身長が高く、169.5cmはメンバーで一番の高さです。またリアクションの大きさにも定評があり、冠番組では思いっきり口を開けて大笑いする姿が印象的です。

 今回の3期生はひたすら野球に全フリしたり、増殖や巨大化するホラー展開だったりアルパカジェントルメンだったりでおかしな映像ばっかりでしたが、彼女に関しては港町の校舎で制服姿で踊ったり動いたりするという極めてノーマルかつ健全で爽やかな内容でした。ソロの歌声はフレージングにまだまだ将来性有りといった所ですが、その初々しさがあるからこそ価値があるとも言えます。そう言えば彼女はまだリアルに女子高生。このご時世アイドルということを抜きにしても、本来高校で出来るはずのことが叶わなかったこともあるはずで…。”私たちの文化祭”とカラフルな黒板に書かれた文字が、最後のショットで見ると少し切なく感じる部分もあります。