前回の記事で「君しか勝たん」収録曲のレビューを書きましたが、この作品の本編はむしろ初回限定盤の映像にあるのではないかと思ってます。日向坂46が超個性的なメンバーの集まりであることは、ファンならば十分認識しているかと思いますが、そうでなければ識別も難しいというのが大人数グループの宿命だと思います。

 今回の記事ではメンバーそれぞれが発案した22パターンある映像全てのレビュー、そして出来る限りメンバーがどういう特性の持ち主であるかということも書いていこうと思ってます。ただ22個全てを1つの記事にするとものすごく長くなるので、A,BとC, Dでそれぞれ2つに分けています。

 

齊藤京子「死んじゃうくらい、抱きしめて。」(TYPE-A収録)

 黒髪と低音ボイスが異彩を放つ、日向坂でトップクラスの歌唱力を誇る齊藤京子さん。アイドル・歌手としての素養は間違いなくトップクラスですが、喋ると独特過ぎる感性が一気に放出されます。このキャラクターは、グループの冠番組以上にテレ朝水曜深夜放送・AbemaやTVerにYoutubeでもアップされている『キョコロヒー』で大変分かりやすく放出されています。ところが意外とゴールデン他の番組になると、常識的なキャラクターに見えてくるのも不思議なところ。

 今回の特典映像は、自らが歌う曲に乗せて、相模湖の遊園地を舞台に色々なシチュエーションで送る実にアイドルPVらしいアイドルPV。美しい風景と彼女の光景に癒される内容です(過去に衝撃的な姿を見せたことのある調理シーンだけは例外でしょうか…)。楽曲もこのために作られていて、90’sらしいメロディーを主体としたポップな楽曲。タイトルは「死んじゃうくらい、抱きしめて。」、作詞は秋元康ではなくハロプロにも多く提供している山崎あおい。詳しくは後述しますが、今回の企画では本体で歌わないようなソロ曲が多々登場します。

 

佐々木美玲「みーぱんの目指せ!ドッグトレーナー」(TYPE-A収録)


 昨年の「アザトカワイイ」でセンターを務めたのはこの人。あだ名がみーぱんなのは、パンが好きだから。明るい笑顔と喋りが、見る人を常に元気づけてくれます。他アーティストのPVだと、Aimer「花びらたちのマーチ」にも出演していますね。

 映像は愛犬のクマを連れてきて、ドッグトレーナーにしつけ方を学ぶという内容です。クマちゃんのかわいさと、みーぱんの一生懸命さがとても印象的です。特に歯磨きをさせるのに相当苦労していました。私は犬が苦手な人なので思うことは何もありませんが、犬を飼う人にとっては参考になる部分も多い動画ではないでしょうか。

 

高瀬愛奈「ホントのワタシ。」(TYPE-A収録)


 天然・やってる問わずボケキャラが多いグループの中で貴重なツッコミ気質、オードリーでは多数を占める若林派ではなく春日派、関西弁と英語が堪能、メンバーからも謎が多いと言われるプライベート…。というわけで非常にキャラクターが濃く魅力的で面白いまなふぃこと高瀬愛奈さんですが、その一方で握手会では現状なかなかすぐに完売といかないようです。

 今回の企画は、面接でなかなか自分をアピールできない姿・すぐに逃げるこれまでの自分と、本当のこれからの自分はこうですよと踊る姿を映しています。すごく彼女らしさを感じたとともに、彼女ならではの悩みも少し感じる内容でした。一言で言うと、すごく良かったです。他のメンバーにはない魅力を持っているメンバーなので、これをきっかけにもっと人気が上がって欲しいと心から思いました。

 

金村美玖「水色、美玖色」(TYPE-A収録)


 2期生の人気メンバーです。大体の楽曲でも前列か2列目のフォーメーションにいることが多いですね。決めゼリフは「皆さんみくを推すしかない」。好きな食べ物がそうであることも加わって、ファンからはお寿司と呼ばれています。

 白のキャンバスに様々な色を描いて、”私の色はなんだろう?”と歌うソロ曲PVです。やや不規則なメロディー進行に近未来的なアレンジ、ゴリゴリのベースは元ZAZEN BOYSの吉田一郎不可触世界。本体の日向坂46では聴けそうにないサウンドは、一聴の価値があります。楽曲の雰囲気もメンバーが決めていたとしたら、彼女は結構なセンスの持ち主と言えそうです。

 

宮田愛萌「私たちの未来」(TYPE-A収録)


 日向坂46で一番”アザトカワイイ”人です。天性のぶりっ子気質は握手会屈指の釣り師。頭脳明晰な文学少女である彼女は、日向坂屈指のお嬢様という印象もあって、極めて上品な印象です。グループでは後列が多いですが、だからこそ美味しいソロショットも多いです。初出場の紅白では、バッチリ完璧なウィンクを決めていました。

 先日大学を卒業したと同時に司書資格も取ったという愛萌さん。というわけで今作では、新たに作られたソロ曲をバックに大学生活を振り返るようなPVとなりました。歌唱は正直申し上げると拙い印象ですが、だからこそ聴く人により感情が伝わる歌声に聴こえます。4月まで体調不良で活動休止していますが、彼女の姿や声を見ると本当に戻ってきて良かったと心から思いますね。最後のオフショットで見せた、レコーディング時の涙も感動的でした。

 

山口陽世「ぱるよの星」(TYPE-A収録)


 日向坂46の冠番組では一時期野球企画が続出していましたが、新3期生の彼女は実際に野球経験があったようです。鳥取県出身、あだ名はぱる。アイドルとしてのポテンシャルはまだまだこれからですが、野球の実力に関しては既にトップクラスにあるようです。少なくとも始球式では、間違いなくノーバウンド投球を見られる物と思われます。

 ただそれにしても、昨年まで横浜DeNAベイスターズの監督をやっていたアレックス・ラミレス氏がゲスト出演するとは想定外でした。しかも単なる野球指導ではなく、ラミレスを指導役・バッター役の2役を演じさせて、ラミレスが指導する魔球でラミレスを打ち取ることを目標とした映画仕立て。おそらくアイドルのソロPV史上初めてのことでしょう。大体にして、”日向坂46のアイドルとして、高みを目指すために日々投球技術を磨いている”という語りから入る時点でもうおかしいです。ちなみにラミレスさんは、外国人選手で初めて日本だけで通算2000本安打を達成するという実績を持つ、誇張なしで伝説のバッターと言える人です。

 終始ユニフォーム姿というのが凄いですね。知らない人が見たら、逆にアイドルとは思えないくらいです。先日かとしが横浜スタジアムで始球式を務めましたが、出来れば今年中に彼女の始球式も見たいと思いました。

 

潮紗理菜「潮紗理菜の世界民族楽器の旅」(TYPE-B収録)


 癒し系の笑顔と”聖母”とまで呼ばれる性格の良さが魅力的なサリマカシーこと潮紗理菜さんですが、インドネシア在住歴を活かして次々と日本人に馴染みのないアイテムを番組によく持ち込みます。ガムランボール、ギロ、カリンバなど枚挙にいとまがありません。気がつけばインドネシア関係なしに自作の棒まで持ち出して、個性派が多い日向坂46でも相当な個性派メンバーと化しています。

 そんな彼女なので、世界民族楽器を題材にしたPVになるのは全く無理がありません。様々な楽器の指導を受けるドキュメンタリーは良いのですが、後半の演奏シーンが凄いです。本人が作詞したというオリジナルソングのタイトルは「ラミラミパロパロルプルプル」。呪文のような歌詞は一部日本語が入る以外、何語なのかも分かりません。色々指導を受けた割に、実際に演奏する楽器が既に番組で披露したことのある物ばかりというのもツッコミどころ。凄いです。サリマカシーの濃いキャラクターが出まくっている、とても個人PVらしい個人PVでした。

 

影山優佳「学びの化物 影山に1日休みを与えてみた」(TYPE-B収録)


 学業優先で長い活動休止期間があったので、実はシングル自体初参加の影山さん。おそらく坂道どころか歴代女性アイドルでもトップクラスの頭の良さの持ち主で、知識だけでなく喋りからも相当な知的さを感じ取ることが出来ます。またサッカーに関しては審判4級の資格持ち、海外・日本問わず相当な知識量の持ち主。テレ東の『FOOT×BRAIN』をきっかけに各サッカー番組にも多く出演、本職のサッカー関係者からも一目置かれる存在となっています。

 というわけで今回は”学ぶ”をテーマにした企画。1日かけてヨガ・オカリナ・お笑い・占い・演劇・料理を学ぶ内容に仕上がっています。一言でいうと、撮れ高が多すぎて短い時間にまとめるのに大変苦労した動画です。内容は良かったですが、次はもう少しテーマを1つにまとめた個人PVを見てみたいです。

 

高本彩花「夜灯」(TYPE-B収録)


 JJの専属モデル、ファッションの意識はメンバー間でも特に高い彼女。苗字からおたけと呼ばれるニックネームは、もうジャングルポケットよりも浸透している…と言うにはさすがに言い過ぎでしょうか。フォーメーションでも前列にいることが多い人気メンバーです。齊藤京子さんと同様、少し知識が足りない部分があるのが長所でも短所でもあるでしょうか。

 PVは夜のバーに足を運んで大人っぽさを演出している内容です。ただ飲み物をストローで飲んでいたり、笑顔が必要以上にかわいかったりで何か違和感があります。妙に背伸びしているように見えるのが、微笑ましいとも言えるでしょうか。

 

丹生明里「丹生明里のやりたいこと10個やってみた!」(TYPE-B収録)


 にぶちゃんです。彼女は天性の天然の天才という印象でしょうか。本当にアニメに出てきそうなキャラクター、という印象もあります。アイドルが週刊誌に撮られる例は過去色々ありますが、誰が撮られるのが一番ショック受けるかと言われたら彼女です。推しとかそういうのは関係なく、一番想像がつかないんですよね。

 映像はタイトルの通りです。とにかく色々やっています。個人的に一番面白かったのは『NIBU FIRST TAKE』たる企画。あの雰囲気でチキンタルタルが食べたいと歌うだけの動画、本家ではありえないですよね。ちなみににぶちゃんとタルタルチキンの関係は、ググればすぐ見つかると思うのでここでは省略します。情報が渋滞していて、字で説明すると結構長くなるので…。

 

松田好花「真夜中の松田さん」(TYPE-B収録)


 22人いるメンバーで、最も企画吸収力が高い貪欲なメンバーという印象がある人です。元々ラジオ好きで、オールナイトニッポンにも投稿ハガキを送ったことがあるとかないとか…。

 というわけで今回の企画は深夜ラジオ大好きなマニアを演じる内容。演じるとは書きましたが、実際そうであろうという部分も多々ありそうな雰囲気です。ジャージ姿にメガネというヲタヲタしさも良いですが、表情にアクション・声の出し方が思いっきり大袈裟かつリアル。

 ラジオでかかる音楽に乗せて踊る姿。「好花deNight」というタイトルなのですが、これがとんでもなく良いです。ロックフェスのイメージにも合致しそうなアップテンポの楽曲は、とにかく松田好花さんの長所が思いっきりスパークしていて、すごく魅力的なPVだと感じました。全身を躍動させるアクションは、バレエの動きも入っています。本家のライブでも公式で是非やってほしいです。どの特典映像もオススメですが、一番を挙げるとしたら私はこれを推したいですね。

 

森本茉莉「MARIE IN WONDERLAND」(TYPE-B収録)


 新3期生の1人。長身のロングヘアーは、以前乃木坂46にいた相楽伊織さんを彷彿とさせる部分もあります。彼女は現在もモデルなどで活躍していますが、なかなかぶっ飛んだキャラクターという印象がありました。

 この1年、随分変わった頭脳の持ち主だと感じざるを得ない場面が色々ありましたが、この作品はそれをはるかに凌駕しています。冒頭インタビュー、”特技はぜんぜん普通なんですけど、夢を操れることかな”辺りから”ん?”となります。まりぃさんの喋りはどんどん暴走していって、最終的には分身したり巨大化して登場したり。夢と現実が一体になるホラー展開から、ラストは素っ頓狂なテーマソングからフォーチュンミーツの宣伝。TYPE-AとTYPE-Bだけでおかしな個人PVは色々ありましたが、一番狂っているのは間違いなくこの映像だと思います。

 

 TYPE-CとTYPE-Dの映像は、次記事で更新します。