Spotify/YouTube再生数ランキング・13　きゃりーぱみゅぱみゅ

　再生数を調べる企画、第13弾はきゃりーぱみゅぱみゅを取り上げます。2023年1月29日にデータを更新しました。

　中田ヤスタカプロデュースで「PONPONPON」が大注目されたのは2011年の秋、もう10年近く前のことになります。翌年1月のシングル「つけまつける」になると、足を運んだ西宮ガーデンズのリリースイベントはもう溢れんばかりの人の多さ。一気に人気が加速して、紅白歌合戦にも3年連続出場する実績を残します。

　人気が落ち着いてからは新曲ペースも落ち着いて、実を言うと2015年以降オリジナルアルバムは『じゃぱみゅ』『キャンディーレーサー』の2作のみ。ですがSpotify, YouTubeともに近年の楽曲も一定以上の再生数を記録しています。やや一発屋っぽい売れ方でしたが、現在までアーティストとして高い人気が続いているのは、中田ヤスタカプロデュースの楽曲だけでなくセルフプロデュース能力の高さも大きいように思います。人気絶頂期に足を運んだライブのMCを聴いた時点で、多少数字が落ち着いてもすぐ消えることはないだろうという予感は容易に想像できました。

　まずはSpotifyランキングを見ていきます。シングルのカップリング中心にextended mixと題した別バージョンも多いので、合算版も作っています。

　タイアップはアニメ・ゲーム・映画・ドラマ・CM・報道＆スポーツ・その他でそれぞれ色分けしています。発売当時の分のみ記載で、複数タイアップは代表的な1つをピックアップしています。また紅白歌合戦歌唱曲もカラー表記、今回は紅組歌手なので赤文字表記にしています。

Spotify再生回数ランキング

Spotify再生回数ランキング（合算版）

　「PONPONPON」が大差をつけて1位でした。海外でも取り上げられる機会のあるJ-POPで、日本国内以外でも相当数再生されているものと思われます。その次の「にんじゃりばんばん」も、外国人の日本に対するイメージを逆手に取るような形で海外ウケするタイプの楽曲です。Steve Aoki Remixが2020年に配信されて、そちらでも200万以上の再生数を記録していますが、楽曲の総合順位としては変わらずの結果でした。近年は「チェリーボンボン」が、ハリウッドの大物俳優カイル・マクラクランがTikTokのBGMとして使用したという話題をきっかけに大きく数字を伸ばしました。

　3rdアルバム『ピカピカふぁんたじん』以後の一部シングル曲はアルバムで別ミックスを施すこともあるので、合算にすると順位の変動が大きくなります。extended mixの再生数は曲によってかなりバラつきありますが、やはり元の楽曲の再生数が多い曲がリミックスも伸びる傾向があります。ただ「にんじゃりばんばん」については7.0万程度だったので、あくまで傾向という形に留まります。新しい曲は円盤化しないこともあってわざわざリミックスも作らないようで、その分トラックの数はやや少なくなる傾向にあります。

　近年の曲は「原宿いやほい」「きみのみかた」「きみがいいねくれたら」がサウンドだけでなく歌詞も含めて支持を集める楽曲という印象があり、堅調に再生数を伸ばしています。「かまいたち」「ガムガムガール」も100万再生を突破しました。ただ2021年10月27日リリースのアルバム『キャンディーレーサー』収録の新曲以降はあまり伸びておらず、多い曲で40万前後に留まっています。

YouTube再生回数ランキング

　おそらく、YouTubeでMVフル公開を一番最初に積極的に行ったアーティストのうちの1組だと思います。「PONPONPON」の大ヒットは、プロモーションビデオがYouTubeを介して広まったことが大きな理由でした。CDリリース前にフル尺を公開したことは、結果的に当時のCDセールスの上昇にも大きく繋がっています。AKB48やサカナクション、KREVAやONE OK ROCKなどの事例もありましたが、まだフル尺公開するアーティストが少なかった時期における彼女が残した結果は極めて大きいです。

　「PONPONPON」は1億再生達成、この時期新譜として出されたMVでは異例の数字です。それ以降も1000万超えが連発していて全15作。2016年以降CD・配信開始とほぼ同時公開になった関係もあって、上位は2015年以前の作品がほとんどです。「もんだいガール」「きらきらキラー」は公開開始から発売までの時期の関係で、少し数字を下げているようにも見えます。

　MV公開しているのは全23作なので、ランキングがほとんど全てです。現在デビューから「キャンディーレーサー」まで、23作連続で100万再生を突破しています。なお「にんじゃりばんばん」は2020年のSteve Aoki Mixも386万回再生を達成していますが、MashupVideoをMusic Videoと捉えるべきかどうかは微妙な点もあるのでリストからは外しました。

マイベストランキング

　マイベストは上の表の通りです。「つけまつける」「CANDY CANDY」の後に発表された「ファッションモンスター」の衝撃がとにかく凄まじかったです。きゃりーぱみゅぱみゅのキャラクターをこれだけ凝縮した作品は他にないと思いました。やはり個人的にも2012年～2014年の曲が繰り返し聴いた回数が多い分、どうしても上位にいきがちになります。良質なメロディーの楽曲もいいですが、「み」「演歌ナトリウム」「のりことのりお」みたいな強烈な歌詞の曲は耳に残るので多少上位には入ってきます。新しい曲も「キャンディーレーサー」「ガムガムガール」「原点回避」など相変わらず楽曲の完成度は高いので、もう少し再生されて欲しいとあらためて思うわけですが…。