ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021開催中止に関して、皆さんにお伝えしたいこと(RIJFオフィシャルホームページ)

 この決定に関しては様々な意見・思いがあります。茨城県医師会の文章の曖昧さとタイミング、ロッキン中止でも五輪はやるのか、そもそもこのフェスをやるべきだったのか、音楽ファンやアーティストはもっと声を挙げるべきではないのか、その他意見は様々。

 正直、これに関しての正解はありません。いずれの意見も全面的ではないにせよ、納得・理解できる面は存在します。ただ一つ間違いがあるとすれば、自分と違う意見に喧嘩腰になることくらいでしょうか。見ず知らずの人同士がネット上でバトルして、一体どうするのでしょうか。Twitterでそれを犯している人が多々見受けられるのは、非常に頭の痛いところですが…。

 今回の件で必要なことがあるとすれば、オフィシャルホームページに書かれた渋谷陽一氏が発したメッセージに目を通すこと。おそらくこの記事を読んでいる人はほぼ全員目にしているとは思いますが…。ただ一度でもロッキンに足を運んだことのある人なら、全ての人が快適な空間を実現する為にどれだけ徹底した運営をやっているのかは確実に分かるのではないかと思っています。

 

~ロッキンの快適さ~

 夏フェスには2010年代、ほぼ毎年のように行っていました。参考までに、私が2019年に足を運んだ夏フェスは以下の通りです。

2008年:ROCK IN JAPAN FESTIVAL

2009年:ROCK IN JAPAN FESTIVAL

2010年:サマソニ大阪

2011年:サマソニ大阪

2012年:HIGHER GROUND、サマソニ大阪

2013年:BBQ in つま恋、TOKYO IDOL FESTIVAL、サマソニ大阪

2014年:TIF

2015年:TIF、音楽と髭達

2016年:TIF

2018年:@ JAM EXPO

2019年:ロッキン

 夏に限定しなければイナズマロックにビバラにメトロックにCDJもあり、カミコベには何度も行きました。もちろんロックファン・フェス好きの方々と比べればはるかに少ない回数ですが、音楽好きではない一般の方よりは行っていると思います。大小様々なフェスに行きましたが、もっとも初心者にハードルが低くて万人楽しめる夏フェスはやはりロッキンではないかと思います。

 まずはシャトルバスバスターミナルは駅から駐車場まで随分歩くこともあるのですが、ロッキンは勝田駅で徒歩5分程度、水戸駅だとバスターミナルにそのまま乗り入れ。そして会場側は降りる時も乗る時もゲートの目の前。乗り場で迷うことがほとんどありません。更にシャトルバスは茨城交通全面協力の元、ひっきりなしに走ります。動員人数が多いので終演後の列は長いですが、それと比べると待ち時間は長くありません。別の会場では1時間以上待たされたこともあるので、そう考えると非常に楽なものです。

 次にゴミ箱とトイレの多さ。これは一昨年10年ぶりに行ってあらためて強く思ったことです。ゴミ箱をこれだけ探す必要のないフェスは他にありません。20年近く開催されていることもあって、想定される導線を完全に把握しきっている印象がありました。また、仮設トイレの多さもやはり他と比べても格段に多く、ほとんど列が作られることなく回転していました。これも大半の場合、男性トイレでさえも長い列になりがちなので…。

 会場は非常に暑いので熱中症対策が必須ですが、その点でもほぼ万全です。ステージ間を移動する通路にはミストがしっかり設置され、水分補給できる箇所も多くあります。売店のドリンク目当てに長蛇の列が出来る、なんてことはほとんどありません。

 初心者に優しいといえば、ダイブ・モッシュが禁止されていることも挙げられます。これはパンクロックファンにとって賛否両論あって、10年ほど前に足を運んだ時は、当時の出演者が苦言を呈した場面も見ました。ですが周りの人の安全性・フェス初心者の多い観客の傾向を考えると、一理ある規制だと思います。反対の声もありましたが、この決意もまた渋谷氏の意志の強さを感じました。

 何よりも一番素晴らしいのは地元・茨城県と一体となって会場を盛り上げているところ。これは滋賀のイナズマでも感じたことですが、一音楽イベントというより地方の一大イベント・規模の大きな祭りの一種として定着しています。

~今回渋谷さんが一番言いたかったことは…~

 思えばロッキンが始まった2000年、フジロックは既に開催されていたものの四大フェスという言葉はこの世になく。そもそもロックフェスティバル自体日本には一部の音楽ファンのみの認識でした。特に邦楽限定となると、ロッキン以前に毎年開催されていたフェスはなかったように思います。初回はGRASS STAGEのみの1ステージ制、それも2日開催のうち2日目後半は台風で中止。立ち上げは正直申し上げると、成功とは決して言えなかったわけです。

 それでも徐々に規模を拡大し、イベントに協力するアーティストも増加します。2000年代中盤になると人気アーティストの参加も増え、フェス参加をきっかけに知名度が上がるアーティストも出てきました。やがて邦楽のみのフェスも各地に増え、場所によってはそれが地域おこしの一環にもなっています。どういった事象においても、一番苦労するとともに名声が大きくなるのは先駆者です。つまりは、ROCK IN JAPAN FESTIVALというのはフェス社会の先駆者というわけです。このフェス無くして2010年代のフェス隆盛は絶対に有り得なかったと、断言して良いです。それくらいの存在感と責任感が、ロッキンにはあります。

 音楽・エンタメ産業は厳しい状況です。それ以外でも、大変な状況下に置かれている人は多くいます。ロッキンも本来なら、医師会の意見になど左右されず開催したかったはずです。

 ただ渋谷氏は2016年CDJの朝礼で次のことを話していました。「可能な限り快適な空間を実現する」「最大限の幸福より、最小限のストレス」。この最小限のストレスというのは、今回の件に置き換えると「わずかなリスクも事前に解決させて起こさない」、そう捉えることも出来ます。

 東京で緊急事態宣言が発令されたことが示すように、関東一円のコロナ感染者数は実際のところ増加傾向です。客層を考えるとワクチン未接種の人がほとんどで、規模を縮小したとしてもJAPAN JAMよりも多くの人流が見込まれます。医師会の提言方法に問題があるとは言え、結果的にそういう形で出されると、渋谷氏の考えだと中止を選択するのは無理もありません。公式のメッセージを見ると、一つ一つの表現に対し理論的かつ具体的に中止した理由を述べています。ストレスを最小限にする・懸念を無くす…、その考えを聞いたことのある人間にしてみれば、メッセージは納得できることばかりです。

 中止の無念さ・経済的な損失・何より関わって来た全ての方々への申し訳無さ…。色々ありますが、ここで渋谷氏が本当に一番言いたいのは「音楽を止めるな、フェスを止めるな」ということ。それと同時に、今現在開催される予定のある全ての夏フェスは成功を願っているということ。これは今までフェスの先駆者であったからこそ、今回みたいな良くない意味でも先駆者にはならない、なってはいけないという強い願いでもあるように思えます。

 医師会や政府、さらに茨城県を糾弾するのは難しいことではありませんが、大事なのはそんなことではありません。何よりも、同じことを二度と繰り返さないことです。来年のROCK IN JAPAN FESTIVAL、その前に今年のCOUNTDOWN JAPAN…。まずは無事に開催されて欲しいです。そのためには、自分たちがどう行動すべきかも考えて、それを実行する必要もありそうです。当然、来年のロッキンはひたちなか市で開催されることを願ってます。これはもう絶対です。ひたちなかで開催されないロッキンは、もはやロッキンではありません。

 私も2020年2月以降ライブに足を運べていないので、この文章にどれだけ説得力があるのかどうかは分かりません。ただやはりロッキンに何度か足を運んだことのある自分にとってはどうしても書かざるを得ない気持ちになったので、書いた次第です。それにしても、初めて行ったフェスがロッキンで、結果的に現状最後に行ったフェスもロッキンというのは何たる偶然なのでしょうか…(後者の場合諸々の事情でその後に行くフェスをキャンセルしたので、余計にそういった部分も感じます)。