紅19(全体42):松田聖子(6年連続22回目)
・1980年デビュー 第31回(1980年)初出場
・1962年3月10日生 福岡県久留米市出身
・タイトル:「SEIKO DREAM MEDLEY 2018」
楽曲1:「風立ちぬ」(1981/10/7 シングル)
詞:松本 隆 曲:大瀧詠一
楽曲2:「ハートのイアリング」(1984/11/1 シングル)
詞:松本 隆 曲:Holland Rose
楽曲3:「天国のキッス」(1983/4/27 シングル)
詞:松本 隆 曲:細野晴臣
楽曲4:「渚のバルコニー」(1982/4/21 シングル)
詞:松本 隆 曲:呉田軽穂
・歌唱前テロップ:夢の80年代ヒット曲メドレー
・歌唱中テロップ:みんな歌える!ドリームメドレー
・演奏時間:4分28秒
聖子さんとともに、『いだてん』で主演を務める阿部サダヲが登場。普通にファンとして感激しています。広瀬さんも映画で「瑠璃色の地球」を歌ったこともあったり、カラオケでも歌ったりで縁があるそう。「嬉しいです。久しぶりにメドレーをやらせて頂いて」と聖子さんも話します。スタンバイ時に「前ごめんなさい、失礼します」、その一言にも感激する阿部さん。相当なファンのようです。
まずは「風立ちぬ」。1981年、同じ年の紅白では「夏の扉」を歌ったので紅白初歌唱。当時と比べてかなりキーを下げていますが、その分歌声に無理が全くありません。勿論当時大ヒットした名曲で、舞台袖では内村さんや阿部さんも大熱唱しています。
次は1984年の秋にヒットした「ハートのイアリング」。こちらも同じ年の紅白で歌ったのは「Rock’n Rouge」でした。Holland Roseのペンネームは佐野元春、彼の作った曲が紅白で歌われるのは意外にも今回が初。更に続くのは1983年「天国のキッス」。その年は「ガラスの林檎」と「SWEET MEMORIES」が両A面で大ヒット、紅白では「ガラスの林檎」が歌われました。また「SWEET MEMORIES」も第50回(1999年)の紅白で披露されています。
フィナーレは「渚のバルコニー」。1982年、その年の紅白では「野ばらのエチュード」。同じ年のヒット曲「赤いスイートピー」は3年前の大トリが記憶に新しいです。作曲は呉田軽穂、言うまでもなくこの後ステージにも登場するユーミンのペンネームです。
全体的にキーをかなり下げて歌った部分は賛否あるかと思いますが、その分非常に聴きやすかったです。選曲も全てが紅白で初歌唱というのが大変ポイント高いです。というより、20代前半のアイドル期に歌った曲を50代後半にこうやってステージで歌うことが、絵的に違和感全くないのは本当に凄いこと。30年以上前の曲ですが、不思議と古さを全く感じません。アイドルソングでありながら、まさしく何十年後でも歌い継がれることを当時から予見していたかのような。聖子さんに対してもそうですが、同時に当時の制作陣にもあらためて大きな拍手を贈りたい、そんな気持ちにさせるステージでした。
歌い終わった後に、審査員の夏井いつき(楽しみな歌手:星野源)にコメントを求めます。けん玉で白に傾いたものの、聖子さんで完全に紅になったと話しています。あと「チコちゃんは紅に入れていいの?」と質問。司会者の見解では特別枠ということですが、確かに普通に見てるとどの出演者も白か紅か、自然に区別する形になるのは確かなことです。
(ウラトーク)
ステージが終わった後もaikoとのエピソードトークが続きます。サンドがM-1優勝した後にわざわざCDを持って楽屋に来てお互い「本物だ!」と言ったり、直美さんはラジオで共演した際にお手紙を頂いたり。というわけで「aikoさん来るから、雨宮さんの想いを全部伝えてください」「結婚式で歌います、って」「結婚式で歌ってもらっていいっすか?って」。ただ出演料まで発展すると「ちょっとそれを聞いた時点で激イタ…」とさすがに話を止めます。話題をそらすかのように雨宮アナは「富澤さんタキシードかっこよすぎる素敵」とTwitterのメッセージを読み上げます。富澤さんだけにメッセージが来たことに、色違いの同じ服を着ている伊達さんが少し嫉妬。
ウラトーク席は「風立ちぬ」で完全にステージを語るモード。40年間ずっと声も姿も変わらないと話しています。喋ろうとしていますが、やはり聴いてしまうという状況のようです。途中聖子さんがこちらを振り向いたようなシーンには「ニコって笑った!」「いや、今見たよね」、思わず伊達さんが「素人か!」とツッコミます。
野村萬斎もこちらを振り向いたそうです。そして出川さんはテンポがズレていて、ちょっと眠くなってるようです。
「天国のキッス」パフォーマンス中に三浦大知がウラトーク席に登場。さすがに緊張で手を振る余裕はなかったようですが、パフォーマンス中に見はしたとのことです。今回は平成30年ということで、30人のダンサーを揃えましたと話しています。
(解説)
・1980年代当時の紅白は2010年代のように複数曲歌うケースが非常に少なく、「紅白で歌われていないヒット曲」は特にアイドルで多数ありました。4曲以上のメドレーで紅白初歌唱の自身の過去曲が揃うケースは史上初です。
・様々なミュージシャンから楽曲提供されていますが、作詞に関しては統一されています。シングル表題曲に関して言うと、「夏の扉」までの5作は三浦徳子で、「白いパラソル」以降は「ハートのイヤリング」まで14作連続松本隆でした。1985年の2曲は尾崎亜美提供ですが、その後も3作連続松本さんが提供しています。
・翌年放送された大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~」は中村勘九郎・阿部サダヲのW主演ですが、双方が紅白のゲスト審査員を務めるのは史上初となりました。テーマ設定など内容は大変意欲的で評価されましたが、保守的な高齢層にはウケが悪かったようで、視聴率は残念ながらあまり高くなかったようです。
・夏井いつきは中村汀女以来46年ぶりに俳人がゲスト審査員を務める形になりました。ただ主な活躍の場は夏井さんがテレビ・中村さんが文壇なので大きく異なります。夏井さんの添削でお馴染みの『プレバト!!』は2012年10月から放送開始、同番組きっかけによる俳句ブームを牽引したという理由で放送文化基金賞も受賞しています。
白18(全体43):氷川きよし(19年連続19回目)
・2000年デビュー 第51回(2000年)初出場
・1977年9月6日生 福岡県福岡市出身
・タイトル:「勝負の花道~世界に響く和太鼓SP~」
楽曲:「勝負の花道」(2018/1/30 シングル)
詞:朝倉 翔 曲:四方章人
太鼓:DRUM TAO
・歌唱前テロップ:DRUM TAO×「勝負の花道」
・歌唱中テロップ:世界で活躍 DRUM TAOと共演
・演奏時間:2分44秒
VTRで紹介されるのはDRUM TAO。伝統的な和太鼓のイメージを変えるステージは世界26の国・地域で800万人を動員。中村勘九郎の舞台でも共演したということで、歌前コメントにも登場します。安藤サクラはよくカラオケで「きよしのズンドコ節」を歌ってるそうです。
大迫力の和太鼓演舞から始まる楽曲は、「浪花節だよ人生は」に似たノリノリ演歌。もっとも作曲者はどちらも四方章人なので共通しています。DRUM TAOは太鼓の演奏だけでなく、踊りも兼ねているようなパフォーマンスで大変ダイナミックです。
刀剣男士に似た雰囲気の衣装でしたが、間奏で早替えもありました。ただこちらはマイクの持ち替えに失敗してギリギリ成立。曲の途中で巨大な氷川きよし和太鼓人形も登場、3メートル以上の高さがあります。こちらもなかなかの迫力でした。
それにしても「ソーラン祭り節」「男の火祭り」同様、この曲もかなり色々演出しやすそうです。10年以内にもう1回紅白で歌われる可能性も、低くはなさそうです。
(ウラトーク)
三浦さんはサンドの北海道の番組にゲスト出演。その時にビリビリマシーンの企画をやったことで、ツアー各地でそれを相当数もらったみたいです。他の歌番組とは、「時代を象徴する番組」「スタッフさんとか演者さんだけで6000人とか7000人の方が関わっている」「それだけの人の思いが詰まっている」ことが最も違うと話しています。
DRUM TAOのパフォーマンスはウラトーク席の面々もビックリ。「生音の圧が凄いですね」と三浦さん。なお今日の出演者の中で一番仲がいいのは星野源。その名前を耳にして、またウラトーク席に今回来ないことをサンドの2人が嘆いてます。
後ろのどデカい人形にもまたビックリするウラトークメンバー。そこからステージの段取りの話題になりますが、三浦さんについては「意外とやっぱり年末って時間がないので、(合わせは)2回」「その前に映像だったり色んなことをみんなで見ておいて、そこからせーので入って構成やったり振り付けの固めをしたりして」「後ろについているダンサーがスーパーダンサーなのでみんな、スケジュールを決めるだけでも一苦労というか」。2回という少なさに、サンドや直美さんもビックリしていました。
(解説)
・この紅白で終始ノリノリだった安藤サクラはちょうど放送中の連続テレビ小説『まんぷく』ヒロインでした。ちなみに、既に母親になっている女優が朝ドラヒロインに起用された例は初めてなのだそうです。『まんぷく』主題歌担当は『ひらり』以来26年ぶりとなるDREAMS COME TRUEでしたが、残念ながらスケジュールの都合でこの年は紅白不出演でした。
・DRUM TAOはこの年紅白初登場。1993年に結成された和太鼓演奏グループで、九州を活動拠点にしています。2000年代以降はアジア・北米・ヨーロッパなど海外でも数多くのステージを展開、2017年にヨーロッパツアーは65公演にも及ぶロングランになりました。
・「勝負の花道」の作曲者は「浪花節だよ人生は」と同じ四方章人。もしかするとこの曲自体それを意識して作られたのかもしれません。ちなみに四方氏作曲で他に紅白で歌われたのは「夫婦しぐれ」「人生みちづれ」「南部蝉しぐれ」など、演歌専門ではありますが決してノリの良い楽曲一辺倒という方ではありません。
・「みれん心」「男の絶唱」とヒットは続いていましたが、演出上の都合もあってこの年のシングル曲を紅白で歌うのは3年ぶりになりました。前年10月発売の「限界突破×サバイバー」も期待されましたが、これは次の年以降の思わぬ変化とともに大きくクローズアップされる形になります。
紅20・白19(全体44):椎名林檎(4年連続5回目)と宮本浩次(初出場)
・1998年デビュー 第60回(2009年)初出場
・1978年11月25日生 福岡県出身
・1988年エレファントカシマシのメンバーとしてデビュー
・1966年6月12日生 東京都北区出身
・楽曲:「獣ゆく細道」(2018/10/2 配信)
詞・曲:椎名林檎
Piano:笹路正徳 Harp:朝川朋之 Bass:鳥越啓介
・歌唱前テロップ:奇跡のコラボレーション「獣ゆく細道」
・歌唱中テロップ:奇跡のコラボレーション
・演奏時間:3分40秒
動的で派手なステージの後ですが、スタンバイ中の2人は完全に静の佇まい。スイッチがオンになっています。共演のきっかけは前回の紅白、林檎さん曰く曲は今日のことまで見据えて書いたのだそう。歌前のコメントは野村萬斎、エレカシの宮本さんとは同い年なんだそう。
同じ姿勢のまま微動だにしない椎名林檎、思いっきり縦横無尽に動きまくる宮本浩次との対比。間奏でダンサーより動く歌手は、ダンスを主体としたアーティスト以外では滅多に見られない光景です。マイクの雑音が入るくらい動きまくる歌手もそうそういません。ただただ圧倒、本当に言葉に出来ないようなスペシャルなステージでした。林檎嬢の紅白は6回目ですが、神ステージ率100%はまだ継続中。
(ウラトーク)
「新しい時代の中で、残っていく曲を作れるように頑張りたいと思います」と抱負を述べて、三浦さん退席。
直後再びメッセージを読み上げ。能町みね子さんより、「トミーのシャツがちょっとどうなっているのか分からない」。実際にはチョッキのようですが、それより「なんで富澤ばっかりなんですか」と伊達さんまたツッコミ。
ステージに目を移します。かなりの迫力に圧倒されています。「椎名林檎さんとか来てくんねぇかな」。実際林檎さんは前回の楽屋トークに出演していましたが、「来た所で全く喋りません。緊張しちゃって」。当然ツッコミが入りますが、「だから会いたくないってのはあるよね」と話す富澤さんの意見には同調。
「あのピアノ弾いてる人はYOSHIKIさんですか?」と小ボケを入れますが、宮本さんの動きには全員ビックリ。「いい加減にしてくれよ!」と直美さんはもはや呆れてます。「もう雨宮さんがひれ伏してますよ」「人類はみんなさ、なれるんだったら歌手になりたいよね」。
(解説)
・野村萬斎はNHKと縁深い狂言師で、1990年代には大河『花の乱』、朝ドラ『あぐり』の出演で話題を呼びました。Eテレ『にほんごであそぼ』でもお馴染みです。第50回(1999年)のゲスト審査員当時はあからさまに紅組贔屓のコメントをしていましたが、この回は比較的公平に見ていた様子。
・この年の椎名林檎はトリビュートアルバム『アダムとイブの林檎たち』発売、サブスク解禁の話題もありましたが、やはり一番大きかったのは「獣ゆく細道」でした。この曲は日本テレビ『news zero』のテーマソングとして起用されています。
・宮本浩次はこの年東京スカパラダイスオーケストラともコラボ、翌年以降はソロワーク中心の活動になります。「冬の花」「昇る太陽」などのオリジナルの他にカバーも話題になり、NHKを始めとする音楽番組でのパフォーマンスも飛躍的に増加しました。
紅21(全体45):松任谷由実(7年ぶり3回目)
・1972年デビュー 第56回(2005年)初出場
・1954年1月19日生 東京都八王子市出身
・タイトル:「私が好きなユーミンのうた ~紅白スペシャル~」
楽曲1:「ひこうき雲」(1973/11/5 シングル)
詞・曲:荒井由実
Pf:武部聡志 Str:阿部雅士ストリングス
楽曲2:「やさしさに包まれたなら」(1974/4/20 シングル)
詞・曲:荒井由実
Key:松任谷正隆、武部聡志 Dr:林 立夫 Ba:小原 礼 Gt:鈴木 茂、遠山哲朗 Cho:今井マサキ、亜美、佐々木詩織
・歌唱前テロップ:みんなの声から生まれたSPパフォーマンス
・歌唱中テロップ:みんなの声から生まれたSPパフォーマンス
・演奏時間:5分27秒
ROCK IN JAPAN FESTIVALで「真夏の夜の夢」を歌う映像が流れます。全曲ネット配信開始が話題、番組で寄せられたメッセージは1万4千を超えました。歌前にはお正月に自宅に招かれるくらい仲の良いaikoとゆずも登場。気軽に”ユーミンち”と話す部分に内村さんも驚き。aikoが聴きたい曲は「ひこうき雲」「冬の終り」「DOWNTOWN BOY」「守ってあげたい」他多数。
1stアルバムのタイトルナンバー「ひこうき雲」からスタート。NHKホールではなく、スタジオでの歌唱です。右上のLIVEの文字がないので、事前収録でもあるようです。ピアノと弦楽器の演奏のみで聴かせる、厳かな雰囲気。そういえばこの曲は2013年のジブリ映画『風立ちぬ』の主題歌でした。リアルタイムの1972年より、むしろ最近の方がより広く全世代に知られている楽曲かもしれません。
歌い終わると、ユーミンはスタジオを後にします。この曲の演奏終了後、すぐに次の曲「やさしさに包まれたなら」のイントロが流れ始めます。
カメラが映すのはNHKホールの舞台裏。そこにユーミンが現れて、そのままステージで歌い始めます。事前報道では今回完全にスタジオで歌うと発表されていたので、サプライズです。おそらく「ひこうき雲」を歌ってる際はバンドも準備していたと思われるので、ホールの観客は”まさか…!”という気持ちで、気が気ではなかったかもしれません。非常に大きな歓声と拍手に会場が包まれます。「よかったら一緒に歌ってね」という言葉から大合唱。後ろの映像ではカラオケのように、歌詞が大きく映し出されています。
ゲスト審査員は総立ち、舞台袖にいるaikoは感激の余り大粒の涙を見せています。1974年の楽曲ですが、同時にジブリ映画『魔女の宅急便』主題歌でもあります。おそらく日本に住む人で、知らない人はほぼいないと思われるくらいの愛唱歌です。少なくとも紅白の会場まで見に行くくらいの音楽ファンなら全員知ってます。この一体感、7年前の「春よ、来い」も凄かったですがそれ以上だったように見えました。
司会陣にも知らされていなかった演出なので、内村さんもテンションが高まっています。aikoの涙には「よくしといて良かったです」、今回の演出は「平成最後のお祭りですから」。ちなみに14707の投稿で1番多かったのは「春よ、来い」、その次が「やさしさに包まれたなら」で、以下は「DESTINY」「守ってあげたい」「ひこうき雲」「ルージュの伝言」「埠頭を渡る風」「卒業写真」「リフレインが叫んでる」「Hello, my friend」…の順番でした。
(ウラトーク)
サンドウィッチマンはこの前ユーミンさんのラジオに飛び入り参加したそう。「本当にいるんだっていうね」と話してます。直美さんは先ほど初対面の時に、一緒に写真撮影をお願いされたようです。ステージが始まるまで分からない歌唱曲、「ルージュの伝言」「DESTINY」「ひこうき雲」「春よ、来い」の名前が挙がります。
直美さんが随所でユーミンのモノマネを披露しています。先ほどお会いしたので、「こっち来てくれるんじゃないですか?」と「ひこうき雲」の時点で話してます。ただずっと「どこにいるんだ?」と話す状況なので、「本当にユーミンだった?それムーミンじゃなかった?」と(冗談の範囲内で))疑い始めます。「副音声で歌い出したらみんなチャンネル変えるだろうね」とは話していますが、そういえば前回までと違って今回そういった場面は少なめでした。
曲が切り替わるタイミングでホールにバンドがいることを発見、ユーミンがステージに登場した瞬間こちらでも大声が挙がります。「やさしさに包まれたなら」はウラトーク席の面々も一緒に歌いますが、あえて富澤さんは「武田(真治)来い!」とボケてます。aikoが泣いてるのを見て、雨宮アナがもらい泣きしちゃってます。ウラトーク席の一員も立ち上がり、はっきりとユーミンがこちらに手を振ってくれたことに大感激。
「雨宮さんはaikoさんが泣いてるのを見て泣いてる、何なの本当に」「いきものがかりのタオルで涙拭いてますからね」。その様子は直後思いっきり映像で抜かれました。「漫才でさ、みんなが言ってくれることないもんね」「邪魔だよ」。雨宮アナのあまりの泣きっぷりに直美さん大笑い。「ごめんなさい、すみませんもう、幸せです…」。
(解説)
・ゆずと松任谷由実は2007年に寺岡呼人の主催イベント『Golden Circle』に出演、その時にユニットを組んで一緒に歌った「ミュージック」がCDシングル化されています。aikoは親交もファン代表という立場で出演ですが、好きな曲で1992年のアルバム曲、あまりベストでもピックアップされない「冬の終り」を挙げる所が本物です。
・今回選曲された2曲はどちらもジブリ映画のテーマソングになりました。「ひこうき雲」は2013年の『風立ちぬ』、「やさしさに包まれたなら」は「ルージュの伝言」とともに1989年の『魔女の宅急便』で使用されています。3曲とも松任谷正隆と結婚する前、荒井由実名義の頃に発表されました。1970年代当時のリアルタイム以上に、広い世代に親しまれている楽曲です。
・現地に足を運んだ人の話によると、会場では「ひこうき雲」が大型スクリーンで映し出されていて、その後ろにバンドメンバーが待機しているという状況でした。開演前に「やさしさに包まれたなら」を歌う練習もありましたが、それでも「ひこうき雲」の時点で本人がステージに登場するのは完全に想定外だったようです。
白20(全体46):星野 源(4年連続4回目)
・2003年SAKEROCKのメンバーとしてデビュー、2010年ソロデビュー 第66回(2015年)初出場
・1981年1月28日生 埼玉県川口市出身
・楽曲:「アイデア」(2018/8/20 配信)
詞・曲:星野 源
・歌唱前テロップ:ドラマ「半分、青い。」主題歌「アイデア」
・歌唱中テロップ:ドラマ「半分、青い。」主題歌
・演奏時間:4分48秒
『半分、青い』のVTRが流れます。星野源とともに、主演の永野芽郁と佐藤健も舞台袖に登場。「アイデア」は事前に2週間分の台本を頂いて、「色々ある人生とか生活とか日々を生きる人を応援できる楽曲を作りたい」と思って作ったのだそう。主演の永野芽郁は「撮影期間中本当に源さんの歌に救われて」「いまだに街で流れてるのを聴くと一瞬でフラッシュバックして、鈴愛になりそうになるんですよ」、佐藤健は「源さんにおはようと言われるとこんなにも爽やかな気持ちで一日が迎えられるんだということが分かりました」とそれぞれコメント。
1番はメインステージで、2番はステージ後ろにある階段上の楽器の横で歌います。Cメロのギター弾き語りは下手側の別に用意されたマイクスタンドを使用。静寂の後のステージは舞台中央、演奏再開と同時に紙テープ放射演出が入りました。フィナーレは木琴の演奏、最後は銅鑼を鳴らします。歌詞自体も素晴らしいですが、トラックの作りがまず新しいです。J-POP史上に残る立体的な楽曲と言って差し支えありません。本当に、歌い終わった後の「何回見ても泣きそうになる」という永野さんの一言が、完全にしっくりきます。実際ラストサビで感激のあまり涙を浮かべながら聴く彼女は、紅白史上に残る最高に美しい表情でした。
ユーミンから源さんの流れは既に尋常ではない大団円感で、少し前の紅白なら文句なしのトリ大トリくらいの勢いでしたが、今回の紅白で本当に凄かったのはまだこれから。
(ウラトーク)
ここで宮野真守がゲストとして登場。「まさか自分がここにいるなんて信じられない感じですよね」「僕は出演は一応してないという形にはなってるんですよね」「宮野ではないような何かしらが登場しましたけども、でもすごく楽しい雰囲気でした」。ですので「ここに来た瞬間に廊下を錚々たる皆様とすれ違ったりとか、急にこの空気を感じて、今ビビってます」。源さんのステージ、またウラトークに出ないことを伊達さんが愚痴ってます。「嫌いなのかって聞いといてください」「わかりました」。
歌ってくださいと促されて、宮野さんもサビで一緒に歌います。「おげんげん」と勝手にあだ名を付けて声援を贈る直美さん。宮野さんが思う星野さんの魅力は、「向上心の塊」。間奏の振り付けは三浦大知ということも触れています。何から何まで出来る源さん、「星野源さんが出来ること僕一個もできませんからね」「逆にカッコいいっす、出来ないことだらけ」「ギターなんか弾いたら指から血出るわ」。
ラストサビに入るといよいよレスをもらうために大騒ぎ、ウラトーク席に手を振ってもらったことで更に反応。おかげでゲスト審査員の野村萬斎に睨まれたようです。
(解説)
・『半分、青い。』はこの年4月~9月まで放送された連続テレビ小説です。永野芽郁はヒロイン・楡野鈴愛、佐藤健は彼女の幼馴染である萩尾律を演じました。
・バンドメンバーは初出場以来お馴染みで、河村さんや長岡さんはおげんさんファミリーとしても出演しています。2番を源さんが歌う横でMPCを叩いているのはSTUTSで、こちらも翌年も含めた2年間源さんのステージに大きく関わる形になります。
・途中ギター、木琴、最後に銅鑼の演奏もありました。1つのステージで1人が楽器を3つ担当した歌手はおそらく紅白史上唯一の記録になると思われます。
白21(全体47):米津玄師(初出場)
・2009年ハチとして動画投稿開始、2012年デビュー
・1991年3月10日生 徳島県徳島市出身
・楽曲:「Lemon」(2018/3/14 シングル)
詞・曲:米津玄師
振付:辻本知彦 踊り:菅原小春
・歌唱前テロップ:テレビ初歌唱 亡き祖父の思い出つまった徳島から
・歌唱中テロップ:テレビ初歌唱 亡き祖父の思い出つまった徳島から
・演奏時間:4分35秒
まずはVTRで楽曲を紹介。彼の活動足跡を簡単に、そして「Lemon」がどれくらい売れたかを説明します。その中には主題歌になったTBS系ドラマ『アンナチュラル』の映像もありました。中継は徳島から、本番では言及なかったですが鳴門市にある大塚国際美術館が舞台。ですので建物の外観と同時に鳴門大橋の夜景も映っています。楽曲に込められたストーリーも、櫻井さんがしっかり紹介します。
館内のシスティーナ・ホールを舞台にしたステージは、無数の光と蝋燭に囲まれています。テレビ初披露となる歌声はまさしく大熱唱。作られた歌詞の素晴らしさだけでなく、はっきりとしたエピソードもあるので気持ちが見ている方にも自然に伝わります。そこに彩りを添える菅原小春のダンスも魅力的。動的な動きもそうですが、何よりCメロのステージに向かって座って聞き入る振付が印象的でした。ラストはダンサーが蝋燭を掲げて、建物から光が放たれる演出になっています。
「この場を用意して頂いた全ての方に感謝の気持ちを述べたいと思います。どうも本当にありがとうございます」。「米津さんが喋ってる!」と感激する司会陣に、少し照れ笑いする姿も素敵でした。
(ウラトーク)
宮野さんはカラオケ大好き。一番歌うのは平井堅さんのようです。ちなみに伊達さんはバービーボーイズとサザンをよく歌うみたいです。
徳島からの中継に冒頭「実家帰ってたんですか?」「実家、これ?」「実家、寺とかじゃないよね?」とボケまくってます。
「世界観完璧ですね」「表現素晴らしいなあ、コンテンポラリー」「ヤバい!」と、宮野さんを筆頭に大絶賛のステージでした。ちなみに伊達さんと雨宮アナは曲中盤、ペンライトがチカチカ状態になったようです。
(解説)
・米津玄師がテレビ番組で歌を披露するのはこの時が初です。それ以前もテレビ番組出演はありましたが、ほとんどVTRコメントのみでした。
・「Lemon」は尋常ではないほどヒットした楽曲で、YouTubeの再生回数は8億を突破しました。これは日本のレーベル・アーティストから公開されている全てのミュージックビデオで一番多い再生数になっています。
・中継先になったのは徳島県鳴門市の大塚国際美術館で、この年開館20周年を迎えました。舞台になったシスティーナ・ホールはバチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂が複製、その他1000余点の西洋名画が大塚トーミ陶業の特殊技術によって再現されています。なお米津さんは徳島県徳島市出身で、鳴門市からは少し距離があります。
・第53回以降紅白歌合戦にも中継が必ず入るようになりましたが、美術館の館内からのステージはこれが初めてでした。また、ライブ会場以外の中継でダンサーが加わったのは第67回の椎名林檎以来、ゲストダンサーの登場は史上初です。
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