歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第47回・1996年その4)

演奏時間&構成表 4(第47回・1996年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
43(紅21)
紅後半11
ときめきをさがしに島倉千代子3分4秒
2コーラス
4分34秒
2コーラス半
44(白21)
白後半11
遠くで汽笛を聞きながら堀内孝雄4分7秒
3コーラス
3分56秒
3コーラス(原曲)
45(紅22)
紅後半12
藤あや子2分59秒
2コーラス+台詞
4分39秒
3コーラス+台詞
46(白22)
白後半12
愛に帰りたい谷村新司3分43秒
冒頭+1コーラス半+サビ
4分54秒
2コーラス半+サビ
47(紅23)
紅後半13
昭和夢つばめ石川さゆり3分15秒
2コーラス+台詞
4分47秒
3コーラス+台詞
48(白23)
白後半13
女のしぐれ細川たかし3分3秒
2コーラス
4分52秒
3コーラス
49(紅24)
紅後半14
鳴門海峡伍代夏子3分2秒
2コーラス
5分2秒
3コーラス
50(白24)
白後半14
女の酒場五木ひろし3分43秒
2コーラス
4分57秒
2コーラス半
51(紅25)
紅後半15
夜桜お七坂本冬美3分25秒
1コーラス+サビ
5分23秒
2コーラス
52(白25)
白後半15
風雪ながれ旅北島三郎4分51秒
3コーラス
4分33秒
3コーラス

各ステージ・補足

 島倉千代子は当時最多の34回目出場ですが、この年も比較的ポップス色の濃い新曲を歌います。「ときめきをさがしに」2コーラスですが、1番サビで大きく歌詞を間違えるハプニングが発生。その後は何とか歌い切りますが、これが原因でしょうか次の紅白出場は8年後になりました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・島倉千代子の軌跡

 堀内孝雄は紅白で初めてアリス時代の曲を披露、バンドメンバーを従えて生演奏の「遠くで汽笛を聞きながら」。原曲と比べるとキーボードの音がやや強め、それ故にライブテイクという言葉が大変しっくりきます。アウトロまでカット無しの完全フルコーラス、普段歌う歌謡曲よりもはるかに長い演奏時間でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・堀内孝雄の軌跡

 藤あや子は台詞パートから入る「紅」を歌唱。1番と3番の2コーラスでした。演歌がいよいよオリコン年間CDセールス100位以内に全く入らなくなった年ですが、その中で当時一番健闘していたのは彼女です。

 谷村新司もバンドメンバーを従えた完全生演奏、曲はこの年発表の新曲「愛に帰りたい」。冒頭は本来ならイントロ演奏ですが、ここでは英語詞サビのアカペラで開始。またこれまでは全ての年でフルコーラス歌唱でしたが、この年は2番がカットされています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・谷村新司の軌跡

 石川さゆりも台詞から始まる楽曲、歌はこの年発表の「昭和夢つばめ」。ここ2年は凄味のある本格演歌が続きましたが、この年は落ち着いた雰囲気で優しく聴かせます。1番と3番の歌唱でした。

 細川たかしは演歌らしい演歌という評がピッタリな「女のしぐれ」。一応10万枚以上のCDセールスを記録していますが、わざわざ細川さんに歌わせなくても別に成立する楽曲という印象もあります。もっと難しい曲の方がふさわしいと言いますか…。こちらも1番と3番の歌唱。

 この年の終盤は紅組演歌で抜擢が目立ちましたが、その象徴と言えるのが伍代夏子のトリ前配置でした。スケールの大きな「鳴門海峡」の1番と3番を歌唱、派手さはありませんが抜群の安定感で聴かせるステージでした。ただ間奏はカット気味です。翌年以降も終盤で歌う機会が増えると思われましたが、残念ながらそうはならず。それどころか第2部で歌う機会そのものが無くなってしまいます。

 五木ひろしは7年前に「暖簾」を提供した永井龍雲の作詞作曲で「女の酒場」。この年の終盤はさゆりさんから4ステージ立て続けの演出でしたが、その締めを飾る形のステージでした。1コーラスがかなり長い曲ですが構わず2コーラス、たださすがに2番Aメロ後半はカットされていました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡

 この年の紅組トリは歌手生活10周年の坂本冬美、思い切った選出になりました。2年前に歌ったばかりですが歌は「夜桜お七」、現在まで知られるスタンダードナンバーになったきっかけはこのステージと言って良いかもしれません。桜が舞い散る中での大熱唱、ただアウトロがカットされているのは2年前と同様。演奏時間も3秒長くなっただけでした。この先紅組トリの常連になることが期待されましたが、残念ながら今のところこの時限り。ただ紅白出場自体は27年近くたった今でも継続中です。

 この年の大トリは還暦を迎えた北島三郎、15年前に伝説を作った「風雪ながれ旅」の再演です。演歌の大御所が手伝う早替え演出、舞台に降り注ぐ大量の紙吹雪、そして何よりイントロから歌い終わりまで完全フルコーラスの構成。この年の紅白歌合戦を締めくくるに相応しい熱演でした。

第47回(1996年)・まとめ

演奏時間ランキング(企画コーナーは除外)

順位曲順楽曲アーティスト演奏時間
152(白25)
白後半15
風雪ながれ旅北島三郎4分51秒
213(紅7)
紅前半7
そうだよDREAMS
COME TRUE
4分46秒
342(白20)
白後半10
案山子さだまさし4分30秒
429(紅14)
紅後半4
Can’t Stop Fallin’ in Loveglobe4分29秒
544(白21)
白後半11
遠くで汽笛を聞きながら堀内孝雄4分7秒
628(白14)
白後半4
浪漫飛行米米CLUB4分1秒
731(紅15)
紅後半5
オリビアを聴きながら杏里3分58秒
820(白10)
白前半10
夜の無言森 進一3分49秒
916(白8)
白前半8
2億4千万の瞳郷ひろみ3分46秒
1027(紅13)
紅後半3
あなたに逢いたくて
~Missing You~
松田聖子3分43秒
4139(紅19)
紅後半9
この道由紀さおり・
安田祥子
2分57秒
422(紅1)
紅前半1
そばかすJUDY AND MARY2分56秒
4311(紅6)
紅前半6
人生そこそこ七十点中村美律子2分55秒
448(紅4)
紅前半4
ヨコハマ・シルエット長山洋子2分50秒
446(紅3)
紅前半3
女の漁歌門倉有希2分41秒
4634(白17)
白後半7
北国夜曲美川憲一2分39秒
477(白4)
白前半4
カサブランカ・グッバイ鳥羽一郎2分37秒
484(紅2)
紅前半2
夢見る少女じゃいられない相川七瀬
2分35秒
4940(白19)
白後半9
北帰行小林 旭2分34秒
5018(白9)
白前半9
抱きしめて前川 清2分28秒

 5分以上のステージがゼロ、これは第40回以来7年ぶりでした。J-POPかフォーク・ニューミュージック勢が上位の中心ですが、この年は大トリの北島三郎がトップの演奏時間です。一方短い方は2分10秒台以下のステージがゼロ、そういう意味では平成以降でもっとも演奏時間のバランスが良い紅白歌合戦だったのかもしれません。全ステージ平均は第1部が3分15秒(3秒減少)、第2部が3分28秒(前年と同様)、50ステージの平均は3分22秒(2秒減少)。5分以上のメドレーがない分短くなった形で、1曲ごとのステージだけで見ると増加したと考えて良いのではにかと思います。

過去曲/カバー曲のステージ(新曲が含まれるメドレー除外)

曲順楽曲アーティスト発表年演奏時間
構成
14(白7)
白前半7
夢で逢えたらRATS & STAR1976年
(吉田美奈子)
3分33秒
冒頭+2コーラス半+サビ
16(白8)
白前半8
2億4千万の瞳郷ひろみ1984年
2年ぶり2回目
3分46秒
2コーラス
21(紅10)
紅前半10
好きになった人 ’96都はるみ1968年
28年ぶり2回目
3分16秒
3コーラス
28(白14)
白後半4
浪漫飛行米米CLUB1987年
3年連続3回目
3分11秒
2コーラス半
30(白15)
白後半5
夢一夜南こうせつ1978年3分27秒
2コーラス
31(紅15)
紅後半5
オリビアを聴きながら杏里1978年3分58秒
2コーラス
39(紅19)
紅後半9
この道由紀さおり・
安田祥子
1927年2分57秒
4コーラス
40(白19)
白後半9
北帰行小林 旭1961年2分34秒
3コーラス
42(白20)
白後半10
案山子さだまさし1977年4分30秒
2コーラス半
44(白21)
白後半11
遠くで汽笛を聞きながら堀内孝雄1976年
(アリス)
4分7秒
3コーラス
52(白25)
白後半15
風雪ながれ旅北島三郎1980年
15年ぶり2回目
4分51秒
3コーラス

 50ステージ中過去曲オンリーは11、前回より1減。「夢で逢えたら」は実質的には新曲と言った方が良いので、正確には10にすべきでしょうか。この年の過去曲は 郷ひろみ都はるみを筆頭に、多くが1996年版にアップデートされた演奏になっていることも特徴的です。

フルコーラス歌唱(間奏・アウトロ・フェイドアウトは除く)

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
13(紅7)
紅前半7
そうだよDREAMS
COME TRUE

4分46秒
冒頭+1コーラス半+ラスト
4分50秒
1コーラス半+ラスト
14(白7)
白前半7
夢で逢えたらRATS & STAR3分33秒
冒頭+2コーラス半+サビ
4分9秒
冒頭+2コーラス半+サビ
15(紅8)
紅前半8
ララ サンシャイン森高千里3分31秒
冒頭+2コーラス半
3分40秒
冒頭+2コーラス半
16(白8)
白前半8
2億4千万の瞳郷ひろみ3分46秒
2コーラス
4分4秒
2コーラス
21(紅10)
紅前半10
好きになった人 ’96都はるみ3分16秒
3コーラス
3分23秒
3コーラス
26(白13)
白後半3
田園玉置浩二3分34秒
2コーラス+サビ
3分40秒
2コーラス+サビ
28(白14)
白後半4
浪漫飛行米米CLUB4分1秒
2コーラス半+サビ
4分10秒
2コーラス半+サビ
39(紅19)
紅後半9
この道由紀さおり・
安田祥子

2分57秒
4コーラス
2分35秒
4コーラス
40(白19)
白後半9
北帰行小林 旭2分34秒
3コーラス
2分40秒
3コーラス
42(白20)
白後半10
案山子さだまさし4分30秒
2コーラス半
4分49秒
2コーラス半
44(白21)
白後半11
遠くで汽笛を聞きながら堀内孝雄4分7秒
3コーラス
3分56秒
3コーラス(原曲)
52(白25)
白後半15
風雪ながれ旅北島三郎4分51秒
3コーラス
4分33秒
3コーラス

 この年はフルコーラスが群を抜いて多く12ステージ、それ以外でも小沢健二globeも僅かなカットで限りなくフルコーラスに近い構成でした。前半7番手~8番手でフルコーラスが続くのも他になく、特に森高千里は本人もフルコーラスだと思っていなくてビックリする表情が見られる珍場面が生まれたほどです。1960年代以前の過去曲も非常に少なく、それを考えるとかなり価値のある紅白歌合戦だったと言って良いのではないでしょうか。

 

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